面倒くさいので、取り敢えず寝る ~IS編ifストーリー~   作:とんこつラーメン

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面倒くさいので、取り敢えず蹴散らす

 ISでは最早、御馴染みとなったVTシステム戦。

 通常戦力ならば苦戦必至なんだろうけど、生憎と私も友人達も皆揃って普通と言う領域から何段階も逸脱しまくっているので、こんなパチモン製造機なんで雑魚以下のガラクタでしかない。

 

「さーて…どう料理するかねー」

 

 試運転がてらに、じっくりと痛ぶるもよし。

 文字通り、Λ・ドライバの力をフルに使って一瞬でケリをつけるもよし。

 その気になれば、どれだけハンデを着けても余裕でブッ倒せるので問題は無い。

 

『軍曹殿。敵ISが体勢を整えて向かってきます』

「ほーい」

 

 立ち上がってからVTシステムが剣を握って突っ込んでくる。

 仮にも『あの女』のデータを使っているだけあって、構えだけは無駄に綺麗だ。

 でもね…それじゃあ駄目なんだわ。

 

「遅いって言ってるだろーが。ちっとは学習せんかい。ダボが」

 

 踏み込んで来てからの真っ向唐竹割りを仕掛けてきたが、私には見え見えの動きだったので、全身を捻るようにしてから左に回避。

 そこから更に、単分子カッターを斬り上げてから、まずは左腕を斬り落とした。

 

「まずはいっぽーん。ま、どーせパターン的にすぐに再生とかするんだろうけど」

『軍曹殿。どうやら、そうではないようです』

「ふぇ?」

 

 よく見たら、VTシステムは左腕を抑えながらよろめき、斬り落とされた左腕は溶けて消えた。

 

「うぇ。キモ」

『どうやら、レーゲンに搭載されたVTシステムは未完成品のようです。ちゃんと完成していれば、軍曹殿が仰った通りに斬り落とされた左腕は瞬く間に再生をしていた事でしょう』

「…不正をするならするで、ちゃんと仕事をしろよ…ドイツのアホ共が…」

 

 私は、昔からこーゆー風に仕事を中途半端に済ませる奴が一番嫌いだった。

 善とか悪とか関係無しに、やるならやるで徹底的にやれ。

 ちゃんと最後まで済ませてから死ね。

 半端で終わらせるな。

 

『どうしますか?』

「…急に面倒くさくなった。もし再生能力を持っているんなら、それを利用して思い切りアーバレストの試運転をしようと思ったけど、この弱さで再生もしないとなると、それはもう道端に落ちている犬の糞以下のゴミって事になるじゃん。そんなのに無駄に時間を使うこと自体が勿体無いよ」

『では?』

「一気に終わらせる。でも、その前にやることがあるけどね」

『要救助者救出ですね』

「そ。興味も無いし、助けるような義理も無いけど、少しでもドイツって国に借りを作らせてから、またいつでも無理難題を言えるようにしておく」

『軍曹殿の場合、もう既にドイツ側に多大な借りを作らせているのでは?』

「だから、それをもっと大きくしておくんだよ。借りなんてのは、作るのは御免だけど、相手に作らせる分には幾らでもやっていいんだよ。てなわけで…」

 

 首を左右に振ってからコキコキと鳴らし、右手に握っている単分子カッターをクルクルと回しながら近づいていく。

 碌に人工知能も搭載していない下劣な機械風情が、私に気圧されたのかジリジリと後ずさりをしている。

 なんて滑稽な光景なんだろう。

 これが全世界で研究も開発も禁止されているシステムの慣れの果てとはね。

 

「やっぱ、他人の猿真似なんてしても碌な結果にならないって事だね」

『それには激しく同意します。軍曹殿』

「だから私はアルが好き」

『ありがとうございます』

 

 さて…と。

 そうと決まったら、ちゃっちゃと済ませてしまいますかね。

 

「ふん!」

 

 両足に力を込めてからの全速力の瞬時加速(イグニッション・ブースト)

