この邪神に一目惚れした愚か者に祝福を! 作:ウォルバク教徒
ゆきっつぁん 様
つけ揚げ 様
でるしおん 様
☆10評価、誠にありがとうございます!
今までは赤バー評価を付けて頂いた方々にも名指しで感謝させて頂いていたのですが、嬉しい悲鳴というやつで、評価がすごく増えまして……もちろん感謝はしているのですが、場所をとりすぎてヤバいので、省略します。すみません許してくださいなんでもはしませんけど()
フェルミウム 様
オルペウス 様
誤字報告ありがとうございます!
「よし、全員
校庭で、担任がマントをなびかせながら声を張り上げた。
「武器を持っていない者は、これでモンスターにトドメを刺せ!」
言いながら、地面に置かれている様々な武器の山を指す。特筆すべきは、多くの武器が魔法使い用らしからぬ大きさをしていることだ。
「せ、先生! どれも持てそうにないんですが!」
生徒の抗議を尻目に、担任はオーガですら振り回せそうもないモーニングスターを持ち上げる。
「コツは、自らの体に宿る魔力を肉体の隅々にまで行き渡らせることだ。それにより、我ら紅魔族は一時的に肉体を強化することが出来る! 実は今日までの授業を通して、お前たちにはその基礎を叩き込んできた……意識さえすれば、自然とその力を使えるはずだ!」
担任の言葉に、あるえが1歩を踏み出す。
「魔力よ……我が血脈を通り、四肢に力を与えよ!」
あるえは叫ぶと同時に身の丈を越える大剣を片手で持ち上げた。
「「「おおっ!!」」」
「えっ?! す、凄い……けど、今のセリフは必要だったの?」
1人ヤボなことを言うゆんゆんを尻目に、次々と生徒達が武器に群がる。
「この子、私の魔力を注ぎ込んでも壊れないなんて! さぁ、あなたには名前をあげる。そう、今日からあなたの名前は……」
ハルバードに名前をつける者。
「ふっ! ……へぇ、今の素振りにも耐えるなんて、中々の
大剣を振り、不敵な笑みを浮かべる者。
「……くっ、我が魔力よ燃え上がれ! さぁ、その力を、その恩恵を我が身に!」
そして、紅魔族随一の天才(自称)もまた、一際大きな斧をふらつきながら持ち上げた。
「せ、先生、これ全部ハリボテじゃないですか……すごく軽いんですけど……」
「ゆんゆん、減点5」
「ええっ?!」
肉体に魔力を巡らせるだけで発動する身体強化など存在しない。考えてみれば当たり前だ。回路に電気を流したとて、ライトが無ければ光らないし、スピーカーが無ければ音は出ない。それと同じように、純粋なエネルギーである魔力をただ動かしても、何も起きやしない。それ以前に、
そうして、紅魔族随一の天才は無駄に重い斧を放り出し、軽そうな木剣を手にした。
──里の外に広がる森の中。皆が用意された武器を持つ中、唯一ゆんゆんが、刃の潰されていない短剣を持つ。
「よし、いいかよく聞け! 先程も言った通り、この周辺の強力なモンスターは軒並み狩った。残った弱いモンスターも、俺が片っ端から身動きを取れなくしておく。お前達は、そのモンスターにトドメを刺せ。問題ないとは思うが、もし何かあったら大声を出すように──では、解散!」
そう言い残し、担任は走り去った。その後、少し待ってから、担任を追うように歩き出す。すると直ぐに、首から下を氷漬けにされた大きなトカゲを発見した。
「お先にいいかい?」
あるえに対し、めぐみんはコクリと頷いた。
「その生命を
頭に振り下ろされる大きな(ハリボテの)武器。トカゲはキュッと鳴いた後、ピタッと動かなくなった。あるえはそれを確認すると、自分の冒険者カードを見て満足そうに頷いた。
めぐみんは、既に目当ての魔法を習得している。レベルが高いに越したことは無いが、他の生徒ほど急ぐ理由もない。そんな訳もあり、周囲を見渡していると、何やら騒がしいグループがいた。
「ゆ、ゆんゆん、早く
「そ、そうそう、ルドを除けば成績2番手の優等生なんだから! まずはお手本を見せてよ!」
「ごめんなさい……この子と目が合っちゃって……!」
短剣を手にしたまま
(仕方ありませんね……紅魔族がそんな甘っちょろい種族ではないと、3人に思い出して貰いましょう)
「ゆんゆん」
「め、めぐみん? どうしたの?」
「そういえば昨日の夕方頃、ルドがあるえの家に入るのを見ました」
「……知ってる」
「へ?」
驚くめぐみんを視界にも入れず、下を、つまりウサギを見ながら、ゆんゆんの瞳が
