魔法科高校のアイとま!   作:無淵玄白

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stage.69『せんちめんたるじぇねれ~しょん』

 

 

 

「すまなかったぁああああ―――あれ!?」

 

やって来た三高陣営の場所にて、殴り掛かられると思ってカウンター型の術をセットしていたのだが、話があるとしていた一条将輝がいきなり土下座をしようとしたのか五体投地をしようとしたのかは分からないが、まぁとにかく頭を下げようとしたのを未然に防ぐことにした。

 

「な、なんで身体を動かせないんだ!」

「謝罪はいらん。男が無駄に頭を下げるな。情けない」

 

どうやら啓太が何かをして一条将輝の動きを止めている様子だが、誰にもそれは分からなかった。

とはいえ、軽食をつまみつつ、一条将輝に男としての沽券を守っておくように窘めておく。

 

「け、けれど……俺は、君に迷惑をかけて挙げ句、最優秀選手としての―――」

「トロフィーに俺は興味がないんだよ。自分の名を『どこか』に残したくないからな」

 

万歳三唱のように手を上げたままにボヤく一条将輝に言っておく。

 

「で、そんなことの為に、お前はカトラと沓子に頼んで俺を呼びつけたのかよ?」

「アナタにとっては重大事でなくても、私達にとっては重要だったんですよ!」

「そうだとしても俺にとってはただの『仕事』に対するケジメの範疇に入るものでしかない。暴走するAIの始末もヨルダのこともな」

 

三高だけでなく全員が沈黙する。というか唯一の例外としては二高と九高の一部が苦笑気味の顔をしているということだけだ。

 

言われた一色愛梨は落ち込む。

 

「もういいか?」

「俺は……君が嫌いだ。女神のような司波深雪さんを混乱させて、あのような醜態を演じさせて、その上でそれに対して何も思うところが無いとか……」

「そりゃ俺はあのヒトがどうなろうと構わないもの。俺の人生でおよそ関わり合いのない人種だよ」

 

本当にここまで無感動な人間だと少しばかり引いてしまう。それが虚勢であるならばともかく、心底そう思っているからどうしようもない。

 

「じゃあな」

 

再び絶ることで、引きこもろうとした啓太であったが、それを引き止めることをしたのは。

 

「待ってください浦島くん!私もお礼を―――」

「一色さん。俺は田中ですが」

「―――た、田中くんのお陰でミラージ本戦優勝出来たんですから!!」

 

それは秘密であり口外してはならぬ事項であったはずだが、このアマァ!と言いたくなる言葉に流石に一高も耳目を惹かれたのかやってくる。

 

「浦島、それはどういう意味だ!?」

 

出場選手であり決勝を戦った渡辺摩利の言葉が聞こえる。

 

「アンタ、口がカルすぎるぞ」

「ご、ごめんなさい……」

 

失言であったことを認識したのか、落ち込む一色愛梨であるので……。

 

「エックス、映像を―――」

『最近、私の存在価値が啓太のアリバイ証明ばかりに使われている気がしますね』

「いいからやってよ! みと姉ちゃん!」

『しょうがないなーケイタ君は〜』

 

どこぞの未来から来た青狸と丸出だめ夫な小学生のようなやり取りをしたあとには―――。AIは喜色満面のままに映像を投影するのだった。

 

……十分後……

 

「成程、確かに時逆君と剣の鍛錬をやっていたというのは、言っていた通りだな」

 

一応は納得する渡辺摩利。

 

「だが、三高の女子陣と戯れていたなど、お前……」

 

妙な嫉妬心も混ぜ合わせで、こちらに対して溜め息を吐く十文字克人。

 

「人聞きが悪い。望んでそうしたわけじゃないのは見たままでしょうが」

 

確かに映像の中では水尾や一色やらがあれこれ物言いをつけた末に『やれやれ』という感じで、教えていた。やむにやまれずという感じであるが。

 

「だが……最後には、そういった風な高度な飛翔や虚空場などを教えたのか?一高の不利になると分かっていても?」

「ああ、そうだ。はっきり言えば俺はお前たち兄妹のやりようが嫌いだからな。それに対する意趣返しをする為に一色さんを鍛えた―――これがお前が聞きたかったことだろ?」

 

司波達也の言葉にはっきりと言う。渋面を作る兄妹に言ってのける。

 

「そもそも、俺がちょいと手解きした程度で簡単に優位が崩されるような魔法ならば、使わずに跳躍だけで勝負しときゃ良かったんだ」

 

いらぬ藪をつついて蛇を出したのはお前らだと告げると更に渋面が濃くなる。

 

「むぅ……利敵行為をしたというのは明確だが、何と言うか不実ではないように聞こえる」

 

