面倒くさいので、取り敢えず寝る ~IS編ifストーリー~ 作:とんこつラーメン
今回で一気に彼の株が大暴落する事でしょう。
サラの謎の発言に、セシリアは勿論、言われた本人である一夏も何の事だか意味が分からないでいた。
「俺がセシリアを見ていないって…そんな事は無い! デタラメを言うんじゃねぇっ!」
『デタラメじゃないわ。それに、正確には『周囲の女の子全員を眼中にすら入れていない』が正しいわね』
「は…?」
『篠ノ之箒の事も、凰鈴音の事も、君は全く見ていなかった。ただ一緒にいただけ』
「箒さんと…鈴さんのことも…?」
揺れ動く瞳で『どういうことだ』と言わんばかりに一夏を見つめる。
聞きたくはない。聞いたら本当に終わる気がする。
けど、セシリアの身体はその場から動く事は無かった。
『自分以外は全て女子という異常な状況に加え、あんなにも傍に三人の女の子を侍らせながらも、君は全く『それらしい動き』を見せる様子が無かった。彼女達と楽しそうに話す事はあっても、異性として認識することは一度も無かった。違う?』
「お…俺は……」
サラからの指摘に遂に一夏が視線を下げてしまう。
それは彼に心当たりがあるということにも繋がった。
『君の本心…君の本性…それを今から見せてあげる。そして、セシリア…お前の『逃げ場』を完全に無くしてやる』
管制室の機器をサラがカチャカチャと操作すると、突如として大小問わずアリーナの全てのモニターが一気に切り替わる。
映像は全て同じもので、それはどうやら学生寮の一室のようだった。
「あそこに映っているのは…まさか…?」
「俺…なのか…?」
モニターに映し出された映像。
それは、寮の自室にあるベッドの上に座っている一夏の姿だった。
角度的に少し見えにくくなってはいるが、どうやら下半身を露出している状態のようだ。
『千冬姉…千冬姉…千冬姉…うっ…!』
右手を激しく上下に動かし、少ししてから背中を僅かに仰け反らせながら全身を震わせる。
その後に横に伸びた一夏の手に黒い大人の女性の下着が握られており、その手と下着は白濁液にて汚されていた。
『はぁ…はぁ…はぁ…千冬姉…俺…俺…』
ここで映像が停止される。
大きく目を見開き、羞恥心以上に恐ろしさに顔が真っ青に染まる。
彼はこの映像を知っている。
『これは、今から十数分前の映像よ』
「な…なんだよ…これは……」
観客性の女子達も、セシリアも、あのマドカすらも絶句していた。
この映像だけで、サラが言っていた言葉の意味の全てを理解出来たからだ。
『…私が
「ひ…みつ…?」
『そ。この映像がその一つ。これは織斑君…君の部屋に仕掛けられている監視カメラの映像よ』
「か…監視カメラッ!?」
自分の部屋にそんな物があっただなんて全く知らなかった。
たった今、初めて知った事実だった。
『それだけじゃないわ。カメラの他にも盗聴器も仕掛けられている。ついでに言うと、このカメラは寮のこの部屋だけじゃなくて、トイレやシャワー室…寮の廊下や校舎の教室と廊下などにもびっしりと設置されているわ。全ては織斑一夏と言う存在を見張る為』
「な…なんでそんなのがあるんだよ!! 完全にプライバシーの侵害じゃねぇかっ!!」
『プライバシー? まさか、あなたにそんなのが本当に存在していると思っているの? 君さ…今の自分がどういう存在で、どんな立場にいるのかちゃんと理解してる?』
はぁ…とマイク越しに大きな溜息を吐くサラ。
現実を正しく把握していない男に、先輩らしく懇切丁寧に教えてやることに。
『君はこの世界で唯一の『男性IS操縦者』。そんな君の一体何が、どんな切っ掛けで研究材料になるのか分からない。だからこそ、24時間1年365日、常に監視をし続ける必要性がある』
「なんだよ…それ…」
『更に言えば、君はこの世で最も貴重な人間であるが故に万が一の時にすぐに対処出来るようにしておく必要がある』
「万が一…?」
『例えば、一人の時に部屋で大きな怪我をした時。もしくは突如として病に倒れてしまった時。周りに誰かいればいいけど、いつも傍に誰かがいるとは限らない。それに備える為にも監視カメラの存在は必須なのよ』
自分を見張ると同時に、最悪の事態を回避するための処置。
そう言えば聞こえはいいが、要は半ば実験体のような扱いだった。
