ルディアス憑依◇パーパルディア繁栄録   作:イブ_ib

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どうもどうも ネタ多めですので閲覧注意です念のため


風雲

「……な、なんだとぉ……皇国軍が……!?」

 

 

 お風呂上がりのロウリア34世は赤く火照った顔が瞬時に青くすると、報告書を引ったくるように取るとまじまじと見る。

 

「皇国軍はすぐには展開できぬと言っていたではないか!」

 

 明らかに狼狽した様子でパタジンに叫ぶ。

 

「皇国軍は飛行船を使って兵を展開してきました。よもやあれ程の飛行船を使おうとは……皇国を舐めていたとしか言えませんでしたな」

 

「しかしどうするのだ! あのようなやり方で攻めてこられてはこの王都といえど只では済まぬぞ!」

 

 王都には三周にもわたり城壁が築かれている。しかも奥に行くほどに攻略が難しくなる構造

 騎士団の作戦参謀曰く神壁とさえ称される程の強度を誇る。

 

「……のだが上空から攻め込まれたらどうしようもないではないか!」

 

 作戦室にてジーン・ハークを戦場とした兵棋演習を数度行ったが、いずれもワイバーンロードや飛行船に成す術もなくやられ早期のうちに陥落するとでた。

 

「皇国軍参戦とエジェイ攻略失敗で兵は浮足立っておる! まずは占領地の防衛を固めろ! マイハークは落とされたらやばいぞ!」

 

 パタジンが指示を飛ばしていると魔信員が転がり込んできた

 

「にゅ!! 入電! 入電入電!! マイハーク基地より皇国軍ワイバーンロードが襲来したとの事!」

 

 

「流石早いな……もうマイハークよりもギムに戦力を回した方が良いな! 急いで伝えろ!」

 

 指令を書いた紙を魔信員に渡すと再度地図を見る

 

「飛行船は高価でそうそう出せるものではない……しかし相手は皇国軍だぞ……」

 

「入電! 西部諸侯よりアルタラス王国軍戦列艦隊が襲来、港町に砲撃を行っていると報告が‼」

 

「ビールズより報告‼ワイバーンロードが侵入し攻撃を! 駐屯地と工業地帯に火炎弾による被害多数!」

 

「ぐっ……何と言う事だ、ギムを最優先に諸侯にも兵を張り付かせろ! 何としててもギムより先を通すな!!」

 

 兵が右往左往しながら戦況報告しているさまをしり目にローブを羽織った男が作戦室から出ていく。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 王都二周目の城壁内のとある屋敷……

 

「ロウリア王国支援は国家戦略局の独断だ。ロデニウス大陸統一で得た利権を陛下に献上し、外務庁でも発言力を上げるつもりだったが……最早こうなっては仕方あるまい。これまでのロウリアへの支援を記した書類はすべて焼却しろ。奴らの関わりを一切残すな。上にバレたら命に係わる」 

 

 ヒュバ! 

 

 手元の書類を暖炉へ投げ込む。 

 そこへ部下が箱に詰まった書類を持ってやってくる。

 

「イノス様! こちらの箱はすべて焼却してよろしいでしょうか!!」

「構わん全部焼いてしまえ!」

 

 奥に一人ローブを深くかぶった男がゆっくりと話しかけてきた。

 

「……イノス様、こちらの書類も焼却してよろしいか……」

「構わんから早くしろ!」

 

「……ほぅ、そこにあるのは300年前のミリシアル帝国で流行した様式の壺ですか……しかし

 そのような物はガワだけこしらえた贋作も多い……」

 

 そう言うと男は書類を投げると壺を手に取る。

 

「貴様! 何している!! 何を言っている!! その壺はこの前ムーの骨董商からやっと手に入れた品だぞ‼‼」

 

「それ!」

「ああああああああッ!!???!!?」

 

 男は思い切り壺を床で叩き割り欠片をまじまじと見る。

 

「これはこれは……何と粗悪な土と適当な釉薬の塗り、おおかたレイフォル製でしょうなぁ」

「き、キサマァ!! 何のつもりだ! こんな戯けた真似を!! そのフードをとれ!!」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「どうも」

「ああああああああッ!!???!!?」

 

