金属がぶつかる音や方向、悲鳴が近づいてくる。
和磨は空中から降りてきて、俺の隣に立っている。
圭亮
「和磨、頼みがある。
慧音さんも避難させてくれないか?」
慧音
「なっ!?
何を言い出すんだ圭亮!?
私だって…………」
圭亮
「弾幕ごっこじゃないんですよ?」
慧音さんの言葉に割って入る。
もちろんただ単に殴りあわなくとも慧音さんの頭脳は武器になり得るし弾幕ごっこになれているなら場を撹乱することも可能ではあるのかも知れない、でも…………。
圭亮
「もし手段を選ばずに奴らが貴女を襲えば俺は貴女を護れない…………」
吸血鬼の翔が押し切られてしまうような連中だ、ただ数が多いだけではないはず。
一体一体がそこそこの強さを持っていると考えるのが妥当だろう。
和磨
「ふふふ、翔の言った通りだ。
こんな状況で慌てていても心の一番奥では冷静に物事を見れているね」
慧音さんに向き直り機械的な笑顔を向ける和磨。
和磨
「そう言う事です、上白沢慧音さん。
圭亮は貴女を非戦闘人員にカウントしたようですね。
話を聞く限りは当然でしょう…………」
夕日が完全に沈み切り、月が顔を覗かす。
和磨
「貴女がハクタクに成れるのは満月の夜だけなのでしょう?」
月は確かに丸みをおびているがまだ満月とは言えない。
奴らが里を襲うならこういう日を選ぶに決まっている。
慧音
「っ!
私は……………私は……………!」
俯く慧音さん。
辺りにある民家の影からは小型の妖怪が出てきてこちらに威嚇を始めている。
圭亮
「慧音さん?」
はっとしてこちらを見る慧音さんに笑顔を向ける。
圭亮
「大丈夫ですよ、慧音さんに頼りっぱなしにはなれないから俺達自警団がいるんです。
なんとかしますから、今は引いて下さい」
和磨
「それではまた後ほどお迎えに上がりますね。
里の住人の方々にもよろしくお伝えくださいね」
パチンと和磨が指を鳴らすと慧音さんの足元になんとも言い表せない穴が空く。
慧音
「うわああああ!?」
空を飛べるはずの慧音さんだが流石に不意を疲れたらしく穴に落ちていく。
というか和磨、もうちょっと穏便には出来なかったのかな?パンツ見えちゃってたよ?
………大人の女の人ってみんなあんなの履いてんのかな?
圭亮
「そしてそこのお前、バレてないと思ったか?」
振り向きざまに踵を振り上げて踏抜く。
不意打ちを狙っていたであろう小型の妖怪の一匹の頭を踏みつける。
圭亮
「しまった武器がない…………」
妖怪共は俺達を囲みながらジリジリと距離を詰めてくる。
和磨
「あ、翔からこんなの預かってるけど」
和磨は上着の懐に手を入れると、そこから剣を……………
圭亮
「え?おかしくね?
何それどうやって出したの?」
和磨
「え?この剣?
これね『マチェット』って言ってね、先のほうが重くなっててその重さで対象を切断する灘に近い剣だよ」
あ、説明する気ゼロですかそうですか。
とりあえず受け取ってみる。
長さも重さもちょうどいい、軽く構えてみる。
そう言えば前に翔から風の応用技ですごい奴提案されたっけ。
圭亮
「…………」
大きく深呼吸をして意識を剣に集中させる。
するとマチェットを中心として俺でさえも予想しなかった程の風が殺到する。
翔が教えてくれた風の応用。
『束ねた風で光を屈折させて対象物を覆い隠す』。その名を…………。
圭亮
「風王結界(インビジブル・エア)!」
叫ぶと同時にマチェットは完全に姿を消し、吹き荒れていた風は止んでいた。
久しぶりの更新です
最近スランプがひどい………