この素晴らしい世界に戦闘員、祝福を派遣します!! 作:暁ふゆめ
スキルは多分、 いっぱいあっても扱いきれないし 1つの章に1~3つぐらいの頻度で覚える……かな
「まともなクエストがほとんど残ってない?」
俺のリアクションにアリスは頷いた。
「今いるアクセルは魔王軍の拠点から離れた場所、初心者の街だ。そんなわけだから魔物の活動もそこまで激しくなく、わざわざ冒険者に依頼をする必要がないとのことだ」
「そりゃあ、自分で出来ることを他人に依頼しないよな……」
話しながら歩いて、ギルド内の依頼掲示板の前へ。掲示板には様々な大きさの紙が雑多に貼られている。文字と簡素なイラストが敷き詰められていた。
文字パッチはまだアリスからもらっていないが雰囲気で何とか読解する。一応、数字は教えてもらったが。というか、はよパッチ渡せや。話す聞くの時は秒速で渡してくれたじゃねぇか。
それをアリスに言うと「まだその時ではない」とのこと。まんおじしムーヴやめろ。
「良く分からんけど、とんでもなく難しそうなクエストばっかりみたいだな。報酬額が明らかにデカいのばっかだし」
「分かったか? 理解できたなら文句言わずにとっとと行くぞ」
俺はアリスが受注してしまったクエストの内容を聞いた。
何とそれは、俺達がアクセルに着く前に出会ったクソデカいカエル……デカエルの討伐だった。すぐに異議を唱えたがアリスの説明に納得せざるを得なかった。
何せ、デカエルの討伐ぐらいしか俺達でもこなせそうなクエストが残っていないのだ。仕事を選べないのがアクセルの駆け出し冒険者事情みたいだ。
「でも、アイツ結構強いぞ。この前は1匹だったから時間かけて倒せたけど……『大量発生したから倒してくれ』ってクエストだろ? 何匹も出てきたら詰むんじゃないのか」
「案ずるな。策はある」
アリスはない胸を張った。偉いねー、と頭を撫でたら「えへへ」と気色悪い笑みを浮かべた。いや、こいつがこんなに素直に笑うとか絶対何か企んでるって。
「デカエルはな、金属が苦手なんだ」
「ふーん」
「この前だって六号は飲み込まれなかっただろう?」
言われて思い当たる。
あぁ、そうか。俺は戦闘服着てるからか。戦闘服もそうだし、腰にはナイフだってある。にしてもアリスは金属じゃないのか? アンドロイドだし。
俺の疑問を読み取ったのかアリスが説明した。
「まぁ、自分はスーパーアンドロイドだから外側はノーメタルだ。カエルごときでは中身まで感じれなかったらしい」
「じゃあ、アリスまた喰われるじゃん」
だから策はあると言っただろ、と呟きながらアリスはどこからかフライパンを取り出した。俺はそれに見覚えがあった。確か、八百屋でのバイトの際に見かけたハズ。
アリスは得意げにフライパンを構えた。どこのテイルズオブだ。
「買い換えるから古いのは捨てる……だと。せっかくだから貰っておいた」
「なるほど。これでデカエルは俺達に手出しできないってわけか。攻撃できないんなら何匹いても余裕だな」
俺はにやり、と笑った。アリスも俺と同じように笑った。
やっぱりこいつに見た目相応の純粋な顔は似合わない。悪の組織の一員らしい悪い顔が実に様になってるぜ。
俺達はにやにやしながら街の外に繰り出した。
そして、今。
「何で、フライパン手放してんだよぉおおお!!」
アリスは予定調和のごとく、デカエルに捕食されていた。お前はマミさんか。口から飛び出した足がぴょこぴょこ動いている。
しかし、残りはもうラスト1匹だ。
「喰らえ……俺の必殺技、パート2'――――エクストリームスラッシュ!」
デカエルに向かって突き進み、すれ違い様にナイフで切り裂いた。俺の必殺技を受けたデカエルは鳴き声を上げて倒れた。倒れた衝撃でアリスがペッと排出される。
「ふっ、まさか俺の必殺技をこんなにも華麗に決められる相手がいたとは……」
「う、あ……何で自分を食べていた個体を最後に倒した。早く助けろ」
ヌルヌルになった顔をしれっと俺に押し付けようとするアリス。バックステッポをカカッとかまして回避する。アリスは滑って転んだ。
「なぁに、助かったんだから良いじゃないか。それに、お前を食ったデカエルは動かなくなってたんだから、フリーの他の奴を倒すのが先決だったろ?」
「……まぁ、良い」
デカエルは獲物を捕まえると動きを止める。だから、早々にアリスをヌルヌルしていたデカエルをラストワン賞にしたわけだ。ここ、テストに出ます。
助けてもらった分際で文句とデカエルの体液を垂れ流しながら、アリスは自分で投げ捨てたフライパンを拾った。
「1つ良いか、アリス。何でフライパン投げたの?」
「金属が苦手なら、当たれば大ダメージだろうと思ってたな」
「ドラクエのせいすいじゃねぇんだぞ。あと、フライパン投げてから俺に抱き付いて戦闘の妨害をしたのは何故ですか?」
「六号は金属ばっかだからデカエルに喰われないだろ」
「それが分かってて何でフライパン投げたんだよぉ! お前は若手芸人か!」
「アンドロイドだ」
そのままアリスのとんちんかんな解答を聞いていると、いつの間にやらギルドの前へ到着した。
やっぱり、こいつアンドロイドじゃないよ。だって、事前に分かってたのに自滅するんだもん。
ギルドに入ると受付に向かった。受付でクエストの完了を報告して報酬をもらうのだ。ここはアリスに任せた。なぜなら、俺がやると忌々しいDQNネームを何とも言えない表情で受付のお姉さんが読み上げるから! あぁ! 早く改名したい!
