東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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人里防衛戦part10


第九十一話

 

和磨

「圭亮……………ごめん、援護が………」

 

動きを封じられている和磨が身じろぎながら呟く。

 

圭亮

「任せてくれ…………。

行くぞっ!」

 

全力で走りその勢いを乗せるように意識しながらマチェットを振るう。

一撃一撃を全力で、冷静に大胆に、そして落ち着いて打ち込む。

 

「ええい煩わしい剣を使いおる」

 

甲高い金属音と骸骨のもどかしそうな声をどこか他人事の様に聞きながら剣を振るう。

最初はこちらが押していたけれど段々と押し返されて来る。

 

圭亮

「っ!

こ、のぉ!」

 

骸骨の一瞬の隙を突いて肩から体当たりをすると同時に足をかける。

 

「ぬっ!?」

 

腰だめにマチェットを構え、全身の力を込めて…………突き出す!

 

和磨

「圭亮!ダメだ!」

 

「図に……………乗るな!」

 

多方向から細い物が空気を切る音がすると同時に、鞭や紐のようなものを叩きつけられたような痛みが走る。

 

圭亮

「ぐっ!?」

 

体が動かない。

視線だけを下に向けると、俺の影からいくつかの触手が俺の体をぐるぐる巻にしているのが解った。

 

「惜しかったな小僧」

 

突き出したまま動きが止まってしまったマチェットの目の前に立ちながらおかしな笑い声を上げる骸骨……。

これはチャンスだ………………風王結界の応用技!

 

圭亮

「風王(ストライク)………」

 

マチェットを隠した時と同じ様に、いや、あの時以上に風が吹き荒れる。

何事かと骸骨が仰け反るような動きを見せた瞬間。

 

圭亮

「鉄槌(エア)!」

 

もはやどう表現していいか解らない程の轟音を伴って幾重にも重ねていた風が剣を向けていた先へと解放される。

そう、マチェットの剣先で余裕を見せていた骸骨へと向けて。

 

視界が風に覆われて、音が突風に呑まれていた時間はほんの数秒だったように思う。

 

視界と音が回復したと同時に俺は自分の体の拘束が解けていることに気付いた。

 

圭亮

「奴は………?」

 

周囲には骸骨の姿はなく、奴が被っていたボロ布の残骸のようなものが落ちているだけだった。

 

和磨

「お見事……………。

インビジブルエアを使った時点でストライクエアもいつかは使うものと思ってたけど……ここまで高威力で再現してくるとはね」

 

今は見えるようになったマチェットを使い、和磨を拘束している触手を切る。

 

和磨

「ありがとう圭亮。

やっと自由になったよ」

 

ひとしきり体を動かした後、何も無いところは視線を向ける和磨。

 

和磨

「で?

どうする?第2ラウンドといっとく?」

 

和磨が煽る様に声をかけると、夜の闇から溶けだす様に骸骨が姿を現す、相変わらず姿を消すのが好きらしいが、先ほどの様子とは打って変わって体を形成する骨はひび割れ、ボロ布はもはやあってもなくても変わらないような状態になっていた。

 




多分次の話で圭亮編は終わるかと思います。
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