面倒くさいので、取り敢えず寝る ~IS編ifストーリー~   作:とんこつラーメン

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面倒くさいので、取り敢えず約束をする

 アーバレストの修理と言う今後の予定が決まった次の日の朝。

 私はいつもの皆と一緒に朝食を食べる為に寮の食堂に来ていた。

 

「ん?」

「加奈? どうしたんだい?」

「いや…なんでもない。とっとと席に行こう」

 

 さっき見かけたのは織斑一夏か?

 いつもの元気が全く無くなっていて、猫背になった状態でボッチになっていたけど…。

 皮肉なもんだ。嘗ての私と完全に立場が逆転してるだなんて。

 

(…そういえば、あれから織斑千冬も余り見かけていないな。どうでもいいけど)

 

 あの女がどうなろうとも私には関係ない。

 私はあの女に対して嫌悪感や憎悪を抱く事すらしたくない。

 『好き』の反対は『嫌い』じゃなくて『無関心』なんだから。

 

「昨夜はずっと入院していて溜まっていたモノを発散する為に、皆で仲良く深夜まで『ハッスル』しちゃったから、かなりお腹が空いてるんだよね」

「加奈が一番攻めていたね。どれだけ溜まっていたんだい?」

「かなり。だって全身の殆どを包帯グルグルのミイラ状態にされて思うように身動きが取れなかったんだよ? オナニーも碌に出来やしないなんて普通に苦痛でしかないし」

 

 よく『病院は刑務所と同じで、一度でも入ったら二度と来ないぐらいの気持ちでいないとダメ』って聞くけど、今回の事で本当にそう思ったわ。

 入院生活なんて私にはとことん性に合わないって身を持って理解した。

 

「た…確かに昨夜の加奈は凄かったな…」

「アタシなんて途中、気絶してたし…」

「き…気持ち良かったから良いですけど…」

 

 …ヤバいな。皆がいつも以上に可愛く見えた。

 これが『ベッドの上で裸の付き合い』をした効果なのか?

 

「と言う訳で、私の今日の朝ご飯は『カツサンドセット』です」

『軍曹殿。朝からそのメニューは些か重いのではないかと』

「大丈夫、大丈夫。アルだって知ってるでしょ? 冬の寒い時期なんかはよく朝ご飯にうどんとか食ってたこともあるんだよ? それに比べればこれぐらい楽勝だって」

 

 どうも冬の朝は無性に暖かくて腹に溜まり易い物が食いたくてしょうがないんだよね。

 その分、ちゃんと動いてカロリーを消費してるけど。

 

「あ。あそこが空いてますよ加奈さん」

「よし。急いで行って確保しよう」

 

 丁度、長テーブルの一角が解放され、そこに私達のグループが一斉に向かって無事に席をゲット。

 これで落ち着いて朝ご飯が食べれますです。

 特に今日は、あの無駄に五月蠅い原作ヒロインズがいないから尚更いい。

 

「それじゃ、いただきまー…ん?」

 

 空腹に耐えかねて、いただきますを言いながらカツサンドを手に取ろうとした…その時だった。

 横並びになって座っている私達と向かい合うように、二人の女子がトレー片手に座ってきた。

 しかも、その顔は物凄く見覚えがある。

 だって、つい昨日見たばかりだし。

 

「ここ…いいかしら?」

「お好きにどうぞ。別に占領している訳じゃないし」

「ありがとう」

 

 一応、こっちに確認を取ってから座った。

 流石にそれぐらいの礼儀は備わってるか。

 無礼極まりない原作ヒロインとは違うわな。

 

 しっかし…あれだな。

 こうして近くで見ると、この双子…何から何までそっくりだな。

 幾ら双子って言っても、ここまで顔のパーツが似ることってあるか?