報酬を受け取ったアリスが戻って来た。俺は暇潰しに眺めていた掲示板を指差した。
「アリス、そう言えばこっちの掲示板は何だ? レイアウトの雰囲気からして、クエスト受注場ではないみたいだけど」
「ん? それはパーティ募集の掲示板だぞ」
「パーティ……か」
俺は考える。この世界で転送機を組み立てられる程の拠点を手に入れる……恐らく多額の金が必要になるだろう。当然、バイトなんぞじゃいつまでかかるか分かったもんじゃない。だから、一攫千金が狙える冒険者でやっていくしかないわけだが……現時点ではなかなか厳しそうだ。何せ唯一の相方がこれじゃあな。
高難易度のクエストで一気に金を稼ぐ、という手だ。だが、俺とアリスの二人パーティだと、どうあがいても俺がボコられる未来しか見えない。だって、カエルですら倒すのに苦労してるんだぜ?
だから優秀な人材とパーティを組んで、高難易度クエストを寄生でクリアするってのは割りとアリかもしれない。俺も昔、ネトゲで良くやった手だ。
俺はアリスに言った。
「――――そうだな、六号の言う通りだ。二人パーティだと何かと辛い所もある。ま、最終的には自分達だけで高難易度のクエストをクリアできないと困るわけだが」
「だろ? だから、初心者の内に優秀そうな冒険者と組んで、色々教えてもらうんだよ。そうすりゃクエストもこなせるし成長も進むし一石二鳥だろ」
「となると、優秀な人材を見付けないといけないわけだが……」
そう。ここが問題でもある。
今いるアクセルは初心者の街。高レベルの冒険者はもっと魔王軍に近い街でブイブイやってるわけだ。わざわざ仕事の少ないアクセルで冒険者稼業をする理由がない。高レベルの冒険者がいるにしても、俺達みたいなお荷物を抱えてくれるような人はいない。というかそもそも、高レベルならすでにパーティを組んでるだろうし。
俺達をお荷物と思わず、なおかつ優秀で、それでいて初心者の街のアクセルで活動していて、未だにパーティが完成していない冒険者を見付けないといけないわけだ。
こりゃあ、無理ゲーっすわ。
第一、俺がパチモン職業のドラゴソナイトでアリスは低級職業の冒険者。ネームバリューも最低と来ている。オマケに俺は変な黒い服を着てるし、アリスはお子ちゃまだ。見るからに地雷枠。これに地雷を感じない奴がいてたまるか。
俺は溜め息を吐いた。手持ちぶさたに冒険者カードを見る。すると、先程のデカエルとの戦闘のおかげかスキルポイントが貯まっていた。
「おい、アリス。これ見ろよ。スキルポイントが貯まってるぜ。何かスキルを習得できるんじゃないか?」
「……本当だな。自分のも貯まっているな」
俺は習得できるスキルをザッと見た。アリスも冒険者カードを見た。ふと、スマホを思い出した。そういえば、定期報告送らないとな。最初の内は忘れそうだ。
「えーと……【キジョウ】【カジ】【パチモン】【ケットウ】【カチョウフウゲツ】……何かパッとしないラインナップだな」
アリスはどうだろうか、と覗くとカードの一部の文字が光っていた。既に何かを習得したようだ。
「何を覚えたんだ?」
「初級魔法だ。街中でちょくちょく見かけていただろ?」
街中で見かけていたと言うと……アレか。水を出したり、火を起こしたりするやつか。確かにアレが使えれば便利そうだな。
でも、アリスって魔法関係のステータスが死んでなかったか……?
