剣に生きた人生をもう一度と願うのは間違っているだろうか 作:お刺身弁当
先に来ていた武神「採ったァッ!!」虫網ブンブンブン
森半壊
虚無顔武神「そんなぁ…」グニャア…
という訳で夏休みシーズンですね〜
皆様熱中症など、体調にはお気をつけくださいませ。
読んでくださり本当にありがとうございますm(__)m
ここはアメノハヅチノミコトファミリアの本拠「神御⾐館」
衣装貸し出しの件も特に面倒事にならないだろうと、最終的に了承する事となり女神アメノハヅチノミコトから代わりの衣装を受け取る。
代わりの衣装に着替えた小次郎は、中々着心地の良い服に満足していた。
「小次郎殿、中々似合ってるぞ。…と言っても極東の衣装なのだから当然か。」
代わりとして与えられた物は、勝色の小袖に薄墨色の肩衣と袴。
「…中々悪くない着心地だ、感謝する。女神アメノハヅチノミコトよ」
「私もコレが手に入って満足さ、早速調べるとしよう。…という訳でもう帰っていいぞ。」
「ここも相変わらず、か… 小次郎殿、こうなったアイツは梃子でも動かん。アメノウズメに服を作った時も似たような感じだったからな。夕食も馳走になった事だし、大人しく帰るとしよう」
「…そうするとしよう、あの衣装がもう二着増えるならこちらとしても助かる。」
小次郎とタケミカヅチはゆったり立ち上がるとそのままアメノハヅチノミコトファミリアの本拠を後にした。
女神は帰っていく客人を一瞥する事も無く、小次郎から貸し与えられた服を眺め続けていた。
そして2週間程が経過した。
タケミカヅチから文字の読み書きを習い、晴れて異世界人から一般市民にクラスアップを果たした。
クラスアップを果たした小次郎は、無事アルバイト先も確保し本当の意味で異世界の暮らしをスタートさせるのであった。
そしてアルバイト初日。
未だ門下生のいない道場で修行、道場内の清掃を終わらせた小次郎はアルバイト先である出店を訪れていた。
「初めまして!今日からキミの先輩…って小次郎君じゃないか!新入りの子って小次郎君だったんだね!」
「あぁ…女神ヘスティア。よろしく頼む。」
そう、じゃが丸くん販売のアルバイトだ。
「おっけい任せな!今日はボクの接客を見ててよ!」
後輩が出来た嬉しさで、先輩風をこれでもかと吹かせるじゃが丸先輩は初めて会った時に比べ、3割増しのテンションだった。
しかしそんなテンションが最後まで続く訳もなく、6時間ほど経過した頃じゃが丸先輩は干からびていた。
そりゃあそうだろう、揚げて提供するだけとは言え人当たりの良いヘスティアは小次郎にもハイテンション、お客さんにもハイテンション、揚げる作業はオーバーアクション気味。干からびてしまうのも無理はない。
「女神ヘスティアよ、大丈夫か」
「ハハハ、大丈夫ニ決マッテルジャナイカ!小次郎君、アト少シ、ガンバ…ロー…」
「……………」
無事干物になってしまったじゃが丸先輩は影で休ませる事にした。
小次郎は女神の側に愛刀を立てかけると一人接客を始めるのだった。
「すみません、」
「…いらっしゃい、何を「じゃが丸くん小豆クリーム味、1つください。クリーム多め、小豆マシマシで。」…」
小次郎初のお客さんは、金髪が美しい少女。
表情は薄く、感情はあまり読み取れない。
腰に佩く細身の剣は随分使い込んだ印象を覚える。おそらく予備か、更に予備の武器であろう。
(予備であれ、剣士を名乗る者が持ち歩く状態のモノではないな。まるで落ちる寸前の椿の様。その首落ちるのも時間の問題…それが命取りにならねば良いが)
「…小豆クリーム味、クリーム多め、小豆マシマシ…承知した」
注文を聞き、代金を受け取るとじゃが丸くんを準備する。
