剣に生きた人生をもう一度と願うのは間違っているだろうか   作:お刺身弁当

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予約投稿に味を占めた投稿者です。
便利だなぁ…

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第6話

武神がゲンナリした顔をして客間から逃げていったその翌日、団長であるカシマ・桜花から改めて小次郎の紹介(やべー情報は伏せて)、そして道場貸し出しの相談をするが拍子抜けするくらいアッサリと許可が降りた。

団員達曰く「あそこの道場、遠いからいらないと思ってた」、「団員が少ないのにどっかの主神が「増えるさ増えるさ!」と道場を増やしたせいでファミリアは大変なんだ。だからこの提案は是非受けたい」、「そんな道場あったっけ、まぁ、あっても遠いなら使わないよ」との事。

団長の後ろで、静かに涙を流す武神を見た気がするが気のせいであろう。

 

何はともあれ無事許諾を得た小次郎は、その道場を一目見るべく初の異世界都市へ足を踏み出した。

本拠を出た小次郎は、前の世界でも見た事のないエルフやドワーフ、猫や犬の耳を持つ亜人と呼ばれる者達に興味津々だった。

(なるほど、正に異世界という光景だな…)

見ただけで分かる上等品であろう武器や防具を見に纏い堂々と歩く冒険者、新米冒険者なのか少々オドオドしながら歩く者…どれも小次郎の目には新鮮に映る。

(天から態々神々が降りてくるのも頷ける…)

人混みをすり抜けながら、目的地へ向かう。

紺色の陣羽織を纏う剣士は、武芸者として明鏡止水の境地に達しているからか、極東風の衣装など見慣れているのか特に周りから視線を感じる事もなく無事道場へ到着した。

 

(ほう、中々良いではないか。)

草鞋を脱いで道場の中を歩き、隅の方にある扉の前で足を止める。

(そしてここか…)

小次郎はその扉を、懐から取り出した小さな鍵を使い中へ入る、扉の先は本拠の客間の様な空間だった。流石に布団はないが、小さいテーブルに座布団が二枚。定期的に手入れしているのであろう、埃などは無く清潔感のある空間。

タケミカヅチから、自由に使えと明け渡された一室だ。

 

といっても、小次郎の財布事情は真っ赤っ赤なマイナス状態である為寛ぐくらいしか出来ない訳であるが。

(どうにかして茶と湯呑みだけでも増やしたいところだが…銭が無ければどうにもならんな。)

「道場は確認できた。残りの時間はこの街を歩いてみるとしよう」

道場の中をある程度探索し終えた小次郎は、迷宮都市の散策に向かう為道場を後にした。

 

相変わらず人で溢れている都市。

人混みの中をすり抜け、また人混みへ、それもすり抜ける様に通り過ぎる。…そして小次郎は妙な視線を感じていた。

(……道場へ向かう時は感じなかったが、道場を出てからどこぞの女狐の様な視線を感じる。が、泳がせておくとしよう。ここで振り向く事こそ悪手に他ならん…)

まるで品定めする様な粘ついた視線受けるが、態々騒ぎ立てる程でも無い為都市の散策を続行する。

 

暫く歩き続けると先程の妙な視線は感じなくなった。

ふと、どこかで感じた鼻腔を擽る香りに気が付く。

(これは…じゃが丸くんといったか…確かタケミカヅチ神が出店で働いているのだったか。冷やかす序でにあの食べ物を頂くとしよう。)

昨晩食べた美味なる食べ物を求め、香りの続く方角へ足を運ぶ。

 

「じゃが丸くん美味しいよー!!美味しいよー!小豆クリーム味もまだまだあるヨー!!」

たどり着いた出店ので売り子をしていたのは、武神ではなく可憐な少女であった。

年齢は10代半ば程であろうか、美しい黒髪のツインテール。

身長は低く、幼さを感じさせるが誰が見ても文句無しの美少女だろう。

頭に触覚の様なものが生えているが、よく見ると髪飾りの装飾らしい。

 

「むむむっ!!そこのキミキミー!!!じゃが丸くん美味しいよー!」

小次郎に向かい、愛らしい笑顔で声をかける少女。

 

(どうやらこの少女も神であるらしいが…じゃが丸くんの神か…?)

