武内社長とワダアルコさんの間に挟まれる形で、全裸のリーナが(爆)……一応、『一般同人誌』ではある。いいネタだわー。(え)
再販あればなーと想いつつ、私はCHOCOさんのメリュ本を買うのであった。
埼玉県まで遠征してきた雪姫は、高速交通を使えばさほどの時間でもないが、それでもかなり離れた東京八王子の方で響いた鳴動に、眼を鋭くする。
「―――完全に謀られましたね」
「全くだ。茶でも飲もうかと思っていたが中止だな」
「では、一応『コレ』持っていってください。啓太くんはお得意さんですからね。サービスしてあげるのもイイ女の条件ってヤツです」
「あとで吹っかけるなよ」
旧知の相手であり、それなりに長く付き合ってきた相手である女に言う。
自分が知り合った時点で『少女』という枠組みに収まらない人物だったが、最近はそれが顕著になってきた気がする。
かつては妖怪のような姿をしていた
「……甘くなりましたね。ミス・マクダウェル」
見えなくなった背中に何気なく言ってから、状況の全ては『京都』の方にも伝わっている。いざとなれば……。
「裏火星の連中は、どうしてもやりたいようだな……魔法師は何も知らぬ赤子も同然だ。それを生贄に捧げるなど……」
だが、彼らとて己の主張を曲げることはあるまい。それが導き出す闘争は……。
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「一応万が一、億に一つって可能性もあるから確認するが……先に手を出したのは、あっちのフードで間違いない?」
持っていた無骨な大剣の切っ先を弄ぶように、フードを示した浦島。こんな時にまで、そんなことを気にするとか……。どう考えても、あちらが加害者で、こっちが被害者だろうが―――などと不満などもあったのだが……。
「そうだ……」
回復したのは目に見える怪我だけであって、内腑への回復や体力回復には時間がかかる。
それは達也だけなのかもしれないが……。
「なるほど、そういうわけだから俺としては戦わざるをえない。けど―――ここで『やる』のかい?」
「当然だと言いたいが、見逃すのならば、もう何もしないさ―――今回は小手調べの挨拶だからね」
「そうか。ならば、ここで果てろ」
瞬間、消え去ったようにしか見えない2人。そして次には、高速の世界からの攻撃でぶつかり合う2人。
石造りの無骨な大剣と『アスナ』と呼ばれる少女が持つ剣が押し合い、鍔迫合うが―――。
「―――ぬ!!」
石造りの大剣が、豆腐で切られるかのように浦島の持つ剣を受け入れた。
「忘れたのかよ? 姫御子の剣は、彼女の力の一端であり、回帰の力の始まりだってことを!!」
「そんなわけがあるか。だが失態は認めよう」
言いながらも、その石造りの大剣を破棄して離脱するフード。そして、離れたところから自分たちを苦しめた黒曜の武器とやらを幾つも並べてくるフード。
「浦島君! 気をつけ―――」
深雪の注意勧告。その間にも大剣を肩に乗せて構える浦島。距離としては、剣で戦える
だが、何かの『気』とでも言うべき力を溜め込む浦島は、それで迎撃するつもりらしい。
後ろに俺や深雪がいるから、そうなのだろう―――。
情けなさを覚えながらも、それでも―――。
正面を全て覆うように放たれる黒剣の数々、ソレに対して―――。
「奥義!! 斬魔剣・弐の太刀!!」
―――飛ぶ斬撃が放たれた。瞬間、衝撃波なのかそれとも魔力の残像なのかは知らないが、黒剣の全てが流体の液体へと変わった。
あまりにも現実離れした光景。しかし、斬撃の余波でフードの肩口が切り裂かれた。
あれだけ自分たちが攻撃を食らわせても煤一つつけられなかったフードに、遂に攻撃が入った。
「――――」
よく見れば相手の『曼荼羅』のような障壁が消え去っていた。これならば―――。
「砂漠総壁」
ごぱぁっ!!! そんな擬音でしか表現出来ない砂の壁が競り上がり、フード姿を覆い隠す。
別に魔法の照準そのものに現実の視野が必要なわけではないが、その砂に魔力が充足していれば、問題は別になる。
「食らっても大したことはない。魔力強化した身体にキズを付けられるだけの力があるとは思えないんだけどね」
だが、万が一もありうる。現代魔法師の魔法を羽虫も同然に嫌うようにするフード。
確かに……達也の魔法が通じるようには『見えない』。
だが―――。
「はぁあああ!!!!」
そんなことはお構いなしに浦島啓太は突っ込む。砂の壁を突き破る大剣は、フードにとって天敵のようである。
「その剣が厄介だな! アルビレオ・イマもロクなことをしない!!!」
