面倒くさいので、取り敢えず寝る ~IS編ifストーリー~   作:とんこつラーメン

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面倒くさいので、取り敢えず事情聴取する

 本来ならば、フランス&ドイツからの転入組が来た日の午前中の授業は、二組との合同実技になるのだけど、一組と二組には本来いるべき筈の人間達が悉くいないせいでどこかで何かが狂ってしまっているのか、今日の午前は普通に座学の授業になっていた。

 ドイツの軍人娘は暗い顔のまま超絶意気消沈星人になって終始黙ったままで、逆にフランス男装女は実技じゃない事に少しだけ安心したかのような顔をしていた。

 それでも、お前の置かれた立場は微塵も変わらないんだけどね。

 

 そして、私にいきなり『嫁になってくれ』とか抜かしやがったレナードとか言う野郎はと言うと…。

 

「ふむ…成る程。流石はIS学園と言ったところか。問題点は多々あれど、授業のレベルは中々に高い。少なくとも、勉強方面では退屈せずに済みそうだ」

 

 なんか普通に余裕な表情で授業を楽しんでやがりました。

 これはこれでなんかムカつく。

 

(…アル。あの男について何か分かった事はある?)

(申し訳ありません。考えうる限り、ありとあらゆる場所を徹底的に調査してみたのですが、彼に関する情報は微塵も得られませんでした。正真正銘の謎の人物です)

(そう…)

(こうなれば、本人に直接聞くか、もしくは後日に発表される予定と言う彼の『表向きの情報』から改めて探っていくかしかありません)

(公開される情報も、一体どこまで本物か分かったもんじゃないっしょ。だったらもういっそのこと…)

 

 基本的に、私はテレビで報道されている情報の類は一切信用していない。

 その大半が情報操作で歪められているからだ。

 それだったら、まだネット上に転がっている噂の方が遥かに信憑性がある。

 

(ところで軍曹殿)

(なに?)

(生まれて初めて男性から告白されたご感想を一言)

(最低最悪だよコノヤロウ)

 

 これが燃え上がるような恋愛の果ての告白だったら、私だって二つ返事でOKしてたけどさ、出会ってまだ数秒、しかも完全初対面の相手に言われても感動もクソも無いんだわ。

 寧ろ、普通に不快感MAXだわ。

 一番ムカつくのが、顔だけは本当のイケメンって所。

 レナードのいきなりの告白劇を見て、クラスの女子達は目を丸くしてギャグ漫画のモブキャラみたいな顔になってたし、山田先生は顔を真っ赤にして初々しさ全開の可愛い反応してたし、ロリドイツは無反応で男装フランスは自分が変装している自覚も無しにモロに女の反応してたし。

 もうさ…どこからツッコんでいいのかマジで分からなかったんですわ。

 

 アルが言った通り、ここはストレートな手段が一番効果的かもしれないわね…。

 

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

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 昼休み。

 本来ならば、皆揃って楽しい楽しいお昼ご飯の時間帯。

 だけども今日だけはちょっと違う。

 

「レナード・テスタロッサ。ちょっといい?」

「おや、どうしたんだい加奈? もしや、君から昼食のお誘いかな?」

「んなわけあるか。悪いけど、私と一緒に来て。もし断っても強制連行していくから」

「ふっ…この俺が、君からの誘いを断る訳がないだろう? もし仮にアメリカ大統領から会食の誘いがあったとしても、問答無用で蹴って君との時間を最優先にするさ」

「それはそれでキモいからやめれ。普通に大統領と会ってやれ」

 

 余談だけど、傭兵時代に一回だけ、当時のアメリカ大統領に会った事があります。

 流石にホワイトハウスに招かれたわけじゃないけど。

 

「では、行くとしようか」

「うん。着いて来て」

「了解だ」

 

 レナードと一緒に教室を出ようとする私達を見て、女子達が珍しく年頃の女子高生らしい話に花を咲かせていた。

 因みに、フランス男装女はいつの間にか食堂に行っていて、ドイツ軍人女は逆に購買部で適当に菓子パンとかを買って食べていたらしい。

 

 ついでに言うと、同じクラスである本音ちゃんは、先に行って貰っているので教室にはいない。

 トロそうに見えて、意外と行動力があるから凄い。

 

 

 

 

 

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・・・・

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・・

 

 

 

 

「これはこれは…見事に全員集合じゃないか」

 

 私がレナードを連れて行ったのは学園の屋上。

 普通の学校ならば生徒の安全性とかを考慮して立ち入り禁止になっている場所だけど、IS学園はベンチやテーブル&イスのセットが置いてあったり、何故か花壇まであったりして、完全に生徒の出入りを前提にしているようなデザインになっている。

 それでいいのかエリート校。

 

