どうも、弱音御前です。
当方の体調はともかく、新作は楽しくいきましょう! ということで今回はメンタル入れ替わりのお話、第2回になります。
唐突のハプニングでメンタルが入れ替わってしまった41とアルケミスト。
ひとまず2人を基地に連れ帰り、指揮官に事の次第を報告したところから続きは始まります。
それでは、今週もごゆっくりとどうぞ~
グリフィン基地 執務室
「とまぁ、これが大まかないきさつ。詳細は後で報告書にちゃんと書くから」
「ふぅむ、なるほどねぇ・・・」
およそ、45が言う事である。IOP製と鉄血製の人形のメンタルが入れ替わるなどという話は、また面白がってからかっているだけだと一蹴するのが得策だと言える。
しかし、45の背後に控える、やたらとしおらしい様子のアルケミストの姿を実際に目の当たりにすれば、そんな荒唐無稽な話も信じざるを得ない。
「ごめんなさい、ご主人様。ご迷惑をかけてしまって」
「いや、キミが謝ることないよ。これは事故みたいなものなんだからね」
アルケミストがどんな性格なのかは、指揮官も戦術人形達の記録を見てよく知っている。
ペコリと頭を下げているアルケミストなんて、グリフィン基地の誰もが驚愕する光景に違いないだろう。
「その体になってから、辛かったり異常なことはないかな?」
デスクから立ち上がり、アルケミスト・イン、41に歩み寄る。
「はい。ちょっとバランスがとりづらくて大変ですけど、辛かったりはしないです。えへへ、
ご主人様はいつでも優しいですぅ」
言って、無邪気に笑うアルケミストの表情を至近距離で見てしまったのがいけなかった。
「ぅ・・・うん、それはどうもね」
大人びた美貌の女性が無邪気に微笑む。健全な男性である指揮官にとって、この仕草がどれだけの殺傷能力を生み出すことか。
動揺を悟られないよう、さりげなく、でも確実に41から視線を外す。
「・・・・・・」
そうして、視線を外したその先に待ち受けるのは副官45の冷たい眼差し。指揮官が何を思っているかなど、とっくのとうにお見通しだ。
逃げたその先で追い込まれるなど、戦略を組み立てるべき立場の人間として失格である。
「ま、まぁ、ここで話をしていてもしょうがないからね。アルケミストが入っている41は留置室かな? そっちからも話を聞いてみようじゃないか」
強引に話を切り替え、率先して執務室の入口へと歩み進む。
後ろは振り向かない。45からの視線は、背中にグサグサと痛いほどに感じている。
今はただ、彼女たちの指揮官として堂々と廊下を進むのみだ。
「あ、指揮官。41ちゃんの件、信じてくれた?」
執務室から出ると、廊下で待機していた9が心配そうな様子で問いかけてくる。
41と特に仲の良い9の事だ、今回、41の身に起きたトラブルに関しては気がかりで仕方ない様子である。
「もちろんだよ。診断室で41のメンタル信号なのを確認しているし、なによりも、あの雰囲気はどこからどう見ても41だし」
「はぁ~、良かったぁ。さっすが指揮官、見る目があるね!」
飛び跳ねんばかりの勢いで喜びつつ、9も45と41に混じり指揮官に続く。
アルケミストを拘留している部屋は同じフロアだが、棟の反対側に位置しているので、それなりの距離を進まなくてはならない。
お昼を過ぎ、今のグリフィン基地はお仕事真っ盛りの時間である。
そうなれば、当然、行く先ですれ違う方々も居るわけで。
「うわぁ! 41ちゃん、本当にアルケミストの素体に入ってるんだね!」
「私、アルケミストをこんな近くで見たことなかったんだけど、思ってたよりもデカいね」
「ヤツには何度も痛い目に遭わされたけど・・・41ちゃんが入っちゃってるのなら、邪険にはできないな」
グリフィン基地の中を闊歩する鉄血エリート、というのはそれはもう注目の的だ。
ただ、指揮官が事前に連絡網でこの件を伝えていたという事もあり、大騒ぎしたりいきなり襲い掛かったり、という者は出てこない。
みな、気にはなりつつも遠目に見守る、くらいのものである。
当の41も、そんな周囲の目を気にしている様子はさほど無く、むしろ。
「41、胸を触りながら歩くんじゃないの。はしたないわよ」
「ふゎい! ご、ゴメンなさい。どうしても気になってしまって」
全く別になってしまった自分の身体の方が、やはり気がかりなようである。
