ソード・ダンジョン・ワールド2.5   作:魔剣(槍)ちゃん

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パーティ、全員違う種族にしたい。



願望/仕込

「今の時点で10層はキツいよ」

 

ミューズが「頼む!このとーり!」と渡し、セレナーデが一旦持ち帰った依頼書。

内容はlv.1の中でも上澄みの冒険者が踏み入れる迷宮10層。そこに生える枯れ大木の採取である。

10層以後は迷宮内部に大きく地形効果が発生する。枯れ大木もその一つだ。

 

セレナーデのギター製作を担当したクラフトマン──本日もダンジョンで仲間の食い扶持を稼いでいるようだが──曰く、迷宮(ダンジョン)産の素材を存分に扱えれば今まで誰も想像しなかった()()()()()()()が作れるかもしれないとのこと。

そもそも一般の吟遊詩人は戦うための力など楽器には求めていないため、実質セレナーデのための得物と言っても過言ではない。

 

「やはり難しいでしょうか」

「行けないことはないけど、無事に帰還できるかは怪しい。納品するために運ばなきゃいけないんだろう?」

 

今の基礎アビリティ習熟度はどちらもI止まり。それ以上を要求する10階層、そして草などの比にならないほど巨大な木の伐採(さいしゅ)

骨が折れるどころか命を取りこぼす可能性が高い。人を助けようとして自分たちが死んでいたのでは世話がないのだ。

そこまで一般的にアドバイザーがするだろう見解を告げ、「だけど」とフロムは言葉を続けた。

 

「そう遠くないうちに、できるようになるさ」

「それ、新しく生えたスキルをアテにしてるわけじゃないよね?」

「ギクッ」

 

ベッドの端に縮こまり極太の本に目を落としていたニュクスが恨めしげに眷属へと視線を送る。慌てて繕おうとする彼の様子に女神は大きく嘆息した。

フロムは奈落の盾神イーヴの神託を受けた後、すぐにニュクスへステイタスを更新するようお願いした。

またスキルが増えたのか?まあ、いつものことだけど。

流しながらもフロムの背中に神血(イコル)を垂らし、更新すればあら不思議。ニュクスを象徴する碑文が記された黒塗りの門の文様に重なるように大盾の紋章が刻まれ、いつもの如くスキルが発現した。

 

『子どもも育んだのにフロム君が他神にNTRれた!私にそんな趣味はないのにぃ!』

 

間違っていないが多大な注釈が付随する言葉を吐き出し続けるニュクスを何とかなだめることができたは良いものの、未だ彼女はそのスキルに対しては良い印象を持っていなかった。

むしろ嫌悪してると言ってもいい。

 

「あのね、フロム君、セレナーデ君。君たちが強くなろうとすること、私は否定しない。むしろ歓迎するよ。可能な限り早く階段を駆け上がって欲しいと思ってる」

 

神は顔に憂色を浮かべる。

彼女は孤独を経験した。神生の中でそれは一瞬にさえ満たない僅かな──されど永き時間。誰に見向きもされず過ごした後悔と涙の刹那。

それを開け放ち、手を取ってくれた彼がいてこそ、女神の時はようやく歯車を回し、輝きを始めることができたのだ。

それを失うことが──想像することさえ──今の彼女のとってただ何よりの苦痛であった。

 

「だけど、それは無事でいて欲しいからなんだ。戻ってくる君たちに、おかえりなさいって、お疲れ様って言いたいから」

 

だが、彼らは運命を約束されてしまった。

試練に挑むのではなく、試練が到来する。此方の事情さえ鑑みず、万全の対策もできぬまま、彼らは迫る脅威と刃を交えねばならないかもしれない。

 

それなのに、指をくわえて見ているしかないなんて。

神のくせに、祈ろうとさえ思ってしまって。

何もできない自分が、たまらなく情けない。

 

いくら涙を流そうと、訪れる苦難(さだめ)は変えられない。

だから彼女は、こう言うしかなかった。

 

「踏破できなくていい。負けてもいい、折れてもいい。でも、私のところには帰ってきて。約束だよ、二人とも」

 

眷属(こども)たちの背中を押して、見守る。

地上に降りた女神が贈れる、精一杯の祝福だった。

 

 

 

 

訪問者の来訪を知らせるベルが鳴る。鳴る鳴る鳴る。

すみませーん、ごめんくださーい。誰かいませんかー?

