面倒くさいので、取り敢えず寝る ~IS編ifストーリー~   作:とんこつラーメン

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昨日は本当に申し訳ありませんでした。

マジで、終わってから報告を受けて初めて知りましたから。

勿論、即座に消去はしましたけどね。

でも、お蔭で逆に冷静になれました。

アッチの方は近日中に必ず書き直して再投稿します。

今回は全年齢版の方でリベンジって事で。






面倒くさいので、取り敢えず諭す

 えーっと。

 今起こった事をありのままに説明するのぜ。

 皆と仲良く一緒にお買い物に行った帰りに、空腹だったお腹を満たす為に『五反田食堂』に入ったら、いきなり例の妹ちゃんから私達がIS学園生であることを看破されちまった。

 何を言っているのかよく分からないとは思うが、私も何が起きているのかサッパリ分からない。

 ニュータイプとかイノベイターとかXラウンダーとかちゃちなもんじゃないい。

 もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。

 

「えーっと…どうして私達がIS学園の人間だって思ったのかな?」

「それはー…」

「それは?」

「こんな事、お客様に対して非常に言い難いんですけど…」

「別に私達は気にしないよ。言ってみて」

「そのー…明らかに日本人じゃない人が混じってるっていうか…見るからに多国籍って言うか…」

「「「「あ」」」」

 

 私とマドカとロランとダリル先輩が同時に声を上げた。

 そういや…そうでしたな…。

 もうすっかり、このメンバーで過ごす事が当たり前になって来てるから普通にスルーしてたけど、私達って超多国籍だわ…。

 オランダに台湾にタイに中国、ついでにアメリカもいるしね…。

 半分は日本出身とはいえ、かなり個性的な面々だ。

 

「言われて初めて自覚したわ…そういやオレ達って、何気に生まれた国ってバラバラだったな」

「特に気にしたことは無かったが…」

「言われてみると確かにって感じですね」

「今更って気もしますけどね」

「そうね。別に所属する国が違うからって、そんなのはどうでもいいし」

「お姉ちゃんの言う通り。それに、IS学園ってそんな場所でもあるし」

 

 それ以前に、多国籍の女の子集団が10人も揃って出歩いていること自体が凄まじくレアな光景だと思う。

 これ…道行く人に凄い目で見られてた可能性があるな…。

 

「やっぱり、IS学園の人達なんですね!」

「え? あぁ…まぁ…うん」

 

 ここまで来て下手に誤魔化したら却って変だ。

 素直に認めた方が色々と面倒が無くて済む。

 

「もしかして、IS学園に興味があったり…とか?」

 

 うん。分かってて言うのって変な感じ。

 

「はい! 実は私…」

「おい蘭。話をするのは良いが、まずは注文を取りやがれ」

「あ…うん! やっちゃった…あはは…」

 

 注意されちったね。

 ここで声を上げて怒らないのが、あのお爺ちゃんが客商売がなんたるかってのをちゃんと理解している証拠だ。

 

「そ…それじゃ、改めてご注文をお伺いしても良いですか?」

「りょーかい。えーっとー…」

 

 この五反田食堂、昔懐かしなイメージとは対照的に、意外とメニューが豊富だ。

 しかも、ちゃんと大衆受けするような和洋中のメニューを取り揃えている。

 うーむ…出来る。

 

「ちょっといい?」

「なんですか?」

「このお店のオススメとかってある?」

「ありますよ。五反田食堂名物『業火野菜炒め』です!」

「業火野菜炒め…」

 

 なんとも興味が引かれる響きの名前だ。

 聞いただけで一気にお腹が空いてきますな。

 

「なんか急に加奈さんが碇ゲンドウみたいなポーズになったんだけど」

「このポーズをした時の加奈は、何かを考えている時さ」

 

 流石は私のロラン。良く分かってくれている。

 だから大好き。

 

「私は知っている…こういう大衆食堂で出される野菜炒め系のメニューは、その大半が『材料』に強い拘りを持っている。故に、使われている野菜は間違いなく…」

 

              無 農 薬 野 菜

 

「ほぅ…その歳で中々に分かってるじゃあねぇか。やるな…お嬢ちゃん」

「それほどでも」

 

 キッチンに立っているお爺ちゃんが鋭い視線を飛ばしながら微笑を浮かべる。

 どうやら、私の予想は大当たりしているようだ。

 ならばもう、注文するメニューはたった一つしかない。

 

「…業火野菜炒め…一つ」

「はい。業火野菜炒めですね。他の皆さんは何にします?」

 

 妹ちゃんが私の注文をメモ帳に書き込み、皆もそれぞれに注文を決めていく。

 無農薬の野菜で作る野菜炒め…実に楽しみだ。

 

(軍曹殿)

(アル? どったの?)