言いながら黒曜の剣を自分の周囲に並べるフード。その数が数え切れないぐらいに増加していき、そしてその剣を鎧も同然にしてから、身体を振り回すようにして回転斬りを行う。
身体の動きに連動して裁断の刃が浦島に襲いかかる。まるで刃が付いた嵐が襲いかかるようだ。
瞬間、浦島の方に変化が生まれる。眼前で何かがひび割れている様子。
「玄武陣! そしてハマノツルギとシンメイリュウのコンボを崩すには―――最大級の物量で圧倒するのみ!!」
「実に単純明快だな!! 最強の魔法使い!!!」
フードが生み出す刃の螺旋は嵐となって上空を黒一色に染め上げていく。逃げることなど許さぬ剣の檻を前にして―――。
「リク・ラク・ディラック・アンラック!! 千刃水魔剣!!!」
「―――ッ!! 僕と物量で対抗するか!! それでこそ『浦島の後継者』! ゼンコウの魔法使い!!」
―――水の刃による嵐を作り上げて対抗する。
常識外れすぎる魔法戦闘を前にして―――螺旋の嵐は互いに引き合い、あちこちで水の刃が黒い剣とぶつかり合う。
相殺する物量と物量。銃声と砲声の飛び交う戦場でも、ここまでになるだろうかというものが、第一高校で繰り広げられる。
「ヴィシュ・タル・リ・シュタル・ヴァンゲイト―――来たれ!! 蜥蜴の王の眷属! 意思にして石なる蛇よ!」
嵐がおさまったと思ったと同時に、うねるようにして動く四角柱の群れがフードの後ろから出現する。
あまりにも常識はずれの多頭蛇のような様相で迫りくる四角柱は、石か砂のような固体で作られており、先程の六角柱ほど巨大ではないが、その俊敏な動きから回避は不可能に近いが―――。
「リク・ラク・ディラック・アンラック―――来たれ!! 大八洲の蛇王! 源水にして原毒なる蛇よ!!!」
呪文詠唱で対抗するように水の大蛇を幾つも出す浦島。
その一頭一匹が、フードの石の蛇を相殺していく。
相性の問題なのか、それとも力の制限なのか……フードは押されつつある。
全身が水濡れであり、フードは重々しく頭頂部に張り付いている様子だ。
「ふっ……やはりキミに対して僕は相性が悪いようだな。しかし―――魔法障壁は回復した。キミの『レンタル・アデアット』もそろそろ―――」
その時……勝機を見いだしていたはずのフード『男』は戦慄した。それまで意識の範疇に入れていなかった相手がいたことを。ここまでは―――。
「誘いかっ!!」
「斬魔剣・弐の太刀!!!」
フードが張った障壁を砕く一撃。瞬間―――。
「―――
間髪入れず上方より強烈な雷光、稲妻……あらゆる『電気エネルギー』と呼べるものがフードを直撃。
「おおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」
そんな状態でも何かで対抗しようとしているのか雄叫びをあげるフード。ビリビリと鼓膜を響かせる電圧の中でもそれは聞こえている。
浦島の放った水で通電力が上がっているだろうに、放ったアンジェリーナが驚いて―――はいない。
「アデアット!!!」
無骨な大剣を破棄して、これまた古めかしい弥生時代か奈良時代ぐらいの鉄剣を持った浦島が、それを手に―――。
雷撃迸る通路を飛んでいき、そして雷柱の中にあったフードの身体を上下に分断した。
しかし―――。
「―――ケイタ!」
「逃げられたよ。というか……『本体』じゃない」
上半身の方のフードを剣で転がすようにして、上空からやって来たアンジェリーナに示す浦島。
達也の方からは分からないが、そこにはどうやら目的外のものがあったようだ。
「―――タッチの差で終わっていたか」
「「わっ」」
二人の影から現れたのは雪姫先生である。いや、影なのか、それとも2人に対して何かの目印があったのかは分からないのだが……。
とにかくとんでもない『転移』とでも言うべきもので、美麗の教師は現れたのであった。
「現れたのは『地』か?」
「フードを被っていたから面貌は良く分からなかったけど、放つ術式は間違いなく」
「まぁワタシたちも
「―――成程」
状況を2人からしか聞いていないことに、なんとも複雑だが……。
「いいだろう。全員、解散だ。すぐさま下校しろ」
「ゆ―――」
教師の端的な指示に、誰かが言い咎めようとした瞬間に―――。
『校長の百山東です。現在、正体不明の『魔法使い』の襲撃を受けて混乱をしているのは理解できますが、全校生徒の『一部』を除いて、今は下校をするように―――『特別指示』があったもの以外でいつまでも残っているようであれば、その生徒には幾らかのペナルティを課します。では寄り道をせずに帰宅をするように―――』
