魔法科高校のアイとま!   作:無淵玄白

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1万円分の課金でようやく手に入れたチャイナリーナ。

あやひー(ネネ)のチャイナ気分でハイテンション!を聞きながらだったか!?(偶然)






stage.18『前哨戦』

 

 

 

啓太の知らない所でブランシュの下部組織であるエガリテだか何だかが活発に動き出して、その尖兵として不満を持った2科生たちが放送室を占拠したらしい。

 

お気に入りの『angela』の曲を大音量で楽しんでいた啓太は、その放送を聞いていなかったのだが……。

 

端末に入ってきた連絡で風紀委員は全員集合とのこと……メンドクサイ。

 

そんな感想を持ちながらも、ぞろぞろと放送室前に集まる面子に、『ヒマなんだなぁ』と思いながらアクビをしたのだった。

 

「こういう時ってちゃんとベトナム帰りの将校さんが、投降を促すべきだと思うケドネ」

 

「だってここにいる面子、殆ど1科生ばかりじゃん。ランボーよろしくな説得工作なんて、ムリだろ」

 

などとアンジェリーナと話しながら、事態の推移を見守ることにするのだった。

 

「………浦島……」

 

「なんでしょ?」

 

そんな無駄話を咎めるつもりだったのか、十文字が話しかけてきたので応対することにしたのだが、予想外のことを言われる。

 

「お前の無敵の『マギステル・ネギ・アデアット』の中には扉をぶっ壊しても、元通りに出来るものがあるんじゃないか?」

 

「なにいってんだアンタ? 強攻策で片付けたくないとか言っていたじゃねーか」

 

十文字の変節に、驚愕しながら反対に問いかける。

 

「だが、俺としてはもう無敵の『ネギスキル・アーティファクト』でなんとかしてもらいたい」

 

なんで無敵のスタープラチナみたいに思われているのやら……。

 

そんな便利なものはありませんと言うことで、その追求を打ち切ることに。

 

だが、状況に変化は起こらない。そこで司波達也が動き出した。だが、そのやり口は……正直好かない限りだったがーーー。

 

『騙されちゃダメだよ紗耶香ちゃん!! 扉の前の一年生はアナタの安全を保証して、ここを開けた瞬間に他のメンバーを取り押さえるつもりなのよ!!』

 

司波達也の電話口での会話を『盗聴』していた啓太は、聞こえてきた第三者の声に……違和感を覚えた。

 

『ユウコちゃん……』『ウオンさん……』

 

呆然としたように放送室を占拠していた人間達が、その第三者に対して声を上げた。まるで陶然とした声は、何かの教祖を思わせる。

 

「……」

 

『アナタ! 紗耶香ちゃんに『小物』と罵倒してくれた一年生ね!? 大きな目的がある人間ならば、日々を懸命に生きている小さな事からコツコツとやる人間を踏みにじってもいいと、よくもそういう無情なことを言えたわね!!』

 

「俺はそういうつもりで言ったわけでは」

 

『だったらば何のつもりで言ったのよ!? 紗耶香ちゃんや私達2科生は、日々を汲々としながら魔法訓練に臨んでいる。どれだけ努力しても、1科生級の魔法能力を得ることが出来ないなか、少しでもこの学校で息苦しさを解消したくて訴えを起こしたんだ!!!』

 

言い訳無駄と言わんばかりに畳みかけるような言葉だ。如何にも『心理的に寄り添った』』風に装っておきながら、その実はただの虚言であると見抜いた女子の勝ちだ。

 

「………」

 

『言えないのか!? 打ち拉がれたヒトに対して掛ける言葉が、ただ単に『俺とお前は違う』なんて無情さだけをにじませるものならば、キミの本性なんてものは下劣かつ醜悪なスノッブでしかない!!』

 

その言葉に対して、もはや司波達也の卑怯な騙し討ちは通じなくなったことを感じる。

 

「いつの間にか、悪手を打っていたな」

 

「というか、よくそんなことが言えたワ……」

 

「人心というものを理解できないんだろ。茶坊主しか出来なくて、行田の小城も落とせなかった石田三成みたいなもんだ」

 

「キャッスル・オブ・ノボウ」

 

北米では、和田先生の小説は、そんな訳され方をされているのかいと、笑顔で答えたリーナに思いつつも、手詰まりを起こした状況に―――。

 

「少しだけ遅れたようね……」

 

「―――ふむ。どうやら説得工作はムリだったようだな」

 

後ろの方から、現れたのは会長と雪姫であったようだ。雪姫の嘆くような声が印象的だ。

 

「真由美……」

 

「生徒会としては、有志同盟との論戦に応じる姿勢ではいるわ―――ただ、予想外に強硬な態度にでちゃったわね」

 

「「コイツのせいです」」

 

「リーナ! 浦島君!!」

 