(今、軽く調べたのですが、軍曹殿の予想通りにこの食堂で使用されている野菜は全て特定の業者から仕入れられている完全無農薬の野菜です)

(やっぱりね。つーか、そんなの別に調べなくてもいいのに)

(どうしても気になりましたので)

(気になったって…)

 

 AIとして、その感情はどうなのよ…。

 日々着実にアルの思考がより人間に近くなっている気がする。

 このままだといずれ、アルの意志でΛ・ドライバが発動しそうだ。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 注文が終わり、ここからは料理が出来るまでゆったりまったりタイム…とはいかず、さっきから妹ちゃんが目をキラキラさせながらこっちを見ている。

 

「なぁ…あの嬢ちゃんさ…」

「無視するべき…だとは思うんですけど…」

 

 あの純粋な目から放たれるキラキラビームは中々に強力だ。

 これが現役JCの実力か。

 それを言ったら私達も現役JKなんですけどね。

 

「えーっと…蘭ちゃん…だっけ?」

「はい! 五反田蘭です!」

 

 元気ハツラツだー。

 この歳で擦れ捲った人生を送る私には絶対に無理な笑顔だー。

 

「え? アンタもランっていうの?」

「そうですけど…もしかしてアナタも?」

「うん。あたしもランっていうの。凰乱音っていうんだけどね」

「そうなんですね! 奇遇だな~」

 

 そういや、この二人って同い年なんだっけ。

 名前の呼びも同じならば年齢も同じって…地味に凄いかも。

 

「ん? 凰?」

「どうかした?」

「いえ…なんでもないです」

 

 ふむ…伊達に食堂の娘をやっている訳じゃないか。

 乱ちゃんの名字を聞いてすぐに、彼女が凰鈴音の関係者であると察したけど、乱ちゃんがそれに関して何も言わない事ですぐに事情を察して知らない振りをしたな?

 はぁ…この気遣いがどうして原作ヒロインズは出来ないんだろうか?

 だから想い人であるブラコン野郎に見向きもされないんだよ。

 

「あー…つかぬ事を聞くけど、もしかしなくてもIS学園志望…だったりとか?」

「そうです! 私、高校受験はIS学園にするって決めてるんです!」

 

 やっぱりかー。

 イヤだなー…年下の子に残酷な現実を突きつけるのはさー。

 

「なので、もしよろしければIS学園の事を教えてくれませんか!?」

 

 言うと思った…。

 はぁ…どーするべや。

 

「…どうする加奈?」

「どうするって言われてもなー…」

 

 ありのままを全て説明することは簡単だ。

 でも、そうしたら確実に彼女は落ち込むだろう。

 織斑一夏の関係者とはいえ、まだ十分に『戻れる場所』にいる彼女を巻き込みたいとは微塵も思わない。

 

「あ…そうだ」

「何か思いついたんですか? 加奈さん」

「うん。ここはやっぱり、年長者にお願いするのが一番だって思わない? ヴィシュヌ」

「年長者…あー…成る程」

 

 つーわけで、この場で唯一の最上級生の肩をポン。

 

「ダリル先輩。お願いします」

「ってオレかよッ!?」

「だって、私達はまだ一年生ですし。今年入学した私達よりかは俯瞰した意見が言えるんじゃないかなーって思って」

「うーん…確かに、そうかもだけどよぉ~…」

「こーゆー時、三年生の言葉は参考になると思うな~」

「えっ!? お姉さんってIS学園の三年生なんですかッ!?」

「あ」

 

 はい。ここで蘭ちゃんが先輩に向けて今まで以上にキラキラビームを放つ。

 これには流石にダリル先輩も敵わない。

 それに、私は知ってるんだぞ?

