面倒くさいので、取り敢えず寝る ~IS編ifストーリー~   作:とんこつラーメン

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レナード&残りヒロイン二人の登場は、あと少しだけお待ちください。

その前にまだやることがあるので。







面倒くさいので、何か手伝うことにした

「別にいいけど?」

「「え?」」

 

 放課後の整備室。

 私はいつものようにアーバレストの修復を行いながら、今日も今日とて一緒にいる夏姉妹の話を聞いていた。

 

 因みに、他の候補生の皆&マドカは、ぞれぞれに国への定期報告の為のレポート作成をする為に今日はいない。

 マドカはまだ候補生じゃないけど、それでもイギリスから依頼されたテストパイロットなので、報告の義務はある。

 なので、今日いるのは夏姉妹だけなのだ。

 この二人はとっくの昔に報告を終わらせているらしい。

 多分、この子達はあれだな。

 夏休みの宿題を7月の間に終わらせて、8月丸々を思いっ切りエンジョイするタイプと見た。

 え? 私?

 私も似たようなもんかな。

 面倒な事は早めに終わらせるに限る…ってね。

 

 なんか話が逸れたけど、夏姉妹の話はこうだ。

 『隔離されている篠ノ之箒を誘拐したいので手伝ってほしい』だと。

 

「どしたの? そんな顔をして」

「いや…今回のこれは先生の命令だし…てっきり…ねぇ?」

「うん…断られると思ってた…」

「まぁねぇ…ガウルンが関わってる事には極力、近づきたくは無いってのが本音だけど…」

(呼んだー?)

「「「呼んでないよー」」」

 

 なんだろう…いきなり虚空から本音ちゃんの声が聞こえてきたような気が…。

 

「でも、あの女を此処から消すってのは賛成なんだよね…っと。玉蘭。そこのボルトを締めて」

「了解。で、賛成って?」

「簡単な理屈だよ。篠ノ之箒と言う人間は、このIS学園に災いしか齎さない。百害あって一利なしってこと」

 

 よしよし…これで右足がもうすぐ終わるぞ。

 中々に順調じゃあないか。

 

「クラスでの様子とかを見ていると分かるんだけどさ、あの女ってずっと姉の威を借る妹って感じなんだよね」

「篠ノ之束の威光を利用しているってこと?」

「そ。何かあればすぐに『私は篠ノ之束の妹だぞー』って言うくせに、他の誰かから姉の話を振られると『自分には関係ない』の一点張り。人間って生き物は基本的に矛盾と一緒に生きている存在だけど、あの女は矛盾しかない。やることなす事の全てが矛盾の塊だ」

 

 正直、見ていて不快しか感じない。

 それはきっと私だけじゃあない筈だ。

 あの本音ちゃんですら、露骨に嫌な顔をするぐらいだしな。

 

「篠ノ之箒が問題を起こす。学園側はそれを指摘したいけど、そうすれば篠ノ之束の報復が来る可能性がある。可能性があるだけでも大問題だから、学園側は必死に問題を揉み消そうとする。結局、処分は軽い物になる。調子に乗った篠ノ之箒はまた問題を起こす。その繰り返し」

「…ふざけてるわね」

「超絶同感。だから、学園側としても篠ノ之箒がいなくなることは非常に好都合なのさ。それに…」

「それに?」

「理由は不明だが、どうも篠ノ之束は自分の妹を見限ったようだしね。今のように妹が地下深くに隔離されているのに何にもアクションを起こしていないのがいい証拠さ」

「「凄い…」」

 

 凄いって…何が?