「こんなにお胸が大きいと、足元が見えなくて怖いですぅ。DSRさんや95式さんはどうやって足元を確認しているのでしょうか?」
「そんなの知らないわよ。本人に聞いてみりゃあいいじゃない」
「そうだよね。持たざる者には分からない悩み、ってやつだもんね」
「・・・9、アンタさっきからやけに絡んでくると思ったら、昨日、私が残りのケーキ食べたの
まだ気にしてんの?」
「し~らない」
指揮官にはいかんともしがたい女子トークを背後に、着々と歩を進める事、数分。基地内の拘留室へ到着する。
入口の認証端末でIDカードと生体認証を済ませ、室内へと進む。
拘留室と聞けば、格子で囲われた殺風景な部屋を想像するかもしれないが、ここの拘留室は一般的なそれとは装丁が異なる。
綺麗なシーツが敷かれたベッドはもちろん、ちょっとした書き物が出来るようなデスクに、シャワールーム。床にはカーペットまで敷かれ、窓の代わりに、外の風景映像を流せる巨大なディスプレイが壁に掛けられている。
ちょっとしたビジネスホテルの一室のようなこの拘留室には、グリフィンの人形に対しての考えが如実に表れている。
自分たちに害を成す相手を閉じ込めておく場所なのだから、ここまで充実した環境を整える必要など本来はないはずだ。
それでも、IOP製、鉄血製を問わずに、人と同じ扱いを提供するグリフィンの考えに指揮官は好感を持っている。
だからこそ、指揮官は昼夜を問わず指揮に駆り出されても、副官45を代表とする一部の人形達に精神的肉体的なイタズラを受けたとしても、投げ出さずに職務を全うしているのである。
アルケミストが拘留されている扉の前に立つ。
この部屋の中で、アルケミストを錠で繋いでいるという事は無い。万が一、扉を開けた瞬間に襲い掛かってこられても良いように、指揮官はいつでも銃を抜けるように気構えを。45達は、すぐに相手を取り押さえられるように立ち位置を正す。
「当グリフィン基地の指揮官だ。失礼するよ」
ノックを交えて言葉をかけるが、返答は無い。
律儀に答えを返してくれるような相手ではあるまい。返答を待たずに扉を開ける。
(姿が見当たらない・・・か)
綺麗に整ったままの室内には人影も見えなければ、気配すらも感じられない。
アルケミストがこの部屋に拘留されていたのは間違いない。かといって、そう易々と脱走を許すほどグリフィンのセキュリティは甘くはない。
そうなれば、導き出される答えは簡単なもので。
「指揮官!」
「っ!?」
45の声が聞こえるよりも一瞬だけ早く、ベッド下から飛びかかってきた小さな影を視界に捉えた。
刹那の見切りで身体を逸らし、急襲をかわす。
同時に、飛び掛かってきた影を空中でキャッチした。
「クソっ! 人間風情が気安く私を抱えるなぁ!」
指揮官に捕まり、喚き散らしながらバタバタと暴れるアルケミスト・イン・41。
普段の彼女ならば、持ち前のパワーとスピードで指揮官を蹴散らしているところだろうが、今の身体ではそうはいかない。
「ほら、大人しくしてくれ。話をしに来ただけなんだからさ」
「こちらには話すことなど何もない! すぐに貴様の首を搔っ切ってやる!」
まるで、猛獣の子供でも捕まえているようなもので、このままでは事情聴取すらもままならない状況である。
「仕方ないな。9、彼女を呼んでくれるかな」
「は~い。スパス、出番だって~」
スパス、という名が届いて大きな獣耳がピクリと動いた。
こういう細かい反応はそのままなんだな、と密かに感心する指揮官。
「おい、スパスって、まさか・・・」
「察しが良いね。そう、キミをここまで捕まえていた娘の事だよ」
聞いて、アルケミストの顔が一気に青ざめる。
無論、アルケミストがこういう反応をするだろうと見越して、指揮官はスパスを傍に待機させていたのである。
「お待たせ~、指揮官さん」
「待て待て! 貴様、話をするだけだと言っただろう!」
「そうだよ。でも、キミが大人しくしないから、彼女に抑えておいてもらおうかと思ってね」
「また41ちゃんを掴めていればいいのかな?」
ニコニコ笑顔のスパスが近づいてくる。
それとは正反対に、アルケミストは戦慄の表情を浮かべ、さっきまで以上に指揮官の手から逃れようと慌てふためく。
一体、アルケミストがどれだけ怖い目に遭ったのか、それは指揮官には知り及ばぬことである。