 一人称が『オレ』で粗暴なイメージがあるけど、実はめっちゃ優しくて後輩想いのお姉さんなんだってことは。

 今回は、その優しさに付け込んでるんだけど。

 申し訳ないから、後で何か奢ろう。

 

「はぁ…しゃーない。で、何が聞きたいんだ?」

「えっと…えっと…」

「言っとくけど、軽い気持ちでアソコに入るのは、あんましオススメしねぇぞ」

「え?」

 

 言いよった。

 このパイセン、私達がいいたくても言えなかった一言をめっちゃオブラートに包んで言いよったで。

 

「去年や一昨年まではまだ辛うじて良かったんだけどなぁ…」

「今年は…駄目なんですか?」

「そうだな。ぶっちゃけ、ここにいる連中以外の今年の一年は悪い意味で狂ってやがるよ」

「狂ってる…?」

「そ。その原因は例の織斑一夏なんだけどな」

「い…一夏さんが原因? なんで…」

「その辺は、オレよりもクラスメイトである加奈や本音の方が詳しいだろ」

「うっわ…そこでこっちに振りますか」

「さっきのお返しだよ」

 

 やられた…これは一本取られましたな。

 

「い…一夏さんと同じクラスの人…なんですか?」

「一応…ね。話をしたことなんて殆ど無いけど」

「クラスでの一夏さんって、どんな感じなんですか?」

「一言で言えば『特定の人物以外とは殆ど話そうとしない』って感じ」

「話そうとしない?」

「正確には『話したくても話せない』だけど。取り巻き連中が他の女子と話す事を許してくれないんだよ」

「そんな…」

 

 ま、それが普通の反応だよな。

 あのヒロインズは独占力が強すぎて、それが結果として自分達の首を絞めてるって全く自覚が無いから質が悪い。

 

「ある意味じゃ、彼は完全な犠牲者だよ。アイツ目当てに休み時間に他のクラスや学年から女子生徒が殺到して廊下が埋め尽くされるんだよ?」

「お昼にご飯を食べに行く時も、まるで大名行列みたいになってたよね~」

「うんうん。っていうか、よく『大名行列』なんて言葉を知ってたね…」

「この間見た時代劇で知ったんだよ~」

 

 本音ちゃん…時代劇なんて見るんだ。

 割と衝撃的な新事実が発覚したし。

 

「あいつの一挙手一投足に一喜一憂してさ。傍見てたら滑稽でしか無かったよ。ま、だからと言ってアイツに決して悪い所が無かったと言えば、全然そうじゃないんだけど」

 

 お腹空いてきたな~。

 いつの間にか私だけが説明役になってるし~。

 

「織斑一夏には致命的に『自覚』がない。自分がどんな立場で、どんな境遇に立たされているのかって事が」

「自覚…境遇?」

「そ。あの男は世界で唯一の男性IS操縦者。そりゃもう絶滅危惧種や天然記念物なんかとは比較にならないレベルの、世界規模の超絶希少存在だから。文字通り、頭の先から爪先に至るまで、世界中の研究者たちが喉から手が出るほどに欲しい情報が満載してるんだよ。だから、影で何かされていても全く不思議じゃない」

 

 監視とか盗聴とか、その他諸々とかね。

 全部言ったらマジでキリが無いから省略するけど。

 

「そして、それは周りの女子達も同じ。想像出来る? 実技の授業中にいきなり織斑一夏に一斉にか弱い女の子アピールをし始める女子達の姿を」

「それは…普通に引きますね…」

 

 よかった…ちゃんとした感性の持ち主だ。

 この子まで『織斑至上主義』だったら、もうどうしようもなかった。

 

「そうじゃなくても、今年の一年は相当に浮かれてやがったけどな」

「浮かれてた?」

 

 おっと。ここでパイセンに交代ですかー?