 そして、そこで待っていたのは私の親友たち全員。

 ロランたちは勿論の事、スコールさんやオータムさん、学年の違う虚先輩やダリル先輩、ついでに山田先生にも同席して貰った。

 あの人は唯一、この学園でレナードに一番早く接触した人間だからね。

 

「こんな場所にこの俺を呼び出し、そこには君の知り合いが勢揃いしている。それはつまり、俺から色んな事を聞きたいってことでいいのかな?」

「そうだよ。皆に来て貰ったのは、後で伝え合うよりも直に聞いた方がいいと思ったから」

「成る程ね…で? 一体何が聞きたいんだい?」

「その前に誓え。この場では一切の嘘などを言わない事を」

「誓おう。もしも俺が嘘を言った場合、その時は俺の事を好きにしてくれて構わない。煮るなり焼くなり、お好きにどうぞ。加奈に殺されるのなら寧ろ本望だ」

「…アル」

『録音完了しました』

 

 はい。これでこいつの逃げ場は封じた…一応ね。

 んじゃ、ここからが本番だ。

 

「まず最初に…お前はどこから来た? 何が目的だ?」

「何処から来た…か。それに関しては俺自身も良く分かっていないんだ。あの『場所』は常に移動しているからね。一応、空港自体はアルゼンチンの『エセイサ空港』を使ったけどね。とっくの昔に移動をしている事だろう」

「アルゼンチンって…マジかよ…」

 

 ダリル先輩は絶句するのも無理は無い。

 アルゼンチンは現在、日本から最も遠い場所にある国だと言われているから。

 なんせ日本への直行便が無くて、経由地での乗り継ぎにかかる時間が約3~11時間ぐらいで、最終的には約26~34時間ぐらいかかるとされている。

 つまり、どんなに速くても確実に一日以上は確実にかかるって事だ。

 どうして、そんな遠回りをしたのかは…聞くまでも無いか。

 

「なら、言い方を変えるよ。お前は誰の元にいた?」

「君の両親の元に」

「!!!」

 

 やっぱり…あのクソ両親の所から来たのか!!

 だとしたら、レナードはアイツ等からの刺客!!

 

「この俺の事を相良博士たちが寄越した人間だと思っているようだが、それは違うよ」

「…どういう事だ?」

「俺が彼らの元を去る際に、俺は完全にあの二人と決別をしているからさ。それどころか去り際に宣戦布告までしてきた」

 

 この言葉…どこまで信用していいものか…。

 

「確かに俺は、あの夫婦に才能を見い出されて保護され、少し前まで一緒にいた。それは認めよう。だが、今はもう全く関係ない。いや…それどころか、あの二人の事だ。恐らくは俺が加奈と接触することすらも『実験』と称して嬉々としてモニタリングしている可能性すらある」

「それは普通に有り得る。つーか、ほぼ確実に現在進行形でやってるだろうな」

 

 成る程な…レナードの感情の揺らぎすらも全て計算の上で、こいつの実質的な裏切りを許容したと。

 まぁ…アイツ等にとっては、至高にして究極は自分達だけで、それ以外は全て有象無象以下の実験動物だからな。

 ある意味で篠ノ之束よりも遥かに質が悪い。

 アイツ等に比べたら、天災兎のやってる事が全てお遊戯に見えてくる。

 ウチのクソ両親の行動原理は全て『好奇心』だからな。

 そこに『誰かを守る』とか『誰かに何かを』的な思想は一切無い。

 どこまでも自分の欲求に忠実な存在。

 それがウチの両親だ。

 

「じゃあ、お前がIS学園に来た理由は? 今朝の奇行と何か関係があるのか?」

「勿論さ」

 

 ドナルドっぽい言い方は止めれ。

 

「俺がIS学園に来た理由…それは、君に会いに来たからだ。加奈」

「私に?」

「もっと別の言い方をすれば、俺は君に一目惚れをしたんだ」

「…なんですと?」

「なん…だと…!?」

 

 一瞬だけ私の思考がフリーズしかけてしまった。

 あと、しれっとロランの顔が凄いことになってる。

 別にまだ私の霊圧は健在だよ。

 

「モニター越しにずっと君の事を見ていた。君の一挙手一投足、その行動の全てを。そして確信した。加奈こそが俺の花嫁に最も相応しいと。加奈しか、俺の隣に立てる女性はいないと」

「勝手に決めるなし。私の婿は私が決めるわ」

 

 あぁ…これがストーカーに追われる女性の心理って奴か…。

 これは確かに厄介極まりないわ…。

 今いる場所が学園じゃなかったら、即座に殺してる自信があるわ。

 実際に殺せるかどうかは別として。

 

「無論、俺は無理強いをする気は無い。君に嫌われたくは無いからね。だから、加奈と同じ学校に通い、君の事を振り向かせてみせる。必ず、加奈を俺に惚れさせてみせる」

「一体どこから、その自信はやって来るんだ」

 

 少なくとも、現時点じゃこいつに惚れる要素は皆無だわ。

 今はまだ私の中じゃレナードは『顔が良いだけの変態』だから。

 

「ふ…ふふふ…」

「ロ…ロランさん?」

 

 ん? なんか急にロランの不気味な笑い声が聞こえてきた?