しっかりトッピングまで注文をするこの少女は常連なのだろう。
「あの…」
表情の薄い少女が何か聞きたい様子でこちらを見ている。
「……私に、何か用か」
「見たことない顔、誰?」
「…小次郎と。最近オラリオに流れ着いてな、ここで働かせて貰っている。」
「私はアイズ、アイズ・ヴァレンシュタイン。コジロー…さんのですか?あの刀…」
後ろで干からびた女神の側に立てかけてある刀(長刀)に目線を飛ばしながら問いかける。
何か微妙に名前を間違えている気がするが、特に気にせず会話を続ける。
「………150C余りの、物干し竿。私の愛刀だ。(テーレーレー)」
一瞬変な音楽(bgm)が聞こえた気がするだろうが気のせいだ。
「あんなに長い剣、使う人初めて見た。」
「そうであろうな。私は…む、どうやらじゃが丸くんが出来上がった様だ。…お待たせした。続きはまたの機会に、お帰りを。」
「は、はい。また今度、続きを聞かせてください。」
表情の薄い少女を目で見送り、どんどん客を捌いていく。
後日、その寡黙さと謎めいた美しい容姿からじゃが丸界隈でミステリアス侍、幻の美剣士などと呼ばれる事になるが、本人には届かないので知らぬ事。
バイト剣士本人としては、銭を受け取る以上適当な仕事はしないだけなのだが。
ある程度落ち着いたところでヘスティアに声かける事にし、側に立てかけていた物干し竿を除ける。
「女神ヘスティア、そろそろ時間だぞ。」
「んん…?……ハッ!私は何を…⁉︎」
「1時間程前に干からびていたのでな、そこで寝かせていた。眠る女神に手を出す不心得者は現れなかった故、安心すると良い」
「そうなんだ…小次郎君キミは優しい子だね!だけどごめんね。お客さんずっと任せちゃった。」
タハハ…と女神は笑っているが、少々元気がない。
「女神ヘスティア、気にする事は無い。私にも理解できる様に、あれ程大袈裟に動いてくれていたのであろう。なれば私も、女神ヘスティアの為に行動したまで」
「うん。ありがとう、小次郎君」
復帰したヘスティアと二人で接客をし、本日最後のお客さんを小次郎が対応する。
小次郎が対応している間に締めの作業をヘスティアが済ませており、無事剣士はアルバイト初日を終えるのだった。
「小次郎君、今日はお疲れ様。気をつけて帰るんだよ」
「無論、分かっているとも…だがそれは女神ヘスティアにも言える事。…では、先に失礼する」
「うん!またよろしくねー!」
売れ残りのじゃが丸くん(小豆クリーム味)1つと本日の給料を貰った小次郎は、いつかの広場へ向かいじゃが丸くんを食べる。
(……不味くはないが、美味でもないな。プレーンの方が私好みだ。)
完食した小次郎は、ゴミ箱に包み紙を捨てると歩き出す。
小次郎は本拠へ帰る前に銭湯へ立ち寄り、汗などを綺麗に流し心地よい夜風を浴びながら本拠の客間へ戻った。
「これは、女神アメノハヅチノミコトが来ていたのか」
客間には、衣桁にかけられた見覚えのある衣装と共に置いてあり手紙を手に取る。
手紙には、衣装を貸してくれた事への感謝と二着の衣装作成にかかる期間(およそ1ヶ月半〜2ヶ月程)、完成したらまたタケミカヅチファミリアに持っていく事などが丁寧に書き綴ってあり、思っていたよりは女神らしいなと、本人が聞けば憤慨モノな事を考えつつ感謝した小次郎であった。
特にストーリー的に進む事は無かったので薄味ですね…もう少し内容を濃くできる様に頑張りたい。
ついに小次郎は無職じゃなくなりました。
最初はデメテルファミリアで、茶摘みの仕事でもさせようかなって思ったんですけど、都市郊外に茶畑を作るなら道場との行き来が難しいのかな…って思ったので没になりました。