 この隙にお冷でも飲んで…っと。

 あー…冷たい水が喉を潤していくー。

 

「去年や一昨年までは、多少の高揚はあっても、そこまで浮かれてはいなかった。楽しみって感情よりも緊張感の方が強かったからな。でも、今年の一年共はダメだな。完全にISをファッションの一部としてしか見てねェ。危機感も緊張感も全く無し。ISの事を上辺でしか知らない何よりの証拠だよ。少しでも勉強すりゃ、嫌でもISの危険な側面を理解出来るのに。文字通り、受験に向けて『知識だけ』を頭ン中に叩き込んでやがるな。自分にとって都合の悪いことは全く見ようとすらしてない。あんまし、こんな事は言いたくはねぇけどよ…このままだと確実に怪我人が出るぞ」

「…………」

 

 ダリル先輩の言葉に何か思う所があったのか、急に蘭ちゃんは黙り込んでしまった。

 そりゃ、この子のIS学園受験の理由は『織斑一夏がいるから』だからな。

 真剣な顔で三年生が現状を憂いていれば、嫌でも色々と考えてしまうか。

 

「ここにいるコイツらみたいに、ちゃんと現状を正しく理解している奴等はマジで希少だよ。こいつら以外にも少なからずいるにはいるが、それでも見事な少数派だ。夢をぶっ壊すようで気が引けるけどよ、マジで真剣にISに一生を捧げるぐらいの覚悟が無い限りは、IS学園を受験することはしない方が良い。お前自身の為にもな」

「そ…それじゃあ…どうして皆さんはIS学園に入学したんですか…?」

「そいつは簡単だ。この場にいる連中の大半が代表候補生だからだよ」

「だ…代表候補生ッ!? それって確か国に選ばれたって言う…」

「そ。要は『国の事情』ってことだ。それ以外にも『家の事情』で入学した奴もいるし…」

 

 ダリル先輩がチラッとこっちに視線を向けた。

 

「…家族の事情で仕方なく入学した奴もいる。少なくとも、ここにいる全員が自分の意志で『入学したい』って思ってIS学園の門を潜ったんじゃねぇってことさ。無駄に高い倍率を潜って自分の意志で入学した奴の殆どが、ISの表の部分しか見ずに都合のいい夢を見て来てる。真剣にISを勉強しようなんて思ってる奴は、少なくとも今年の新入生には殆どいなかったな」

「そう…ですか…」

 

 やっぱ三年生の言葉は説得力あるなー。

 私達のような一年女子とは大違いですわ。

 それはそれとして、さっきからキッチンから超絶美味しそうな匂いが漂ってくるんですが。

 

「それでも入学したいんなら、オレもこいつ等も止めねぇよ。あくまでこれはお前の人生であり、決めるのはお前自身だ。でも…」

「でも?」

「ちゃんと家族と話し合うぐらいの事はしとけ。後悔しないようにな」

「そう…ですね。分かりました。私…ちょっと浮かれすぎてたのかもしれません。ちゃんと真剣に考えてみます」

「おう。そうしろ」

 

 話が終わった…?

 これで一件落着…かしらん?

 

「おう…お前ら」

「はい?」

 

 いきなり厨房からお爺ちゃんが声を掛けてきた。

 もう料理が出来たのかしら?

 

「…ありがとよ。孫娘に色々と話してくれてよ」

「お爺さん…」

「アイツの意思を尊重しようと思ってはいたが、だからと言って何もかもを良しとするのは間違ってるよな。へっ…まさか、こんな当たり前のことを、テメェらみたいなガキ共に教えられるとはな…この俺も焼きが回ったもんだ」

 

 いやいや…めっちゃ筋骨隆々で現役バリバリっしょ。

 その体で焼きが回ったんなら、世の中の大半の連中が終わってるから。

 

「礼代わりにデザートをサービスしてやる。なんでも好きなのを選びな!」

「マジっすか!?」

「これはまた望外の幸運だね」

「加奈と先輩のお蔭だね…」

「デザート♪ デザート♪ 何にしよーかな~♪」

「本音…凄くテンション上がってない?」

「そう言えば、暇さえあれば良くお菓子を食べてたような気が…」

 

 本音ちゃんって、間食しまくりなのにあのプロポーションなんだよね。

 割とマジで反則だと思う。

 栄養が全て胸に行ってるんだろうか…。

 

 その後、私達が五反田食堂の激美味い料理に舌鼓を打つのでした。

 また来たくなるような味でしたな~。

 

 そういや…結局、最後まで蘭ちゃんの兄貴の姿を見なかったけど…家にはいなかったのか?

 ま…別にどうでもいいんだけどさ。

 

 

 

 

 

 

          




次回は遂に第一期の後半突入です。

やることは決まってるんですけどね。



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