かなり失礼な事を考えながら少女の方へ向かう。

 

エプロンをしているが、全体的に肌の露出度は高い。

少なくとも揚げ物をするに適していないであろう。

油が跳ねないのか心配になったが、それを口にすることは無かった。

 

「おっ!来てくれてありがとう!キミなかなかイケメンじゃないかー!という訳でじゃが丸くん1つどうだい!」

何がという訳なのか分からないが、セールストークを受けた小次郎。

「…そうだな。では、1つ頂こう。」

「味はプレーンでいいかい?小豆クリーム味もあるけど…」

「…店主のおすすめを頼む(何が書かれているのか全く分からん。)」

「じゃあプレーンにしよう!ちょっと待ってねー!」

昼食代をタケミカヅチから貰っていた小次郎は手早く支払いを済ませ後は提供される時を待つのみ。

愛らしい笑顔を浮かべ、じゃが丸くん(プレーン)を揚げているじゃが丸くんの神(仮称)に声をかける。

 

「…勘違いであればすまぬが、其方は神なのか?」

「そうだよ!ボクは炉の神ヘスティア!キミは最近オラリオに来たのかな?見かけない顔だね。」

「(じゃが丸くんの神では無かったか)…そうだ、昨日オラリオに来たばかりだが、良き街であるな此処は…おっと失礼した、名乗られたならば此方も名乗り返すが礼儀であるな。私は小次郎と。」

「うん!小次郎君だね!…っと、ちょっと待ってね〜じゃが丸くんも揚がるみたいだ!…はい!じゃが丸くんお待ちどおさま!冷めないうちに食べるんだよ!」

「有難う、承知した。では神ヘスティアよ、また来る。」

「うん!また来てねー!」

 

(………ハッ!昨日来た子なら、ボクの眷属になってくれる可能性があったじゃないかー!!)

じゃが丸くんの神(自称炉の神)は千載一遇のチャンスを逃し絶望感に包まれていた。

そして追加で揚げていたじゃが丸くんは黒焦げになっていた。

 

 

近くの広場まで移動した小次郎はベンチに腰掛け、揚げたてのじゃが丸くんを食べる。

(昨晩食べたじゃが丸くんも美味であったが、揚げたてはより一層美味い)

じゃが丸くんを食べ終わった小次郎は、残った包み紙をどうするか悩んでいたが、目の前を歩く冒険者風の男が手丸められた紙くずを、広場の端に建てられていた籠の様な物に捨てていたのを見逃さなかった。

(なるほど、アレが俗に言うゴミ箱や屑籠なる物か…冬木で得た知識も実物を見るまでは、全く分からん。)

立ち上がり、ゴミ箱へ包み紙を捨てると再び散策に戻った。

様々な建造物を見ながら歩き続け、気が付くと辺りは夕焼けに包まれていた。

 

(そろそろ帰るか。…神ヘスティア、か。じゃが丸くんの売り子をしているのならば、タケミカヅチ神とも面識があるやもしれん…帰ったら聞いてみるとしよう)

 

そんな事を考えながら歩いていると、不意に声をかけられた。

「もし?ちと宜しいかな」

振り向くとそこには神ヘスティアにも勝るとも劣らない女神が立っていた。

「…なんだ?私に何か用か?」

「あるともあるとも、私はアメノハヅチノミコト。小さいが眷属達と服屋を営んでいる。」

身長はおよそ162C、極東風の着物を着る黒髪が美しい女神。

名はアメノハヅチノミコト、服屋の神らしい。

 

「私の名は小次郎…。して、服屋の神が何用か」

「織物の神なんだがな…。まぁ良いそれで話しかけた理由だが、小次郎。お主が着ている服を見せて欲しい……いや少しの間貸してもらえぬだろうか?もちろん礼はするつもりだ。その衣装をもう二着作ってやろう。どうかな?」

