初投稿です。
「はいはーい。それじゃ今日の配信はここまで〜。みんな、
画面に表示される『
突然だが、私の名前は
歌や雑談、ゲームなどを日々行なっては私の数少ない十数人のファンにサービスを届けている。アイドルなのに踊らないのかと聞かれれば、個人勢でJKに3Dモデルとダンスできる会場が用意出来るわけがないので、躍りたくても踊れない。しかし踊りの練習はし続けている。
では、何故リアルで踊ってみた的な動画を出さないかと言えば、私には一つの短所がある。アイドルにとっては致命的なもの。私は顔がブサイクなのである。それもただのブサイクではなく、見る人が見れば嘔吐するレベルなのだ。人の顔を見て吐くとは失礼な奴め!
顔なんて気にせず自分がやりたいように動画出せばいいじゃん!だって?私、腐っても女の子なので。ちなみにこれは私のガワがゾンビなのとは一切関係ない。
私の夢はアイドルになる事だが、この顔のせいで何度もリアルアイドルオーディションに落ちている。そうして諦めかけていた時、私が見つけたのはヴァーチャルアイドルという存在。二次元なら私の三次元ブサイクは関係ない!と思って有名企業のヴァーチャルアイドル募集に賭けてみたのだ。が、これも何と落ちまくっていた。
何でや!二次元ヴィジュアルあるなら三次元がどれだけブサイクでも問題ないやろ!実際中身が変態おじさんでもガワがかわいい美少女なら許されるのと同じ筈やろがい!
という事で個人勢でチマチマとお金を稼ぎ、いつか3Dモデルと踊れる環境を手に入れよう!と頑張り続けて早3年が過ぎております。未だに貯金は3万幾ら。これじゃブサイク解像度最悪モデルとボロ屋買ってお金が尽きちゃうじゃないか!何のための二次元ガワだ。可愛くなきゃ意味がない。
そんなこんなで今日も配信を終えて寝る準備を済ませていると郵便物が届く音。こんな遅くまでお疲れ様です。ポストには封筒。表に有名アイドル企業の名前。すぐに回収して封筒を開く。中身は……。
お祈りの文章だったよ……。
ありがとうございました。ヒイラギの次回作にご期待下さい。
今回は手応えあったんだけどな〜。面接も完璧でトークスキルも惜しげもなく見せた上、キレッキレのオリジナルダンスを見せたんだけどな〜。でも面接官の視線はいつだって一つ。隣の女子大生のデカ乳?違う。その隣のギャルの日焼け美脚?違う。わかるだろ?アイドルに相応しくないだろうものを持っている人間がいるじゃないか。
やっぱり顔か!?顔なのか!?Σ(・□・;)
男の子はブサイクだとモテない、ただしイケメンに限るなんて言うけど、そこら辺女子との大した差はないと思うぞ。むしろ顔みて吐かれる私よりはマシなはずだ!頑張れオタクくん!(←オタクにイケメンはいないという偏見)
……少し、メンタルに来た。久しぶりだな、この息苦しさ。
ちょっと散歩にでも行こう。夜風に当たるのさ。そうしてこのセンチメンタルな気分を吹き飛ばすのさ。そうすればまた、明日からも頑張っていける。そんな気がする。
と、そう考えて、トゥイッターに《ちょっと夜風に髪を靡かせる美少女ゾンビごっこしてくるわ》と投稿する。このとってつけたようなゾンビ設定。なんでつけたのか私自身も分からん。
そして自転車に跨り夜の街を走っていった。それがトゥイッター最後の投稿となる事は流石の私でも気付けませんでした。
ーーー十年後、地下ーーー
「名付けて、ゾンビランドサガプロジェクトじゃい!」
サングラスをかけた謎の男が黒板に書かれた逆向きのタイトルに気付かずにそう宣言する。それに赤髪のゾンビ、源さくらは困惑しながらも意見を述べる。
「でも私、生きとる時の事何も思い出せなくて……こやんか状態でアイドルとか佐賀を救うとか言われても……」
さくらは自分自身の記憶喪失と現在の状況に不安を覚える。しかし、謎のサングラス男、巽幸太郎は表情を帰る事なく答える。
「心配ない。周りはもっとヘビーな状態だからな」
幸太郎とさくらの周りでは数人のゾンビ達が彷徨うように歩き回っている。そこに何かの目的があるようには思えない。その様相はゾンビそのものである。それと周りがヘビーだから自分は大丈夫なんて事はないのだが、さくらはそれよりも気になる事があった。
「えぇと……この人たちは……?」
