この素晴らしい世界に戦闘員、祝福を派遣します!! 作:暁ふゆめ
全員で全力全開の土下座をかました後、気を取り直して俺は転送機の元へ歩いた。
「ま、要はあれっすもんね。キサラギ代表っすからね。何なら地球代表ですもんね。そう考えると別に悪くはないのか……?」
「……あ、あぁ。そうだな。お前はキサラギ代表だー」
「……そ、そうだね。君は全社員の中でも選りすぐりの戦闘員だからねー」
途端に棒読みになり、俺から急に距離を取り始める幹部の二人。
怪しい。こいつら、何か隠してやがるな。
俺は最高(にお馬鹿な)幹部の最後の一人、ベリアルに電話をかける。ベリアルがこの二人と違う所は嘘が全く吐けないし、嘘を吐くという発想すらも出てこない大馬鹿さんであるということだ。キサラギの最高幹部はお馬鹿で構成されている。
『おい、ベリアル様。異世界行く任務のやつってどうやって決めた?』
『異世界行くって……あれのこと? あれならアスタロトがサイコロ振って決めてたけど』
『そうか。ありがとうな』
電話を切った瞬間、背中に衝撃が走る。
「期待しているぞ、ろくごー! さぁ、早く行けー!」
アスタロトの攻撃を喰らった俺は転送機の中へ転がってしまう。
アスタロトにやられた、と理解した時には既に転送機は閉まっていた。ちゃっかりアリスも転送機の中にいる。
転送機をこじ開けようとする俺をリリスが鼻で笑った。アスタロト(オンリー白衣二枚)が余裕の笑みを浮かべて言った。
「お前やアリスに埋められたチップによって座標は把握できる。そのキサラギウォッチを介して、武器とかは送ってやる。必要になったら連絡しなさい」
キサラギウォッチという聞き覚えのない言葉が飛び込んでくる。俺は腕時計なんて着けてないぞ。
突然、アリスが屈伸をした。アリスの手には何かが握られている。
「落ちてたぞ。これが件のウォッチだな」
「うぉおおおい! 転送機の中にあったってことは始めから無理矢理行かせる気だっただろ!」
そう言いながらも俺は少し安心していた。
装備が異世界に行くなら明らかにショボくて困っていた所だった。が、キサラギ製の(マトモな)装備が使い放題なら、大概の相手は何とかなるだろう。マトモな方の装備は凄いのだ。マトモな方のは。
俺はまだ、マトモな方の可能性が残っているアリスを見下ろす。
「自爆するとか言ってたけど、大丈夫か? ちょっとの衝撃とかで爆発すんなよ?」
「ふっ……安心しろ。自爆はロマンだ。自分だってTPOを考慮するさ」
「自爆自体がTPO考慮する気皆無だからな」
さて、この爆弾をどうしようか。転送された瞬間に自爆とか嫌だぞ。
俺は転送された瞬間にアリスと距離を取れるように、アリスの背中に手を添えた。向こう行った瞬間に突き飛ばす。多分これが一番速いと思います。
ガラス越しのアスタロトがキリッと表情を作り直した。
「戦闘員六号! お前には一つのミッションをこなしてもらう。一つは現地で拠点を作ること。更に、拠点に転送機を設置して、現地と地球の往復を可能にすること。まぁ、これについては主にアリスがやってくれるハズだ。二つ目は現地の調査だ。派遣先が地球人類が暮らせる環境かどうかを調べて来なさい」
「……もしかして、これってとんでもないミッションなんじゃないですか?」
「それはそう。だから失敗は許されない。後は週に一回、経過報告を送ること。その辺もキサラギウォッチでやれるから確認をしておいてね。このぐらいかしら」
「こんな重要そうなプロジェクトなのに、初見プレイ縛りとか企画立案者の顔が見てみたいですね」
アスタロト達の話を聞いてみた感じだが、向こうがかなりヤバい所じゃない限り大丈夫だろう。キサラギ全面バックアップの頼もしさは高校生の時から働いている俺には良く分かっている。
今回も何とかなるだろう。今までだって、結局は何とかなってきた。ここに長くいてもどうにもならないし、そろそろ行くか。
アリスに心の準備はできたか、と訊くと「アンドロイドに向かって何を訊いているんだ」と笑われた。ったく。アンドロイドさんにはジョークも通じないのかね。
俺達のやり取りを見ていたアスタロトが急に真面目な顔になった。
「……戦闘員六号、無事を祈ってるわ」
「いや、別に今生の別れじゃあるまいし。それに、すぐに往復できるようになりますって」
「でも、転送が成功するかどうかも分からないのに……」
「いやいや……リリス様は一応、世界一の科学者ですよ?」
俺の返答を聞いたアスタロトが急に黙って俯いた。
おい、待て。何だ。その仕草は。こんな計画を立てるぐらいだから、ちゃんと転送は成功するよな? 実験とかでもオーケーが出てるんだよな?
「なぁ、リリス様。転送の成功率ってどれぐらいだ? 実験は何回したんですか? バッチリ送れますよね?」
「……成功率は今のところ100%だ」
うぉおい! 今のところって何だよ、今のところって! 後、実験回数とバッチリ送れるかについて答えてねぇし!
抗議をあげようとした俺の顔に突如、煙が吹き付けられる。
「うわっ! 何だこれ!」
「消毒とかだね。あ、バイタルチェックはアリスを通してしているからね。安心安心」
「何が安心だ! それって、向こうで未知のウィルスとかに感染したら、こっちに帰ってこれないパターンだろ!?」
「やっぱり君はアホだが、勘は良いね。まぁ、改造手術もしたし戦闘服もハイテクノロジーだし……多分大丈夫だよ」
「おおおおい!! それで良いのか、世界一の科学者ぁああ!!」
「良く聞くんだよ、六号。今のところ成功率は100%だ。でもね? 何回も実験して失敗してしまったら? そしたら成功率が100%じゃなくなる。そうなると、君の転送の成功率も下がってしまうわけだ」
「あぁ……それなら納得……………………するわけねぇだろぉおお!! お前、ぜっっったい天才科学者じゃないだろ! むしろ理系かどうかすら怪しくなって来たぞ、おい! バカと天才は紙一重と言うが、お前は紙二重どころか三重でバカだ! 凄い神社にでも行っとけ! 何か天皇とかも行く所の!」
「六号! 君はほんっとうにアホだね! 僕は伊勢神宮へお参りなんて不確かなものに信じない!」
「そこじゃねぇよ! 反応するとこ、そこじゃねぇ!」
「それに僕は三重県に行くなら、鈴鹿サーキット行って松阪牛食べて赤福も食べたい!」
「知るかぁっ!」
「……君は三重県も知らないのかい?」
「そんな県知るか! 伊勢神宮も松阪牛も鈴鹿サーキットも三重県だったのかよ、今知ったわ!」
「まったく……小学生以下だね……」
「うるせー! そもそも――――」
「あ、準備コンプリート。えいっ」
リリスはそう言って、ボタンを押した。
俺の視界が光に包まれる。
「ちくしょー! 絶対帰ってやるぅうう! 覚えてろよぉおお!! 俺は忘れねぇからなぁああっ!!!」
俺が叫んだ瞬間にアリスがポツリと呟いたのが聞こえた。
「お前はまず、三重県を覚えろ」
Q 三重県民に怒られるよ?
A 生粋の三重県民なので大丈夫です(大嘘)
タイトル変えた方が良いですか?
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良い(正規ルート)
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このままで良い(悪の秘密結社ルート)
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良くないわよ、バカ!(恋愛ルート)
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井伊直弼(桜田門外ルート)