初めての作品で、まだ至らぬ点もありますが、心優しく見守ってくれたら嬉しいです!
それでは、幻想の音楽の世界をお楽しみくださいませ。
第1話:邂逅と始まり
ーピアノの音色で目が覚めた僕は、周囲を見渡した。無機質に置かれてるサッカーゴールやバスケットゴール・・・そしてその奥には、倉庫の様な鉄扉が微かに視えた。
寝起きだからなのか、あるいは夜だからか、視界がはっきりしない。しかしながら、置かれていた物で、ここどこだかわかった。学校だろう。優しいピアノの音色に誘われる様にして、僕はまた眠りに落ちかける。
その刹那ーーー
「・・・くん。・・・くん!」
ー誰かの声がした。遠くから呼ばれている。・・・誰かを呼ぶ男性の声だ。それはその人の友達なのだろうか。しかし、ここには僕以外誰かがいる気配がない。
だとしたら、僕を呼んでいるのだろうか。しかし僕は嫌われ者。クラスメートである事は絶対ないだろうし、別クラスには一応いるにはいるのだが、その友達は落ち着いた感じだ。こんな声量は絶対出さない。他校にもいるにはいるのだが、まだ知り合って8時間にも満たないくらいしか経過していない。しかも「くん」付で呼ばないタイプなのに。
・・・本当に誰だろうか。そんな事を考えても仕方がない。大人しく、その優しい音色に委ねようと目を閉じたら、その呼び声は途切れた。
・・・奇妙だ。何故だか知らないが、声の正体が気になって眠れやしない。
僕は仕方なく体を立たせ、目を擦る。すると、声がまた聞こえてきた。今度のそれは実に鮮明だ。
「煌星くん!」
ー僕の名前、煌星(こうせい)。僕を呼んでいたのかと思いつつ、目覚め切った視界で探す。
ーーー気配こそなかったが、後ろにいた。高校生のような感じの高身長で、顔もいい。彼の名前は・・・。わからないという訳ではないが、頭の中に黒い霧が蠢いていて、それが思い出すのを遮っているのだ。ネット上の事だけとはいえ、彼との楽しい思い出は・・・なんでだ。これも思い出せない。思い出すなという声が脳で反響している。
「どうしたの?煌星くん」
ー頭を抱えている僕を心配に思ったのか、彼は普通のトーンで僕に話しかけてきた。
「ううん。なんでもないよ」
「そっか。立てる?」
と言いながら、彼は手を差し伸べた。僕は何かに駆られ、その手を取り、立った。手からは優しさと安堵感が込もっていた。不思議と、頭で蠢いている黒い霧が少し晴れた様な気がした。
「大丈夫?」
「うん。それより、ここはどこ?」
ー僕は首を傾げてそう質問した。彼も首を傾げて言った。
「俺もわからないよ。それに、さっきからピアノの音色が聞こえてくるんだ。どこかで聞いたことあるんだけどなぁ」
「・・・『エリーゼのために』」
ーと僕は、自然と曲名を口に出した。この曲は、音楽界で有名な「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベン」が作曲したピアノ曲だ。音楽にそこまで精通していなくても、多分どこかで聴いた事があると言えそうな曲であろう。あるいは、学校の音楽の授業で習ったというのも多いだろう。夜を彩るかの様に、ピアノの音色は熱風と共に校内に響き渡っている。そして彼は口を開き、優しくこう言い放った。
「『エリーゼのために』。中学の頃、音楽の授業で習ったなぁ。確か、ベートーベンの字が汚くて、それでエリーゼになって、本当のタイトルは「テレーぜ」なんだっけ」
「そうだよ。実際この説を後押しする説があるんだ。ベートーベンの想い人に「テレーぜ」という女性がいて、彼女に捧げた曲っていう説もあるんだ」
「すごいロマンティックだな。俺もピアノやってみようかなぁ・・・」
ー彼はそう言い、笑った。それを見た瞬間、僕は不思議と懐かしさを感じた。しかし、僕が想起する事を黒い霧が邪魔する。これは思い出さない方がいいという御告げなのだろうか。僕は口を開き、楽しく誘った。
「ねぇ、ここにいるのもなんだし、学校内を探索してみない?」
「いいんじゃないかな?ちょうど暑いし、肝試し的な感じで」
「それじゃ、行ってみよっか!」
ーと言った彼の微笑みに呼応したのか、ピアノの音色がより一層美しく聴こえた。
どうだったでしょうか。忙しく投稿は不定期になりますが、これからの応援よろしくお願いします!