 キレた顔のルディアスがフードの中から出てきたのだ。

 

 イノスは腰を抜かし、パルソは身体が硬直して動けなくなる。

 

 

「おまえの暗躍をずっと見てたぞ、本当によくここまで引っ掻き回してくれたな?」

 

「へ、陛下こ、これは……これは違います!」

 

「お前、前々から廃棄予定の兵器を勝手にロウリアに渡してたらしいな?」

 

「私は! 皇国の利益を考えて行動したのです! ロデニウスの資源を持ってすれば皇国の役に立てるかと!」

 

「馬鹿野郎! 廃棄予定の兵器はともかくワイバーンも引っ張ってきやがって! ばれねぇとでも思ってんのか!」

 

 原作と違って兵士までは引っ張ってなかったけどそれでもギルティだよ! 

 

「いいいいいい命ばかりは!! 命ばかり!!! 損害は私どもの資産で補填を致します故!」

 

「やれるもんならやってみろ! 何百年かかると思ってんだ!」

 

「陛゛下゛!!! 私゛は゛ど゛う゛し゛た゛ら゛!!!」

 

 イノスは恐怖と涙でぐしゃぐしゃになりながら答える。

 

「イノス、いいかよく聞け。お前に勅令を与える! 貴様にはとある防具を手に入れて来て貰いたい!」

 

「……へっ?」

 

「ロウリア軍重装歩兵大隊のスワウロという男がいる。彼が持ち込んだ盾を手に入れて貰いたいのだ」

 

「盾、でございますか……?」

 

「うむ、曰くその盾は魔帝の技術で作られたそうだ」

 

【魔帝】 その単語が出るやイノスとパルソの顔は目を見開き硬直する。

 

 かの国は神話の時代、他種とは隔絶した圧倒的な魔力と技術力を持って全世界を支配した史上最強の帝国。

 

 そんな恐怖の帝国の遺物がこんなド田舎にあるなど思いもしなかった。

 

「それは、誠でございますか」

 

「実際まだ怪しい部分はある。しかし噂程度でも魔帝というのであれば調べねばならん」

 

 ルディアスはしばらくイノスとパルソを見る。

 

「この任務が成功したら此度の失敗は不問にしてやろう」

 

「「!!!」」」

 

 イノスらが驚愕してるのを尻目にフードを被り直す。

 

「私はこれからまた別の仕事があるのでな、ここらで失礼する。けっして抜からぬ様に」

 

「ははぁ──!!! この命に代えましても、必ずや完遂してご覧に入れましょう!!!」

 

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「東部諸侯に反乱の兆しあり! 直ちに現地部隊に鎮圧要請を出します!」

 

「マイハークより入電、マイハーク沖に敵艦隊を確認! 既に市街地では市民の暴動が発生し、エジェイからはクワ・トイネ軍がマイハーク方面に出陣したと報が!」

 

「きぃ! アデムの部隊に連絡しろ! 魔獣を使い敵を蹴散らせ!!」

 

「それが……!! アデム殿はビールズでの報告を最後に消息がつかめないと!」

 

「何だとッ! 他にいないか、そうだ近郊にはホーク騎士団がいたな! 赤目のジョーヴの第15騎馬隊!」

 

「了解しました! 直ちに周囲の部隊と合流させ迎え撃たせます!」

 

 パタジンが脂汗を流しながら指示を出す。

 

 

【第15騎馬隊陣地】

 

 マイハーク近郊に布陣していた騎馬隊は正直に言って既に崩壊しかかっていた。

 

 エジェイ攻略にて陣地に待機していた彼らはETO軍の攻撃により、最初の砲撃で甚大な被害を被っていた。

 

 その後のエジェイからの追撃部隊と、壊走途中のクワ・トイネの農民による落ち武者狩りでかなりの騎兵が討ち取られていたのだ。

 

「ジョーヴ隊長! 入電です! たった今エジェイからマイハーク奪還の為の兵が出陣! 数は一万! これを迎え撃てとの事!」

 

 部下がジョーヴへ報告をするが、当のジョーヴも壊走途中にエルフの子供から放たれた矢でわき腹をやられており、

 治療を受けていた。

 

