面倒くさいので、取り敢えず寝る ~IS編ifストーリー~   作:とんこつラーメン

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面倒くさいので、買い物を楽しむ

 休みと言う事で異常なまでに人が多いレゾナンス。

 大量の店があるショッピングモールってだけで、ここまでになるもんなのね…。

 正直言って、少し舐めてたわ…。

 

「季節的に少し暑くなり始めてるし、それに加えてこの人込み…あっという間にこの場の気温が高くなってくるね…」

「同感だ…これは、こまめな水分補給が必須だろう」

「だね。幸いなことに、自販機は大量に設置してあるから、買うには困らないけど」

 

 ほぼ確実に、この自販機を置こうと提案した人は、こうなるであろうことを予め予測していたに違いない。

 今はその人に素直に感謝しよう。

 

「みんなー。ちゃんとついて来てるー?」

「だいじょーぶー」

「こっちもー」

 

 ふむ…簪と玉芳の声が聞こえた。

 よく見たら人込みの中からちゃんと手を振ってる。

 やるな…常に自分の位置を把握しながら動いてるんだ。

 伊達に、暗部で候補生&ガウルンの子飼いなだけはあるな。

 

「あ…いい場所発見伝」

「え? どこだい?」

「あそこ。良い感じに空いてる本屋がある。一先ず、あそこに避難してから小休止しよう」

「「賛成」」

 

 この提案を通話で皆に知らせると、即座に賛成をしてくれたので、本屋の場所を教えてから私達は先に入店した。

 

「ふぅ…若干であるが落ち着いたな…」

「そうだな…日本の休日と言うのを少し甘く見ていたようだ…」

「ここはまだショッピングモールだから良いけど、遊園地とかになればもっと凄いことになる」

「「もっと凄い事…?」」

「ありとあらゆる乗り物が順番待ちで、余裕で一時間以上とか待たされる。USJやデ○ズニーランドとかは特に」

「「恐るべし日本…」」

 

 ま、全部ネットの情報&アルから教えて貰った事なんだけどね。

 だって実際に行ったことなんて一度もないし。

 数年前までライフル片手に戦場を闊歩してたんだよ?

 んな場所に行く余裕も暇も微塵も無かったっつーの。

 

「あ…他の皆も来た」

 

 本屋にやって来た皆も、早くも疲労困憊って感じで、汗を掻きながら入ってきた。

 その手には一様に何かしらの飲み物が握られている。

 

「はぁ~…かんちゃ~ん…どうして今日に限って、こんなにも人が多いんだろうね~」

「多分だけど、もうすぐ夏休みが近いからだと思う」

 

 成る程…そうか。

 確かに、簪の言う通り、もうすぐ夏休みだもんな。

 私達も、今回の臨海学校が終わって、期末テストを終えたらすぐに夏休みに突入だし。

 

(ま…テストぐらいなら普通に楽勝ですけどね)

 

 IS学園の勉強は他と比べてレベルが高いけど、それはあくまで『一般的な学校と比べて』だから、ちゃんとやるべき事をしっかりとやっておけば、少なくとも赤点を取って夏休みが潰れる…なんてことは決してない。

 

「どうせですし、人込みが落ち着くまで、この本屋でゆっくりしませんか?」

「そうですね。私もヴィシュヌさんにさんせー」

「私も賛成。久し振りに本も買いたいと思ってたし。お姉ちゃんは?」

「私も良いかな。流石に疲れたし」

 

 殆ど決まりか。

 本が嫌いな人間なんてここにはいないし。

 私だって読書は割と好きだしね。

 読むのは主に漫画やラノベ、ゲームの攻略本中心だけど。

 

「じゃあ、最初の買い物はここでするってことで」

「それが良さそうだ。俺も久し振りに本でも買うとするか」

「そうだね。じゃあ、私も何か探そうか」

 

 てなわけで、ここで本日初の本格的な解散一度目。

 外と比べて客も多くないし、この店ならのんびりと買い物が出来る。

 

(まずは…漫画コーナーだな)

 

 最近は電子書籍ばっかりを読んでるけど、偶には紙の本も悪くないだろう。

 別に学園の寮に収納するスペースが無いってわけじゃないし。

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「想像以上に新刊が増えてた…」

 

 え? こんなに私が知らない作品が増えてたの?

 好きな作者さんの新作がめっちゃあったんだけど。

 久し振りだよ…衝動買いなんてさ…。

 

「こんな時だけ、IS持ってて良かったなーって思うわ…」

 

 買った物を拡張領域に収納できるしね。

 唯一、この量子変換技術だけは褒めてやるよ。

 

「あ…皆ももう揃ってる。買い物終わったのかな?」

 

 レジの近くで皆が集合して話をしていた。

 どうやら、私が一番最後だったみたい。

 

「お待たせー」

「加奈。随分と時間が掛かっていたね。そんなに沢山買っていたのかい?」

「まぁね。出版業界の新刊排出速度を完全に甘く見てた…。ロラン達は何か買ったの?」

「勿論。私は、面白そうな漫画があったから試しに買ってみたよ」

 

 これはー…敢えて作品名は言わないけど、例の往年の女子向けマンガじゃないのか?

