ソード・ダンジョン・ワールド2.5 作:魔剣(槍)ちゃん
一通りの来歴を聞いてすぐ、フロムは質問した。
「君、何ができる?」
「武器に魔力付与、それと魔法を少々」
「あー……」
試験会場は【ニュクス・ファミリア】
ニュクスに連れられてきた希望者の角を生やした少女は、フィンの扱きで疲労困憊ボロボロの彼に「採用で」と、短くめでたくファミリア入団を認められた。当人はあまりの即決に困惑気味だが。
「一応君の採用を速攻で決めた理由を説明しておこうか。まずこのファミリア、というかパーティに火力を担える人材がいない。僕は盾兼支援、
ベルに攻撃を任せっきりで
ダメージディーラーを彼一人に偏らせてしまうこともそうだが、ファミリアの眷属が増えたりランクアップを果たす度に今でこそ予定スカスカの両者の時間が合うタイミングはズレていってしまうことだろう。
いずれにせよ、
「後は君が穢れと呼んだその角に対して一定の理解があること。あまりいい気はしないと思うけど、それがあるからこそできることもある」
彼女の存在を受け入れ、なおかつ活かすことのできるファミリアはここしかない、という確信をフロムは持っていた。
基本的に魔法は詠唱の後に発動するものだが、彼女の種族──ナイトメアは“異貌”の使用で詠唱破棄が可能である。
が、“異貌”は一時的に角を肥大化させる上、肌が青白く染まってしまう。
角だけでも迫害を受けるにもかかわらず、更に要素が追加されれば、誰が彼女を人として見てくれるのだろう。
「すげなく断ったら後ろで見てる神様にボコボコにされそうなのもあるけどね。諸手を挙げさせてもらうよ。ようこそ、【ニュクス・ファミリア】へ」
一度死にかけた時に女神は病室で彼を詰問したため、なるだけ神意には沿おうと思っていたことも彼女を受け入れるに至った要素の一つではあるのだが、わざわざ彼女に言う意味もなかった。
続けて少女の名前を言おうとしたフロムだったが、思えば彼女は
「……えーと、もしかして名前らしい名前ってない感じ?」
「ない感じだ。ただ“
「それは種族名だし、君の場合は蔑称。君を買ってるんだから、低く見るような呼び名はなるだけ避けたい」
ああそんな君にランダム名前決定表があるんだがいかがかね、とニコニコしながら取り出したフロムは、後衛にしてはまあまあの筋力のセレナーデに肩を握られる。
最初に自分の名前をヘンテコな名前だらけの表でダイスを転がして決めようとしていたことがお冠だったようで、【おまじなランダム表】と銘打たれた紙はあえなく破り捨てられた。
「私は貴方がたの遺伝情報を継いでいるため断る権利はありませんが、すでに一定の自己が芽生えた人間に対してあまりに酷ではありませんか?」
「いやその、条件反射で」
「……そこの引き出し、見せてもらっても?」
「なんにもない!なんにもいないったら!」
鍵は膂力で打ち破られ、中から現れた大量の命名表が記された紙束はシスターによってビリビリと破かれていく。
本当に人の名前を決定するべきものとしてはこれ以上なく無価値のそれらを懸命に思い出しながらあくせく作成していたのは、己がプレイヤーだったことを忘れないためだろうか。それとも単にそういう
努力の結晶が処分され哀叫する面接官をよそに、ニュクスは少女へ話しかけた。
「ごめんね。フロム君、何かを名付ける時はいつもこうで」
「私は別に構わない」
「でも賽子転がした結果が『ザ・ゴールデン・オカネダイスキー』だなんて嫌だろう?」
「それは……まあ」
酷い名前だった。
自分で名前を決めることは許されていたようで、角っ子は大きくため息を吐いた。
とはいえすぐにアンサーが出るものでもなかった。
一人が再起不能になっているため、本日の迷宮探索業は休業となる。
新たに仲間に加わった彼女が悩むには絶好のタイミングだった。
⚫
「他の神の眷属と比較したことないから分からないけどさ、多分君たち……変な成長の仕方してるよね?強くなってるなら別に構わないけどさ」
だってほら、スキルにLv.がつくなんて聞いたことないし。
もしかしたらこの二人は普通と違うのではないかと思い始めたが比較対象がいないため、それが分かる機会が当分やってこないことが確定的なニュクスは二人にたった今更新したステイタスのスキルが記載された紙を見せる。
《
【
・行為、威力、素材決定に対する因果律遡行権。
・再行使に二十四時間の
【
・戦旗槍装備時、発展アビリティ『先制』の一時発現。効果値は『魔力』に依存。
・使用鼓咆に応じて味方の各能力に補正。陣気を獲得、または消費。
・使用陣率に応じて自身の各能力に補正。陣気を消費。
『習得鼓咆・陣率』
【怒涛の攻陣Ⅰ】
・味方の攻撃力に小補正。
・陣気を1獲得。
【怒涛の攻陣Ⅱ・烈火】←New!!