「……マイハークに駐屯している部隊の数が5000、エジェイ攻略残存軍が2500、そして俺の騎馬隊が30! これでどうやって一万の部隊と戦えってんだ!」

 

 ジョーヴは震え机を叩く。

 

「しかもマイハークでも市民の抵抗が激しく駐屯部隊も満足に投入出来ません……」

 

 部下が発言するがジョーヴは苛立ちながら口を開く。

 

「……亜人風情が、このまま磨り潰されて死んでたまっかよ! おいお前ら!」

 

 ジョーヴは立ち上がると生き残った部下に向け啖呵を切る。

 

「てめぇら! 俺たちはなんだ!? ロウリア王国ホーク騎士団第15騎馬隊? 国に帰れば屋敷があって女侍らせて! 今や立派なお貴族様だなァ?! ちゃちな勲章ぶら下げて!? ええぇ!?」

 

 兵士は一斉にジョーヴに注目する。

 

「思えば今の俺らは腑抜けだ! 爵位だ何だといい気になって上からの指示で良いように使われる駒だ! 俺たちは昔はなにをしていた!? 地を駆け海を駆けた荒くれモンだった筈だ!」

 

 徐々に部下からもそうだそうだと威勢の良い声が上がる。

 

「俺は【赤目のジョーヴ】だ! ロウリアの貴族なんかじゃァねェ!!」

 

 そういうとジョーヴはロウリアの紋章が刻まれた短剣を竈の中に放り込んだ。

 

「これより俺はロウリアの貴族じゃねぇ! 赤目のジョーヴだ! 山賊で、いたぶる事しか興味のない屑野郎だ! 似たような屑! 裏切者! 使えねぇ奴は俺について来い!!」

 

 

 そう叫ぶや歓声が巻き起こる、部下は次々とロウリアを示すものを捨て遂には隊旗すら焼き払った。

 

「そうだ! 俺たちゃ山賊だ!」

 

「ロウリアの下っ端じゃなくて誇りある海賊として死んでやる!」

 

「一人での多くの亜人を地獄に!」

 

「一人でも多くのろくでなしを地獄に!」

 

 族共は馬を準備すると隊を組まずに一目散にエジェイ方向へ駆けた。

 皆が狂気的な笑みを浮かべ駆ける姿に残存軍は気圧されながらも

 

「赤目のジョーヴが行ったぞ! 我々も後に続け!」

 兵士たちは武器を手に取ると後を追った。

 

 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 クワ・トイネ軍はハイマークに向けて進軍を行っていた。

 上空にはワイバーンを索敵で飛ばしており、敵の部隊がいても発見できる筈だった。

 

 原野の中にぽつぽつと森があるが進軍する兵士たちはあまり気にも留めていなかった。

 敵の部隊は壊滅しており、何よりあんな小さい森に大軍を隠せるはずが無いと。 

 

「日が暮れてきた、今日はここで野営をする。本隊もじきに来るよく休むように」

 

 隊長の命令で先遣隊の陣が張られ、歩哨が警戒にあたった。

 

 そして……

 

 ドドドドドドドドドドドド

 

 闇の中から蹄の音が響いてくる。

 

「わぁ!? なんだ! なんだ!」

 

「敵襲!!!!! 敵襲!!!!!」

 

 歩哨が叫ぶと同時に闇の中から騎馬が飛び出し、振りかぶったロングソードが兵士の頭を口から上を吹き飛ばす。

 斬られた衝撃で兵士の身体が吹き飛ぶのよそ目に、近くのテントに突撃する。

 

【挿絵表示】

 

 テントが崩れ中からヒキガエルの鳴き声が聞こえるや、向きを変え逃げ惑う兵士を切りつける。

 別の族が集められた食料を収奪し、残りに火を放つ。

 300人程の先遣隊は20人程度の族にたちまち大パニックとなり飛び起きた兵士がそのまま切り殺されていく。

 

「野郎共! 引くぞ!」

 

 暗闇に一段と光る赤眼の頭領が叫ぶと波が引くように撤退していく。

 この夜に各方面の先遣隊が襲撃に遭ったのだ。

 

 

 こうして、ロデニウス戦争は新たな局面に突入してゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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