東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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歌う吸血鬼


第七十五話

 

「〜〜〜〜〜〜♪」

 

ここは俺たちの家の近くの森の奥。

背の高い木々が生い茂っており、日光は少ししか入らないが決して暗いわけではなく、むしろ自然の明るさを体感出来る場所だ。

外の世界で流行っていた歌を口ずさみながら休憩をしているところだ。

 

(来たな)

 

歌うことを止めずに右手の人差し指を軽く曲げてかざす。

すると小鳥が俺の人差し指に止まる。

さらにその小鳥を筆頭に小さい動物達が俺の元に集まって来る。

どうやら俺の歌は知能や種族関係なく、俺の歌を聴いて理解したもの全てに影響する様だ。

今のところ少なくても人間、妖怪、妖精、動物に効果があることが証明されている。

 

(後は神と幽霊にどう影響するのかを実験しよう。

そこまで実験したら影響力の大きさの実験だ。)

 

幻想郷で生きていく上で、引いては和磨の手伝いをする為に色々な世界に渡った時に自分が何を、どこまで出来るかは知っておきたい事だ。

 

「〜〜〜〜〜〜♪」

 

明るく、曲調が軽やかな歌を選んで繋げて歌っていく。

その間にも動物達は俺の周りに集まって来て寝転がったり俺に戯れてきたりしている。

 

(うわ、どうしようかなり楽しい)

 

戯れて来る動物を撫でたりコロコロと転がして遊んだりしているうちにだんだんと太陽が沈んで行くのがわかった。

 

「〜〜〜〜〜〜♪

………………………」

 

何曲目か忘れた(最初から数えていない)がキリよく歌が終わったのでそこから歌うのを止めて、羽を広げ宙に浮く。

動物達は。それぞれが俺を見上げたままじっとしている。

 

「さて、諸君もうすぐ夜がやってくる。

このまま朝まで騒ぐのもいいが自然の摂理はそれを許さないだろう。

諸君とまた緩やかな時間を過ごす為に今日はこれでお開きとする事にしよう………………………解散!」

 

簡単に言うと夜になったら肉食動物に襲われるかもよ、はよお家に帰りなさい。

って事だ。

わざわざこんな言い方したのは…………ほら、あれだ、ノリ的なやつ。

動物達は何度かお互いに顔を見合わせた後、もう一度俺の方を見てから散り散りに解散していく

 

「寄り道せずにまっすぐ巣に帰るんだぞー!

出来るだけ固まって移動しろよー!」

 

動物達を見送って俺も帰路に着く。

久々に満足するまで歌って喉が痛いが。

まぁ構わないか。

そんなこんなで家に帰ると。

和磨がソファーに腰掛けて手をこまねいていた。

とりあえず和磨の正面に腰掛ける。

 

「なんだ和磨?

神妙な顔して」

 

眉間にしわを寄せ、難しい顔をしている和磨に問いかける。

わざわざもったえつけるように間を作るので汲んであった紅茶を口に含んだ瞬間、和磨が口を開いた。

 

和磨

「翔、バンドを組まないかい?」

 

思わず声を出しかけてなんとか堪えたと思ったら俺の口は和磨に向けて紅茶を吹き出していた。

 

 




青春と言ったらバンドですよね
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