「私が入った時(ザシュ)、2人はとっても近くて(ザシュ)、仲が良さそうで(ザシュ、グリグリ)……あるえは(ザシュ)、ルドに(ザシュ)、デレデレ(ザシュ)、してた(ザシュ)」
「………」
「あの、ゆんゆん? えっと、それくらいで……」
珍しく何も言わずただ冷や汗を流すあるえも珍しいが、それより言葉を区切る事に短剣を振り下ろすゆんゆんの怒気に、めぐみんは背筋が凍る思いだった。
ウサギの瞳から光が失われていくのと対比するように、ゆんゆんの瞳は轟々と燃え上がるように光り輝く。いや、光っているのに、光っていない。矛盾する感想だが、思いを共有するように、この場にいる全員が、無意識にゆんゆんから距離を取っていた。
そんな中、あるえが森の中を指さして呟いた。
「……おい、君達。なんか、ヤバいのがいるんだけど」
言われるがままに視線をやると、そこには
「「「先生! 先生!! 先生!!!」」」
全員が叫びながら逃げ出す中、ゆんゆんはその場を動かない。
「グエエエエエ!!!」
悪魔もゆんゆんの怒気に当てられたのか、翼を大きく広げて威嚇をする。それに対し、ゆんゆんはゆっくりと立ち上がった。そしてナイフを力強く握り直し、緩め、握り直す。
「ヤバいですよ! あの子、怒りで周りが見えていません!」
「で、でも、どうやって助けるの?!」
「……あそこで助けたら、次は私があのウサギみたいにされないかい?」
「「「………」」」
「うるさい」
一旦その場で止まって話し合う中、ゆんゆんは呟く。同時に、短剣を悪魔に向けて
「あれは中級悪魔です! そんなもの効くわけが……」
ナイフは前衛職の攻撃すら弾く中級悪魔の毛皮に弾かれ……
「グギャアアアアア!!!」
「「「へ?」」」
──空中で静止、軌道を変え、
「グ……ゲ……」
悪魔を蜂の巣、或いはトムとジェリーに出てくるチーズのようにした短剣は、ゆんゆんの手に戻った。ゆんゆんは、パチパチと目を見開き、そして思い出したかのように冒険者カードを確認すると、満面の笑みでこちらに近付いてきた。短剣をその手に握ったまま。
「ついに上級魔法を習得できるだけのポイントが溜まったの! ……ね、ねぇ、なんで皆、そんなに私から離れてるの?」
「いや、それは……その、さっきのは何なのですか?」
「えっと、短剣のこと? 多分、この前ルドに預けたからだと思う。投げた時に魔力を吸われたから……だ、大丈夫よ? ほら、鞘にしまったから!」
「「「………」」」
誰も、動かない。
「ね、ねぇ? なんで距離を取ったままなの? なんであるえを後ろに
「それは、あなたがヤンデレで、あるえがルドと一緒にいたからです」
「ち、違っ……私はヤンデレじゃないし! あるえを傷つけたりしないから!」
「つまり、それでルドを刺すんですね?」
「違うわよ! そろそろ本気で怒るからね!?」
「……冗談ですよ。さぁ、授業に戻りましょう」
この一連の流れは、1番カッコいいタイミングで生徒を助けようとコッソリ隠れていた担任に目撃されていたらしく……次の日から、ゆんゆんの2つ名は『雷光操りしヤンデレ』となった。
✡⃝✡⃝✡⃝
──これは、養殖の授業を行う前日のこと。
ゆんゆんとめぐみんの様子を定期的にルドに報告しているあるえは、その報酬として自身が執筆する小説へのネタ提供を求めた。ルドはそれに応じ、
「……うん。取り敢えず言えるのは、俺に恋愛のことを聞くなって事だ。たまに冒険者連中にも聞かれるが、俺にモテる秘訣なんて分からん。常に素だからな」
「おや、皮肉かな?」
「違う。俺に群がってるのは、金や地位が目当ての女だけだからだ」
心の底から面倒そうに、ルドは言った。当然だが、世の中の女性達が皆等しく整った顔をしているわけではないのだ。
「ふむ。しかしこれは……やはり、私自ら取材をするべきだろうか? 実体験があるのとないのとないとでは大きく違うだろうし……」
「はぁ? いくらネタの為とはいえ、やめとけよ。そんな男を挑発するような真似をして、襲われたらどうするんだ?」
「私だって紅魔族のアークウィザードだ。悪漢ぐらい、無理やりに迫られようと撃退できるさ」
「そう簡単に言うな」
あまりの危機意識の薄さに、ルドは忠告するべく席を立つ。そして、眼帯をつけている死角側から近づき、少し脅す意味も込めて、あるえを机に押し倒した。
「あるえ」
「ん……」
まつ毛の質感すら感じ取れるほどの近距離で、吐息に乗っているのは自分の名。あるえは、気圧されたように身じろぎをした。