少年少女の猫を被った声に酷く胡散臭さを感じるが、まあ要件くらいは聞いてあげようか。

ちょうど手が空いて暇をしていたヘルメス・ファミリアの盗賊(シーフ)──ルルネ・ルーイは扉を開けた。

 

ドアの前には二人、子どもが立っていた。

両腕が()()の少女シスターと槍を二本背負った灰髪の男。

その齢で気の毒に……などと思っているが、ルーンフォークである彼女はこの状態で産まれてくるので意味のない同情であった。

 

「えーっと、入団希望ってわけじゃないよね?」

「そうですね。万能者(ペルセウス)さんに見てもらいたいものがあって訪問しました」

「ほう、アスフィに」

 

見たところレベル1、しかも冒険者成り立て。

そんなヒヨっ子がアスフィのメガネにかなうもを持ってこれるわけないだろう。

が、まあ見るだけ見てはおこうか。別に減るもんでもないし。

見せてくれと頼めば二人は皮袋の中身を手渡してくれた。

 

黒曜石のような石の欠片、そしてシスターの腕と似たような硬質な素材だ。どちらもほのかに魔力を発していた。

まるで天然物には見えないが、この子達が加工して作ったともルルネは思えなかった。

 

「どちらもダンジョンで発見しました」

 

前者はアビスシャード*1、後者は魔動機*2の破片。名前を言うのは藪蛇になりそうだったのであえてフロムは口にしなかった。

迷宮(ダンジョン)ではなく、奈落の魔域(ダンジョン)であるが、何一つ間違ってはいない。

両者の認識に多少の齟齬があるだけで。

 

ルルネは認めざるを得なかった。

この掌に転がっているものが、Lv.3で盗賊(シーフ)役割(ロール)とする自分が一度も見聞きしたことのない素材であることを。

 

「一体ダンジョンのどこで?」

「その場所、もう消えてしまっててですね。またそのうち現れるとは思うんですが」

(う、うさんくせ〜……)

 

主神(ヘルメス)並にうさんくさい。

嘘の機微は見受けられないが、何も間違ってないけど一番重要な部分がすれ違っているような。

 

「分かるんです。こう、神託みたいな感じで。それが出てくるタイミングが、ざっくりと」

 

嘘はついていない。次々回は神託があるかわからないが。

盾神はもうすぐ奈落の魔域出てくるからなどと言っていたし、魔導機の方はともかく、アビスシャードについては──無事帰還できれば──入手可能だ。

重ねて言うが、嘘はついていない。

 

「これらはお渡しします。万能者さんの魔道具作りの一助となれば幸いです。僕らでは到底扱いきれない代物なので」

「ん〜、ホントはあんまり良くないけど、任されたよ」

 

タダでくれるなら、まあ良いではないか。

もしかするとアスフィでさえ知らないかもと思えば、その驚愕の表情をルルネは目の当たりにしたくなった。

 

ではこれで、と帰ろうとする二人をルルネは引き止めた。

 

「あ、一応聞かせて。ファミリアと、名前!」

 

「ニュクス・ファミリア、フロム・ヘルです」

「同じく、セレナーデ、です」

 

*1
奈落の魔域(シャロウアビス)の中枢たる奈落の核(アビスコア)の破片。

これを武器や防具の追加素材として使用することで、追加のバフを獲得できるがデメリットも同時に生じる“アビス強化”を行うことができる。いわゆる呪われ装備。

しかしこの世界ではアビス強化ならびにSW2.5世界のほとんどの技術が存在していないため、現時点ではアビス強化を行うことはできない。

*2
読んで字のごとく魔力で駆動する機械の総称。

SW2.5世界の現代から遡ることウン千年に興った魔動機文明時代の産物。様々な種類が存在する。警備ロボットとか、採掘ロボットとか、空飛ぶメカドラゴンとか。

いわゆるオーパーツ。SW2.5のシナリオで起こる大概のことは魔動機のせいにできる。




アスえもんにはSW2.5時空のマジックアイテムの類をどうにか作ってもらいます。マテリアルカードとマギスフィア、大きな手袋の開発は急務です。
どっかのサプリに筋力増強の腕輪の作成方法とか載ってたりしませんかねぇ。


さて、前回のアンケートは現時点(2022/11/30 14:29)でつるまい前衛が優勢なので締切させて頂きました。

今回ので三人目の眷属についてのアンケは最後。
以下選択肢。

①お辛い境遇のキャラが幸せを手にするのが好き。
②幸せな境遇のキャラが不幸になるけど救われるのが好き。

①は産まれの時点で悲しき業を背負います。仕方ないね。
②はオラリオに来てから現実に打ちひしがれます。しょうがないね。

どっちもハッピーになることには変わりないんですが。
ハッピー大好きなので。

だいたい差がついたら締め切ります。

あなたの性癖は?

  • ①お辛い→幸せ
  • ②幸せ→お辛い→ハッピー
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