魔法科高校のアイとま!   作:無淵玄白

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ライジングフリーダム……イモータルジャスティス。

アストレイ系列の阿久津氏は『正統派』なんだが、どうにもライゴウガンダム位から大河原先生のデザインは正統派じゃないガンダムフェイスを採用しちゃっているよな。

ときた先生がリファインしてストライクに近づけたのも分かる。


stage.49『新人戦五日目・three』

 

「まずは、マギステルの術の分類などは別に説明はいらないですね。基本的には、呪文詠唱によって発生する現象ですので」

 

「ええ、マギステルの扱うエネルギー……サイオンとは違う『魔力』とは空気、水その他全て万物に宿るエネルギー……」

 

「また流派によっては『気』という体内燃焼のエネルギーで現象を発生させるが基本的には同じ……そこまでは分かっている」

 

不承不承というか、現代魔法師としては納得いかないものを覚えつつも、話は進む。

 

「ここまでは俺とて理解している。そしてマギステルは基本的に『思う』だけで俺の家に代表されるような十の研究所が研究してきた『強固な障壁』を展開しながら歩き回れる……そしてそれ以上の障壁魔法も展開できる。アレはお前だけに許されたものなのか?」

 

「一条との戦いと先の戦いでやったこと……亀甲玄武大玉壁を示しているならば、まぁその通りですが。別に外部に貼る巨大なディフェンスマジックは幾らでもありますよ。あのフェイトの曼荼羅魔法障壁は大気圏外からの巨大レーザーも防げますしね」

 

次いで言われた言葉に、十文字は涙が出そうになる。十研の研究とは何だったのか?と言いたくなる。

 

「――――――そうか。『闇の魔法』に関しては吉田が少しだけ教えてくれた。問題は……お前が所有しているAI……ARTIFICIAL INTELLIGENCE ミス・エックスに関してだ」

 

「十文字会頭、一つ訂正を―――エックスは俺の使い魔でもなければ所有物でもない。友人です」

 

強い言葉。昔からの血を絶やさずにきた貴いものとしてのそれを感じた。

 

所詮イメージでしかないが……ともあれ、その言葉を受けてか……。

 

『私の事を知りたいならば私に聞けばいい。ケイタを責めるな』

 

「「―――」」

 

いきなり現れる美女に2人が息を呑んだ。相変わらず何の兆候もなく、様々な電子機器から出てくるものだ。

 

『お前たちが何を知りたいかは何となく察している。私が何をしていたのか……あのシバとか名乗っている男の言葉を半分借りれば私こそが、ケイタ・ウラシマの『CAD』(術式補助機)なのだ』

 

その言葉に30秒間の沈黙を2人の先輩が強いられたのは間違いないのだ。

 

「ど、どういうこと? だってアシスタンツが、AIってどういうことなの?」

 

『そこから先は少し長い話になる。同時に私の出生(プライバシー)にも関わる話だ』

 

腕組みで豊かな胸を寄せて言った嘆息というポーズでの人間らしい言葉―――というよりも、その動作と色香に目を奪われた十文字克人は、隣に座る真由美から咳払いをされてしまう。

 

『まぁ、私という『個』(パーソナルカラー)に対して人間性や人格を認めないのならば、答えてやるが』

 

「そんな無情なことはしませんが……」

 

どうにも調子が狂わされる。だが、一つ分かることは……このヒトこそが、啓太の魔法使用を現代魔法並みに早くしているのだと気付かされる。

 

『私のようなAIを使って魔法使用を簡便にするというのはUSNAでは、もはや普通のことなのだよ。あちらは既にロック○ンエ○ゼと言っても過言ではない』

 

「そんなことが……」

 

「何故、俺たち……特に日本の魔法師には、そのことが伝わっていないんだ?」

 

驚愕する真由美と十文字。疑問は当然である。

 

「まぁ情報統制を強いているんですよ―――日本側が。ただネットワークで外国の魔法師と話すぐらいあれば、気付けそうなもんですけどね」

 

だが、それは無理だった。これは九島烈の劣等感に塗れた施策の一端であり、このために九研は関西呪術協会に膝を折って服従を示したという経緯もあったりするのだ。

 

無論、協会側も喧々囂々であった。そもそも協会としては烈など泡沫候補も同然。九島及び九の魔法家の統括をするのは、九島健だと思っていたのだから、正直言って憤慨するぐらいだったのだ。

