不謹慎だと思った方いれば、少し展開を変えようかと思います。
別にこれじゃなきゃいけないというわけではないんですが、書いてる時点ではいいネタではあったので出さないのもアレかと思いつつ、反応次第ですので感想欄にお願いします。
『さぁ! 様々な紆余曲折あれども新人戦モノリス・コード 準決勝!! 第三高校対第一高校の戦いが始まります!!!』
「……おい一色、大丈夫なのか?」
「だ、大丈夫ですわ一条君、ええ本当に」
何だか情緒不安定気味な様子を見せる一色愛梨にさすがの一条将輝もまた声を掛けざるをえない。
だが、ここまで来た以上は戦うべく意思を持つしか無いのだ。
こちらの人員は一色含めて8人、あちらより4人も多いのだが……。
(司波さん。まさかあなたまで此処に立つだなんて)
てっきりシールズとかいう女の子がやって来ると思っていたのに、本当に盲点でしかなかった。
しかし、それでも三高の勝利のためにも彼女は倒さなければならないのだ。
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「やるべきことは変わらんな。ただ深雪、お前も前に出てくるのか?」
「当然です。お兄様のバックアップは私がやらねばなりませんから」
「そうか……」
達也としては、後ろにいてほしい。だが後ろにいるのが浦島という深雪とは相性最悪の男子であれば、どんなことになるか分からない。
そんな浦島は先程からワイヤレスイヤホンでシャカシャカとお気に入りのポップスを聴いているようだ。
(浦島なりのルーティーンなのかもしれないが)
どうにも緊張感を削がれるものだ。もっとも、結果はちゃんと出しているわけだから……それをどうこう出来ないのがもどかしい。
そんなこんなありながらも草原ステージでの戦いが始まる。
三人の一高アタッカーが草原を進み三高モノリスへと挑みかかる様子に、啓太は一昔前の『なーろう系ラノベ』の様子を思う。
サポートスキルで今までパーティを支援していた補助役が、イキった主攻メンバーによって『お前はクビ』だとパーティを追放されて、後にイキったメンバーは色々と苦境に立たされるというフォーマルなストーリーテーリングだ。
俗に『サポーター追放系』というものである。
『それだと私が『啓太のスキルはそんな易いものではありませんよ。』と啓示を与える女神か妖精ということですね。ケータ・ウラシマ。嘆いてはなりません。アナタのチカラは天・人・魔の三界を揺るがす恐るべきものなのです―――こんな文言ですかね?』
エックスのような妖精はありえないので、まぁ女神が相応であろう。
タイトルは「ああっ女神さまっ」 というところか。気分はお助け女神事務所からベルダンディー(永遠の17歳)がやってきた感じだろう。
そう無駄ごとを考えながらも進撃していく三人を見ながら流れ弾でも飛んでくるかと思いつつ、ディフェンダーとしての意識を持っていたのだが……。
「んん? ん―――まぁいいや」
一条将輝は、司波達也の疾風の如き進撃を防がんと攻撃するかと思っていたのだが、どうやらこちらに対しても攻撃を繰り出すようだ。
繰り出される空気圧は中々にうざいが、特に問題はない。当たらない弾に怯えるほど浅い存在ではないのだから。
よって、モノリス近くまで後退するのだった。
今まではモノリスから遠ざかった一番外側にいた啓太だが、モノリス近くに陣取ったことで一条は下手に攻撃をすることが出来なくなった。
(モノリスを割る条件は、モノリスの半径10mから無系統魔法を放つことだが、それ以前にモノリス自体を発破するような行為……『遠距離』から攻撃すれば失格の判定を受ける)
ある種のオフサイド的な判定を受けるということだ。オフサイドのルールが無い頃のサッカーというのはロングボールばかりをゴール前に蹴り出すものだったのだから……。
なにはともあれ、モノリスに影響が出るような位置に陣取った啓太を前に一条は攻撃を躊躇するようになった。
それは同時に司波達也への攻撃の集中となる。
(お兄様がありったけ攻撃されてもいいっていうの!?)