・味方の攻撃力に中補正。
・陣気を1獲得。
【
・力に高補正。
・命中力に補正。
・補正値はLv依存。
【
・自然的に発生した環境での行動、探索、観察に高補正。
・回復系のアイテム使用時、効果量に補正。
・補正値はLv依存。
【
・試練が到来する。
・試練踏破時、
・踏破する度に効果向上。
《
【
・任意の体力を
・再行使に二十四時間の
【
・基本/特殊神聖魔法を習得。当該魔法に高補正。
・逆境時における神威代行権。
【
・楽器装備時のみ効果発動。
・使用呪歌に応じて全体の各能力に補正。楽素を獲得。効果値は『魔力』に依存。
・使用終律に応じて効果発動。楽素を消費。効果値は『魔力』に依存。
『習得呪歌・終律』
【
・命中力に小補正。
・楽素(高揚)を1獲得。
【春の強風】←New!!
・終律
・風属性
・威力は『魔力』に依存。
「セレナーデはミューズさんのところで練習してたのか?」
「これの製作者の方や神ミューズから指運びや発声の技法を教わっていました。これでようやく、私もダメージが出せるようになりますね」
【ロキ・ファミリア】団長に相当ハードモードな訓練を与えられた結果フロムのウォーリーダー技能は飛躍的な成長を遂げた。
対してセレナーデは
“終律”は呪歌によって獲得した楽素を消費して放たれる──いわゆるバード技能においての必殺技だ。
効果は大別して攻撃か回復の二種類。今回は攻撃を放つタイプの終律だ。
有望なダメージソースと成りうるナイトメアが加入したが、攻撃手段はいくらあっても困ることはないのだ。
「よし、ここまでくれば何かあってもどうにかできるはずだ」
「今頑張って鍛えてるようだけど、この前死にかけたフロム君がフラグ立てないで欲しいんだけどな」
「大丈夫ですよニュクス様。今回も絶対帰ってきますから」
不安は拭えないが、抜き打ちでやってくるよりかはまだ目指すべき場所が見えている。
彼等が超えるべき試練が訪れるまで、あと僅か。
趣味︰命名表を振ること。
次回怪物祭編いきます。奈落の魔域君がアップを始めてますね。
ウォーリーダー技能の枠Lv.3に対して少ないのは仕様です。知識Bで先制振れる陣率を別な形で挿入していたのでここで帳尻合わせをします。
基礎ステイタスは考えるのなんかしんどくてな。
上がってはいますがベル君と比較すると劇的でもなんでもないのでカットカット。試練もまだ遭遇してないしね。
ちなみにランダム命名で決定してたらシスターはケアルディア・ホワイト、角ちゃんはマリオ・アブラヒモビッチになってました。
ケアルディアは普通にいい名前かもしれない。FFとATLAS系の回復魔法の名前合わせただけだけど、シスターならまあいいでしょう。
以下、角っ子ちゃんステイタス。
彼女の名前はまだ思いついてないので待っててください。
自分のネーミングセンスの無さを恨むのじゃ〜。
《名無し》
Lv.1
力︰I0
耐久︰I0
器用︰I0
敏捷︰I0
魔力︰I0
両刀︰I
魔撃︰I
《信仰》
【虚夜の女神 ニュクス】
《魔法》
【マグス・コンジャラー】
・操霊魔法
・効果中、操霊魔法を取得。
・取得魔法はLvに依存。
・
《
【
・任意発動。
・発動魔法の詠唱破棄、予備動作不要。
・自身に対する相手の銀製武器及び水、氷属性の攻撃に少補正。
【
・任意の発展アビリティを一つ取得。
・軽防具固定。
・力に高補正。
・命中力に補正。
・回避力に補正。
・補正値はLv依存。