面倒くさいので、取り敢えず寝る ~IS編ifストーリー~ 作:とんこつラーメン
それと同時に、原作キャラから早くも一人、脱落者が出ます。
私が目を覚ましたのは、ガウルンとの戦いから一週間後の事だった。
まず最初に視界に移ったのは、どこかの病院の病室と思われる天井。
次に、ベットの傍にて今までずっと私の元にお見舞いに来てくれていたであろう大切な友人達の顔。
「あ…っと……おはよー…」
「「加奈!!」」
「「加奈さん!!」」」
うをっと…?
いきなりの叫び声に寝起き早々にびっくりしたでゴザル。
『おはようございます、軍曹殿』
「ん…おはよ。アル」
私の目覚めに合わせてアルもまた声を掛けてくれた。
つーか、私の意識が無くなっている間もアルは普通に動いてたんだよね?
『軍曹殿が死ぬことは有り得ないと確信していますが、今回の怪我は流石に危なかったですね』
「自分で言うのもアレだけど、結構な重傷具合だったからねぇ~…」
右腕全体を複雑骨折した上に頭とかも派手に怪我をして、肋骨まで折れた。
それと今、思い出したけど戦闘中にガウルンの手刀でお腹に穴を開けられてるじゃん。
うわ…我ながら自分の怪我にドン引きだわ。
「本当に…本当に無事で良かった…もしも加奈に万が一の事があれば私は…」
「大丈夫だよロラン。アンタを置いて一人勝手に死ぬような真似だけは絶対にしないから」
「あぁ…いつもの加奈だ…」
いつもの私って何なのよ。
「手術が終わってから全く目を覚ます様子が無かったので、ずっと心配してました…」
「麻酔が効いているから当然なんだがな。それでも怪我が怪我だったから私たち全員、ずっと見舞いに来ていたんだ」
「だと思った……ありがと」
「ほんと…すっごい心配したんだから…」
うん…やっぱ友人っていいわ。
少し前までボッチ宣言していた自分に言い聞かせてやりたい。
「手術が終わってから一週間も経過しているとはいえ、まだまだキツい筈なのに…加奈ちゃんってば元気なのね」
「体の丈夫さだけが取り柄なので」
「いやいや…絶対にそれだけじゃねぇだろ…」
オータムさんの言う通り、この体が無駄に頑丈なのはあの『クソ両親』が私の身体を魔改造したからに他ならない。
あー…超悔しい。まさか、こんな形であいつ等に感謝する羽目になるとは…。
「けど…あれからもう一週間も経ったんだ。私が寝ている間、アルは何をしていたの?」
『長期に渡る暇を貰ったので、知り合いのISのコアたちと会って話をしていました。中々に有意義でしたよ』
「AIなのに休暇の消化の仕方が凄く上手だ…」
最近のアルと話していると、もうマジで普通の人間と会話しているような気分になる。
見た目以外ではもう殆ど人類に近い存在になってるんじゃ?
「この一週間で何か変わった事ってあった? あったなら教えて欲しいんだけど」
「そうね。折角だし情報交換と行きましょうか」
「情報交換?」
「そ。私達はこの一週間に起きた出来事を。加奈ちゃんは、あの『ガウルン』って男について」
「あー…そゆこと。目覚めたばっかりで普通に忘れてた」
そういや、気絶する寸前にガウルンの事を話す的な事を言ってたっけ。
「分かりました。んじゃ、まずはこの一週間の事を教えてくれます?」
「了解よ」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
「成る程ね…そんな事が」
私が爆睡している間に割と色んな事が起きていた。
主に原作主人公&ヒロインズにだけど。
まず、篠ノ之箒とセシリア・オルコットは無断出撃した上に無様に倒されるという結果になったので、大量の反省文と一緒に今現在も反省室に入っているらしい。
専用機が破損しただけのイギリス人はともかく、あの剣道女は勝手に訓練機を使った上で大きく損傷させただけに留まらず、そのことを全く反省していない様子。
『一夏の危機を救いに行って何が悪いと言うのだ!! あの時も単に訓練機の性能が悪かっただけに過ぎない!! 私にも専用機さえあれば、あんな奴、一人で必ず倒せていたッ!!』
…と馬鹿みたいに叫んでいたらしく、暴れて抵抗もしてきたので反省室ではなく学園地下にある問題児を収容する『専用独房』に入れられているらしい。
もうなんつーか…馬鹿もここまで極めれば一つの才能なんじゃないかと思う。
イギリス人の方はちゃんと反省しているので、あと半月ぐらいで反省室を出られるらしいが、剣道女は反省の様子がまるでないと言うことで、ちゃんと反省するまで無期限の独房入りを命じられている。
当然、面会などは一切できない仕組みだ。草生える。
「一応、あの四人もここで怪我の治療ぐらいはしていたんだけどね…」
「治療中も四者四様だったな」
「と言うと?」
「織斑一夏は無言でずっと治療を受けていて、凰鈴音はかなり落ち込んでた。で、セシリア・オルコットは泣いていたな」
「剣道女は?」
「めっちゃ悔しがってた。何度も何度も足で床を叩いてな」
「…あほくさ」
お前如きがガウルンに勝てる訳ねーだろーが。
常に銃弾飛び交う戦場を自分の実力だけで駆けていた超一流の傭兵と、ずっと誰かに守られながらチャンバラごっこしかしてこなかった子供とじゃ、大宇宙とプランクトンぐらいの実力差があるッつーの。
「その弟君は、自分の幼馴染が独房に入れられたことに付いて何か言ってたりしてないの?」
「それなら大丈夫よ。彼の性格からその可能性を考慮して、表向きは『念の為に病院で検査入院している』って事になってて、彼女の事は一切話していないから」
「妥当な判断で良かったよ」
あの無駄に正義感の強い猪野郎の事だ。
もしも自分の女が地下の独房に入れられていると知ったら、絶対に激高して色んな事を言ってくるに違いない。
確かにまだ高校一年生はまだ子供かも知れないが、15歳と言えば半分は子供で半分は大人だ。
大人に甘えつつも、ちゃんと自分で考えて行動が出来るようになっていかないといけないだろう。
え? 私の場合は例外中の例外でしょ。
「って事は、あの時に間抜け面で倒れていた四人のうち、二人はもう学園に復帰しているんだ」
「ううん。復帰してるのは織斑一夏だけよ」
「え? あのツインテールは?」
乱ちゃんが何やら意味深な事を言いだした。
あのちびっ子チャイナガールはどうしたんだろう?