「わかった、大人しくする! するから、その怪力肉人形を近づけないでくれ!」
「か、怪力肉人形って・・・ヒドイよぉ~」
日夜、体型を気にしているスパスにとっては余程ショックな呼び方だったのだろう、先ほどまでの青空のような笑顔は一変して曇天である。
「まぁまぁ、そんな気を落とさないで。おいしいモノでも食べて気分転換なさい」
「うぅ・・・うん、そうするよ」
45に慰められ、スパスの出番はそれで終わり。
これでようやく、話し合いの席が整ったことになる。
「このまま話をするつもりか? さっさと降ろしてくれ」
「そうだね。じゃあ、そこに」
アルケミストの身体をベッドに降ろすと、彼女はそのまま大人しく座ってくれる。
まがりなりにも鉄血エリートである。油断させておいて再度襲い掛かってくる可能性も十分にあったが、それは杞憂だったようだ。
「まず、キミに危害を加えるつもりは無いという事を伝えておく。この場で大人しくしている限りは身の安全を保障するよ」
「ふん、敵に対して随分とお優しいものだな。危害を加える以外で私をここに置いておく理由が何かあるのか?」
腕を組み、鋭い目つきで睨みつけてくるアルケミスト。容姿は可愛らしい41のものであるが、迫力は十分である。
無論、こんな威圧に負けるようではグリフィンの指揮官は務まらない。
アルケミストの言葉にリアクションを見せず、指揮官は話を続ける。
「グリフィンとしては、入れ替わってしまったキミと41のメンタルを元に戻したいと考えている。どうやら、IOPと鉄血の戦術人形のメンタルが入れ替わるっていうのは相当なレアケースみたいでね。うちの技術者も、まずは状況の把握から進めているところなんだ。キミとしても、もとの身体に戻れるのならそれに越したことはないはずだ。協力をお願いできないかな?」
「なぜ元に戻したい? 私達戦術人形は使い捨てだ。メンタルのバックアップくらいとっているのだろうに」
「これは俺自身の我儘だよ。どんな理由であろうと、部下はロストさせたくない」
「人間お得意の精神論か? はぐらかそうとしても無駄だよ。私達を戻したい理由は分かっている。ここに入っているデータを取り出すためだろう?」
自分の頭をつつきながら、アルケミストは普段の彼女が見せる得意な笑みを浮かべる。
「このチビが私達の拠点から盗み出したデータが、素体のメモリに記録されている。しかし、今のこの状況ではそのデータを引き出すことができない。素体とメンタルの整合性が取れないと、素体に記録されたデータにアクセスできないようセキュリティがかけられているせいだ」
アルケミストが言っていることは正しい。
まさか、彼女がそこまで知っている事には正直驚いた指揮官だが、あくまでも平静を装う。
こうして会話での主導権を握り、優位性を取ろうというのがアルケミストの狙いなのだろう。
「つまり、今の私はお前たちにとってVIPも同然という事だな。もっと広くて、ベッドも大きい部屋に移すというのなら、協力を考えてやってもいい。それと、お前達の所の黒髪の狙撃手、
ワルサーとかいう名だったか? ヤツを私の世話役に付けろ。存分に可愛がってやる」
「この、下手に出てれば調子に乗りやがって」
これまでは傍観に徹していた45だったが、アルケミストの口ぶりを聞いてついに我慢の限界に達する。
そもそも、45は口よりも先に手が出るような性格の娘なので、これでも割と我慢出来た方だなと指揮官は思う。
「気にしないで、大人しくしててくれ」
拗ねたような表情を浮かべながらも、45は指揮官の制止に従ってくれる。
ただ、むこう半日くらいはご機嫌斜め状態が続くので、そのとばっちりは指揮官へとまわってくることだろう。
「おやおや、戦場では狂犬なその娘も、人間の前では随分と可愛げがあるじゃないか。もしかして、その人間が誓約とかいうままごとの相手・・・おい、お前! さりげなく私の乳を揉みしだくんじゃない!」
「ふゃあ!? ご、ごめんなさい。どうしても気になって、つい」
落ち着き払っていた様子のアルケミストが、ここで突如として牙を剥く。
確かに、自分本来の身体を好き勝手されては良い気分はしないのだろうなぁ、などと、呑気な事をつい考えてしまう指揮官。
「気になるとはどういう意味だ! 私の身体に傷ひとつつけようものなら、お前を細切れにしてやるから、せいぜい気を付ける事だな」