 

「先生も加奈と全く同じ事を言ってた…」

「げ」

 

 マジかよ…本当に私とアイツって考えてる事が一緒なのかよ…。

 あんな戦争狂と似た者同士って…普通に嫌悪感しか湧かない。

 

「だから、加奈に話せば手伝ってくれるかもしれないって」

「あいつめ…」

 

 何も間違ってないから悔しいんだよコノヤロー。

 はぁ…お互いに考えている事が読めるってのは厄介だなぁ~…。

 

「ともかく、アイツがいなくなることは誰にとっても利益しか生まない。やらない理由が無いよ」

「「確かに…」」

 

 あそこまで同情の余地が湧かない悲劇のヒロインってのもまた珍しい。

 全部が全部、自分自身の身から出た錆。自業自得なんだけど。

 

「恐らく、アイツがいなくなっても誰も気にも留めないだろうな。実際、一組じゃもう殆ど忘れ去れているっぽいし」

 

 元からあの女の話をする人間はいなかったが、最近は特にそれが顕著だ。

 まるで最初からいなかったかのように振る舞っているし。

 それで一組の雰囲気が明るくなったのだから凄い。

 たった一人だけでクラスの雰囲気を駄目にしていたというのは、ある意味で才能なのかもしれない。

 人を不愉快にさせる程度の能力…ってか?

 

「だから、喜んで手伝うよ。仮にそれでクソオヤジ達が何かを企んでいても、それは私がぶっ潰せばいいだけの話だし」

「ありがとう。加奈が手伝ってくれるのなら心強い」

「うん。百人力ね」

「私は私一人分の戦力にしかならないよ」

 

 それでも素直な褒め言葉は嬉しいけどね。

 

『では、私もサポートしなくてはいけませんね』

「おやアル。聞いてたんだ」

『勿論です。アーバレストはこの通りですが、それでも情報面で手伝えることがあるかと』

「アルのデータサポートがあれば、もう成功したも同然でしょ」

 

 なんせココイツは、微塵の遠慮も無しに学園のサーバーにハッキングをしてやがるし。

 ISコア搭載型のAIって事で、世界中のどのネットワークにも余裕で潜り放題だからな~。

 

「んで、作戦の方はもう考えてあるワケ?」

「一応は。先生から隔離場所までの地図も貰ってるし」

「ガウルンめ…無駄に手際が良い奴」

 

 ムカつくけど…そーゆー所は普通に凄いんだよな。

 実質的に、ガウルンが裏でサポートしてるってことじゃん。

 

「決行日は?」

「まだ決めてない。でも、出来るだけ早い方が良いとは思う」

「だろうな。こういうのは早ければ早い方が良い」

 

 今夜決行…はどうだろう…。

 出来ない訳じゃあないけど…。

 

「その話、オレもいっちょ噛ませろよ」

「「「………」」」

 

 やっと来たか。

 私達が整備室に入ってからずっと…いや、入る前からも尾行していた謎の人物。

 私達三人全員がとっくの昔に気が付いていて、その上で話をしていた。

 

「んだよ…少しぐらいは驚いてくれてもいいじゃねぇか」

「いや…最初から知ってたし。アメリカ代表候補生で三年生の『ダリル・ケイシー』先輩」

 

 後ろを振り向くと、そこにいたのはパツキンで制服の胸元をめっちゃ開いている白人の女子高生。

 彼女の事は故あって既に知っている。

 

「そこのお前が、スコール叔母さんが話してた相良加奈だろ?」

「YES。こっちもアナタの事は伺ってましたよ。勿論、スコールさんからね」

「だと思った。なら、自己紹介は不要だな」

「いや…私は良いけど、この子達にはちゃんをしようよ…」

「おっと。それもそっか」

 

 てなわけで、ダリル先輩から夏姉妹への簡単な自己紹介。

 当然のように割愛するけど。

 

「あのスコール・ミューゼルの親戚…」

「お姉ちゃん。織斑一夏もそうだったけど、教師と生徒が血縁関係にあるのって大丈夫なのかな? 指導的な意味で」

「どうだろ…」

 

 親戚はギリギリ大丈夫かもだけど、兄妹姉妹は厳しいかもな~。

 特に、織斑のように同じクラスに配置するってのは普通に論外。

 常識的にも絶対に有り得ない。

 

「んで、一体何が目的? 敵対するとは思ってないけど…」

「目的ね~…割とマジで特にないんだけどな。強いて言えば『刺激が欲しいから』…かな」

「「「刺激?」」」

「そ。ここのところ退屈でよぉ~…。お前さんが大活躍したクラス対抗戦は面白かったけどよ、それ以降はな~んも無しだし。少し前にイギリスのお嬢さんがバカやらかしてたけど、それもマドカっつー嬢ちゃんが強すぎて一方的だったしな。ありゃもう試合ってよりは完全な公開処刑に近かったろ」