『もし君がIS学園ではなく、研究所行きを選択していれば、こんな事にはならなかったかもしれないわね。ま、研究所に行った場合にもずっと監視はされるでしょうけど…今よりは待遇は良かったでしょうね。研究者たちにとっては、君に死なれては困るから』
「ふざ…けるなよ…! 俺の事を…なんだと思って…!」
『
中々に残酷な事を言ってはいるが、サラには全く同情の気持ちは無い。
元々から一夏に対して、そこまで興味が無かったというのもあるが、間接的にとはいえイギリスが貶められた原因を作ったもう一人の人間でもあったから。
『たった一人の人間を犠牲にする程度の事で科学を大幅に発展させられるなら安い代償よね。今までにも科学ってのは多くの犠牲のもとに発展を続けてきたけど、その犠牲の数が1で済むのならば、科学者たちは大喜びでしょうね』
サラの言葉を聞いていたマドカは密かに歯を噛んだ。
実際の犠牲の数は決して1では済まされない。
その1を生み出す為に、どれだけの兄弟姉妹が犠牲になってきた事か。
『それでセシリア…今のこの映像を見て…どう思った?』
「わ…たし…は…」
『織斑一夏という男にとって、恋愛の対象であり、性の対象であり、欲情することが出来るのはたった一人の女性だけ。そこで尋ねたいんだけど…織斑君』
「なんだよ…!」
『
「言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
『嫌よ。私はただ、尋ねただけじゃない。実の姉の下着を道具にして、脳内で実の姉を犯して気持ち良かったのかって聞いてるだけで、何をそんなに怒っているの?』
激しく激高する一夏に全員が本気でドン引きする。
周りの女子達は勿論、あのセシリアですらも思わず後ずさりをしてしまう。
マドカに至っては、余りの気持ち悪さに吐きそうな顔になっていた。
『さっきも言ったけど、この映像は今から十数分前のもの。つまり、織斑君は頭の中でお姉さんとセックスをしてきてから、このアリーナに駆けつけてきたって事。そして、ここから導き出されること答えはただ一つ。それは…』
「黙れよ…!」
もうこれ以上言わせるわけにはいかない。
もし言わせたら、自分の中にある何かが壊れてしまいそうだから。
だが…管制室にいるサラを止める術は無い。
『織斑一夏が『女』として見ているのは、実の姉である『織斑千冬』だけで、それ以外の女は全て異性として見ていない』
「黙れぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
サラの言葉を掻き消すかのように絶叫するが、彼女の言葉はこの場にいる全員の耳に確かに聞こえた。
『本能的に恥ずかしがったりぐらいはするかもだけど、どれだけ頑張ってもそれ止まり。彼は姉以外の女には欲情しない。そうじゃなけりゃ、実の姉をオカズになんてしない筈ですもの』
「うる…さい…!」
周囲から浴びせられる蔑みの視線。
女子達の中ではもう、織斑一夏は射止めるべき異性ではなくなった。
近親相姦をする事しか頭にない最低最悪の変態野郎にまで落ちぶれた。
『もし仮に織斑先生とセシリアのどっちかを選べと言われたら、彼は迷わずに先生を選ぶでしょうね。だって、彼はセシリアに対して何の興味も抱いていないんですもの』
「あ…あぁ…!」
信じられない。信じたくない。
けど、目の前の現実がそれを肯定する。
一夏にとって自分は、どこまで行っても仲の良い友人でしかなかったという現実が。
「ち…違う! これは違うんだセシリア! あんなのは嘘の映像だ! 捏造だ!!」
『本当にそう思うなら、別に解析に出して貰っても構わないわよ? 別に私は困らないし』
「うっ…!」
自分の痴態が他の人間の目にも入れられる。
それだけは絶対に避けたかった。
『セシリア。これで分かったかしら? 彼の目には何処までも姉しか映っていない。彼の中にアナタの居場所はどこにも無かったのよ』
「い…いや…イヤ…イヤァ…!」
『それでもまだ彼に心酔する? どんなにアピールをしても全くの無意味だったのに? 何をしても彼の中ではアナタは女として見られなかったのに?』
「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
精神が限界を迎え、遂にセシリアは発狂してしまった。
家も、故郷も、立場も失い、初恋すらも失ってしまった。
絶対に叶わない片思い。
これがフィクションならばドラマチックなのだろうが、現実ではどこまで哀れでしかない。
