面倒くさいので、取り敢えず寝る ~IS編ifストーリー~   作:とんこつラーメン

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今年もラスト一週間。

最後まで頑張っていきたいですね。







面倒くさいので、取り敢えず放置する

 突然のガウルンからの情報提供があった次の日。

 シャルル・デュノアことシャルロット・デュノアに対する取り敢えずの方針が決定した私達は、その通りに行動をしていた。

 なんて言うと大袈裟に聞こえるかもだけど、要は『今まで通り無視しよう』だ。

 こっちからアイツに接触する理由はないし、向こうもいきなり見ず知らずの女子が近づいてきたら流石に不審に思うだろう。

 取り敢えずは、怪しい動きをしないように遠目から観察って感じ。

 それとは別に、学園側から『同じ男同士だから』と言うアホ丸出しの理由で同室にされてしまったレナードも、必要最低限の接触に留めるように心掛けるみたい。

 仮に言葉を交わすとしても、軽い挨拶や受け答え程度だけ。

 教室にいる時に至っては、会話すら碌にしない。

 ここまで徹底していると逆に凄いと思ってしまう。

 

 それは昼休みに突入した今も続いている訳で。

 

「あ…あの…テスタロッサくん…その…」

「加奈! 一緒に昼食を食べに行こう!」

 

 この通り。

 まるで、雨の日に捨てられた子犬みたいな顔をしている。

 これはこれで少しだけ愉悦。

 

「私は本音ちゃんや他の皆と一緒に行くから。着いて来たければ勝手について来れば?」

「是非ともそうしよう! 自分の妻をエスコートするのも、夫である俺の役目だからな!」

「誰が妻だ。誰が夫だ」

「にゃははは~! かなかなとレナレナは本当に仲良しさんだね~」

「一体どこをどう見れば、そんな感想が出てくるの?」

「レナレナか…悪くない渾名だな」

 

 こんな得体の知れない男に渾名なんて付けられるのは、世界広しと言えども本音ちゃんぐらいだよ。

 本当に、この子のこの全くぶれないマイペースっぷりには感心させられる。

 私も見習うべき所だね。

 

「あ……」

 

 結局、デュノアは完全にボッチ状態に。

 織斑一夏の例があるせいか、原作ではウザいレベルでチヤホヤされていたアイツも、哀れなほどに誰も寄り付かない。

 お前さんは本当に運と時期が悪すぎたんだよ。

 もし織斑一夏がいた時期に転入していたら何かが変わった…ってのも無いと思う。

 寧ろ、今よりももっと最悪の事態に発展していた可能性すらある。

 その場合、最も被害を被るのは間違いなく織斑姉弟だけど。

 ふむ…そう考えるとアレか。

 どちらにしても、あの二人が学園を去るのは確定事項で、どの理由と時期が少し違ってくるってだけの話なのか。

 そう考えると、私達がマジで何にもしなくても破滅確定じゃん。

 なにこの超イージーゲーム。

 いつも通りの日常を送っているだけで勝手にいなくなってくれるとか最高じゃない。

 

「さーて…っと。今日は何を食べようかしらねー」

「私は今日は麺類を食べたい気分ー」

「俺はそうだな…こうして日本にいる以上、少しは和食の慣れるという意味で日替わり定食でも注文してみるか」

「じゃあ私はー…ん?」

 

 私達が教室を出ようとした時、見覚えのない女子達が一組のドアの前にいた。

 それ自体は別に何もおかしいことじゃない。

 問題は、その女子達が呼んだ相手だ。

 

「デューノーアーくん。ちょっと一緒に来てくれるー?」

「え? ぼ…ボク…?」

「急いでよねー。お昼ご飯を食べそこなっちゃうからー」

「あ…うん…」

 

 …誰だ…アイツら?

 シャルル・デュノアにあんな知り合いなんていたのか?