 もしかしなくても、彼女達は『一卵性双生児』なのかもな。

 

「貴女が…相良加奈?」

「そうだけど…それがどうかした?」

「この女が……」

 

 姉の方が私の名を訪ねてきて、妹はこっちを訝しんでいる。

 少なくとも、私個人としては殆ど初対面に近いんだが…。

 

「で、そっちの4人が『あの時』一緒にいた子達ね」

「その台詞が出ると言うことは…」

「お前達が『あの時』やって来た『二人』か」

「その通りよ」

 

 否定しないんかい。

 余りにもストレートな物言いに、皆が少し目を見開いて驚いてる。

 

「…否定しないんですか?」

「してどうするの? どうせもうバレてるんでしょ?」

「大方、その相良加奈が私の事を見抜いたんじゃない?」

「その通りだけど…少しは警戒とか後ろめたそうにするとかしなさいよね…」

「そんな、あからさまな反応をするのは素人だけよ。私達は違う」

 

 だろうね。理由や経緯はどうあれ、こいつらはあのガウルンに師事している。

 私ほどではないにしろ、かなりの実力を持っているのは確実だ。

 少なくとも、ここにいる皆以外の候補生程度ならば軽く一蹴するぐらいには。

 

「相良加奈…それともカシムの方が良い?」

「そっちの名で私を呼んだら殺す」

「…了解よ。じゃあ、貴方の事は今後、相良加奈と呼ぶことにする」

「賢明な判断だね」

 

 私が本気でキレたら、それこそ学園内であっても何をするか分からない。

 命の保証は出来ないとだけ言っておこう。

 

「相良加奈。今日の放課後、時間ある?」

「なんで、そんな事を聞いてくるの?」

「貴方と手合せをしてみたいから」

「「「「「はぁ?」」」」」

 

 私と…手合せぇ? またなんで?

 

「あの時、先生は言っていた。私達二人では貴方には絶対に勝てないと。けど、だからと言って納得は出来ない」

「だから、私と直に戦って確かめたいって?」

「そうよ。先生の言う事は信じてるけど、これだけは別。私とお姉ちゃんがお前より弱いだなんて有り得ない。あの時の先生の言葉は単なる勘違いだったって証明してみせるんだから」

 

 姉の方は冷静に喋ってるけど、妹の方は随分と感情的なんだな。

 それでも声を荒げない所は流石だけど。

 

「お前らさ…あの時の私とガウルンの戦いを見てないの?」

「見てない。先生を迎えに行くので必死だったから」

「あっそ…」

 

 知らぬが仏…か。

 この言葉を作った人は天才だな…。

 

「でも、昨日の格納庫での様子は見てたでしょ」

「…分かってたの?」

「そりゃまぁね。確かに上手に気配は隠してあったけど、生体反応は消せないからねー」

「それで気が付いたと?」

「もち」

「「………」」

 

 お生憎様。私は『生身の人間』じゃないんだよ。

 本気になれば普通は検知出来ない『反応』を見ることぐらいは楽勝なの。

 

「つーか、今は手合せしたくても出来ないんですけど? まだ私のISは…」

「知ってる。先生との戦いの時の損傷を修理中なんでしょ? でも、私達は一言も『ISで勝負をして』とは言ってない」

「…生身で勝負したい…と?」

「その通り。あの時の瀕死具合でも先生は貴方の方が私達よりも強いと言った。今の貴女はあの時の怪我が完治していないとはいえ、それなりに回復はしている。それなら問題は無い筈」

 

 確かに問題は無いんだけどねェ…。

 これはそーゆー問題じゃない気がするんだけど。

 

(…アル)

(少し調査してみましたが、どうやらこの双子は正式な手続きを経て学園に来ています。しかも、彼女達はあの『凰鈴音』の後釜として候補生に選出されているようです)

(昨日、廊下で聞いたのは本当だったのか。って事は、やっぱりあの中国女は候補生から降ろされたんだ)

(そのようです。その際に破壊された専用機の修理費なども借金として背負わされたとか。恐らく、今頃は…)

(言わなくていい。分かってるから)

 

 …成る程ね。

 ガウルンの息が掛かっているこいつ等を候補生にしているって事は、この時点でもう中国政府はガウルンだけじゃなく、ウチの両親の傀儡に等しいって判断した方がいいな。

 本当に目的が読めない…世界征服なんて柄じゃないし…ガウルンを味方にした理由もよく分からない。

 