 乱ちゃんが普通に怖がってるけど。

 

「言っておくが…加奈は絶対に渡さないよ? 加奈は私の花嫁にすると決めているんだ」

「オランダの代表候補生の『ローランツィーネ・ローランディフィルネィ』か。君が加奈を好いている事は承知の上さ。その上で言っている。そして宣言しよう。君にだけは負けないとね」

「私の事も既に知っているか…上等じゃないか…!」

 

 いつも余裕があるロランが珍しく燃えている…!

 これが所謂『私の為に争わないで』って奴か?

 

「けど、ロランさんの事を知ってるって事は、もしかして私達の事も…?」

「勿論、存じているとも。台湾の代表候補生『凰乱音』さん」

 

 マジか…本当に学園に来るに際して徹底的に情報収集して来てるんだな。

 それには普通に脱帽するよ。

 

「そして、タイの代表候補生『ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシー』さんに、今はイギリスの機体のテストパイロットをしている『高田マドカ』さん」

「私達の事も…」

「知っているのか…」

 

 ここまで来ると、もう普通に恐怖だよね。

 割とマジでキモい。

 

「まさか、君達双子が中国の候補生となって加奈の傍にいるのには驚いたけどね」

「余計なお世話よ。それよりも…」

「加奈に変な事をしたら、私とお姉ちゃんが許さないから」

「安心してくれ。神に誓っても絶対にそんな事はしないと約束しよう」

 

 変なもんに誓うな。

 もうちょっとマシなもんに誓いを立てんかい。

 

「他にも、日本の候補生にして暗部の家系である『更識家』出身の『更識簪』さんに、その分家である『布仏家』の『布仏本音』さんと、その姉である『布仏虚』先輩…」

「私達の事を知ってるんだ…」

「うわぁ~…レナレナすごーい…」

「…………」

 

 レナレナて…早速もう渾名を付けとりますがな。

 

「アメリカ候補生のダリル・ケイシー…彼女とも仲良くなっているのは驚いたよ」

「その口ぶり…オレの『素性』もとっくに把握済みって事で良いのか?」

「勿論ですとも」

 

 こいつがどこまで何を知っているのか…凄く気になるけど、ここでは絶対に話してはくれないんだろうな…。

 私には分かる。

 レナードは、例えどんな拷問な尋問に遭わされても、絶対に情報を吐かないタイプだ。

 この手の奴がある意味で一番厄介極まりない。

 精神力が強すぎるんだよ。

 

「これでもう満足かい? 流石にお腹が空いてきてしまったんだが…」

「そう…だな。本当はもっと色々と聞きたいけど、時間が足りない。それは今後、聞いていくことにする」

「加奈からの質問はいつでも受け付けるよ」

「お前はどこのラジオパーソナリティーだ」

 

 何度でも言ってやる。

 お前、マジでキモいわ。

 

「スコールさんにオータムさん、それに山田先生も。お手数をおかけしてすみませんでした」

「別にいいのよ。気にしないで加奈ちゃん」

「そうだよ。こうして早めに情報共有できたのはデカいしな」

「私も気にしてませんよ、相良さん。それにしても、随分と謎が多い子だとは思ってましたけど…まさか、あの相良さんのご両親と関係していたなんて…驚きです」

 

 一番驚いてるのは私自身ですけどね。

 そして、今まで以上にあのクロ両親をぶっ殺してやりたいと思った。

 より一層、決意が漲ったわ。

 

「それじゃあ、今から一緒にお昼を食べに行こうじゃないか。なぁ加奈?」

「それはいいけど…しれっと人の腰に手を回すな! この変態が!!」

「うぐ! こ…これも一つの愛の形か…」

「うわ~ん! ロラ~ン! こいつマジでキモいよ~!」

「よしよし…私の可愛い加奈…君の事は私が守ってあげるからね」

 

 ロランの頭なでなで…いっぱいちゅき…♡

 これさえあれば何もいらにゃい…。

 

「加奈さん…モテモテだぁ…」

「なんといいますか…」

「加奈には同情してしまうな…哀れな…」

 

 そこ、ちゃんと聞こえてますからね。

 後で三人にはハグハグの刑を執行するからね。

 私の手で思い切り愛でられるがいい。

 

 

 

 

 

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