巨大な電子スクリーンが全校の領域全てに表示をされて、そこに映し出された御仁が伝える内容は、あまり感心出来るものではなかった。
だが、あれだけの戦闘で、怪我を負った者たち全てに何の不調も『無くなっている』以上……教師、それも校長先生の指示に従うのは、生徒として仕方ない話であった。
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めいめいの体で帰宅しようとする人間たち、その中で身体に異常があるものはないかを、校門前でチェックしていた安宿と小野は……学内に残る一部の生徒を除いて、全員が大丈夫であることを雪姫に伝える。
「ありがとうございます。お二人とも」
『私も帰りたいですよ。愛しのスイートパンプキンの顔を見て安心したい。ママの癒やしはそれだけなのだから』
『子どもは野菜で例えない方がいいんじゃないですかね……』
安宿の言に、そんなツッコミを入れる小野遥の言を聞きつつも、『お疲れさまです』と言ってから、あと1時間ほどだろうなと思いつつ、視線を他に回すのだった。
「さて……何から聞きたい? とりあえず、このバカと一年次席がやって来るまで戦った勇気に敬意を評して、各人一つずつぐらいは誠意をもって答えてやる」
「大盤振る舞いだね。『キティ』」
「他の人間の前でもう一度呼んだらコロス」
質問者ではない浦島が少しばかり妙な茶々を入れたことで場が緊張した。だが、これは彼らなりのコミュニケーションなのだろうと気づけた。
場―――部活連執行部室に集められた面子は、三巨頭に、司波兄妹……浦島啓太にアンジェリーナ・クドウ・シールズ、そして……当の回答者たる松岡雪姫だけだ。
「―――それは、浦島くんやシールズさんへの質問になっても構わないので?」
七草会長の前置きは、ナイスなファインプレーであった。
これを入れていなければどうなったか分からない。
「ああ、余程のプライベートな事以外であれば、私は答えよう。いいな。2人とも?」
最終確認をすると2人の男女は首肯をした。どうやら、基本的に話すつもりはあるようだ。
だが、この話し合いにおいて、焦っているのが克人である。彼は、マギステルであるこの三人と深く関わってきた稀有なマギクスであり、場合によっては質問自体が何というか陳腐なものになりかねないのだ。
(だが、話し合って、今さら俺の情報を曝け出すには遅すぎる……)
なんてこったいと考えていた克人だが……この場は流れるままに任せるしか無さそうだ。
人知れず嘆息をしてから、まずは他の連中にバトンを渡すのだった。
「じゃあまずは私から……浦島君、あなたは実力を隠して入学したの? 確かにCADこそが現代魔法師のツールだけども―――それを用いずにアレだけの威力を早く出せるならば……もっと達者に試験をこなせたはずでしょ?私達を……バカにしているの?」
「随分と悪意的な見方ですね。残念ながら違います。俺にとって、現代魔法が須らく相性が悪いものなんです。それだけです」
「それは……どうして?」
「俺からすれば、現代魔法ってヒドく神経質なものでしかないんですよね。例えるならば、小学校・中学校のテストの採点で、『漢字の書き方でトメ・ハネ・ハライが無いから✕』とか、『計算式で主となる方を逆にしたから✕』『ガメオベラ』の『メ』が『✕』に見えるから『不正解』だの、そういったものにしか思えないんですよ。だから苦手なんです。以上」
それはかなり『理不尽なテスト採点』とも言える。確かに、『正しい文字』という『結果』を求めるならば、そういったテストで『習熟』を調べればいい。
だが、限られた時間でペーパー上の問題に記す『正答』で『高い点数を得る』という『結果』を生徒が求めるならば、そこは若干不問にしておくべき事柄だと思われる。
理解の習熟のそれを調べたいならば、それに値するテストだと事前に説明すれば良いはずだ。
教師が求める正しさと生徒が求める正しさとが、全く以て乖離しているのだ。
生徒からすればある種のヤクザのアヤつけも同然に思うことだろう。
ならば、全てのテストで先生方は全ての問題を『手書き』で書いたものをコピーした上で、生徒にそれを解かせればいい。そこには、生徒から見てもきっと文字のきったない教師もいるはず。
『ン』と『ソ』の区別が着きにくい問題も出てくるかもしれない。
それを書いたのは教師のはずだから……。並べて、そういうことを指導するならば、教師たちがどれだけ正しい文字を書けるのか知りたいものである。
