面倒くさいので、取り敢えず寝る ~IS編ifストーリー~   作:とんこつラーメン

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面倒くさいので、猛烈に嫌な予感がする

『ゲッタァァァァァァビィィィィィィィィィィムッ!!!』

 

 今日も今日とて、私は最高に素敵な神谷ボイスという名の目覚ましを聞きながら目を覚ます。

 

「ふわぁぁぁぁ…おはよ~…アルゥ~…」

『おはようございます軍曹殿。本日の目覚ましは流竜馬にしてみました』

「ん…ありがと。私、竜馬大好き。特に原作漫画版の竜馬が」

 

 やっぱ、ゲッターロボのパイロットたる者、過剰なまでにワイルドなぐらいが丁度いいんだよね。

 

「明日はロイ・フォッカー少佐でお願い」

『畏まりました』

 

 フォッカー少佐いいよね。

 あの渋さが溜まりません。

 地味にアニメキャラで私が初めてゴチ恋した人でもある。

 

『軍曹殿。起きて早々で申し訳ありませんが、ちょっとしたニュースが幾つかございます。お聞きになりますか?』

「んー…そーだね。聞こうか。朝の準備をしながらね」

『了解しました』

 

 思い切り背を伸ばしてから、ベットから飛び起きる。

 因みに、私は寝る時は基本的に全裸派だ。

 季節とか関係無しに、いつも裸です。

 その方が気持ちよく寝れるんだよね。

 分かる人には分かる筈。

 

『まず最初に…織斑千冬と織斑一夏の二人がIS学園を辞めました』

「ぶっ!!!」

 

 ご…ごほっ! ごほっ!

 え? 今…なんつった?

 あの姉弟が…ここを辞めた?

 

「ちょ…何がどうして、そんな事になってる訳? 織斑千冬はついこの間、帰ってきたばかりだし、織斑一夏に至っては、自分の身の安全の為にIS学園にいるんでしょ? まさか、これまで好き放題し過ぎた事で学園側も流石に許容できなくなって…?」

『いえ。そうではなく、ちゃんと学園長に直々に退職届と退学届を提出したが故の結果…つまり、自主退職と自主退学と言うことになります』

「マジか…」

 

 織斑一夏に関しては、辞めた理由はなんとなく想像はつく。

 大衆の面前で大恥を晒した挙句、今までずっと自分の事を贔屓していた女子達の殆どを敵に回したからな。

 アイツじゃなくても出て行きたくはなる。

 

『織斑一夏が退学した理由は、軍曹殿も大方の見当がついていると思います』

「まぁね」

 

 あれだけの判断材料が揃ってれば…ね。

 ってことで、キッチンまで行って冷蔵庫の中に入っているスポドリで水分補給。

 ん~…喉が潤う~♡

 

『織斑千冬に関しては、どうやら篠ノ之箒が行方不明になった事に関する責任を取る為…と言うのが表向きの理由のようです』

「あ…そっか。あいつ、仮にも学年主任で、この学園の闇に最も近い所にいる奴だったっけ。当然のように、その手の情報も知らされて当然…か」

 

 にしても『表向きの理由』…ね。

 ってことは『真の理由』は…。

 

「…完全に『籠絡』されたか。姉弟揃って」

『恐らくは』

 

 どうやら、私の想像以上に徹底的に『調教』された挙句、その時に学んだテクニックで、実姉に欲情していた弟と『お楽しみ』することで取り込んだか。

 

「…ま、別にいいけど…この事は教師であるオータムさんとスコールさんも知ってるのかな?」

『今はまだ…でしょうね』

「じゃあ、今日の朝にでも知らされるって事か」

 

 なら、この事を後で知らせるのはロラン達だけでいいか。

 皆も私と同じように、大した反応はしないだろうけど。

 それでも情報共有は大事だからね。

 

「でも、ここから出て行った後はどうする気だ? 行く宛なんかあるの?」

『それがどうやら、今後は姉弟揃ってIS委員会に身柄を預けることになるそうです』

「それ、実質的に『人生終了のお知らせ』じゃん」

 

 哀れな…なんて思わない。

 事情はどうあれ、アイツ等が自分で選んだ結末だ。

 どうなろうと、私が知った事じゃない。

 

「それで? もう一つのニュースは何?」

 

 パンツとブラを着けてからカーテンを開いてー…っと。

 うん。今日も朝日が眩しくて暑い!

 時期的に、もうそろそろ梅雨に入ってもおかしくは無いけど、今日は何故か超晴天です。

 

『どうやら、一年一組に海外からの転入生が来るようです』

「へー…」

 

 そっか…もうそんな時期か。

 フランスとドイツからやって来る問題児コンビ。

 フランスの男装女は基本的にシカトするとして、ドイツの方はどうなるのかな?

