とあるオタク女の受難(ガンゲイル・オンライン編)。 作:SUN'S
俺の指示に従う二人を囮として標的を狙撃する。レンはスピードによる撹乱を行いつつ、その後ろを追うツメバガンを見る。
あれだけAGI特化にしてるやつも珍しいが、二人揃うと速さ比べに見えてしまう。レンがP-90によって銃殺し、ツメバガンがパンチで頭部を吹き飛ばす。
「あれは、えげつない!」
ピトが気に入る理由もあれのせいなのだろう。鮮血を纏う撲殺者。ピトのつけたあだ名であり、最もツメバガンに適した言葉だ。
「いやいや、それもあるけど。あいつの根底は私と同じように……」
完全な破壊不可能なオブジェクトとなった死体を振り回し、銃撃戦ではなく一方的な制圧を披露する姿はピトとダブって見えた。
いや、もしかしたらピトよりも残忍で極悪なやり方で戦うのかもしれない。
「私なら、もっとぐちゃぐちゃにやるわね」
じっくりとツメバガンを観察しながらレンを援護し、狙撃ポイントを移して二人をサポートする。ツメバガンほど多種多様な銃器を使っている訳じゃないが、相手のSHINCは中々の連携と強さだった。
レンの速さ、ツメバガンの速さ、どちらも高いゆえに相手は混乱する。そこを狙えば安全に勝つ、死なずに倒すことが出来た。
だが、ピトはツメバガンの武器を知っているか?あれは正しく奥の手だ。俺のライン無しと比べると秘匿性は向こうの方が上だ。
なにより銃を構えるには間合いがいる。ツメバガンの戦いは死線を飛び越える。そう例えるしかないやり方だ。
「良いわねぇ…、エムは間近で見れて」
「いや、そうでもない」
ただのパンチだと思って防いだ瞬間、腕が弾け飛ぶんだ。相手は当然のことレンも動きを止めて、ツメバガンを凝視した。
あまり格闘技には詳しくないが、ツメバガンがボクシングをやっているのは分かった。しかもサウスポー、もしかしたらテレビに出ているかもしれない。
「成る程、つまりあれね。リアルもゲームも殺し合いを楽しんでるってわけね。んふふふ、なぁーんか親近感が増すわーっ」
そうだな。
しかし、よく見てくれ。この打ち込む瞬間と打ち終わり、左右が逆になっている。ハイパースローモーションでなければ見えない速度の打撃、ゲームとはいえ再現性によっては脳は揺れる。
ピトフーイ、こんな怪物とまともにやり合えるのはお前だけだ。全距離射程圏内、五分と五分の戦力、彼女達との戦いを妨げるものは限り無く排除する。
「いやよ、私も遊ぶ」
「ピト、それは…ぅげッ!?…」
「私は強くて可愛いレンちゃんを殺したい。私は仲良く殺し合えるツメバガンを殺したい。あわよくば全員ぶち殺して死にたい」
あまりにも身勝手な発言を繰り返すピトに背中を踏まれながら、恐ろしくも美しい笑みに魅了されてしまう。俺では止められない。愛しているからこそ止められず、彼女と共に死ねることを喜んでしまう。
「あっ、そうだ。あんたのパニッシャー、私のと合わせて二丁持ちにしなさいよ」
「それは重量制限に引っ掛かる」
「やりなさい」
「……わかった…」
こう言った他愛のない会話に喜びを感じ、より一層のこと俺はピトフーイを愛してしまう。そして、ピトフーイのためならば俺は何でも出来る。