「は、はい、気を付けますぅ。・・・えと、この身体、足元がよく見えなくてとても歩きづらくて。あなたはいつもどうやって歩いているのですか?」
「はあ? そんなの、見えなくなる前に足元を把握して、それに合わせて動くようにすればいいだけの話だろう。・・・・・・なるほど、確かに。すぐ足元が見えるというのはなかなか不思議なものだな」
「これは、持たざる者には分からない話ってやつだね、45姉」
「んもぅ、分かったわよ! 私が食べちゃった分は買いなおしてあげるから! もうわざわざ私に話を振るのはやめてちょうだい」
「やったぁ~。約束だよ」
いつの間にか、雰囲気台無しな女子トークに溢れてしまう拘留室。
そんな中に男一人、居心地の悪さを感じてしまう指揮官だが、これも女所帯の基地ではよくある事。もう、慣れたものである。
「こほん。少し話がズレちゃったけど。ここ以上に良い部屋をあてがう事はできないし、ワルサーをキミに付けることもできない。安全の保障、というのがキミに提供できる優位条件だ」
「ならば、交渉決裂だな。出直してきてくれたまえ」
話を戻すも、やはりアルケミストは強気な姿勢を崩さない。
指揮官が欲しい情報を自分が握っている。その優位性を完全に理解しているようだ。
素直に協力してくれるという可能性に賭けたかったが、相手は鉄血エリートの中でも特に冷酷で狡猾な人形である。
さすがの指揮官も、もうなりふり構っている場合ではないようだ。
「そうか。そういうことなら仕方ないな。3人とも、少しの間そとに出ていてもらっていいかな」
「ふえ? でも、アルケミストさんと2人きりだと、ご主人様が危険ですよ?」
「そうだよ。いくら41ちゃんの身体とはいえ、指揮官だけじゃあ」
「いいのよ、指揮官がそう言うのだから大人しく従いましょう。ほら、部屋から出た出た」
指揮官の思惑を汲んでくれた45が2人の背中を押して部屋から出ていく。
去り際、45とアイコンタクトだけ交わし、室内には指揮官とアルケミストだけが取り残される。
「拘束もされていない私と1対1などと、正気か? さっきは不覚をとったが、この私に2度の
失敗は無いぞ」
部屋に入った際の急襲で、アルケミストは指揮官の反応速度を把握している。
今度は、確実にそれを上回る速度で仕掛けてくるだろう。
ベッドに座っているアルケミストと、その正面に立つ指揮官。2人の距離は二歩分も無い。
まっとうにやりあえば、命の危険性すらあるという事は指揮官にも分かっている。
・・・まっとうにやりあえば、の話であるが。
「キミにとって、あの娘達は危険な存在だろう? こうした方がキミも落ち着いて話ができるかと」
指揮官が話をしている最中の隙をついて、アルケミストが指揮官に飛び掛かる。
バネで弾かれたような勢いで指揮官の首を掴みにかかる、そのタイミングも狙いも完璧。
人間の子供ほどの小さな手ではあるが、戦術人形の握力は人間のそれを遥かに凌駕する。
(もらった! 死ね、グリフィンの指揮官!)
両手の指が皮膚と肉を貫き、脊椎を粉砕する。まるで、壊れた水道管から噴き出したかのような大量の血潮を全身に浴び、アルケミストは41の幼く愛くるしい顔に下卑た笑みを張り付ける。
・・・なんていうことにはもちろんならない。
アルケミストが指揮官に飛び掛かり、首を掴んだ両手に力を籠めるよりも数舜速く、指揮官は
アルケミストの頭に生えている獣耳を掴んだのだ。
壊れ物を扱うかのように柔らかく。赤子に触れるかのように優しく。
「っ!!? はふゃあぁ~~~~~?」
アルケミスト自身、今までに出した事の無い声と共に全身の力が一気に抜けてしまう。
首を掴んでいた手も離れ、指揮官に抱っこされる状態のアルケミスト。
そこに、追い打ちとばかりに指揮官は更にアルケミストの耳をさわさわとしはじめる。
「ひ! ひゃめろぉぉ! き、きひゃま! にゃにをしるんだぁ~!?」
むず痒いというかこそばゆいというか、今まで感じた事のない至上の感覚に襲われ、完全に
パニック状態のアルケミストは呂律も回らなくなっている。
「ここ気持ちいいでしょ? ・・・ここなんかはどうかな?」
耳の先端から根本へと、指を這わせるように降ろしていく。
それに応じ、全身を苛む感触も右肩上がりの急上昇。
「しょれ、りゃめぇぇ~~~~!」