「ねぇ…さっきから普通に会話してるけど、あたし達まだあんた達の名前を聞いてないのよね。自己紹介ぐらいしたらどうなの?」

「それに関してはお互い様だけどね。だが、このまま名も知らぬまま…と言うのも不便だろう?」

「…そうね」

 

 ロランの言う通りだけど…乱ちゃんも中々に強かだなぁ~…。

 ここでそれを言っちゃいますか。流石だよマジで。

 

「中国代表候補生の『夏玉芳(シャユイファン)』。こっちが私の双子の妹の…」

夏玉蘭(シャユイラン)。お姉ちゃんと同じ代表候補生」

「ふーん…あんたも『ラン』って言うのね…」

 

 昨日、チラッとだけ聞いたけど、こうして本人の口から聞くのは今回が初めてだ。

 その後、皆も同じように自己紹介をした。

 そういや…私とマドカ以外、全員が代表候補生だな…。

 

「…で、手合せをしてくれるの?」

「あんまり時間は取れないけど、修理に行く前ならいいよ」

「それでいい。こっちもそこまで時間を取らせるつもりはない」

「さよか」

 

 それはどういう意味で言ってる?

 私ぐらい秒殺出来ますよってか?

 うわぁ~…舐められてるぅ~?

 

「場所は?」

「剣道場。あそこなら道具も揃ってるし、思い切り暴れられる」

「あの場所か…」

 

 普段は剣道部が使っている場所で、私のような人間には最も縁遠い場所。

 スポーツなんて柄じゃないし、それ以前に興味も無い。

 確か、織斑一夏が篠ノ之箒にボコられた場所でもあったよな?

 この情報は本気でどうでもいいか。

 

(そういや…私ってばまだどこの部活にも入ってないな…)

 

 このIS学園には『部活動必須』という意味不明な規則がある。

 生徒は全員、いずれかの部活動に入らなくてはいけないというものだ。

 ったく…入る入らないぐらい自由にさせろっつーの。

 どうやら、ここにいる皆もまだ部活には入っていないようだし、それはこの双子も同様だろう。

 ロランは演劇部とかに入りそうなイメージあったけど。

 因みに、IS学園のスポーツ系の部活はあくまで趣味であって、実際の大会とかには出ないらしい。

 なら増々、部活絶対にする理由が分からない。

 

「その手合せ…勿論、我々も傍で見させて貰うよ?」

「日常生活に支障が無いとはいえ、まだ加奈さんが怪我人な事には変わりないしね」

「念には念を入れて、私達も一緒に行きます」

「別にそれぐらいは構わんだろう?」

「…好きにすれば? 邪魔さえしなければ、どうでもいいし」

 

 なんちゅードライな性格。

 その一点だけに関しては気が合うかもしれない。

 

「それじゃあ、私がその『手合せ』に勝ったら、お前達がIS学園に来た理由を話して貰おうか」

「いいわ。先生にも『絶対に隠し通せ』とは言われてないし、それに…」

「それに?」

「『仮に隠し通そうとしても、カシムなら確実に暴くから意味が無い』とも言ってたわ」

「あの野郎…!」

 

 どうせバレるのなら、最初から隠さない方が良いってか?

 それとも…この双子は単なる『鉄砲玉』なのか?

 ガウルンなら十分に有り得るな…。

 味方ですら平気で捨て駒にするような男だ。

 自分の教え子ですら、目的の為なら簡単に切り捨てるだろう。

 しかも、この双子の場合はそれすらも嬉々として受け入れそうだからイヤだ。

 そういう輩がある意味で一番厄介だったりするから。

 

「なら、そういうことで。放課後…剣道場で待ってるわ」

「それじゃ」

 

 話しながらも器用に食事は進めてたのか…。

 いつの間にか、あの双子の皿が空っぽになってた。

 

 こうして、私は流れであの双子と手合せとやらをする羽目になった。

 情報源を得る以外に、この戦いに意味ってあるのかな…?

 

 

 

 

 

 

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