会長の嘆きに対して、即座に司波達也を指差した。そんな2人に対して怒る学年主席様を特に何も思わず無視してから―――。

 

「啓太―――『エックス』に頼んで、電子的な『錠前』を開けてもらえ」

 

雪姫は驚きの提案をしてきた。

 

「え!? だってそれって、さっき十文字さんも警備部に回答を拒否されたとか言っていましたよ?」

 

「構わん。後のことは私が責任を取る。どうせ百山のジジイも、ケンと話せるならばそれぐらいは許すだろうさ。それと開けた後には何もするな。いいな。取り押さえるなど、強硬なことに出れば容赦なく斬り捨てる」

 

そう言われては、もはや啓太としても何も無かった。そして何より……雪姫も、司波達也の言いようにあまりいい気分ではなかったようだ。

 

そんなわけでいつも入れている『音楽端末』を取り出してから前に進み出る。

 

「そういうわけだ。NO.『XXX』―――頼めるか?」

 

『容易いですね。では電子精霊七部衆! 出ろーー!!』

 

『『『『『『『アイアイサー!!』』』』』』』

 

一連の事、言葉だけならば気楽な様子だが、傍から見ていた達也たち一同は、びっくりおどろきの限りだ。

 

浦島のもつ音楽端末から出てきた『ホログラフィ』の美少女が、ひと声かけただけで、これまたハムスターかリスのような浮遊する存在が出てきて―――。

 

放送室のロックが全て解除された。ぎょっとするような出来事だが。開けたあとに―――。

 

「言ったはずだ。何もするな。とな」

 

扉の向こうにいる有志同盟を取り押さえんとしていた、血気盛んな風紀委員たちに突きつけられる『手刀』から伸びた……『魔力剣』とでも呼ぶべきものが、雪姫先生から放たれていた。

 

更に言えばシールズに、浦島からも伸びていた。

 

「『頭』を動かすな。別にお前らの首を刈り取って、火星人どもに売りつけるぐらいは出来る」

 

達也に『断罪の剣』を突きつける啓太は警告を放つ。その事にぎょっとしたのか、眼を一度だけ見開いてからこちらを見てくる司波達也。

 

「―――本気か?」

 

「お前の稚拙な交渉でこんな事態になったんだ。俺が本気がどうか、そもそも可能なのかどうか、それくらいは悩みやがれ」

 

「……」

 

「明朗な白黒ばかり着けたがるのはお前の性分なのかもしれないが、そういう風に答えばかり求めたがる態度が、不安定な人間の心をささくれ立たせるんだよ」

 

にらみつけるようにしてくる司波達也だが、こちらの態度を前に、どうやら折れたようだ。未だに睨んでくる司波深雪だが、どうでもいい。

 

そして―――。

 

扉を開け放ち、驚いた様子の同盟員たちを前に飄然と言い放つ。

 

「こんちゃーす。1-Eの浦島啓太です。どうやら生徒会長は皆さんとの論戦に挑むそうなので、まぁここを出てから色々と考えてくださいよ。今度こそ本当に、皆さんに手荒な真似はしませんので」

 

その有志同盟とは全く繋がりのない啓太の言葉で同盟は従容と出てきて、その後に壬生紗耶香と会長が話して、どうやら……論戦などに関して日程などを詰めるようだ。

 

啓太としてはどうでもいいことだ。

 

だが、雪姫としては司波達也に一家言あるようだ。

 

「お前のそれは合理性だけを突き詰めた邪悪でしかない。お前はただの卑怯者だ。司波達也」

 

「……俺は俺のやり方をしただけです」

 

それが、あんな風な騙し討ちでしかないならば、尚の事良くはない。

 

「そうか。ならば貴様は、誰かにとっての合理で排除された時に、それを受け入れるのだな? 魔法世界人たちが生きる権利を行使するために、貴様らに『生贄』になれと言われて、それを従容と受け入れるのか?

誰かに毒刃を振るうものは、いずれその誰かに親しい者から毒刃を見舞われるだけだ。貴様の道理で合理など、自分の安寧だけを守ろうとする小物の理屈だ!!!!」

 

ベニスの商人たるシャイロックは、金を貸した相手の足元を見て、相手の命を奪おうとした。そういった風な言葉尻を捉えたような行いは、人としての品性を疑う行為だ。

 

もっとも、その後にシャイロックは『ご都合主義』的なやり方で逆襲をされるのだが……行為の善悪はともあれ、あまり良くはない話だ。

 

「――――――」

 

魔法使いたちから『魔王』と呼ばれた悲しき村娘の言葉が、俗物の頂点たる偽性の魔王を貫くのだった。

 

 

 

―――翌日、有志同盟とやらは活動を開始した。論戦において支持者を募ろうという考えだが、どうにも空気は良くない。

 

2科生を主体とする有志同盟の主張は、簡単なものだ。

 