 崇拝する相手と憎しみをぶつける相手が揃っていなくなってる訳だし。

 これはこれで見物かも知れない。

 

『フランスとドイツ。それから正体不明の男子が一名』

「ん?」

 

 えっと…私の聞き間違いかしら?

 今、男子って聞こえたような気がするんだけど…。

 

『ドイツの方は、あの織斑千冬の元教え子で、ドイツの候補生と軍の特殊部隊の隊長を兼任しているようです。フランスの方は『自称『二人目の男性IS操縦者』と名乗っているようですが、どこからどう見ても男装をした女子にしか見えません。恐らくは、織斑一夏を狙ってやって来た者かと』

「う…うん…そだね…」

 

 アルが長々ともう既に知っている情報を説明してくれたけど、若干の混乱状態にある私の耳には全く入ってこなかった。

 

「あの…さ…正体不明の男子って…どゆこと?」

『そのままの意味です。どうやら転入生は三人いるようで、その内の二人は容易に情報が掴めたのですが、最後の一人はどんなに頑張っても情報の欠片さえも掴めませんでした。辛うじて判明したのは、その人物はガウルンを除いて表向きに判明している正真正銘の『二人目の男性IS操縦者』である…と言うことだけでした』

「そんだけ掴めれば十分でしょ…」

 

 本当に…妙な部分でウチのAIは人間らしいと言いますか…。

 

『今の所、その人物の正体を知っているのは学園長である『轡木十蔵』と、彼にその人物を迎えに行くように命じられた山田真耶の二人だけのようです』

「山田先生が地味に重要人物っぽくなってる…」

 

 いや…あの人の人柄や実力はマジで認めるよ?

 でも、そこまで話に介入してくるようなキャラでもないでしょ。

 

「出身地とかも分からないわけ?」

『全く。ですが、教室に行けば自然と判明することなので問題は無いかと』

「そう…かもだけどさ…」

 

 なんだろうね…本物の『二人目の男性IS操縦者』って時点で嫌な予感しかしないんだけど…。

 織斑一夏みたいに、自分の実力を勘違いした『お助け至上主義者』じゃない事を祈るよ…。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 朝のHR。

 いつもならば、教壇には担任である織斑千冬が立っている筈なのだが、もう彼女はこの学園には存在していないので、そこには副担任である山田先生が立っている。

 

「みなさん。おはようございます」

「「「「おはよーございまーす」」」」

 

 うん。なんてテキトーな挨拶。

 実に高校生らしい。

 

 織斑一夏の机が空席になっているが、それに対して誰一人としてツッコむ者がいない。

 あの本音ちゃんですら、空気を読んで黙っている始末だ。

 

 因みに、例の転入生三人と織斑姉弟がいなくなった事に関しては朝食の時に皆に話しておいた。

 案の定、フランスとドイツに関しては『ふーん』で済まし、あの近親相姦コンビに関しても『そうなんだ』ぐらいで終わった。

 でも『二人目の男性IS操縦者』に関しては流石に反応をした。

 特にロランが凄かった。

 まだ見ぬ相手なのに敵対心剥き出しで、私に何度も注意を促してきたほど。

 別に心配なんてしなくても、私はそんな尻の軽い女じゃありませんっつーの。

 

「朝から色々と報告することがあるんですけど、その前に皆さんに御紹介する人達がいます」

 

 さて…と。

 念の為に私が密かに非合法な手段で入手した『超高性能ダブルツインダッシュツヴァイマークⅡセカンド耳栓スペシャル』を耳に取り付ける。

 本音ちゃんにも全く同じ物を渡してあるので大丈夫。

 因みにこれ、二つセットで10万円もする代物だったりする。

 今の私には安い買い物だけどね。

 

「実はですね…このクラスに転入生が来ます!」

「「「おぉ~!」」」

「しかも、三人もです!!」

「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」」」

 

 おや? 思ったよりも派手なリアクションじゃない。

 いや…まだか。

 まだ『転入生が三人もいるよ』って言われただけだし。

 常識的に考えて、それだけでも十分に驚くべき案件なんだけど。

 

「では、入って来てください」

「「はい」」

「………」

 

 返事があったのは二人分だけ。

 無反応だったのはドイツの小娘か。

 

 教室内に入ってきたのは、非常に良く知っている男装した金髪の女子と、ちっさい体に仏頂面をした銀髪の小娘。

 そして…爽やかな微笑を携えた、軽いウェーブが掛かった長い銀髪の美少年。

 あいつが『二人目』…なのか?

 

「皆さん、初めまして。僕はフランスから来た『シャルル・デュノア』と言います。よろしくお願いします」

 

 パチパチパチパチ…。

 

 あ…あれ? なんかリアクションが薄くね?

 もっと『キャ――――!!』的なのを想像してたのに。

 これじゃ耳栓を買った意味無いじゃん。

 10万返せ。

 

(軍曹殿。恐らくは、織斑一夏の仕出かした事が、彼女達に男性に対する不信感を生んだのでは?)