「もし本当に襲われでもすれば、焦って詠唱ができない可能性だってある。それに、紅魔族だと言うのは諸刃の剣だ。強いから男避けになる一方、
護身用にナイフを持っていたとして、上級職でも後衛の魔法使いが前衛職の冒険者に太刀打ちは出来ないだろうし、盗賊のように
「………」
「………」
「………おい?」
キョトンとした表情のまま、微動だにしないあるえ。迫ったこっちが居心地悪くなってきた。声をかけられて正気に戻ったのか、あるえは目をぱちぱちと瞬きさせる。
「私でも……襲われる、ものなのかい?」
「何を不思議がってるんだ? お前は自分の容姿に頓着しなさすぎる。それに、自分で随一の発育だって言ってるだろ」
「いや、そうだった……しかし、異性にこうも近寄られたのは初めてでね……これでも、
今更ながらに、あるえの顔が赤くなる。意外と素直な反応に、思わずこちらも恥ずかしくなってきた。たとえ動揺していても、飄々と誤魔化すものだと思っていたが……
「なるほど。痛いぐらい心臓が跳ねているとは、こういう状態のことを言うのか……こんなの、初めて……」
早まる鼓動を実感するように胸に手を当てて、あるえはそう呟いた。
「感心するのは良いが……それより、自身の言動がどれだけ迂闊か、理解したか?」
「いいや? まだわからないな」
「おい……」
あるえはルドの首の後ろに腕を回し、ただでさえ少ない距離をさらに縮め、そんなことを言う。
「ここから……どうなるんだい?」
「悪かったよ、だから揶揄うのはやめにしよう。お互いに」
「私は本気さ。さぁ、続きを──」
と、その時。
「あるえ! ちょっと相談が……は?」
「「あっ」」
ゆんゆんである。彼女はすぐさま顔と目を真っ赤に染め、その場でパクパクと口を開閉しているが、それでも言葉が出ないらしい。
客観的に見て、あるえとルドは、今にもお互いを貪り合うくらいの姿勢と接近度合い。勘違いされかねない状況だ。というか、勘違いが加速しているのが徐々に輝きを増す瞳の様子から一目でわかる。
「ち、違う! これはあるえに外のことを教えていて……」
「……私は中でいいと言ったんだけどね」
「は? おまっ時と場合を考えろ!」
加速する勘違い。ゆんゆんは、まだリアクションが追いつかず何も言ってはいないが、ゴゴゴゴゴと文字が可視化されそうなオーラを背中から立ち昇らせている。
「こ、この、変態ムッツリ作家ーー!!!」
「ま、待ってくれ! そんな不名誉な2つ名は認められない!!」
あるえが引き止める間もなく、ゆんゆんは飛び出して行ってしまった。このまま放置すれば、めぐみん経由で里中に、今日のことが尾ヒレ背ビレに胸ビレまで付けられて広められるだろう。
「おい、早く誤解を解きに行くぞ」
「いや……よく考えたら、いいネタになるのではないかな? こんな状況、味わいたくても味わえないよ」
「おい、こっちを見ろ。俺の目を見て話せ」
無理やり顔を合わせると、普段のとらえどころのない
「……お前にも、年相応の可愛いとこがあるんだな」
「……普段は可愛くないってことかな?」
思わず呟いたルドだが、そこは流石のあるえ。すかさず反撃を行う。
「いや? でも、あるえはクールで綺麗なタイプだろ」
カウンターにカウンターを合わせられ、撃沈。いくら知能の高い紅魔族と言えど、人生経験の差には勝てなかったらしい。
「す、すまない。ちょっとこっちを見ないで、それと離れてくれないかい?」
「駄目だ、むしろ今こそグイグイ行くぞ……いや、ヤバいな、ホントに可愛いぞ」
「……っ?! ち、違う。違うんだ! 今の私は……そう! あるえであってあるえじゃない! だから……」
「なに言ってんだお前」
この後めちゃくちゃ執筆した。
めぐみん「──ということがありました。ゆんゆんの扱いには細心の注意を払ってください。」
ルド「え? モンスターを追尾する機能は付けたけど、執拗に何度も貫く機能なんて知らないぞ……」
めぐみん「スゥー」
なんか気付いたらあるえを押し倒してた……
やばい、あるえスキーになりそう()
冗談(?)は置いておいて、ウォルバク様が既にいないにも関わらず中級悪魔が出てきたのは、マジ邪神の封印がめぐみんの爆裂魔法で緩んだからです。アニメを見た方ならわかると思いますが、中級悪魔はアホそうなので、邪神の魔力にあてられたんですね。
*気付いたらゆんゆんがヤンデレになってたのでタグを追加しました