「気になるか?」
「それは、はい。私朝から数えて十三回この子に噛まれてますし……」
その質問を待っていたかのように幸太郎は笑みを浮かべる。
「伝説だよ」
幸太郎は前に踏み出す。さくらの方へと。
「伝説……?」
「そうだ。この俺が佐賀を救う為に選び抜き蘇らせた伝説の女達。お前と最強チームを結成する仲間だ」
「え?」
幸太郎はビシッと両手で指を差す。そこには金髪ポニーテール、頬に傷をつけたゾンビ。
『世紀末!九州制覇を成し遂げた、暴走族チーム“怒羅美”!伝説の特攻隊長!【二階堂サキ】!!』
次に幸太郎が指を差した先にいるのは顔の半分を縫ったようにつながれた白髪のゾンビ。
『1980年代アイドルブームの火付け役にして、一世を風靡!伝説の昭和のアイドル!【紺野純子】!!』
続いて指差す先には首に大きな傷をつけた茶髪のゾンビ。
『幕末から明治にかけた激動の時代、維新の裏にこの人あり!伝説の花魁!【ゆうぎり】!!』
次はハートの心臓が飛び出た青髪の小さなゾンビ。
『大河ドラマで大ブレイク、全チャンネルゴールデン主演という快挙達成!伝説の天才子役!【星川リリィ】!!』
更に身体中を包帯で巻いた黒髪のゾンビ。
『2000年以降のアイドル戦国時代、そのトップに君臨したアイドルユニット“アイアンフリル”不動のセンター!伝説の平成のアイドル!【水野愛】!!』
(……あれ?この人……)
さくらが水野愛に何かを感じ視線を向けるが幸太郎の紹介は続く。そこには顔の右半分を包帯で覆い左頬に絆創膏を付けた紫髪のゾンビ。
『個人のみの力で動画配信者からテレビ出演に成り上がった天才ライバー!伝説のヴァーチャルアイドル!【太陽灯】!!』
そして最後に幸太郎は黒髪のゾンビを紹介する。
「伝説の山田たえ!!」
「ぇ?」
「以上がこれからお前と苦楽を共にする「待って下さい待って下さい!!」ん?」
幸太郎の言葉を途中で遮るさくら。
「最後の、」
「伝説の山田たえ!!」
先程と全く同じ勢い、大きさ、イントネーションで同じ言葉を繰り返す幸太郎。
「あ、すみません、ちょっとよく聞こえ……伝説n「山田たえ!!」」
食い気味に答える幸太郎。
「あ、ぃやー、もっと何かこう……無いんですか?」
そうさくらが言った瞬間さくらに詰め寄る幸太郎。
「無きゃいかんのかい!!」
「だって伝説って「伝説の中身が無きゃいかんって誰が決めたんじゃ!?」」
「じゃないとただのゾンビ」
「じゃあお前は何が伝説なんじゃ!?言うてみろ!?」
「え?」
「ほら見ろ無いじゃろがい!!もうお前だけ、伝説付けてやらんからな!!」
「えぇぇ〜??」
そもそもさくらは伝説を名乗った覚えは無いので伝説がないのは当たり前なのだが。そもそも自分の意思がある時点でただのゾンビでは無いのだが。
「とは言え、こいつらとて今は何の変哲もない唯のゾンビィだ。目覚めてはいないからな」
「目覚める?」
「そうだ。お前と同じようにちゃっちゃと刺激を与えればいずれ皆自我を取り戻すだろう」
「……え!?刺激って私何されたんですか!?」
幸太郎に聞くも幸太郎は華麗にスルー。寧ろ黒板の文字が逆になっていることに今更気付いたようだ。メンバー紹介の段階で視界に入らなかったのだろうか。
「てなわけで、今夜お前らには刺激的なライブをやってもらう」
さくらは頬を染めている。一体何を想像しているか。そんな事よりも血が流れていないのに頬が赤く染まるのはどう言う仕組みなのだろう。
「ちょっと!誤魔化さん……え?ライブ?」
「ファアアアストラァァイブ!!」
その後、刺激的なライブが行われ、大失敗で終わったファーストライブ。しかしそのおかげで彼女達は目を覚ましたのだ。
「キャアアアアァァァッ!!!」
悲鳴と何か大きな音が聞こえ、さくらが部屋に入れば、そこでは立ち尽くすたえ、そして昨日とは明らかに様子の違うゾンビ達。
「だ、誰か!」「助けてください!!」「ここどこ〜!?」「なんや……騒がしいでありんすなぁ」「ふぁ〜、寝た寝た……ん?」「何これ何これ!?え?……ええぇぇぇ!?」
「あ、あの……お、おはようございます!!」
挨拶は基本の精神を忠実に守るさくらであった。
お分かり頂けただろうか。
作者には文才が無い事を。