部費ぐらいはあげてもらおう。そういう話であった。

 

だが、それで収まるかと言えば、そうではないだろう。

 

そんな風に巡回をしていた時に……。

 

「どうも」

 

「どうも」

 

誰だっけ? と思う黒髪の女子の登場に啓太は疑問を覚える。

 

ああ、そうだ。思い出した。司波達也の奸計を打ち破った有志同盟の智将である。

 

たしか「ウオン ユウコ」とか言うなんだか中華系にも思える名前の人物であった。

 

「浦島君だったよね。ありがとう―――紗耶香ちゃん達に乱暴をしないように取り計らってくれて」

 

「俺じゃないです。最終的にそうしたのは雪姫先生ですので」

 

「それでも、さ……その優しさが私には嬉しかったんだよ。ありがとう―――」

 

「大袈裟ですよ。それじゃ論戦がんばってくださいね。ウオン先輩」

 

「うん、ありがとう『ケイスケ』」

 

その名前を呼ばれた瞬間、踵を返していた啓太が振り向くと、既にウオンという女子は居なくなっていた。

 

ウオン ユウコ―――どういう字を書くのか、今更ながら気になって調べることにするのだった。

 

 

 

「こいつは……だが、まぁ確かにな」

 

「イマまで気付けなかった。というよりも……隠れていたのネ」

 

手に入れた個人情報。そして見抜いた全て……それが、この事態を理解させていた。

 

だが、誰に『■く』のか、それが分からない……。

 

ブランシュ、エガリテとかそんなことにはあまり興味はない。2科生など彼らの心の隙間に入り込んだのは、結局の所……魔法能力を限定的にしているからだ。

 

魔法師たちによる富の独占。そこに起因するのだから。

 

「そういや雪姫は?」

 

こんな重大な情報をあのヒトに教えておかなければ、どうなるか分かったものではない。

 

だが―――。

 

「ナンカ、知り合いと会うために『お寺』(テンプル)に行ってくるとか言っていたワ」

 

ハシゴを外されたという程ではないが、どうにも透かされた気分だ。明日に動くのか、それとも……分からないが、それでも準備だけはしておこうと想う―――。

 

「アンジェリーナ?」

 

「……」

 

後ろから抱きついてくる少女の心が分からないほど、啓太も鈍感ではない。

 

明日、もしかしたらば地のアーウェルンクスとの戦い以上のものが、一高で繰り広げられるかもしれない。

 

(■■の来臨が、あり得たかもしれないからやってきたのか? フェイトさん……)

 

明確なものがあったのか分からないが、それでも……。

 

「大丈夫。俺は戦う……出来ることならばキミには家にいてもらいたいよ。キミを守るつもりはあるが、それでも」

 

不幸なことになれば、親戚一同に申し訳が立たないのだから。

 

「ワタシがケータの約束の女の子だったらよかったのに……」

 

それはもう終わった話だ。だが、それでも不安を覚えている女の子に寄り添うことは、どうしてもやらなければいけない事なのだから。

 

「今日はもう寝よう」

 

「ウン……♪」

 

詳しく言わずとも、一緒に寝ようという意味での言葉。

 

そして――――。

 

翌日、寝相が悪すぎるアンジェリーナは、啓太の顔を胸に抱きしめながら健やかに寝ているのであった。

 

ワザとやっている可能性を論じることは出来ない。その寝顔を見たあとでは……。

 

そういったことは野暮に思えたのだから。

 

 

「では師匠は、この一件―――どう思っているのですか?」

 

「いやぁ僕にも既に分からないな。ただ『アーウェルンクス』の狙いが『君たち』、しかし……それと協力関係にある『ブランシュ』の狙いは、魔法師そのもの―――そしてこれが一番厄介だ……『彼女』は……紛れもなく再来する……」

 

彼女……それは果たして何なのか? 今回の一件における八雲の歯切れの悪さは、達也を少しだけ苛立たせる。

 

言えぬこと・明かせぬことが多いのは分かるのだが、どうにも……。

 

「この事態において、君たちは流れに逆らいすぎると、途端に不幸な結末に成る―――起こっていることを見極めて動くんだ」

 

無茶苦茶な話ではある。もはやブランシュとアーウェルンクスとやらの関係など、殆ど意味がないと言われたようなものだ。

 

だが……。

 

―――『気をつけて生き延びた方がいいよ。お兄ちゃん』

―――『カメのお兄ちゃんが一番強いんだから、肩肘張らずに頼った方がいいよ』

 

などと隻眼のご老人に連れられた10歳ほどの幼女―――金髪の子が言っていたことが、プレイバックする。

 

自分たちと入れ違いで寺を出ていった2人というよりも1人の言が……。

 

そうしてそれぞれの夜は更けていき……討論会の日はやってきた。

 

 

 

 

 

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