蛇足が過ぎたが、ともあれ啓太の言いたいことはそういうことだろう。
「―――………マギステルの術は違うの?」
「理屈においては、そういうのは無いわけです。基本的な術理は『世界に訴えかけること』がベースなんで、なんでもかんでも己の力だけで『こうしてやろう』とするものとは別種なわけです」
それは……現代魔法師に対する最大級の皮肉とも言えた。
まだまだ理解は遠いが、それでも……マギステルに対する理解は出来たと思っている。
「だからこそ『ミニステル・マギ』という存在が必要なのヨネ」
「そういうことなのかな?」
魔法使いの従者という存在があるマギステルに疑問を持つのは、啓太も同様だったわけだが……。
「ならば次は私だな。端的に聞くがそのカードは、何なんだ?」
「パクティオーカードという魔法使いの従者との縁たる器物。これを持つことで、従者は魔法使いから魔力のブーストによる様々な恩恵を受け、そして戦いのためのアーティファクトを召喚することも出来る」
「そんなものがマギステルにはあるんですか?」
「あっちゃうんだなぁ。これが」
どこぞのアッカネンみたいな言い回しをする雪姫先生に、摩利はどう返したものかと思う。
「けど浦島の持っているカードは―――あれ? 何か変じゃないですか? 主たる魔法使いは、従者の絵柄が描かれたカードを……ううん?」
摩利の突っ込んだ疑問、考えてみれば少しだけ変だ。
「ある種の『例外』を除けば、従者のアーティファクトを主たる魔法使いが使うことは出来ない。そして、その縁を持たない相手がカードに対してアデアットと言った所で、本来はアーティファクトを召喚することは出来ない」
カードは主たる方が持つオリジナルと、従者が持つコピーというのがあるらしい。
「機能としては、先述の通り『主』は魔力を送る。『従者』は魔力を受け取りアーティファクトで戦う。そこは変わらんさ」
「その例外が……浦島なんですか?」
「そうだ。そこから先はコイツの家のことにも関わることだから、私も話せんぞ」
どうやらそこがボーダーラインのようだった。
「ならば、私が渡辺委員長の言葉を継ぎましょう! 数日前にリーナは、それぞれ年齢が違う自分のカードを出してきました!! それはつまり、成長することによっても変わるものなのですね!?」
「ソーヨー」
「ならば、その契約の方法とは!?」
「2つの質問になっている気がするけど、まぁ答えるわ―――ズバリ言えば……!」
その美麗な声が紡ぐ仮契約の方法―――それは……。
「夢でキスキスキス!―――な訳もなく、現実に口づけ、マウストゥマウス! KISSをすることでGETするのよ! 同時に、主たる魔法使いの心もGET―――出来ていればいいのになぁ……」
その言葉で察することが出来るものは多い、あの年齢が違うだろうアンジェリーナのカード。
その数……10枚ほど―――つまり、その意味とは!!!
『―――――――――』
誰もが、その意味に絶句してしまうのであった。
「ちなみに司波兄妹は、これで質問を使い切ったことになるからな」
深雪に与えた質問権―――プライスレス。だが雪姫先生の無慈悲な行いが達也を苛むのであった。
「最後は俺ですな。聞きたいことが多すぎて、正直なんともまとまりませんが……『地のアーウェルンクス』こと、フェイト・アーウェルンクス……ヤツの目的はやはり魔法師の身を―――『裏火星ムンドゥス・マギクス』の維持のために使いたいということなのでしょうか?」
その言葉は―――三人を少しだけ緊張させた。
だが、最後には……。
「そう考えて間違いないでしょう。そしてアレは、地のアーウェルンクスのコピー人形。本物は、どこぞでコーヒー片手に高みの見物ですよ」
そう認めてくるのだったが、あまりにも『不明な単語』が多すぎて、どうしても疑問は多すぎる。
そして―――。
「会頭、あまりにも不明な単語ばかりなので、教えてくれると助かりますが……」
達也としても、今まで知りたいと思っても、この第一高校図書館のどんな文献にも乗っていなかった、マギステルの実態を知ることが出来るのだ。
このチャンスを逃すわけには行かない。
「ああ、いいだろう―――俺も理解が半端かもしれないから、補足ぐらいはお願いできるでしょうか?」
「まぁいいだろう。お前が危機意識を持っていなければ、不幸なことになっていたかもしれんからな」
なんやかんやと雪姫は甘いよな……、そんな事を啓太とリーナは思いながらも……魔法師たちにマギステルの真実が伝えられていく……。