翔子
「うん、クレアと一緒に考えてたんだけどね?」
そう言いながらフリップを取り出す翔子。
そこには教科書のお手本を少しだけ丸文字にしたような書体で【歌唱録】と記されている、これは翔子の字だ。
更にその上には流れるような英字の筆記体で【song record】と、記されている、こちらはおそらくクレアの字だろう。
翔
「ソングレコード…………」
思わず口から溢れたその名前を聞いてクレアがふんすと鼻を鳴らし、腰に手を当てて胸を反らす。
圧倒的重量を持った胸が揺れる。
…………たまに思うのだがあれはもはや鈍器として使えるんじゃないか?
色気で誘って後ろからあのデカイ胸で後頭部を一撃!
人間なら殺せるんじゃないかな?
更に正面から首を締めれば頚動脈を圧迫しながら呼吸も封じれそうだ、まさにハニートラップ。
クレア強者説が俺の中で勝手に持ち上がる、うむ、奴は怒らせないようにしよう。
クレア
「皆で紡ぐ歌が記録に残るような素晴らしく、斬新で馴染み深い者になります様にっていうボクと翔子の気持ちを込めて二人で作ったよ!」
ねー、と翔子に飛びつくクレアと少し恥ずかしげにはにかんでいる翔子。
ソングレコード、うむ、なんとなく自分達に馴染む気がしてくる。
漢字をそのまま読まずに発音するための名前とわけてあるところもなかなかにくい使用になっている。
女子ならではの柔軟なネーミングだな。
翔
「うむ、いいじゃないか!
皆はどう思う?」
先程のクレア強者説を頭から追い出して紅零の方に顔を向けると、紅零キザったらしく鼻を鳴らして見せる。
紅零
「せっかく女子陣が考えてくれたしな、俺はいいと思うよ、【歌唱録】」
そこに今度は晃の声が割り込む。
晃
「意外としっくりくるし俺達で考えるよりいい感じやない?」
紅零に続いて晃も賛成の意を表す。
では。といい出す前に次の声が割り込む。
恭典
「カカッ!
そもそもいとしの翔子ちゃんの案だ。
押し通すつもりだったンだろォ?」
カラカラと下駄を転がすような笑いの後にこちらを追い詰めるように見てくる恭典。
くっ、照れくさいやらなんやらで反論が出来ん。
圭亮
「ふっ、色男め」
和磨
「……圭亮、それって翔の真似のつもり?」
芝居がかったセリフにすかさず和磨がツッコミを入れる。
圭亮よ、似てないモノマネありがとよ。
翔
「では!俺達のグループ名は【歌唱録(ソングレコード)】に決定しようと思うが、構わないか?」
答える声がない代わりに拍手が起こる。
その拍手の中で翔子は照れくさそうに、クレアは誇らしげに笑顔を浮かべている。
こうして俺達のグループ名がここに決定した。