 競技的には中級から上級のテクらしいけど、私はISに乗り始めてから五分でマスターした。

 こんな小手先の技に四苦八苦している連中の気がしれない。

 

「何を一丁前に驚いてるんだよ。ただ近づいただけだろうが」

 

 逃げる暇もなく一瞬で懐に潜り込まれたVTシステムは、あからさまに怯んだジェスチャーをしていた。

 こうして見ている分には普通に面白いな。

 良い玩具にはなりそうだ。

 

『軍曹殿』

「分かってる」

 

 流石に拙いと判断したのか、VTシステムは残った右腕で必死に剣を振るって私を迎撃しようと試みるも、それはΛ・ドライバによって生み出された障壁によって呆気なく阻まれ無駄に終わる。

 

「はい残念。それじゃあ…」

 

 単分子カッターを逆手に持ってから、全力で腹部を斬り上げる!!

 

「まずは、その中にいる人間の出来そこないのガキを返して貰うぞ…っと」

 

 斬り口から白い肌が見えたので、そこに左腕を突っ込んでから思い切り引っ張る。

 すると、にゅるりって感じでISスーツが半分ぐらい溶けたラウラ・ボーデヴィッヒが出てきた。

 原作じゃ全裸だっだけど、どうやらあれは完成したシステムに完全に取り込まれていたが故の事なんだろう。

 ここでは、システムは不完全だし、当人も取り込まれる前に外に出せた。

 

「アホ丸出しな発言で他人と学園に迷惑を掛けんじゃねぇぞ…ってな!」

 

 そのまま地面にポイ捨て。

 え? ごみのポイ捨ては良くないって?

 大丈夫。後でちゃんと回収するから。

 

『軍曹殿。VTシステムに変化が見られます』

「変化? うぇ…キモさ二乗倍づけなんですけど」

 

 コアとなる存在を失ったせいか、さっきまで人型を保っていたボディは一気に崩れ、ベチャっと下半身が溶けて形を失った。

 上半身も首と胴体が一体化したようになり、右腕もドロドロだ。

 …なんだろう。この姿…どこかで見たことがあるような気が…あ。

 

「思い出した。この姿…モロにベトベトンじゃん。アルー…拡張域内にモンスターボールってあったっけー?」

『残念ながら、拡張領域内にはモンスターボールもスーパーボールもハイパーボールもマスターボールも入っておりません』

「そりゃ残念」

 

 もしあったら、これをそのまんまボールに入れてドイツに返却してやるのに。

 無駄に高慢な高官共の驚く顔が目に浮かぶようだ。

 

「キモいから、さっさと終わらせるよ」

『それが宜しいかと。さっさと終わらせて夕飯に致しましょう。私の調査によると、今日の日替わり定食は『キノコの炊き込みご飯』だそうです』

「……マジ?」

 

 キノコの炊き込みご飯とか…絶対に美味しいじゃん!!

 超食べたい! めっちゃ食べたい!!

 

「…お味噌汁の具は?」

『勿論、多種多様なキノコ類が入った味噌汁です』

「うん。今ので超絶気合いが入った」

 

 キノコの味噌汁とか…最強だろ。

 これであと、シイタケのステーキとか有れば完璧だな。

 

「もう人質はいないんだ。ボクサーも解禁するよ」

『了解。ロックしていた射撃兵装を使用可能にします』

 

 腰部のアタッチメントにボクサーを展開して固定。

 後はー…別にいいや。

 そんなに沢山、使う必要はないでしょ。

 

「…まずは!」

 

 ここまで来ればもうどこを狙っても一緒なので、真ん中辺りに単分子カッタを深々と突き刺す!

 システム自体がどこにあるのかは分からないけど、全部纏めてぶっ飛ばせば無問題!

 

「次!」

 

 今度はずっと顔にくっつけてた対戦車ナイフを手に持ち、クルクルと回転させて勢いを付けさせてから、単分子カッターが突き刺さっている場所目掛けてぶっ刺す!