 

 ふ~ん…流石はスコールさんの親戚か。

 ちゃんと見るべき所を見てるじゃないか。

 

「だから、オレも手伝わせろ。学園からの誘拐だなんてメッチャ面白そうじゃねぇか!」

「まぁ…候補生で三年、しかもスコールさんの親戚って時点で腕は保証されてるも同然…か。普通に頼りにはなりそうだな」

「じゃあ…」

「よろしくお願いします…ってことで」

「おぉ~! こっちこそよろしくな!」

「「ど…どうも…」」

 

 こらこら。

 完全に夏姉妹が引いてるから。

 後輩を怖がらせるんじゃないよ。

 

『これでメンバーが四人になりましたね。フォーマンセルならば作戦成功率はかなり高くなるかと』

「うをっ!? ビ…ビックリしたー…。もしかして、今のが叔母さんから聞いてる加奈のISのAIの…」

『アルと申します。以後、お見知りおきください』

「おぉ! よろしくな!」

 

 AIともすぐに仲良くなれる女…流石はアメリカ人。コミュ力お化けだ。

 やっぱりハンバーガーとコーラが好きなんだろうか?

 

「はぁ…そういう話は、もっと隠れてしてくれませんか?」

「「「「え?」」」」

 

 またまた誰かがやって来た。

 さっきまで気配が無かったって事は、たった今、整備室に入ってきたって事か。

 

「ゲ…虚かよ…」

「『ゲ』とはなんですか。『ゲ』とは。まるで人を妖怪みたいに…」

 

 虚…? その名前は…まさか…?

 

「本音ちゃんのお姉さんで、三年生の整備班の…」

「布仏虚と申します。初めまして、相良加奈さん。夏玉芳さん。夏玉蘭さん。いつも妹がお世話になっています」

「「「こ…こちらこそ…」」」

 

 こういう系の相手にはまだ耐性が無いからか、なんか自然と敬語で返してしまった。

 それはこの双子も同じだったみたい。

 

(でも、本音ちゃんの姉って事は、この人も暗部って事になるのか…)

 

 だったら、多少は話を聞かれても大丈夫…なのか?

 

「先程の『篠ノ之箒誘拐作戦』…私も手伝いましょう」

「マジかよッ!?」

「えぇ。こちらとしても、彼女の存在は目障り…いや、邪魔なのです。彼女一人のせいで学園側はどれだけの被害を被ってきたか…」

 

 やっぱ、そうなのか。

 学園上層部ですら手を焼くって時点で、あの女がどれだけの問題児だったのか伺える。

 

「いいのかよ? 楯無の奴は…」

「問題ありません。これは完全に私個人の意志です。それに、会長…いや、お嬢様に『これ系』の仕事は無理ですよ。有能そうに見せているだけで、結局は正面突破しか出来ない不器用な人ですから」

「うわー…辛辣だー」

「事実ですから」

 

 今…完全に分かった。

 この人は『こっち側』の人間だ。

 お蔭で、たった数回の会話だけで信頼に値するって確信した。

 

「立場上、私は学園上層部と話をする事が出来ます。彼らに事情を話せば、快く『見ない振り』をしてくれることでしょう。自分達の手を一切汚さずに『邪魔者』を排除してくれるのですから」

 

 眼鏡と三つ編みでいかにも『優等生』って感じなのに…言ってる事は凄いぞ…。

 あぁ…確かにこれは『暗部』だわ。

 頭お花畑の会長サンよりは遥かに『裏側』にいるって感じがする。

 

「一つだけ質問。先輩は『私の事』を知ってるんですか?」

「知ってますよ。貴女のご両親の事も。その経歴の事も全て」

「わー…」

 

 全部知った上で私達と接触してきたって…度胸あり過ぎかよ。

 本音ちゃんも凄いお姉さんを持ったもんだな…。

 

「と言うことなので、作戦決行時は警備員だけに気を付けていれば大丈夫だと思います。監視カメラの類は一時停止させられるでしょうし」

「カメラが無いだけでも、相当に楽になる…」

 