「まぁ、41の素体だから。感覚なんかもほとんどそのままなんだろうけど・・・」
普段、41が特に好むポイントを指揮官は撫でているだけなのだが、どうやら、慣れない者がその感覚を味わうと大変な事になってしまうらしい。
そこまでするつもりはなかったのだが、これでは、見ようによっては拷問みたいな様子になっている。
「どうかな? こっちに協力する気になってくれた?」
さすがにいたたまれなくなって、耳をさわさわしていた手を止める指揮官。
完全にトロけきっていたが、まだ冷静な思考は残していたのだろう。アルケミストはその隙を逃さず、半ば転げるようにして指揮官の身体から飛び退いた。
「っと、まだ意地を張り続けるつもりかな?」
「はぁ・・・はぁ・・・と、当然だ。この程度で屈すりゅ私だと思うにゃよ!」
まだ余韻が残っているせいか、アルケミストは呂律が回っていない様子。
しかし、すでに態勢は立て直しているし、もう捕まるまいとこの距離は何が何でもキープするだろう。
今日はここが引き際。指揮官はそう判断を下す。
「それなら、キミの気が変わるまで気長に待つとするよ」
「何度来ても同じことだ! いつか寝首をかかれないよう、せいぜい用心しておけ!」
ここまで嫌われるといっそ清々しいもので、そんなアルケミストの捨て台詞を背中に受けながら指揮官は拘留室を後にする。
「どうだった? あの猛獣を上手くて手懐けられたのかしら?」
「ダメだった。流石は鉄血エリート。メンタルも頑強だよ」
外で待っていた45達と合流し、拘留エリアから退出する。
「マジ? 私がアレをやられたって仮定したら、耐えられる自信は無いのになぁ」
「うん、私もたぶん即オチ確定だろうなって思う」
45と9は、指揮官がアルケミストに何をしたのか分かっている様子。
普段から41と仲が良く、指揮官にナデナデされている姿をよく見ているから予想がついているのである。
「2人とも、ご主人様がアルケミストさんに何をしたか分かるのですか?」
それが分かっていないのは当の本人だけ。41は指揮官に撫でられている時の自分がどんななのか知らないのだ。
「もちろん。それはそれは酷い事よ。私ですらも怖くなっちゃうくらいにね」
「こらこら、41を脅かすんじゃないの。前にも言った通り、鉄血の人形であっても危害を加えることはしないから、安心して」
言って、41の頭に手を伸ばし、撫でてあげる。
自分よりもやや背の高い相手の頭を撫でるというのは慣れないものだ。
「そうなると、41はしばらくこのままってことか。大丈夫? 我慢できる?」
「私は問題ないのですが・・・周りからの視線が気になってしまって、少し生活しづらいのが困りものですぅ」
「そうだよね。そんなにオッパイ大きいんだもの、特に45姉なんか」
言いかけて、45の鋭い視線に気づいた9が口を塞ぐ。
その件の話は45にとって根深いものであり、指揮官がヘタにフォローを入れようものなら流れ弾を浴びかねないので、ここもスルーしておく方向でひとつ。
「基地の娘達には通達はしておいたけど、どうしても気になってしまうのは仕方ない事だ。なので、一応の対処は考えておいた。41はこれから3階のミーティング室へ行ってくれ。2人は41に付き添ってあげて、送り届けたら業務に戻る事」
「ミーティング室で何をさせるつもりなの? ってか、指揮官はどこに行くのよ?」
「この件の対策会議を有識者とする予定。だから、ここで一旦お別れだ」
有識者、という言葉だけで相手が誰か分かったのだろう、45が渋い表情を浮かべている。
指揮官としても、その相手はやや苦手な部類に入る相手だが、今回は大切な部下の存続に関わる一大事である。
我儘言ってる場合じゃない、と心の中で気合を入れ直し、指揮官は45達と別れ、1人、会議の場へと向かうのであった。
当方がお話を書く際、難しいなと感じているのが、本来のキャラ性格とは180度反対の性格を表現する時、というのが挙げられます。
特に、原作の下に成り立つ二次創作なんかは、元のキャラ性格が根付いてしまっているので尚更、こういう事をすると違和感がハンパないですよね。
今回、全く正反対の性格になってしまった41とアルケミストの雰囲気が当方の表現力で少しでも伝わってくれていたら幸いに思います。
次週も続きを投稿する予定ですので、お暇を見て足を運んでやってくださいな。
以上、弱音御前でした~