「セ…セシリア! 落ち着いてくれ! 大丈夫だ! 俺が守る! 守ってみせるから!!」
「近づかないで!! 汚らわしい!!」
「セ…シリア…?」
まるで、出逢った当初の頃のような形相での完全拒絶。
一夏の伸ばしかけた手が途中で止まってしまう。
「助けて!! 誰か助けてぇぇっ!! お母様!! お母さまぁぁぁぁぁっ!!」
泣き喚き、鼻水を出しながら両手を伸ばして幼子のように逃亡を図ろうとするセシリア。
だが、そんな暴挙を許すほどエージェントは甘くは無い。
『逃げようとしても、そうはいかないわよ。緊急剥離装置『リムーバ』発動』
サラがスマホをタップして何かを操作した瞬間、ブルー・ティアーズ全体とセシリアの全身に紫電が走り、その動きが急に止まる。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」
両手足が別の生き物のようにバラバラに動き、全身に凄まじい電撃が迸る。
全身を痙攣させ、白目を剥き、完全に気を失う。
ゆっくりと地面へと落下していき、地に伏したところでISが強制解除された。
『性格に難有りと判断された一部の候補生の専用機には、いざという時の暴走を防ぐためのISの強制解除装置が密かに内蔵されているの。そして、今の私にはそれを起動させる権限が与えられている』
「…候補生と言うのも、中々に業が深いものだな…」
候補生としてスカウトされていたマドカからすれば、目の前の茶番は決して他人事ではなかった。
と同時に、こんな女の後釜とされる事に複雑な感情を抱く事にもなった。
『さて…と。皆、出番よ』
サラが合図を出すと、向かい側のピットから訓練用のラファールを纏った生徒達が数人出てきた。
肌の色や髪の色から日本人ではないようだった。
「あれは…!?」
『彼女達は、私達以外にもIS学園に在籍しているイギリス出身の子達よ。そして、セシリアの愚かな発言によって肩身が狭くなった子達でもある』
二人がセシリアの腕を左右から掴み、もう二人が邪魔が入らないように武器を構えつつ周囲を警戒する。
その内の一人が、憎しみを込めた目でセシリアを見下ろしながら、彼女の頬に向かって唾を吐いた。
「ペッ! このクソゴミゲロ女が…いい気味だわ…!」
「こいつのせいで…私達は…私達は!」
「お前だけは絶対に許さない…!」
「学園から追放する前に、私達の手でたっぷりと可愛がってやる…!」
憎悪に塗れた少女達により、セシリアの身柄は拘束され、連行されていった。
その一部始終を、一夏は黙って見ているしか出来なかった。
『あら? どうしたの? あの子を守ってあげるんじゃなかったの?』
「…………」
『君が本当に護りたいのはお姉さんだけで、それ以外はどうでもよかったんだっけ? シスコンもここまでいくと完全な精神病の領域よね。怖い怖い』
それだけを言い残して、サラは管制室から静かに去って行った。
「フン…とんだ茶番だったな。骨折り損のくたびれ儲けだ」
一瞥すらもすることなく、マドカもピットへと戻っていく。
それに合わせて、観客席にいた女子生徒達も次々とアリーナから去っていく。
口々に『最低』や『変態野郎』や『幻滅した』などと言った言葉が放たれる。
そうして残されたのは、呆然と虚空を見つめる一夏だけになった。
「俺…は……お…れは……千冬…姉……」
やっぱり、最後に一夏が呼ぶのは千冬の名であった。
そんな中、アリーナから去っていく数人の女子達が怪しい笑みを浮かべていた。
「ウフフ…。良い映像を録画することが出来た…! これと、今回得た情報をネットにアップすれば…」
「この学園から、あの蛆虫を駆逐することが出来るかもしれない…!」
「千冬さまの弟と言えども所詮は男…」
「しかも、あろうことか千冬さまの肢体で自慰をするなどと…!」
「絶対に許されざる愚行…!」
彼女達は集団で纏まり、どこかへと消えていった。
「ISは、私達のような『選ばれた人間』のみが乗ることを許された物…」
「そこにどんな理由があろうとも、穢れた男が乗るだなんて決して許されない」
「男なんて…根こそぎ駆逐されればいいのよ…!」
「この世に生まれてきた事を後悔させてやるんだから…!」
「さぁ…始めましょうか」
「「「「「この世界を我等、女の物にする為に」」」」」
一夏くん。最低最悪のフラグを立ててしまう事に。
そして、セシリア完全退場。
これからはR-18ルートで頑張って貰いましょう。