 

『―――あんたが、それをやりたい言うんは分かる。せやけど『麻帆良』の術を使うんは一回やで、もしも『黒船』が来航したらばいさぎよく受け入れる。それが最後の線や』

 

最終的な沙汰を下した『近衛のババ様』によって一応は呑み込んだらしいが、あまりいい気分ではなかったのだろう。

 

「あっ、前に言っていた米国の魔法教育がMITと協力しているってのは、それなの?」

 

「そうですね。その体制を作り上げたのが九島 健(ケン・クドウ)―――50年以上もの眠りに着いていたNo.XXX(エックス)というAIを目覚めさせた男というわけです」

 

その言葉に解けたはずの頭が、こんがらがる。

 

何故……最先端技術の粋たる存在が50年以上も眠りにつくのだ? 九島健こそがこのAIを開発したのではないかと思うも。

 

「まぁそこから先は後々に教えますよ。ただ一つ断言出来るのは、あの理論主席みたいなこまっしゃくれた理論派及び魔法至上主義(マギクスイズム)を標榜している人間は受け入れられないだろうということです」

 

「……確かにAIが魔法師の魔法発動を様々にアシストしてくれるならば、司波のような人間はいらなくなっていくか……」

 

とどのつまり。技術の最先端が平凡な能力者を上級の能力者に変えるというのならば、司波達也のような技術畑の人間はいらなくなっていく。

名のある剣士に研ぎ澄ました業物を持たせるということが、銃砲火器の登場で無意味になっていくのと同じように……。

 

―――という若干『ズレた結論』を出した十文字克人に特に訂正することをせずに、もういいでしょうか? と聞くと……。

 

「ああ、今はとりあえずいいが……お前は、もう少し自分を晒せられないのか? それと……いつまでも他人、同級生のことをそういうレッテル貼りのような呼び方をするな」

 

「意味合いが通じていればいいと思いますけどね。それにアイツらは自分の出自を隠して魔法科高校(ガッコー)に通っているんだ―――『ご同輩』であるあんた達をも偽ってね」

 

その合間に、啓太は魔法で『四つ葉のクローバー』を多量に出現させて机に散らす。

 

それが符牒であることが分からないわけではない、頭の血の巡りが悪くはなかった先輩2人が、驚愕の表情で啓太を見てきたが……。

 

―――ご安心を。このテント内での映像はすべて違うものに移し替えています―――

 

エックスの言葉と指を使って文字を虚空に写すは啓太。口頭でのやり取りはマズいのだろう。

 

―――司波達也は、覗き見(ピーピング)を幾らでも出来る『魔眼』を持っている。無理だと思いますが、用心したほうがいい―――

 

それだけで、相手の緊張がマックスになったのだが、その後には―――

 

「それではそろそろ試合なので御暇させていただきます」

 

それを覚醒させるように、啓太は椅子から立ち上がるのだった。

 

「―――ああ、頼むぞ」

 

衝撃的な事実かどうかはまだ真偽不確かな面が多いが、それでもいま考えるべきことではないのだから。

 

などと考えていた矢先……。

 

「う、浦島!! ど、どうだこの衣装!? 本戦ミラージで着ようと思っているんだが!?」

 

などとコメディリリーフよろしくテントを開けて、渡辺摩利がやって来た。

 

その衣装は……。

 

「あー、いいんじゃないですかー。天元突破しそうな男運最悪のガンナー離島の教師な衣装っすねー」

 

『公序良俗違反で逮捕されないことを願うばかりです』

 

「すっごいお座なりなセリフと生暖かい目をされた! 真由美が色仕掛けで話を聞き出せとか言うから中条と一緒に、ここまで来たというのに!!」

 

「わ、私だってミリマスの衣装を着てきたってのに!!」

 

「おつかれさまでーす」

 

真面目に取り合うのも面倒くさい想いで、啓太はエックスと共にテントから去って、本日の第三試合目をどう戦ったものかと考えるのであった。

 

 

「あれがプリンス、か」

 

「浦島が普通に倒していたが、やっぱりスゴイ魔法能力だよな」

 

「けれど、何だか暗い顔をしてるわね」

 

達也、レオ、エリカ。と順番に言う。準決勝に上る前の最後の戦い。ようやく見れた三高と二高の戦い。

 

当然のごとくその戦いは最大級の注目を浴びていたのだが……。

 

