とあるオタク女の受難(ガンゲイル・オンライン編)。 作:SUN'S
セカンド・スクワッド・ジャムで私の戦友にして好敵手、ツメバガンは一度も現れなかった。私を馬鹿にしているのか、レンちゃんに譲ったのかなんてどうでもいい。
「すっぽかした事を死んで償え」
「それはイヤだ」
私の振るうパニッシャーを避け、足刀による攻撃を繰り出すツメバガンに頭突きを見舞う。エムのヤツが言ってたボクサーってのはハズレだわ。ふつーに蹴りもするし投げもする。
こんな至近距離だっていうのにツメバガンは嬉々として詰め寄ってくる。パニッシャーを地面に突き立て、後ろ腰に装備していた拳銃を引き抜く。
「対怪物戦闘用13mm拳銃『ジャッカル』っ!はじめてあんたが私に作ってくれた武器で惨たらしく殺して、あ・げ・る♡」
ゴツくてエグい破壊力の弾丸がツメバガンの右腕を吹き飛ばし、私の右腕が真上に弾ける。反動を殺せず、姿勢を崩したところを狙っていたのか。
ツメバガンの奥の手が炸裂した。
私も見るのは初めてだ。
セッジリー OSS.38グローブ拳銃。通称・フィストガンによって私の脇腹と右腕が消える。下手すれば拳は消し飛ぶ可能性もあるのに────。
「せェのっ!」
「っがぁ!?」
無防備な彼女の脳天にジャッカルを振り落とす。鈍い音とともにジャッカルは消滅する。まだ、彼女の復活していない右腕を押さえつけ、何度もツメバガンとフックを交わす。
向こうの奥の手は一発限りのとっておき。しかも私のボディーを抉っただけ、もう終わりかと残念に思っているとツメバガンが口を開けた瞬間、極小の銃身が見えた。
「本当の奥の手はそれかぁ~っ」
咄嗟に避けたとはいえ耳に当たった。
豪雨のような音で上手く聞こえないけど、ツメバガンの言いそうなことは分かる。「よくもやったな」「頭突きは想定外だわ」とか、それとも「貴女のせいで奥の手がバレた」とかかしら?
ようやく肉体の修復だ。
今までの戦いは五分と五分だった。まだ、銃を残している私の方が少し有利。もっともホルスターから抜くことが出来ればだけど。私の早撃ちは0.7秒前後で、ツメバガンは0.6秒と私より上だ。
「ちょっと休憩、っと見せかけてズドン!」
「そんなの当たるわけないでしょ?」
「あちゃー、だめかあぁ……」
あのパニッシャーを使えばいける。自分の作った武器で死ねるんだ。あいつも本望に違いない。なんて考えながら間合いを広げ、拳銃を引き抜くと同時に投げる。人間、誰もが顔への攻撃を防いでしまう。
その習性を利用したつもりだったんだけど。ふつー顔に当たったら痛がったりすると思うんだ。なぁーんで突っ込んで来れんのよ。
「まあ、でも私の勝ちッ!!」
最後の最後まで残していたロケットランチャーを受けて爆発するツメバガンに笑みを向ける。
パニッシャーによってツメバガンは瓦礫や土を被って倒れている。HPもほんの僅かしか残っていない。これでお楽しみは終わり。なんて味気ない、面白くない幕引きだろうか。
「……ずっと迷っていた……」
まだ、起き上がろうとするツメバガンにパニッシャーの銃口を向けながら彼女の言葉に耳を傾ける。ふらふらと覚束無い千鳥足の、ちょっと押せば倒れるほど弱りきった好敵手────。
「誰もが剣を捨てて、平穏に生きる中、私だけが
ゆっくりと銃剣を構える彼女の言葉を聞いて、ようやく納得することが出来た。私の行けなかった世界に、私が何度も夢に見た幻想へ、私が届かなかった理想を、彼女は知っているのだ。
ああ、なんて羨ましいんだろう。
そして、なんと憎らしいことか。
「私を嗤って、みんな棺に眠る」
一歩、二歩、私を殺すために向かってくる彼女を睨みながらパニッシャーを捨てる。私が求めた究極の殺人ゲームの史上最悪のPK集団、
「
「んふふふ、上等だォ!!」
確実に殺すため急所のみを狙う銃剣を弾き、コンバットナイフを突き出す。切って、斬られて、切り裂いて、私と彼女の流血エフェクトが空を舞う。
目が潰され、首を裂かれ、腹を斬られ、胸が穿たれる。苦しいのに楽しく、気持ちいいのに恐ろしく、それなのに私の血潮は沸騰しているのかと錯覚するほど沸き立つ。
ずっと、こうしていたい。
「「あはっ、アハハハハハッ!!」」
私の頭が狂う。私は狂っている。
彼女を殺したい。貴女を殺したい。
永遠に、永久に、殺し合おう。
このお話で終わりです。
見てくれてありがとうござました。