「あぁ、そうだぞ。自分は魔力の絶対量が異様に少ないらしい。今覚えた【クリエイトウォーター】は……三回だな」
「三回? 三回って言うと……」
「一日に三回だ。魔力はスタミナみたいなもので、寝たり時間を置いたりしないと回復しない」
三回て。だって、クリエイトウォーターってアレだろ? 街中で見たやつだろ。冒険者みたいな奴らが水を掛け合って遊んでた時に使ってた魔法だろ?
水道捻ったぐらいしか水出てなかったけど、アレを一日三回って。
「ちなみに、スキルポイントはもうない」
「うぉおおい!」
クソッ……何て使えないアンドロイドだ。仕方ない。ここは俺が良い感じのスキルを覚えるしかないな。
俺は現時点で取れるスキルを吟味し始めた。
「…………これだ」
「ん。何を覚えたんだ?」
俺はアリスに冒険者カードを突き付けた。逆転裁判をプレイしていた俺に隙はない。毎回最初は弁護士バッヂをサイバンチョに突き付けてたんだぜ。
「……【落とし穴】?」
アリスが訝しげに俺の取ったスキル名を読み上げる。俺は自信満々に胸を張った。
「そりゃあ、名前の通りだ。【落とし穴】を作るスキルだ」
「……おい。スキルポイントを無駄遣いするな」
「無駄遣いじゃねぇぜ……【落とし穴】ッ!」
「そんなスキるわぁっ!?」
俺がスキルを発動すると、アリスが急に崩れ落ちた。膝と手をついて四つん這いになる。
俺は笑いながら宣言した。
「トラップカード発動!」
「うぅ……急に足場が……」
アリスの立っていた場所に突然、小さい穴が出来ていた。そこだけ、ベコンと木製の床が凹んでいる。アリスはこれによって体制を崩してしまったわけだ。
「おい……六号……このスキルはヤバい……!」
「だろ? これを上手く使えれば野生動物だって――――」
「違う! そうじゃない!」
俺の発言を遮ってアリスが叫んだ。レスポンスを返そうとした瞬間、肩を叩かれる。振り返るとおっさんと受付のお姉さんがいた。
このおっさんは確か、俺達が職業決めた時にアドバイスしてくれた人だったな。
「俺は今、伝説の始まりを見ているのかもしれないな……」
おっさんはそう言いながら指で足元を指した。
受付のお姉さんが絶妙な表情で前に出る。
「あの……床が……」
「やべ」
俺が失敗に気付いたと同時に後ろから股間が蹴り上げられた。
「ぁぁぁああああありすぅ!」
「何が『やべ』だ、この阿呆が!」
結局、今回のクエストの報酬は俺が凹ませた床の弁償代に消えた。
「おい! 朗報だぞ」
翌日、仮拠点のテントを畳んでいた俺の背中をアリスが叩いた。
「大金が入ってくるかもしれん」
『大金』のワードに、どうせ大した朗報じゃないんだろうな、とぼんやりしていた俺の意識が急に覚醒する。
「大金が入ってくる? 詳しく」
「何でも、この街に襲来して来るらしい」
ごくり、とセルフ演出を入れながら"襲来して来る"ものの概要を待った。アリスはいつもより少し大きな声で言った。
「――――キャベツだ」
俺はごくり、と唾を飲んだ。
「大金が入ってくる? 詳しく」
アリスはいつもより大きな声で言った。
「――――キャベツだ」
俺はテントを畳んだ。
この素晴らしい世界の紹介
クリエイトウォーター
何かどっかから水を持って来てぶっ放す魔法。水属性の初級魔法だが、日常生活において役に立つ場面が多い。
どこぞの冒険者はこれで魔王軍幹部を倒したとか、倒していないとか。
アリスは魔力がほぼ最低レベルのせいで初級魔法すら、一日三回しか使えない。六号がキサラギに報告したところ「皇帝ペンギン1号」「美大ボール」と返された。
タイトル変えた方が良いですか?
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良い(正規ルート)
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このままで良い(悪の秘密結社ルート)
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良くないわよ、バカ!(恋愛ルート)
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井伊直弼(桜田門外ルート)