とあるオタク女の受難(ガンゲイル・オンライン編)。 作:SUN'S
◇月∃日
のんびりと賑わう酒場である。
時折、後ろから聞こえてくる「あそこのやつ、ピトフーイの…」「ああ、そうだ、変な銃を…」等という言葉は徹底的に聞こえないふりをする。
私は普通だよ。
確かにピトフーイとは仲良しだが私は平々凡々な女だ。そんなことを一人で思っているとレンさんがやって来た。
私の隣に座ってアイスティーを注文して、二人でエムさんを待つ。
結婚式に出ているピトフーイを想像して吹き出すレンさんを眺めつつ、今大会の主催者のスピーチを聞く。銃殺、刺殺、撲殺、わりと何でもありなルールに呆れる。
今大会はハラスメントのギリギリまで接近して良いということだ。レンさんは大変になるわね。冗談を言うと「その時は倒すよ、ピトさんと約束したから」なんて言う。
また、私の預かり知らぬところで約束事が結ばれたのかと思うと胃が痛い。他愛もないた話で盛り上がりつつもエムさんの到着を喜び、手ごろな飲み物を注文する。
◇月⇒日
私とエムさんの二人による殺人術レクチャーを終えたレンさんは気持ち悪そうにナイフを見ている。
身近なもの、それこそ包丁やハサミも武器になる。それを知っているからこそレンさんは刃物を使った戦いを苦手に思う。
もっとも私は人を斬る方が好きだ。なにかと融通の聞かないゲームでも斬れば解決できる。そんなことを話しつつ、エムさんの指示を受ける。
二人とも狙撃に向かない森林で溜め息を吐く。
我らがリーダーもピンク色で目立つ。立地や環境で不利なスタートだ。これは私のせいかと嘆き、ガチャ運の無さを悲しむ。
しかし、あの乱射魔はなんだ。
見つけたら撃つ、ひたすら撃つ。
そんな馬鹿みたいな戦法を取るなんて誰が考えつつ一人を狙撃する。エムさんも狙撃し、動きが止まったところを狙って移動する。
あれだけ派手に暴れれば注目の的だ。私達が倒さずとも誰かが倒す。なにより無駄な戦闘は避けるように、エムさんが指示を出している。
ゲームでも節約は大事だ。
◇月=日
マッチョなレディに襲われ、エムさんは死にたくないとぼやき、レンさんはバーサーカーだった。私のいる必要ってあったのだろうか。
とくに見せ場もなく狙撃して、レンさんが怒り狂うところを見ていた。いつものキュートなレンさんも素敵だけど、ワイルドなレンさんも良いものだ。
そうピトフーイに話していると「あんた、これで見せ場なかったの?」とスクワッド・ジャムの映像を見せてきた。
ただのゼロ距離射程閃術だな。
私に出来るんだから貴女にも出来るさ。
そんなことを話しながらピトフーイの「あっ、次のスクワッド・ジャムには出るよ。レンちゃんと仲良く、私を本気で殺しに来てね♡」と言い残し、そのままログアウトした。
はあ、そういうところが苦手なのよ。