「飛行魔法は全校全生徒―――ミラージに出場する選手全員に流布されて、これで一応は全員が『同じ武器』を使っての戦いになった。この時点での一高というよりも総合首席が持っていた優位性は『飛行魔法』に関してはオーソリティー(第一人者)であるというだけ。先んじている、達者であるという優位性は当たり前のごとく全校が認識していた」

 

映像の中の水尾の発言をクローズアップすることで、十文字に指摘する。

 

巻き込まれた!とか嘆いている水尾佐保を無視しつつ話す。

 

「別に俺は総合首席の情報なんて知らないし、それを教えたわけじゃないしな」

 

「むぅ。言われてみれば確かに」

 

「相手の情報を知ったところで意味はないのでは?地力の優劣にアシスタンツデバイスのプログラムの良し悪しが現代魔法の勝敗を決めると言っていたのは、皆さんですよ」

 

「――――――――」

 

一高の首脳陣がその言葉に非常に悩む。確かにそういう趣旨の発言はあった。しかし……何と言うか複雑である。

マギステル……魔法使いの技法が、現代魔法師の理論を超えているということは、魔法師は完全に魔法使いに勝てないということだ。

 

そして、その現実を認めてしまえばデバイスアシスタントというものの意味すら無くしてしまいそうになるのだ。

 

「それに俺でなくてもカトラや沓子が教えていた可能性はある。というより君等でも考えていたんじゃないの?」

 

「アタシだったらアレだよ。メカタマパワードスーツみたいなのを省力化したものをくれてやっていたかな?これでも王女様だからな。自国製品をアピールしなきゃ」

 

『MYU!』などと機械的な音声で挨拶する小さな機械カメ……メカタートル(アウト)を傍に飛ばしながらカトラは言う。

 

「まぁわしも同じじゃな。しかし、本当に一高の方々はケイタのことがキライなんじゃな」

 

「嫌われたまんまでいいのさ。誰のアタマにヨルダが乗り移るか分かんねえんだ。誰になろうが右ストレートでぶっ飛ばす。まっすぐいってぶっ飛ばす。これが基本的な戦略だ」

 

その言葉に一部を除いて魔法師が戦慄する。コイツは……。

 

(本当に俺達がどうなろうがいいんだな……)

 

サイコパスと言えるのかもしれないが、それでも浦島啓太にとっては、魔法師なんて人間とすら思っていないようだ。

 

「そりゃそうだ。俺の家はお前さんがたと違って長いこと、尋常の世界の方々と『普通』に隣人として接してきた。誕生の経緯からして歪みを持ち、歪みを正してきたからな……それゆえに『バランス』を重んじて『闇』なりに国を支えてきた自負もある―――そこで生きている人々は『お客さん』であって、標的だの産業分野で魔法(チート)を使って蹴落としてやろうなんて思いはねぇしな」

 

「――――――――」

 

おかしい。いまの浦島の言動は明らかに、達也の思考……それも深いところをを読んだようなものだ。

 

よく考えればコイツはあまりにも人の心を先読みしたような言動ばかりを取っている。

 

しかし、そのトリックを達也が知ることは出来ずに―――。

 

シメのように一色愛梨にやられた深雪が出てきた。

 

「……浦島君は悪いことをしたとは思っていないんですか?」

同じ土俵(跳躍)で戦おうとしなかった君が悪い。それさえなければ、そっちの金髪も何も無かった」

 

先程の映像での結論を再確認させると沈黙する司波深雪。いい気味だとまでは言わんが、野良犬のように噛みつかれて辟易していただけに少しだけ溜飲が下がる思いをしながら、再び絶ろうとしたのだが……。

 

「ダカラ絶ろうとするなー!!ワタシがさっきからニホンの魔法師連中に絡まれていたのをミていないのか―――!?」

 

「イヤだったのかよ?」

 

「ダッテ、全員ワタシを自分の親戚のヨメにしてやろうなんて話しかモッテこなかったのヨ!」

 

そんな話しかしてなかったんかい。と啓太は考えて……まぁその出生からしてそう考えるのは自然な話だろうなと思う。

 

ただ、彼女的には自分を一角の人物として扱ってくれているかと思えば、ただ単に次代を産む価値としか見ていないことは癇に障ったのだろう。

 

「―――浦島君、アンジェリーナさんと親しいんだね」

「まぁ親戚だし」

 

色々と見せていたはずだが、今更すぎる質問をする十七夜にやれやれと思っていると―――。

 

「ソレはトーゼンよ!なんせケイタとワタシは、TOKYOでは一緒のハウスで暮らしているんダカラ!!」

 

おい、まて。

 

それは秘密の事項だろうがなどというヒマもなく。

 

 

「「「「「なっ なんだってーーー!!!」」」」」

 

などと全員の背後に集中線か稲妻のスクリーントーン(マガジンミステリー調査班)が貼られたかのような叫びが会場にこだまするのであった。

 

 

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