 アイツの反応から察するに、友人同士って感じじゃないけど…。

 

(…アル)

(すぐに学園内のマイク付き監視カメラをハッキングし、どこにいても様子を伺えるように手配します)

(ナイス。ついでだから、私のスマホで見れるようにして)

(了解)

 

 これでよし…っと。

 食後にでもゆっくりと様子を見てみますか。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 食堂に行く途中で皆と合流。

 そんな私のお昼ご飯は『ふわとろ卵のオムハヤシ』。

 迷った時は万人が美味しいと思える物を食べるに限る。

 

「ふぅ…美味しかった。偶にはオムハヤシも悪くはないね」

 

 食後のお茶をズズズー…ってね。

 緑茶最強。異論は認めん。

 

「さて…と。それじゃ、そろそろシャルル・デュノアの様子を見てみますか」

「それは…さっき言っていた?」

「そ。ここに来る前に謎の女子達に連行されていってたから、念の為に…ってね。アルー」

『了解しました』

 

 私は織斑一夏のように内緒にはしない。

 ちゃんと皆とは常に情報共有するのを心掛けてるから。

 

 皆が食べ終わったタイミングで私のスマホを中央に置き、それを覗き込むように皆が集まってくる。

 

『当人達は既に解散したようで、今から流すのは録画映像となります』

「分かった。この喧騒だけど、念の為に音量は中くらいにして…っと」

 

 再生スタート。

 どれどれ…何を話していたのやら。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 場所は廊下の隅の方にある物陰。

 普段は余り一目にはつかないような所に奴等は集まっていた。

 

「あ…あの…君達は…?」

「もう分かってんじゃないの?」

「それは…」

「『監視役』だよ。か・ん・し・や・く」

「か…監視…役…?」

「そ。アンタだって聞いてるんでしょ? ウチのママ達からさ」

 

 そうか…こいつらがガウルンの言っていた『女性権利団体』から送り込まれたって言う監視役か。

 ってことは、ここにいる連中全員が権利団体に所属している奴等の子供ってことか。

 普通に4~5人ぐらいいるけど、恐らくはこれだけじゃないんだろうな。

 ここにいるのがこれだけって話で、探せばもっといそうだ。

 探そうって気には微塵もならないけど。

 

「なにチンタラやってるワケ? とっととあのレナードとか言う男と接触して、その体を使ってハニトラ仕掛けろっつーの」

「じゃないとさぁ…どうなるか分かってるよねぇ?」

「アンタ自身は勿論、アンタの親父や継母、会社の方だってどうなるか分かんないよ~?」

 

 やっぱりそうなってたか。

 最初はあいつ自身が人質で父親たちが脅迫される立場だったのに、気が付いた時には立場が逆転していたってわけか。

 これはこれで哀れだとは思うし同情の余地もある。

 けど、助けるかどうかってなると、それはまた別の話になってくる。

 

「ったく…馬鹿丸出しな織斑一夏が相手だったら楽勝だったのに…あのレナードって奴は中々に警戒心が強いみたいだし…」

「あの相良博士の娘にゾッコンだしね。流石に協力者である博士たちの娘に手を出すわけにはいかないでしょ」

「そうね。だからと言って、その友人達に手を出して変に逆鱗に触れるような真似も出来ない。レナード・テスタロッサは出会ってから日が浅いから問題は無いでしょうけど」

 

 馬鹿なりに色々と考えてるってことか。

 いや…これって寧ろ、親よりも娘達の方が頭良くない?

 けどまぁ…賢明な判断ではあるよ。

 もしも私の大事な人達を傷つけるような真似をしたら、その時は…生まれてきた事を後悔する程の地獄を味あわせてやるから。

 

「この世から『男性IS操縦者』なんて自然の摂理に反した存在を一刻も早く消さないといけないんだよ。じゃないと折角のISが穢れてしまうじゃない」

 

 いやいや…マジで意味不明なんですけど。

 自然の摂理って…IS自体が人工物なのに自然もなにも無いだろうよ。

 自分達が相当にアホな発言をしてるって自覚有ります?

