圭
「偵察部隊…………か」
時刻は夕方。
俺は里の中心にある監視塔の天辺で里の周囲の警戒をしていた。
と、言うのも今朝早く、里長の所に上白沢 慧音氏が来て警戒体制の立案をしたらしい。彼女の進言で、里の入口から少し進んだ所に偵察兼遊撃部隊を展開する事になった。
入口とは言ったものの表口と裏口の2ヶ所だけなので大して人員を割かれはしないだろう。
と思っていたんだけど8人一組の班が表口と裏口に二組ずつ計32人もの人員を割かれることになった。
そして俺はというと、里の警戒と護衛を頼まれた。
圭亮
「……………今の所変わった様子は見られないか………」
一人きりの見張りに少し疲れたので少し声を出して自分を鼓舞してみる。
「圭亮、大丈夫か?
今日はずっと見張りをしているだろう?
少し休んだ方がいいのでは?」
圭亮
「慧音さん。
脅かさないで下さいよ、ちょうど気を抜いてた時に急に話しかけるなんて…………」
上白沢 慧音。
半分妖怪でありながら人によりそう風変わりな女の人だ。
彼女が来てから里は大きく発展して行ったらしい。
翔も彼女には一目置いているらしく。
「困った時には彼女に相談するといい、知恵で解決する問題なら解決まで行かなくとも進展は得られるやも知れんぞ?」
なんて言ってくる程だ。
と、言うのもどうやら歴史に関する能力を持っているらしい。
確か『人間の時は歴史を食べて』妖怪の時は『歴史を創る』んだとか。
この辺は翔も正しく理解していないそうだ。
「というかそんな能力把握できるか、意味が広い上に曖昧すぎるだろ」
とか何とか。
慧音
「済まなかった。
しかし圭亮、お前は気を張りすぎだ。
あの吸血鬼のお墨付きのお前にはいつでも動けるようにしていてもらいたいんだ」
あの吸血鬼っていうのはまぁ間違いなく翔の事だろう。
でもなぜ翔はあんなに自信満々に俺を推せたのだろうか?
圭亮
「申し訳ないんですけど俺はアイツが言うほど強くないですよ。
能力を持ってますけどまだ使いこなせてない気がするし運動神経には人並みの自信はありますけど人間の域を出ませんし…………」
そう、俺は妖怪相手に身を守り撃退する準備を進めてきた。
しかしどの程度まで俺の実力が通じるのか、試した事は勿論無いし未だに翔や紅零、恭典など力の強い妖怪に鍛えてもらっている最中に冷や汗が出ることがある。
慧音
「だからこそだよ、圭亮。
人間には妖怪よりも大きな可能性が備わっている。
恐らく翔はその可能性をお前に見ているのだろう」
圭亮
「可能性………」
自分の可能性を模索する前に里に緊急事態を知らせる金が鳴り響いた。
慧音
「圭亮、万が一に備えよう!
ここは任せた!」
不安に潰されそうな心に喝をいれ、慧音さんにサムズアップを返した。