「……この服が二着増えたらたしかに便利だろう。だが、そちらに益がある様にも思えぬ。何が狙いだ」

「そんなに見つめてくれるな、照れるじゃないか。……冗談は置いておくとして、まぁそうだな…私はこう見えて極東の地より参った神でな。極東の服なら数えきれぬ程見てきたし作ってきたつもりだ。似た形を作った事はあるが、その衣装と同じ形のモノは見た事がない。だから持ち帰って良く見てみたいのだ。」

どう見ても極東の神なのだが、服屋の神は小次郎に理由を述べる。

(…神々は下界の未知に目敏いと聞いたが、本当らしい。)

武神から下界に降りた神々は未知に目がないと聞いてはいたが、その興味、関心の方向性は神々によってバラバラである様子。

今回は小次郎の身に纏う服という未知に惹かれた女神がホイホイやってきたのだ。

 

どうしたものかと思案していた小次郎であったが、背後から知った気配が近づいてくるのを感じ振り向いた。

そこには何と…というかやはりタケミカヅチが立っていた。

「小次郎殿何をしているのだ?」

「…タケミカヅチ神よ、其方の知り合いに服屋の神はいるか?」

目の前の女神に、目線を戻しながらタケミカヅチに問う

「ん?あぁ、アメノハヅチノミコトか。彼女は神友だ。そして服屋の神だな。」

ハハハと笑いながら応える男神に目の前の女神は

「織物の神だと何度言えば…タケミカヅチ、お主小次郎とは知り合いか?」

「まぁな。ファミリアに所属してはいないが、近々使用してない道場を任せるつもりの客人だ。」

「なるほど居候か。だがお主が道場を任せるならば相当な手練れだな」

そして何かを思案する女神だったが、直ぐに顔を上げ

「…うん、場所を変えるとしよう。タケミカヅチ、小次郎、私の本拠へ来い。夕食を食べながら話の続きをしよう。」

「私はタケミカヅチ神に任せるとしよう」

「う〜む…」

タケミカヅチは少し考える様子を見せたが最終的に了承し、本拠に居る眷属達へ自神と居候の夕飯は大丈夫だと連絡をし神アメノハヅチノミコの住む本拠へと三人で移動するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り太陽は高く昇り、街も活気に溢れていた。

ある人間はダンジョンへ向かい、ある人間は冒険者達に弁当を売り、ある人間は道場に向かい、ある人間は人の目を避ける様に移動する。

何の変哲もない、いつも見ている景色。

だがソレは、余りにも自然に溶け込みすぎていた。

 

女神は、下界の子供達の魂の色を視る事ができる。

その男は、ダンジョンへは向かわずに歩いていた。

見慣れない顔だが、周りの子達より地味で目立たない魂の色。

女神は興味を持たなかった…いや、興味を持てなかった。

特に気になるものもないと、直ぐに別の方向を向く。

暫くあちこち眺めていたが、特に面白い事もなかった様で視線をまた移す。

偶然か、必然か、女神はもう一度男を視界に捉えた。

人混みの中をすり抜ける様に進む男。

女神は信じられないモノを視てしまう。

「う、そ…」

人間の魂の色は簡単には変わらない、変われない。

だが、その男は違っていた…

人混みから人混みへ移動する度に色が変わる。

目立たない色から別の目立たない色へ。

 

魂の色を視る事ができる女神にしか気づけなかった。下界の「未知」。

 

 

 

 

 

「ふふ、見つけた…」








自称炉の神と服屋の神(オリキャラ)に出会いました。
良い出会いになるといいなぁ!(どこかからかストーカーの様な視線を感じますが)

無職SAMURAI「次は小豆クリーム味を試してみるか」

自称炉の女神「小次郎君が、またじゃが丸くんを買いに来てくれた時は小豆クリーム味を食べてもらおう!」

金髪の人「小豆クリーム味、話題になってる、気がする。じゃが丸くん買いに行こう。」
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