東方歌唱録   作:苦労人ーくろうにん

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人里防衛戦part11


第九十二話

 

 

「さんざんコケにしてくれたな小僧共…………遊びは終わりだ……!」

 

風王結界は打ち出してしまった………。

刀身が見えないという大きな利点を捨ててしまった今、信じられるのはこういう時の為に積み上げた戦闘訓練……………もちろん和磨もいるのだが仲間に頼りすぎると自分では何も出来なくなる…………。

 

「そうだな、もういい加減傍観も飽きてきたところだ、次は俺が相手になろう」

 

突然肩に手を置かれ、振り向くと、そこにはさっきオークと戦いながらこの場を離れた筈の翔が立っていた。

 

圭亮

「翔!?

なんでここに………さっき………」

 

「あぁ、オークにあの場から引き離される『フリ』をした。

ある程度離れた場所で奴を片付けた後ここに来たわけだ。

その後少しだが様子を見させて貰った訳だ……………。

見事だったぞ、圭亮、和磨。

後は任せておけ」

 

不敵な笑みを浮かべながら背中の刀を抜いて骸骨と対峙する翔。

構えはなく、地面に刀身がつかない程度にだけ気を付けているように見える。

 

「一応言っておくが見逃す気はないし、見逃される気もない。

どちらかがここで命を落とす事になるが?」

 

「死ぬのは貴様だけだ!目障りな吸血鬼!」

 

さっき俺と戦った時とは比べ物にならない程の勢いで骸骨が翔へと斬りかかる。

 

「やれやれ、よほど俺が気に食わないと見える。

ただな………………」

 

俺の目にはもはやまともに見えない程の高速の剣撃戦のなか、翔は誰に聞かせるわけでもなく、独り言のように言う。

 

「テメェの欲望だけで幻想郷のバランスを崩しかねないような奴は俺だって気に食わん」

 

骸骨の袈裟斬りを受け流し翔が1歩踏み出す。

 

「がぁあ!?」

 

急に怯んだ骸骨の足元を見ると、翔の踵が骸骨の足を文字通り粉砕していた。

どうやら踏み出したのは距離を詰める為ではなく、奴の足を踏みつけるためだったらしい。

 

「あの世で閻魔の説教でも受けるがいい……………」

 

翔の左手に何度も見た聖剣が現れる。

 

「エクス…………カリバー!!

 

聖剣が骸骨の体を切り裂いた瞬間、傷口から金色の光が吹き出す。

 

「お、のれ…………吸血鬼ぃ………!」

 

煙となって消えてゆく骸骨に、翔は話しかける

 

「恨んでくれて構わないぞ?

あの世から呪ってもいい。

ただしそんなもので俺をどうこうできるとは思わない事だ」

 

完全に骸骨が消えると、翔はこちらを振り返る。

 

「さて、和磨。

とりあえず里の住民を連れ帰るぞ、その後紅零と女性陣を連れてきてくれ。

…………………俺は壊れた家屋を直す手伝いをする」

 

こうして俺は初めて強敵を退けた。

翔達の助けがなければどうなっていたか解らない戦いだったが、壊れた家屋を直す作業中に翔からは

「とりあえず今は満足しておくといい、見事だった」

と言うような内容の事を言われた、奴が何者だったのか等は詳しく判明したら教えてくれるそうだ。

 




圭亮編終了です
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