啓太の行動を無言で非難するは深雪である。それが逆であった場合、兄を非難することはしないだろうが。
ともあれ、兄が一条将輝の空気圧をディスペル・マジックで砕いていく以上。攻撃は深雪の担当だ。
「深雪、俺はいい! それよりも囲まれつつあるレオの支援を頼む!!」
「はいっ!!」
「ナメるなよっ!!!」
その言葉と同時に達也を深雪もろとも偏倚開放の圧に包もうとする一条将輝の容赦ない攻撃に面食らう。
こいつは深雪に懸想ないし・邪な思いを抱いていたはずなのに、このようなことをするとは―――。
(それだけではない!)
殆どの主力が前衛三人を塩漬けにせんと魔法を繰り出す。
「ちぃっ!! レオ、こっちに来い!!」
「お、おうっ!!」
「させないよっ!!」
レオを呼び寄せて防御を固めようとした時に、それを邪魔するように三高の吉祥寺は攻撃の圧を強めて合流させないようにする。
(そうか、こいつらの目的は俺たちを沈黙させてから、1人しか居ないモノリス前を陥れるということかっ!!)
だが、それすら囮。本命は―――。
(例えどれだけ分厚い障壁が存在していようと―――僕のインビジブル・ブリットならば!!)
瞬間、どっからか取り出した特化型CAD―――ライフル銃のようなものを遠く本陣前に陣取る浦島に向ける吉祥寺。
そして、見えぬ弾丸は浦島を直撃してモノリスを支えにしながら崩れ落ちる姿が見えるのだった。
「ッ!!!???」
だが、その結果に驚いたのは三高の方だった。
特に直撃弾を出した大金星のはずの吉祥寺真紅郎の衝撃は凄まじかった。
「ジョージ!! 狙われてる!!」
「ッ!!!」
こちらの間隙を狙って西城レオンハルトが板を振り回してきたのだ。
「稚拙な攻撃を!!! だぁああぶっ!!!」
「―――!!!???」
今度はレオが驚く番であった。いつもどおりにレオは飛剣ともいえる小通連を振り回したはずだが、その威力が段違いだったのだ。
「小通連が光り輝いている!?」
板刃も柄も何かの「紋」を発生させながら威力……熱量なのか何なのか知らないが、ともあれそれをモーニングスターよろしく振り回すレオの攻撃は暴嵐のようだ。
「お兄様が設定したのでは?」
「違う。俺はあんな機能―――」
「何だか分からんが!! 中野、浅井、朝倉―――モノリスを陥れろ!!」
深雪の疑問に答えていたことが仇となった。レオの不意のパワーアップを恐れた一条が本丸攻めを敢行する。
城攻めをする……しかし。
「おい達也っ!!」
このまま素通りさせていいのか? というレオの疑問。そして―――。
「戻らないということは―――浦島は意識を残しているぞっ!!」
こちらの反応。正確には達也のを見て一条は断じたが。その時には、どこぞのリキちゃんならぬキリちゃんよろしく、地面に投げ出されていた腕が上がり指鉄砲のフォームを取った手から水圧が飛ぶのであった。
「おばっ!!!」「あばば!!」「ぶぶぶっ!!」
水のない場所でこれほどの水遁(?)を、などと妙な感心をしつつも、それだけではなかった。
呪文詠唱が聞こえる。マギステルで言うところの「始動キー」を唱えた後に、放たれる呪文は―――。
「クウネルサンダース!!!」
その向けられた手と「力ある言葉」と浦島の発した「圧」に三高は恐れ、そして腰を引かせながら来るのを待ち受けたが―――10秒が立つ頃には……。
「空煉流参打州とは、どのような術なんだ……?」
「知らんのか フッ……クウネルサンダースとは―――」
何故か全員が攻撃とか色んなものを止めてその言葉に聞き入る。クウネルサンダースとは……。
「年がら年中食っちゃ寝ばかりしている巨大図書館の司書(900歳ほど?)の名前だ!!!」
「「「「そんなもんなんにも効かねーよ!!!」」」」
思わず総ツッコミ。勿体ぶるから何かあるかと思えば―――。
「クウネルサンダース!!!」
再びの詐術の披露。そのナメきった態度を前に三高はキレるのだが……。
「まどわされるるるるるなぁああああ!!」
「ぎゅおおおおっ!!!」
「お、おもいいいい!!!」
何かの圧を上方から受けて耐えしのぐ様子の三高生たちだったが……。
「解放」
言葉と同時に、三人のアタッカーが地面に潰れたカエルのように倒れ伏すのだった。
(重力魔法……!? こんなものまでコイツは習得しているのか!?)