「時逆君は、どうするのかしら?」

 

「……分からんな。時逆は浦島と互角のチカラはあるみたいだが……ピラーズであの2人が戦った場合はどうなるのか」

 

それはつまり、一条(プリンス)の爆裂などの魔法を凌げるかどうかにかかるわけだが。

 

時逆は当たり前のごとく基本的な装備をしている。モノリスに出場する選手が着るアーマーにヘルメットだが……どこか煩わしそうにしているのが、気がかりだ。

 

しかし、戦い自体は滞りなく行われていく。

 

だが、その様子は……少しずつ変化していく。

 

攻めていく一条に対して防戦一方であった二高であったが、攻めていた一条が苦しい表情をしている。

 

(なんだ……?)

 

偏移解放で圧縮された空気圧の砲弾を幾つも放っていた一条。

それを守護の魔法陣だろうもので防御する時逆。

 

十師族の魔法力に対抗できるだけの防御陣を張れる辺り、マギステルというものの特異性か、それとも時逆が異常なのか分からないが……。

 

ともあれ一条は、徐々に苦しくなっていく。見かねた吉祥寺が、中野という男を一人モノリスに残して援護に向かうが……。

 

それを迎撃するべく、二高の他のアタッカー…犬上と神多羅木という男が驚くべき速度で向かう。2対1の不利を悟るも、迎撃してやろうと思った瞬間にーーーー。

 

「おぷばっ!!!」

「中野!?」

 

少しだけ遠くであったはずのモノリス付近にいた中野が吹っ飛ばされたことを見たあとには、どちらに向かうかを逡巡したが……それより早くーーー。

 

「―――白烏爪斬空閃!!!」

「ぐおぶっ!!!」

「十連!!!」

 

遠くから五指と腕に何かの強化を掛けた時逆によって放たれた『飛ぶ爪の顎』が、将輝をアーマーごと切り裂いていた。

 

その鋭さと圧はとんでもなくて、将輝を完全に吹っ飛ばしていた。

 

「―――」

 

エースを吹っ飛ばされたことで茫然自失していた数秒。その隙を見逃す二高ではないわけで……3対1となった吉祥寺が倒されて、そして中野はあの一撃で気絶していたらしく、結果、二高の勝利となるのだった。

 

「いやはや派手にやっているじゃないの」

 

そんな様子を会長・会頭との会談後に見た啓太は、勝てば準決勝は三高とかと思う。

 

9校を等分してリーグ戦をやるとなると、どこかが一試合多くなる。大抵は前年の優勝校が一試合分の勝利を持った状態だったりするのだが……。

 

(今年はトラブルがあったからな)

 

そんなことを思いながらも、九郎丸というよりも二高が偏移開放の圧を反射することで『定在波』として一条にぶつけるとは……。

 

見えぬ攻撃こそが最強の攻撃。

見えている銃弾は避けられる銃弾。

 

そういうセオリーなのだ。マギステルの戦いとは……。

 

 

(お前のトリックは俺には利かないが、それでも用心すべきかな)

 

「一条君がやられた理屈は何なんですか?」

 

「九郎丸は、防御陣を前に張ると同時に一条の後ろ、富士山を利用して『壁』を作った。そして恐らくだが、あとの2人も同じように反響する壁を左右に作ったんだろうさ」

 

さながら爆弾が仕掛けられたバスで、車体はほぼ無事であっても中にいた乗客たちは反射された『圧』という波で肺を破裂させて死んでいたようなものだ。

 

「俺だったらば進んでいる内に苦しくなれば、立ち止まるよ」

 

何を意地になって進んだんだか。と隣にやって来ている人に言ってから……。

 

「介抱しに行ってあげたら? 君のところのチームメイトでしょ?」

 

「むしろ女子全員でその権利の争奪戦が行われていそうなので結構です」

 

普通の男子ならばイケメンリア充爆発しろ、と言いたくなることだが、啓太にとっては、どうでもいい。

 

「あっそ、んじゃお大事に」

 

話すことなどこんなものだ。一色愛梨との会話を打ち切ってから試合準備に向かう。

 

「浦島君―――」

 

「いいえ、平凡な名前の一高一年2科生 田中です」

 

皮肉を乗せて一色に背中を見せながら去る。お前とは話したくないオーラを出しながら……。

 

3つ目の試合は始まる……。

 

 

 

 

 

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