別に心配とかしてるんじゃなくて、純粋な疑問。
「鈴お姉ちゃんは…中国に強制送還されたわ」
「強制送還…なんで? ガウルンに派手に負けたから?」
「それもあると思うけど…それ以上に大変な事をしちゃってるから」
「なんじゃらほい?」
大変な事とな? んー?
あの時は確か…ISスーツ姿でグラウンドに寝転がってて…?
「加奈さんが駆けつけてきた時にはもう既に鈴お姉ちゃんは負けてたから知らないと思うけど、実はあの時…あの男に専用機を粉々にぶっ壊されてるの」
「…Λ・ドライバか」
『恐らくはそうでしょう。ISは常にシールドエネルギーや絶対防御などで守られています。それを易々と突破して正面からISを完全に破壊できる存在となれば、まず間違いなくΛ・ドライバしか有り得ません』
成る程な…何をしたのかは知らないけど、ガウルンをその気にさせてしまった結果、Λ・ドライバの一撃をまともに喰らった結果、四人の中で唯一、自分の機体を完璧に破壊されてしまった…と。
「ほら…前にロランさんが教えてくれた『エージェント』ってのが中国に知らせたみたいで、クラス対抗戦の次の日に鈴お姉ちゃんの担当官である『
「うわぁ……」
自業自得とはいえ、流石は中国容赦がない。
そもそも、国家代表候補生の専用機は彼女達の私物ではない。
あれはあくまで『国からの預かりもの』にしか過ぎないのだ。
個人でISを持っているのは、私やスコールさん、オータムさんみたいな非常に数少ない例外だけ。
織斑一夏だって、日本政府から貸し出されている機体に乗っているだけに過ぎない。
それを木端微塵にされたんだから、そりゃあブチ切れられても文句は言えないわ。
「私は鈴お姉ちゃんの従姉妹ってことで一緒にいさせられてたんだけど……」
「何にもしなかったんでしょ?」
「とーぜん。弁護なんてする義理はないし、したいとも思わなかった。そもそも、あの人って日本に来るために中国政府の高官をISで脅してるのよ? 男に会うって為だけに。『あたしをIS学園に行かせないと、どうなるか分からないわよー』的な感じで。それを教えられて完全に幻滅した。あんな女と従姉妹ってだけで恥ずかしい」
こりゃ相当に怒ってると同時に悲しんでるな。
無理も無いか…今までずっと尊敬していた従姉妹が変わり果てていただけでなく、暴力で全てを解決するような野蛮な人間になっていたんだから。
乱ちゃんじゃなくてもガチへこみするでしょ。
「スコールさん。あの子はこれからどうなると思う?」
「そうね…まず間違いなく候補生としての称号は剥奪されるでしょうね」
「ですよねー」
「あと、破壊されたISの弁償をさせられるんじゃないかしら。非常に莫大な金額になるけど。IS一機の生産費は、量産機ですら軽く数億掛かるもの。国の最新技術を投入した専用機ともなれば軽く10億や20億は超えるでしょうね。普通に生きていたら一生掛かっても絶対に払いきれないわよ」
…完全に人生オワタな。
ご愁傷様とだけ言っておこう。
乱ちゃんがいるからスコールさんはあえて言及しなかったっぽいけど、彼女の末路は簡単に想像出来る。
超絶莫大な借金を抱えた彼女は、きっとその金を『体』で稼ぐことになるのだろう。
候補生自体は確かに貴重かも知れないが、中国は世界規模で見ても一・二を争うレベルで人口が多い国。
人口が多いって事は、それだけ候補生の椅子を狙っている人間も多いってことでもある。
人間だけは無駄にいるから、政府側としては問題児の候補生が一人減ったぐらいじゃ何とも思わないし、寧ろ良い厄介払いが出来たと思って嬉々としている事に違いない。
「…アル。彼女の専用機『甲龍』のコアは無事なの?」
『はい。『コア』は奇跡的に無事です。ですが、外装部分は跡形もありません。文字通り粉々になっています。恐らく、甲龍はリセットされた上で別の機体のコアになる事でしょう』
「はぁ…世知辛いもんだ。IS自体には何にも罪は無いってのに…」
コアに意識があるとはいえ、ISはどこまで行っても単なる道具の域は出ない。
それを生かすも殺すも私たち人間の匙加減ひとつなのだ。
『拳銃には罪は無い。拳銃を使った人間に罪があるのだ』ってやつだな。
それを考えると、ISもまた今の時代の被害者なのかもしれないな…。
次回、加奈とガウルンとの関係性が明らかに。
もしかしたら、中国に戻された鈴の『末路』も書くかもしれません。