はじめの一歩が何と戦っていたのかを思い出す!!
シマヒロのRAVEはどこまでやっていたかを思い出す!!
ハレビは筑波FIVEと対戦していただろうか!?
気分は異世界おじさん――――――なわけもなく、続話をお送りします。
即時回復するも、そこを狙ってリーナは胸ぐらを掴みながら、啓太を立ち上がらせる。
「まさか、ソーユー態度を取られるだなんて想っていなかったワ! 会長サンにジョン・ドゥを名乗って、ワタシに対しても、ノーネームノットを貫くなんてネ!!!」
胸ぐらを掴みながら涙目のままそんなことを言う、アンジェリーナ・クドウ・シールズという親戚に少しだけ苦しくなりながらも、言わなければならない。
「知り合いじゃない方がいいだろ。見ろよこの虚無の限りの腕部分を、俺はアンジェリーナみたいな優秀生じゃないの。こんな人間が親戚にいることを恥じた方がいいだろ」
この国で生きていく上で、知り合いであっても、知り合いでないという態度の方がいいこともあるのだ。
それは相手が、その共同体でどういう人間であるかにも関係する。
警察に就職した友人と馴れ馴れしくする極道なんて構図は、当たり前に
どちらかが相手の立場を尊重して、引いた関係を構築するのがいいはずだ。それを弁えられなければ、お互いが不幸になるだけなのだ。
「ソ、ソンナのって……ソレがニホンの
胸ぐら掴んでこちらを見上げていた親戚筋であるアンジェリーナが、本当に悲しい顔をしていた。罪悪感が湧き上がる―――しかし、とりあえず告げることを告げる。
「俺の感覚では、そういうことだ。もう手遅れだけどな」
メンドクサイ想いを消して、視線を向けてくる連中をサラっと無視して、帰り支度をすることに。
「待ってケイタ。ワタシも帰るから」
「そっちのヒトたちとお話しなくていいのか?」
「―――ええと……ダ、ダイジョウブでしょうか?」
確認を取っていなかったのか? と半ば呆れながらも、そっちのヒトたちの筆頭である会長に戸惑った眼をするアンジェリーナだが、微笑を浮かべて、大丈夫ですよと言われたことで帰りとなる。
「浦島くん―――『田中ですが』……すっかりバレたというのに、平然とウソを吐き続けるあなたのその心胆には物申したい気持ちもありますが、いまはよしておきます」
「そうですか。無理に土俵外でのことに、物言いをつけなくてもいいと想いますけどね。理論主席サマのベンチに座っていたオマケですし」
今は、総合次席のオマケではあるがと、内心で皮肉を言ってから立ち去る。
「お前の方が先にベンチに座っていた。 寧ろ俺のほうが」
その背中に物申す人間は、他にもいたが―――その言葉が何の慰めになろうか。
「関係ないだろ。それじゃバイナラ」
司波達也のそれをさらっと無視して帰ることにする。多くの敵意と悪意を背中に受けて、全身の『紋』が疼くも構わぬ。
たまには、こういうことをしておかなければならないのだから。
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十分に校舎から離れて、誰も聞いていない状況になってから口を開く。
「なんでここにいるんだよ?」
「ニホンのマジックハイスクールに入りたかったからよ」
「ケンじいちゃんの伝手で、関西方面でも良かったじゃないか」
「関西の料理はちょっとノーマッチなのよ……ダメだった?」
「別に俺の意見でキミの進路をアレコレすることは出来ないし。だけど、一言なにか欲しかったかな」
だが、アンジェリーナがなにか言ったからと俺の進路は変えられない。
我が家と長い付き合いの『永遠姫』からの進言だったのだから、断れなかったのである。
「ソレに……アナタに、ケイタに会いたかったもの……ダメだった?」
「別に『何かある』ごとに会っていたじゃないか」
この親戚は自分の魅力とか能力とかを理解しているんだか、していないんだか。
ノーマルのハイスクールに行けば、チアリーダーのクイーンビーとして、アメフト部のクォーターバックのジョックと付き合っているぐらいにお似合いなのだ。
そんな人間とまるで釣り合いが取れないのが、浦島啓太という男だ。
勉強はまぁまぁ頑張った。トーダイに『約束の女の子』と入るべく、中学の全国統一試験では上位に食い込んでいた。
運動は―――『本気』を出すわけにもいかないので、まぁそこそこ。特定の部活には入らなかったが、暇な時には何かの助っ人程度には活躍していた。
彼女が欲しくなかったわけではないが、啓太の中にある『約束の女の子』……美化されすぎかもしれないが、今は自分との約束など忘れているかもしれない彼女のことが、どうしても離れないのだ。
だからこそ……、ソレ以上にアンジェリーナの今後の学校生活のためにも、線引きは必要なのだ。
「まぁ
「……ナンデ、そんなにネガティブな努力をフルパワーでやろうとするのヨ?」
膨れて明後日の方向にそっぽを向くアンジェリーナに、溜息を突きつつ吐く。
「リーナ、これはキミの―――そしてひいては、オレの安寧……あー……クリアライフのためなんだ。理解してくれ」
安寧という難しい日本語で? を膨れ面のままやるリーナの器用さに、少し可笑しい思いを懐きながらも言うべきことを言う。
「とにかく、俺は
そこで自儘になって家族を離散させなかったヒトの努力を理解出来なかったのか。
そして、伯父さんはアンジェリーナの高い魔法能力ゆえに、自分を蔑むことを恐れていた。けれど、だからと娘のことは尊重しているし、結果的に自分の努力を蔑んだとしてもしょうがないと、諦めの境地だったのだ。