 かなり長く続いていて、連載が終わる気配が無いって言う…。

 

「レナードは?」

「俺はこれを買った」

 

 …うん。某有名なリアルロボット漫画ですな。

 なんだかんだ言って、レナードも男の子だったってことか。

 少しだけ安心した。

 

 他の皆もそれぞれに好きな本や興味のある本を購入してご満悦の様子。

 最初の買い物は見事に大成功で終わりましたとさ。

 

「外の様子は?」

「少しはマシになって来たようだ」

「今なら大丈夫だと思いますよ?」

「じゃあ、今度こそ水着売り場まで行きますか」

 

 

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

 どうして人気が少なくなってきたのかと考えていたら、時計を見てすぐにその理由が分かった。

 

「あー…成る程ね。そーゆーことか」

「どうしたんですか加奈さん?」

「いつの間にか、もう11時に差し掛かろうとしてる。だから人気が少なくなってきたんだ」

「お昼を食べに飲食店に移動し始めてる人が多いからか」

「早く席を確保しないと、確実に競争になってしまうからか」

「そゆこと。この隙に私達はお店まで行きましょー」

 

 お腹は空くかもだけど、少し時間をずらしてから食事をすればいいしね。

 こんな時こそ発想の転換が大事ってね。

 

「あ…ホントだ。加奈の言う通り、飲食系の店に人が並び始めてる…」

「美味しそうな匂いがこっちまで漂って来るね~」

「込む時間帯さえ避ければ、私達もどこかで食べても良いかもね」

 

 店の種類だけは本気で超充実してるからね。

 これを全部制覇するのは骨が折れそうだ。

 

「なんて言ってたら、もう見えて来たよ。水着売り場が」

「「「おぉ~」」」

 

 レゾナンスの水着売り場ともなれば、そこらのデパートのコーナーよりも豪華になってるんもんだな。

 店頭の時点から色んな水着を飾ってるよ。

 

「ん?」

「今度はどうしたんだ? 加奈」

「あそこ…アホな女が何か喚いてる」

 

 私が指さした先には、アホ丸出しな女が散らかった水着を片付けるようにと、偶然にも近くを通りかかった男性にヒステリックに叫び散らしていた。

 

「典型的な女尊男卑主義者だな…愚かな」

「どうする?」

「いつもなら容赦なくぶっ飛ばしてるけど…今回は、その必要はないっポイわ」

「「「え?」」」

 

 巻き込まれないように、少し距離を離してから様子を伺っていると、男性の仲間と思わしき白いスーツや黒いスーツを着た連中がやって来て、差別女を凄まじい眼光で睨みつけた。

 あれは見事にガクっと防御力が下がったな。

 

「運の無い奴。いや…天罰かな?」

「加奈。あれはまさか…」

「そ。俗に言う極道って連中さ。あの女は、よりにもよって一番絡んじゃいけない奴等に喧嘩を売ってしまったんだよ」

 

 このご時世でも、極道連中は未だに強い力を保持し続けている。

 下手をすれば、権利団体の連中すらも圧倒しかねない程に。

 しかも、あの人達の人柄の方が権利団体よりも遥かもマシだから凄い。

 ちゃんと接し方さえ心得ていれば、気持ちの良い連中だからね。

 

「なんか、あの女が連れて行かれたんだけど…」

「これからどうなるのかしら…?」

「極道連中に喧嘩を売った奴の末路なんてたった一つだけだよ。そこに至るまでの過程が多岐に渡るだけで」

 

 さて…あの女はどんな目に遭わされるのやら。

 典型的な、コンクリ詰めにしてからの玄界灘にポイか。

 それとも、ギリギリ死なない程度に痛めつけられた挙句、最後は死体すらも残らないように処理されるか。

 どちらにしても、あの女の未来には絶望しかないだろうな。

 これも自業自得って事で、ご愁傷様。

 精々、来世ではマシな人生を送ることだな。

 私みたいにはなるなよー。

 

「こうして、邪魔者は親切なお兄さんたちの手によって綺麗に掃除されましたとさ。めでたし、めでたし」

「めでたいの…かな?」

 

 本音ちゃん。そこで疑問に感じたら負けだぜ。

 

「あれがジャパニーズ・ヤクザと言う奴か。そこらの連中より遥かに男気に溢れた者達だな」

「それには同感。ある意味、日本はあんな人たちのお蔭で辛うじて崖っぷちで耐えてる感はある」

 

 じゃないと、とっくの昔に国そのものが崩壊して世紀末みたいな惨状になってたと思うから。

 まさか、極道にこの国の行く末を託す事になるとはね。

 世も末…とは言わないよ。

 いつの世も、真の意味で世界を救っているのは、表には出られないようなアウトローな奴等だ。

 大概の人々はその事実を知らないし、知ろうともしないから、この事実が把握される事は微塵も無いけど。

 

「それじゃあ、改めて水着売り場に行きますか。で、買い物が終わった頃には良い感じに飲食店も空き始めるだろうから、そのタイミングで私達も少し遅めのお昼にしよう」

 

 私の提案に皆が頷いてくれる。

 満場一致なのはいいけど…なんか知らず知らずのうちに私がリーダーっぽくなってない?

 うーん…傭兵時代の癖が、まだ完全には抜け切れていないのかな…?

 それとも、久々にそれっぽい仕事をしたせいで昔の感覚が戻ってきている?

 だとしたらイヤだなー…ようやく女子高生っぽくなってきたのに、また傭兵に逆戻りになってしまう。

 それだけは冗談抜きで勘弁したい。

 私は傭兵に戻る時は、ガウルン達と決着をつける時や、クソ両親をぶち殺す時だけで十分だ。

 それ以外の時は、どこにでも普通の女子高生『相良加奈』でいるって決めてるんだから。

 

(よし! 今時の女子高生らしく、ここで可愛い水着を買おう! そうしよう!)

 

 これでもスタイルにはそれなりに自信はあるしね。

 流石に黄金比なロランや、普段から鍛えているヴィシュヌには負けるけど…。

 でも私は諦めない!

 真の意味での日常を勝ち取るために!

 さぁ…水着を買うぞ!

 

 

 

 

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