 

「もう一つおまけだ! とっときな!」

 

 右手だけ離してからボクサーを手にし、そのままゼロ距離発射。

 散弾が至近距離で炸裂すれば、そりゃ当然のように爆散する。

 

「キモいんだよ! ヘドロ野郎!!」

 

 右足で蹴っ飛ばしてから遠くに飛ばし、右腕を上げてからΛ・ドライバの出力を上げつつ右拳にエネルギーを集める。

 

『軍曹殿。追加情報です。日替わり定食のメインのおかずは、なんと『煮込みハンバーグのキノコのあんかけ』だそうです』

「ありがとアル。お蔭でイメージが固まったぁっ!! やれる!!」

 

 煮込みハンバーグでキノコのあんかけだとぉッ!?

 今からお腹が空きまくって口の中が涎で一杯になっちまったじゃねぇか!!

 

 最初はゆっくりと歩いて行き、そこから徐々に勢いを付けてからのダッシュ。

 最後は全速力の瞬時加速で一気に接近!

 

「くらえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 右拳を突き出したままのポーズで固まる。

 傍から見るとスカったように見えるけど、これでいいのだ。

 

 次の瞬間、Λ・ドライバの力場が一気に解放され、それが怪物と化したVTシステムことシュヴァルツェア・レーゲンを包み込み、耳をつんざくような爆音と共に青白い閃光を発し、アリーナの約半分を覆い尽くして光の柱を生み出した。

 

 完全に終わったことを確認した私は、ゆっくりと後ろを向いた。

 

『お疲れ様でした。軍曹殿、最後に一言どうぞ』

「…お腹空いた」

 

 あんな小娘放置して、早くご飯食べたい…。

 でも、そうはいかないんだろうなぁ…。

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 加奈の戦闘を見ていた者達は、レナードを覗いて全員が呆気に取られていた。

 余りにも無慈悲なまでの蹂躙劇。

 未完成品とは言え、あのVTシステムを此処まで圧倒するとは。

 

「加奈の戦闘は、いつ見ても凄い迫力だね…」

「そうだけど…なんか途中から食べ物の話をしてませんでした?」

「聞いてたら、私もお腹が空いてきました」

「キノコの炊き込みご飯か…じゅるり」

 

 ロラン、乱、ヴィシュヌ、マドカの四人は加奈の戦闘力はよく知っているので、寧ろ彼女が話していた事の方が気になっていたようだ。

 

「相変わらずと言うか、何と言うか…」

「加奈らしいと言えば、らしいよな…はは…」

 

 スコールとオータムは引き攣った笑みを浮かべ…。

 

「ねぇ…お姉ちゃん…」

「言わなくても分かってるわ…玉蘭…。加奈の実力は私達の想像の遥か上を行ってる…」

 

 夏姉妹は、自分達の師と互角と言われている加奈の実力に心で納得をし…。

 

「凄い…あれが…加奈の実力なんだ…」

「私もお腹空いてきちゃったよー」

 

 簪は始めて見る加奈の戦闘に驚きを隠せず、本音は平常運転でお腹を空かせていた。

 

「おーお…こりゃ、色んな意味で実力差が激しいな。あれでどこの国にも所属してないとか…逆にスゲェな」

 

 ダリルは複数の意味で加奈に対して関心を抱いていた。

 

「はは…ははは…! やっぱり…加奈は最高だ…! その実力とアーバレストの性能もさることながら、Λ・ドライバの力を100%…いや、120%引き出している! Λ・ドライバの扱いと操縦技術は間違いなく俺すらも凌駕している! それでこそ…それでこそ俺の花嫁に相応しい!」

 

 レナードは大興奮気味に大はしゃぎをしていた。

 

「あのー…相良さんの勝利を喜ぶのは良いんですけど…早くボーデヴィッヒさんを保護した方がいいんじゃ…?」

 

 そして、この中で唯一、冷静でまともなことを呟く真耶であった。

 

 

 

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