ルディアス憑依◇パーパルディア繁栄録   作:イブ_ib

7 / 10
監査室にメスを入れるたぁ、これは押忍だよ。

 パラディス城

 

 パーパルディア皇国で一番偉い皇帝ルディアスの執務室前に一人の男が立っていた。

 

(外1とはいえ課長の私を呼ぶとは、いったい何事だろうか……)

 

 カイオスは最近の己の行動を振り返るが思い当たる節が無い。精々下位列強担当部長の不正を報告した位だが、その部長は既に処罰を受けており逆恨みでなんてことは考えられない。

 

 息を整え心してドアを叩く、先程近衛兵にボディーチェックも受けた、大丈夫な筈だ。

 

「第1外務局課長カイオス、只今参りました!」

 

「うむ、入ると良い」

 

 カイオスが入るとルディアスは執務机の上で資料を纏めていた。

 

「よく来てくれた、立ち話もなんだここに座るといい」

 

 ルディアスは座るように促す。

 

「何か飲むかね? そういえばムーの良い紅茶が入ったんだ、すまないが紅茶を二つ入れてくれ」

 

 待機していた従者に頼むと、ルディアスはカイオスの方を向く。

 

 

「カイオス君、君を呼んだのは他でもない、私は遠回しにいう事は苦手なので単刀直入に言おう。外務局監査室を改革する、君は新監査室の室長になってもらいたい」

 

 

「ヹ」

 

 

 外務局の不正や対応の不手際が発生した場合に対処する部署。外部から外務局を監査し、場合によっては担当者の処分や外交相談役としての参加、担当者の交代の上問題へ対処などを行う。

 このような組織であり、しかも相手が基本的にエリート集団の外務局のため人員はすべて皇族。レミールもここの所属だった。(日本国召喚 @ ウィキ)

 

「そ、そんな、何をその様な! 監査室は皇族方が連なる部署。そこの室長など外1とはいえ課長如きがなって良い地位ではないでしょう!」

 

「カイオス君は私直々に任命する、皇族だって只いるような奴らは辞めさせる。皇族と言うだけで過剰な権力を握っているようじゃダメだよ」

 

「は……はぁ……」

 

 カイオスは予期せぬ事態に腹がキリキリ鳴っていた。

 

「というより……何故私なんですか、他にも適任がいると思うのですが」

 

「聞いたよ、下位列強担当部長の不正をキチンと報告したんだってね。たとえ上司でも構わず正しい事を行う。そういう人を求めているんだよ監査局には」

 

「いえいえいえ……それは国の為なら当然のことです、大した事では」

 

「いや、その《国家の為》という考えが出来るのは素晴らしい。皇族や外1の上層部でもどうも《国政に皇族無くして皇国は成り立たない》と思っているものが多くてね。《国家》より《皇族》が大事と思っている。

 カイオス君、君は高等教育までミリシアルで育ったんだろう。ならばこの国についてまた別の視点で見れる事があるんじゃないだろうか」

 

 

 そう、カイオスは父親も外交官でありミリシアルで勤務していた、何より母親がミリシアル帝国人であった為、生まれてから高校までミリシアルで育った。

 

(だから原作での異常な皇国の腐敗や疲弊、日本の脅威を一早く気づけた。ミリシアル仕込みの皇国随一の逸材という訳だな)

 

 これより監査室にメスを入れる訳だが……面倒臭いのはその《無能な皇族》である、能力は無いくせに声はデカいから。

 

「監査室室長はカイオス君だが、その上に名誉室長として私が付こうと思う、少なくとも皇族至上主義の奴らも納得するだろう。その後、別の役職に就かせて膿を出したいんだがどんなのが良いかな?」

 

 カイオスは紅茶を飲みしばし考える。

 

「……それならば、皇国史編纂室なるものを創設されては? その様な方々は《皇国栄光の歴史》に自分が携わる事が出来る! と勇んで編纂室に赴くでしょう」

 

「ハハハッ! そりゃあ良いッ、素晴らしいアイデアだ!」

 

 ルディアスは膝を叩いて笑った。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 翌月

 

 人事異動として発表がなされた。

 

 監査室室長 カイオス

 

 外1局長 エルト

 

 皇国史編纂室を新たに開設する

 異動する者は以下の通り……

 

 カイオスが次の外1局長になるというのが下馬評だったが、まさかまさかの監査室室長である。

 

「おいおい……元々いた監査室の御偉方が軒並み編纂室送りだぞ」

 

「新体制メンバーはミリシアルかぶれが多いな、大丈夫か?」

 

「だけど名誉室長としてルディアス陛下が就くみたいだぞ」

 

 皇都は今回の人事異動についておおわらわだ。そんな喧騒をよそに皇宮内の監査室では新体制の発足式が行われていた。

 

 ルディアス臨席の元、式は粛々と行われる。

 

 新体制の大半が改革派と呼ばれている者達で、恐らく原作でカイオスのクーデターに賛成した者達と思われる。

 

 

「では第1回目の会議を行います。最初の議題は外務局の再編成についてです」

 

 改革派が独自に集めた資料と情報局が集めた資料が次々とメンバーに渡る。

 

 中身はいずれも外交官の賄賂、着服、横行、監察軍*1高官の素行不良、暴力、略奪。

 

(カストとシュサクか!)

 

 

「これはひどい」

 

 余りの乱暴狼藉ぶりに皆頭を抱える。

 

「外3については大幅に規模を縮小、もしくは外2と統合でも良いかもしれません。問題の者達については人事的粛清も視野に入れなければなりません」

 

 

「監察軍についてはどうする。前々から言っているが一組織が持つにしては過剰戦力だぞ」

 

「監察軍についても予備役を起用する国家保安隊に改組させ、大使館警備、国内の治安維持にあたらせます」

 

 会議は滞りなく進んでいく、しかしこれ程バシバシ改革が進むとは思ってもみなかった。既に不安材料の一つであった外務局は再編しエルトを長官とした外務庁にすべき。という結論に至った、そしてそれはそう遠くない内に実現した。

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 更に数か月後……

 

 クーズ帝国がリーム王国の王都ヒルキガを攻め落としたという報が流れるなか、監査室によって新設された外務庁ではETOや、他の列強、文明国、圏外圏国家との擦り合わせ。他にも外3所属だった監察軍から国家保安隊の引継ぎでデスマーチ状態であった。どれほど忙しかったかというと、エルトが忙しさで皴が増えた腹いせにダーツに名誉室長ルディアスの絵を貼付けてずたずたにしたというエピソードがあるぐらいである。

 

 

 

「ふぅ……これで懸念が一つ消えたな」

 

 カイオスを呼び、皇国の今後についてまた話し合おう。編纂室から送られてきた「皇国の歴史」という名の創作小説を片しながらそう考えた。

 

 

 憑依から早4年 もうじき庭園の木々も赤く色付こうとしていた。

 

 

 

 

*1
臣民統治機構は無い




びっくりするほど筆が進む。


国家保安隊 後の警察になる組織です。


原作でも邪魔が無ければ、多分こんな感じで枝分かれしていったんじゃないでしょうか



、、、、、、、、監察軍
現代的警察 ←↓属領統治軍→ 憲兵警察 →
、、、、、、、↓治安維持軍
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。