「ソ、ソンナ言い方……ヒキョウよ!! ワタシだってダディが、どんな想いで育ててくれたのか理解できないオヤフコーモノじゃないもの!! ―――けど、ソレとコレは別よ!! ダディとマムは、別にお互いが『同じ』だから結婚したんじゃないモノ!! 愛し合えたからワタシがいるモノ!! トニカク―――ワタシは、ケイタに関わることを止めないんだから!!」
しかし……そんな親心は伝われども、彼女は―――世の理不尽には『立ち向かう』道を選んじゃうのだった。
いや……本当ならば、そっちの方がいいのだ。もっともリーナパパとて、その理不尽に立ち向かった一回が『決定的な運命』を退けたのだが……。
こうなってはどうしようもない。
真っ赤な顔で、必死にその蒼眼を向けてくるリーナにあきらめることにするのだった。両手を握りしめて言う姿にどうしようもないのだった。
「―――分かったよ。もうコレ以上言わないよ……ただ、俺の秘密は明かすなよ」
「ダイジョウブよ。そのあたりの節度はワタシも弁えてるモノ!!」
本当かよと思いつつも、とりあえずマリアおばさん辺りの気苦労を考えて、リーナの住まいを教えてもらうことにするのだった。
この子が一人暮らしなんて出来るわけがないし、変に凝った料理なんぞ作ろうものならば、部屋全焼なんてこともありえる。
そういうことを言って怒らせるのもアレなので、その辺を伏せながら語るも、リーナは何も言わなかった。
「マァ、それはオイオイで―――まずはケイタの住まいを見せて。マスター・ユキヒメから聞いているわ。ひなた荘から出たそうじゃない♪」
「いつまでもいられないからな」
「スズカの主人公みたいな境遇からは脱した訳ネ」
「そういうこと。しのぶおばさんには世話になったな」
嘆息しながらも、そうして家に雪姫から教えられていた住所に向かうと―――。
「鍵は」
最新式のセキュリティが施されていても認証キーは必要なわけで、懐を探っていたところ。
「ワタシが持っているわよ」
なんで? という疑問を呈する前に、玄関を開けて入り込むリーナの姿。
「あっ、もうオチが分かってしまった。なんでそういうことするかなー……」
「同年代の美少女と
「景太郎ジイさんの時代だったらば、それなりにいいかもしれなかったが、この時代でソレとかマジかよ」
親指立ててGOODなポーズを取る美少女に、もはや諦めである。
だが、どうせならば目の届く所にいた方が安心できる親戚の子ではある。ゴキブリやネズミが出たからと呼び出されるぐらいならば―――。
「ケイタ、荷物ほどかないと寝る場所も確保できないわよ―――あっ、一緒の寝具で寝るからいいのね♪」
全力で荷解きに取り掛からなければいけないと感じた瞬間だった。
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若人たちは、今ごろアレコレだろう。そんな中に「年寄り」が入り込むわけにもいかずに、今は校長室にてアズマと将棋盤を挟んで会話となる。
「―――まさか、アナタが再び現世に関わるとは……」
緊張しながら盤の向かい側に座る『年寄り』に言い放つ。
「黙って引きこもっていれば良かったか?」
そんな髭面の『若造』の言葉を受けた『年寄り』は、薄く笑いながら戯れのように言う。
「……若い頃ならば『何で黙っているんだ?』と憤りを覚えていましたが、今となっては『俺たちの安寧を崩さないでくれ』と言いたい気分ですよ」
「ケンをアメリカに追放してまでも得た安寧に、お前が価値を見出すとはな」
その強烈な皮肉に、百山東はキレそうになったが、こらえる。勝てないからではない。そういうことではなく……。
その指摘がもっともすぎて……今の自分は、親友を裏切っていたからだ。
「火星への『門』は閉ざされたまま、あちらの状況は断片的にしか伝わっていない。しかし―――あまりいい状況ではないな」
「アナタならば門扉を蹴破ってでも向かうこと出来るでしょうが―――当然、最強の門番も千切り捨てて」
「それをするほど暇じゃないんだな。これが……だが、必要とあらば、それをするさ」
和菓子屋『うらしま』の銘菓の一つである亀饅頭を口に頬張りながら、考える。
将棋盤の上では多くの駒が王手を取らんと様々な動きを見せていた。
「―――来るのですね。魔法界から災厄が……出来損ないの模造品である我々を『生贄』に捧げるべく」
不安を吐露する。それに対する慰めを期待したかったが、福音は―――その魔法と同じく冷たかった。
「であればお前たちは備えるべきだった。しかし……あの小僧の持つ魔法は、ある意味では最上級にヤツラが狙うものだ。英作が首を刎ねなかったのは、どういう心算かは知らんがな」
嘆息して想うことは只一つ………『どこで選択を間違えたのか?』その疑問である。
「まぁまずは―――私はここの教師だからな。教え導こう。それだけだ」
「―――……衰弱者を出さないでくださいね」
「吸血なんてとっくの昔にやり方を忘れた。私の機能は、どんどん退化していく―――あるいは進化して『仙人』の境地にいくのかもしれない」
俗世において自分は退化していく―――魔女のように狭間にいられればいいのだが……。
(俗物なんだな。私は)
仙人にはならないし。なれない。
ヒトとしての生を失ってしまったからこそ、そこに未練を残す。どうしても妬ましいのだ。
「何にせよ。賽は投げられた。手助けはする。しかし―――本当の意味で、どうするかは……お前さん方が決めねばな」
結局―――選択権は自分たちにあることを痛感させられるのであった。