ソード・ダンジョン・ワールド2.5   作:魔剣(槍)ちゃん

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ダブクロ、D&D、CoCのダンまちオリ主は見覚えがあるんで、オイラはソード・ワールド2.5でやらせてもらうぜ!



原作前
ようこそオラリオへ


──その街はまるで牢獄のようだった。

 

このような形容では確実にいらぬ誤解が生じるだろうから付け加えて言わせてもらえば、何かを悪しきものを逃がさないがために建設された……ような雰囲気がする。

成り立ちとしては『奈落の壁』のそれにかなり近いのかもしれない。

邪悪に抗するための策が『封をする』なのは、どの世界でもありふれているようだった。

 

 

僭越ながら物語の幕を上げる前にオーソドックスな自己紹介から始めさせてもらおう。

 

僕の名前は『フロム・ヘル』。辺境の村の出のほとんど一般人な男の子だ。

好きな食べ物はリンゴ。苦手な生き物はヘビ。

 

そしてこの明らかにろくでもないネーミングにはそんなに深くない理由がある。

いや、本当に深くないのだ。その場のノリで昼食を決めたレベルで深くない。

僕の両親がアレなネーミングセンスをお持ちだったとかではない。アライメント善・秩序の二人が不吉を呼びそうな名前にするはずがないのだ。

 

では何故なのか?それは僕が転生者だからだ。

死因だの前世だのを詳らかに千夜一夜と語り明かしたとしても、今生の僕には一部を除いて何ら関係性がないので詳細は割愛させてもらう。

 

今の僕を語る上で重要になる前世のことは二つだけ。

一つ、僕が結構なTRPG好きだったこと。

二つ、ソード・ワールドというTRPGのシステムが特にお気に入りだったこと。

 

察しのいい人ならもうお気づきだろう。

僕はソード・ワールドで作成した自分のキャラクターとなって転生してしまっていた。

 

3〜5歳だったか、前世の記憶を取り戻した僕はそれはもう心が踊った。

ここはソード・ワールドの『剣の世界(ラクシア)』ではなさそうだったが、ラクシアに勝るとも劣らない未知と浪漫が溢れていた。

 

毎日が楽しくて楽しくて仕方なかったのだが、記憶を取り戻して一年、僕は冷や汗を流す。

きっかけは(恐らく)自分が考えないように記憶の底に埋め込んだ『フロム・ヘル』の経歴を、ひょんなことから掘り起こしてしまったからである。

 

卓──TRPGをする集まりによって決め方は千差万別だが、我が卓はソード・ワールドで自分が使うキャラクターの生い立ちを決める際、ルールブックに書いてある経歴表と冒険に出た理由表でダイスを転がし、出た目に対応する経歴を加味して設定を練るルールがあった。

 

そして賽を投げて出たものが以下の通りとなる。

 

 

・予知夢を見た

・自分にそっくりな人物を知っている

・伴侶がいる(いた)

・予言によって

 

 

駆け出し冒険者に伴侶がいる/いたのは何だかなぁと思った当時の僕は、『予知夢によって未来の自分と伴侶の姿を視せられ、叶えたいなら冒険しろと唆されて、15歳の誕生日に冒険へと駆け出した』ということにしてしまった。

 

……わざわざこうして語るということはそういうことだ。

その設定の通り、僕は15歳の誕生日に予知夢を視てしまった。

キャラを練った時点で予知夢を視るのは自分一人で、自発的に冒険に出たはずなのだが、あろうことか僕の暮らす村全員に僕の未来予想図が頒布された結果、「幸せになってこい!!」と半ば追い出しに近い形で冒険に駆け出す羽目になったのだ。

……地獄への道は善意で舗装されている。

 

 

そうして僕は村民全員の満場一致で選ばれた冒険先である迷宮都市オラリオにやってきていた。

冒険するためにはまずファミリア──神様の恩恵(ファルナ)を受けた者たちの団に入団しなければならない。

 

「とはいえなぁ」

 

改めて自分の格好を見てみる。

擦り切れたボロ外套に使い古したレザーアーマー、背中に長槍二本、そして150Cにも満たないこの小ささ。

自分が人事だったら書類選考の時点で落とすだろう。

初心者かつ身長低めで長物二本は初見で受け入れられるスタイルではない。

 

「……おや?」

 

大通りから奥まった路地裏の方へと背中を曲げて消えていく少女の後ろ姿が目に留まる。

一瞬見えたしわしわ電気鼠みたいな顔をしていたのもそうだが、それ以上に他の人間にはないオーラがその少女を取り巻いているのが気になった。

 

「いや、やめておこう」

 

その場のノリで一歩踏み出そうとした足を止める。

前世を思い出してからというもの、冒険したい!衝動が抑えきれなくなっている。特に冒険も感動もない植物のような平穏な生活だった前世の反動からだろうか?

 

だが、勇気と無謀を履き違えてはならない。

そもこの時点で然る方と分かっているなら触れぬが吉。

万が一因縁を付けられたら今の僕では太刀打ちできない。

くるりと背中を向け、他のファミリアの本拠地見物でもしようと大通りを引き返そうとした。

 

「ちょっと、そこのあなた」

 

失念していた。

深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいていることを。

錆びたブリキのように首だけ動かせば、自分のすぐ背後に然る方は接近しているではないか。

しかも逃げ出さないようにローブの端っこをしっかりと握って。

 

「な、なんでしょう?」

「見た?見たよね?」

「……見ました」

 

観念して小さく両手を挙げると少女はパッとローブを手放してくれたので、改めて彼女に向き直る。

夜みたいに真っ黒な髪とこちらに向くのは光瞬く藍色の瞳。

なるほど、存在としての在り方が明らかに人間のそれと違う。

 

「そっか。分かるんだね、君は」

 

暫定『神』は、僕の手を取った。

華奢で、か細く、美しい手だった。

 

「ここに降臨してはや一年……君のような眷属()を待ってたんだ」

 

おかしいおかしいルビがおかしい。まだ契約もしていないのに。

これを振りほどいて逃げることだってできるが、僕はそうしなかった。

 

「私はニュクス。世界の(マイナス)を司る女神。どうか君、名も知らぬ君、出会い頭に頼むのは作法がなってないと思うが──私の眷属になってくれないか?」

 

だって、その笑顔はあんまりにも疲れていて、今にも泣き出してしまいそうだったから。

 

 




見切り発車。
続きはそのうち。

使用ルルブは2.5のⅠ、Ⅱ、Ⅲとメイガスアーツです。
そのうち増えるかも。

今生での伴侶の種族は──

  • ヒューマン
  • エルフ
  • 小人族
  • 獣人
  • 魔物……!?
  • 神……!?
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