 

 あー…成る程。

 あんだけの事を仕出かせば、そりゃ男性不信にもなるか。

 

「…ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

 そんだけかい!

 と言いたいところだけど、自分から名乗っただけでもマシなほうか。

 原作じゃ、教官殿に言われるまでずっと無言だったしな。

 

「俺の名前は『レナード・テスタロッサ』。ご覧の通りの男です。混乱を避ける為に俺がISを動かせることは今この瞬間まで、表面上は秘匿されてきたのですが、こうして表舞台に出た以上、好きなだけ言い触らしても構いません。どうせ、近日中にはテレビやネットなどで報道される事ですので」

 

 このレナードとかいう奴…見事なまでに仮面を被ってやがる。

 しかも、自分がISを動かせることを微塵も隠すつもりが無い。

 いや…違うな。

 こいつは今『表面上は』と言った。

 つまり、『裏側』ではこいつがISを動かせることを知っている人間が大勢いるって事だ。

 

「君の方も同じように情報開示がされるんだろう? シャルル・デュノアくん?」

「え? あぁ…そう…かもしれないね…あはは…」

 

 そして、フランス男装女に皆の目の前で堂々と牽制をする…と。

 まず間違いなく、アイツが男装をしている事を知ってるな。

 この場で見抜いたって感じじゃなくて、予め知っていたと見た。

 

「おい」

「は…はい? どうしました? ボーデヴィッヒさん」

「織斑教官と織斑一夏は一体どこだ?」

「そ…それは…えっと…」

 

 誰もが空気を読んで聞こうとしなかった事を普通に尋ねやがったぞ!!

 ドイツ軍じゃ空気を読むって事を教えなかったのかッ!?

 

「その…ですね…。これは皆さんにも、この後でご報告するつもりだったんですけど…」

 

 凄く言い難そうにしてるな。

 無理も無いか。

 いきなり『このクラスの担任が弟と一緒に失踪しました』なんて言えんわな。

 

「…一組の担任だった織斑先生と、織斑一夏君は…昨日付でこのIS学園を自主退職、自主退学をしました…」

「えっ!?」

「な…なんだとっ!? 教官が…辞めた…だとっ!? そんな馬鹿なッ!?」

 

 ドイツ女は兎も角、フランス男装野郎…お前は反応しちゃダメだろ。

 その時点で『自分は織斑一夏を狙って来ました』って言ってるようなもんだぞ?

 

「ふーん…」

「あの人達、辞めたんだー…」

「へー…」

 

 それに比べて、我等がクラスメイトの反応の薄いこと。

 私も同じ感想しか抱かないから、急にクラスメイトに対して好感が持ててきた。

 

「なんだ貴様等! あの織斑教官がいなくなったのだぞ! それなのに…」

「そう言われても…ねぇ?」

「ことあるごとに暴力を振るったり、低い声で怒鳴られたりしてたらねぇ…」

「寧ろ、いなくなって清々したっつーか…」

「弟贔屓も明らかだったしねー」

「身内贔屓する担任と、そんな姉に欲情する変態弟…これでIS学園も少しは平和になるんじゃない?」

「それ言えてるー」

 

 わぉ…これはびっくり。

 まさか、ここまで評価が反転しているとは…。

 

「織斑教官…どうして…どうして…」

 

 あーあ。

 なんか落ち込んじゃった。

 私しーらね。

 

「お…織斑一夏くんが…いない…?」

 

 そして、男装野郎の方も目に見えて狼狽えてるし。

 目下のターゲットがいなくなって動揺してますなー。

 恐らくは、すぐにあのレナードとかいう奴に切り替えるんだろうけど…恐らくアイツは、織斑一夏みたいにバカじゃないから一筋縄じゃいかないと思うぞー?

 

「ん? あの端の方に座っているのは…まさか…!」

 

 え? なんか急にレナードって奴がこっちを見て、ズカズカと歩いて来たんだけど。

 

「やっと…やっと会えた! 加奈!!」

「は? いや…何よ? つーか、初対面の相手に名前呼びされる謂れは無いんですけど?」

「おっと。確かにそうだったね。でも…済まない。こうして本物の君に会えたことが嬉しくて嬉しくて、この興奮を抑えられそうにない! だから加奈! 言わせてくれ!!」

「何を?」

 

 後に私は、この時にレナードに発言を許してしまった事を死ぬほどに後悔する事となった。

 

 いきなり私の目の前で跪き、私の手をそっと握ってから、こう言い放ちやがった。

 

「加奈! どうか、この俺の花嫁になってくれ!!」

「死ね!!!!!」

 

 お願いだからさ…もう勘弁して…。

 癖の強い男はガウルンだけで十分なんだよ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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