草原の土を盛り返すほどの重圧が掛けられたことで出来上がったクレーターの広さと深さに驚く。
砕けるヘルメットによって、三人が戦闘不能になるのであった。
「くっ……!! こ、こんなことが―――お前達一高は卑怯者だ!!! 強いものを弱く見せて! 相手の油断を誘って、偽名を使って小馬鹿にして!!! 許されるもんかぁ!!!!」
「ジョージ!!」
がむしゃらな突撃。智将、参謀を担う男にはあるまじきそれはあまりにも稚拙すぎた。
だからこそ―――。浦島啓太が自由の身になって既にモノリス半径10mの枠を越えていっていることに気づけなかった。
「お前らみたいな年がら年中ケンカ自慢ばかりやってる育ちの悪い野良犬・喧嘩犬と一緒にすんじゃねーよ。ばーか!!!」
吉祥寺に対する返答の言葉はあまりにあまりであったが、舌を大きく出して本気で馬鹿にした態度。
それこそが浦島の策略であったとしても……。
(なんでこんな『青い監獄』に入れられた連中みたいなチームカラーにするんだよ?)
あいつ1人だけ御堂筋くんみたいな認識でいられればいいのだが、現実には達也もその1人だと見られていることに本人は気付いていない。
そして―――。
蹴りのモーション。まるで何かを切り裂く刃物のようにも見えるその回し蹴り一つで発生した衝撃『刃』、吉祥寺は―――
「見えないわけじゃあない!! 身一つで発生する風の刃は驚異だが軌道そのものは変わ―――」
回し蹴りを放った連動で、上方に振り上げる蹴りが入る。踵落としの前段階とも言えるそれで―――十字の衝撃刃が虚空を奔る。
「―――見えない弾丸とか別にいいんだよ。
吉祥寺に迫る十字の空刃、見えていようと見えていまいと構わぬ必殺の連撃が、吉祥寺真紅郎を倒すのであった。
「ジョージ……!!」
吹き飛ばされて気絶している吉祥寺真紅郎を抱きとめるは一条将輝。
「浦島ァ……!」
怨嗟を込めて呼ぶが、浦島は吉祥寺を伸したあとには……前に出てこない。モノリス前で再び座り込むのだった。
あれだけやりたい放題やった後には、何もしない。
自分の領分は『ここだけ』と言わんばかりの態度が癇に障るのだが……。
「浦島だけに意識を向けていていいのか?」
「ナメるなよ!!」
「撤退だ!!!」
司波達也と西城レオンハルトの追撃を躱しつつ、三高モノリス前へと帰る。
(俺たちはともかくとして……一色!)
精彩を欠いた動きであった三高のプリンセスナイトを少しだけ無言で顔だけで叱責するようにしながらも、どうやら殿だけはしっかりやるようだ。その辺りは流石は三高の一年女子エースなだけはある。
「一色……」
「ごめんなさい。けど―――もう大丈夫。次は私がオフェンスを担当するから」
言いながらCADに何か妙なもの……を差し込もうとしているのを見た。
確かあれは……100年以上前の端末機器の付属品。
フロッピーディスクというとんでもなく小さい容量しか無い記録媒体だったはず。
レトロなものを持っているな。と思うも、それが何なのかと思ったときには……九校戦最大の混乱が起こるまで時間はなかったのだ。