 なんだろう…一気に緊張感が消えた。

 下手したら、片手間感覚で出来るかもしれない。

 

「いつの間にか話が大きくなってきたね…お姉ちゃん」

「そうね…でも、事情を知った上での協力者は有り難いわ」

 

 そりゃね。

 こういう作戦において、人数が多くなり過ぎるのは問題だが、かといって協力者がいないのも拙い。

 確かな実力があり、程々の人数が揃うのが最適だ。

 バックアップの人数は多ければ多いほどいいけど。

 

「ねぇ…お姉ちゃん。『あの事』も話した方がいいかな?」

「どうだろ…別に今回の作戦には全く関係ないから、問題は無いと思うけど…」

 

 ん? いきなりどうした?

 姉妹揃って私の方なんか見て。

 

「えっと…加奈。これから大変だと思うけど…頑張ってね」

「私とお姉ちゃんは加奈の味方だから」

「う…うん。ありがと…?」

 

 なんか急に励まされた。

 大変なのは今更って感じだけど…。

 

『軍曹殿。作戦とは関係ありませんが、一つだけご報告が』

「なんじゃらほい?」

『織斑千冬が戻ってきたようです』

「へぇ~…」

 

 やっと帰ってきたんだ…あの女。

 てっきり、もう二度と戻ってこないと思ってた。

 まぁでも…中身は完全に変貌してるだろうな。

 かなり長かったし…徹底的に『調教』されたに違いない。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 

 学園に戻ってきた千冬は、いつものように職員室へと向かい、副担任である真耶と話をしていた。

 

「遅くなって済まなかったな」

「いえ…それは大丈夫なんですけど…」

「どうした?」

「それがその…一言じゃ言い表せないぐらいに色々な事がありまして…」

「あぁ…それなら心配はいらん。ちゃんと報告は受けている」

「そ…そうなんですか?」

 

 昨日まで委員会に呼び出されていた千冬が報告を受けていた事に真耶は一瞬だけ驚くが、すぐに『それもそうか』と納得した。

 彼女がいた場所はIS委員会。

 学園で起きた事などはすぐに向こうに情報が入るようになっていても不思議じゃない。

 

「凰とオルコットが揃って候補生の資格を剥奪されたと同時に退学処分になったと。フッ…奴等の普段の所業を考えれば当然だろう」

「せ…先生…?」

 

 自分の教え子が退学になったというのに、それを悲しむどころか鼻で笑う。

 今までの千冬からでは考えられなかった。

 

「それで、篠ノ之の馬鹿は地下に幽閉か。これも当然の報いだな。寧ろ、これで少しは学園が静かになるんじゃないか?」

「そんな言い方って…」

 

 確かに、真耶も箒たちには手を焼いていたが、それでも自分のクラスの生徒であることには違いが無いのだ。

 どうにかしてあげたいと思うのが教師として当然の反応の筈だった。

 

「しかも、織斑に至っては自分の恥を大衆の面前で晒したそうだな?」

「そ…それは…」

「全く以て情けない。しかも、オカズは私だと? 呆れてものも言えん」

「織斑先生…」

 

 いつもならば、これもまた冗談だと思うところだが、今の千冬は本気で実の弟である一夏の事を軽蔑している風だった。

 まるで、道端に落ちているゴミでも見るかのような目。

 明らかに、これまでの千冬とは容姿が違って見えた。

 

「それで? 織斑は今どうしている?」

「えっと…学校を休んで部屋に…」

「はぁ……」

 

 何とも大きな溜息。

 呆れたように椅子から立ち上がり、どこかへと行こうとした。

 

「織斑先生? どちらに?」

「決まっている。あのバカの所だ。姉として、担任として部屋から引きずり出してやらねばな」

 

 そう言いながら職員室を後にする千冬の口には怪しげな笑みが浮かび、舌なめずりをしていたが、真耶からはそれが全く見えてはいなかった。

 

 

 

 




虚さん&ダリルの登場。

ダリルは普通にヒロイン候補ですが、虚さんは原作通りに『彼』と結ばれて貰うつもりです。

ここから箒の滅亡のターン。

そして千冬は…?



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