 

「だーかーらーさー…」

「きゃぁっ!?」

 

 おっと。

 相手が恐怖で思うように動けないのを良いことに、いきなりシャルル・デュノアの制服を無理矢理脱がしてコルセットに隠してる胸を曝け出させやがった。

 

「この胸と『ココ』を使って…あいつを誘惑して破滅させるんだよ! 分かったか!」

「分かったから…分かったから…もうやめて…!」

 

 コルセットの上から胸を触って、もう片方の手はズボンの中に手を突っ込んでから股間を弄ってる。

 他の連中は、シャルル・デュノアが抵抗できないように両手を拘束してた。

 

「もうやめて? 『止めてください』だろうが!」

「やめて…ください…」

「遺伝子データとか機体の事とかマジでどーでもいいから。この学園から男を追放しなくちゃダメなんだよ!」

 

 …普通なら、ここまでされたら怒りとかで少しは抵抗しようって気になるもんだけど…こいつはどうやら違うみたいだな。

 画面越しでもよく分かるよ。

 この女の目は完全に死んでる。

 言葉や表情から『諦め』の色が溢れ出ているよ。

 

「今日はこれで勘弁してやるけど…次はこうはいかないからね」

「次…?」

「そうよ。私達は常にお前の事を見張ってるから。もしまた碌に成果が見られないようなら…」

「ようなら…?」

「ママ達からも『容赦しなくても良い』って言われてるから」

 

 一体何をする気なのやら。

 想像もしたくないけどさ。

 

「手取り足取り、その身を使って『練習』させてやるよ。たっぷりとねぇ…」

 

 リーダー格と思われる女がイヤらしい顔で舌舐めずりをした。

 それだけで、こいつらが何を考えてるのかが簡単に想像出来たわ。

 

「けどさ、もしあの男を籠絡するよりも前に『楽園』が完成したらどうするの?」

「その時は…そうねぇ…」

 

 楽園って…ガウルンが言ってた、あのクソ親父たちが建設してるっていう女尊男卑思想の女どもを封じ込めるための施設か。

 割と完成に近づいてるのか?

 

「こいつも連れて行ってやろうかしら? 『楽園』が完成したら、もう男共なんてどうでもいいし。さっさと、こんな学園からはおさらばするだけよ」

「それもそうね。あぁ…早く完成しないかしら…」

「今から本当に楽しみだわ…」

 

 なんて恍惚とした表情ですこと。

 全く魅力的じゃないけど。

 

「ら…楽園…って…?」

「文字通りの意味よ。私達『女だけの楽園』。もしも完成までに仕事が出来なかった時は…私達が『楽園』でペットとして飼ってあげるわ」

「ペッ…ト…!?」

「嬉しいでしょう? 偉大なる種族である女の栄えある礎になれるのだから。ここは泣いて喜ぶ場面よ?」

 

 ペット…か。

 お前達は一体どこのエロ漫画やエロアニメの住人だッつーの。

 

「それじゃ、そろそろ行こうかしら。お腹も空いてきたしね」

「早く仕事をして解放されるか。それとも一緒に『楽園』に行って私達のペットになるか。好きな方を選ぶのね」

「それじゃあねぇ~」

 

 女達は高笑いをしながらその場から去り、残されたのは制服の乱れた『シャルロット・デュノア』だけ。

 

「どうして…どうしてボクだけがこんな目に遭うんだろう…。誰か…ボクの事に気が付いて…助けてよ…」

 

 『ボクに気が付いて助けて』?

 気が付くわけないだろうが。

 この世の中はそんなに甘くは無いんだよ。

 『白馬の王子様』なんて、どこにも存在しない。

 そんなのを待ってたって意味が無い。

 どうして、そんな簡単な事が理解出来ない?

 少なくとも私は、流されるだけの人生なんて…待つだけの人生なんて絶対に御免だね。

 私の『運命』は私自身の手で切り開く。

 それが私なりの『正義』であり、その先に必ず『自由』があると信じているから。

 

 

 

 




シャルロットの結末はもう確定済み。

次回はまたもやお話回。



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