この素晴らしい世界に戦闘員、祝福を派遣します!! 作:暁ふゆめ
いつだって結局、デカい奴が強い。それは変わらない。パワポケにも、めだかボックスにも、そう書かれている。古事記には多分、書いてない。
俺は背後から差した影の主の姿を見た。
そいつはまさしく『カエル』だった。『カエル』としか形容できない見た目。『カエル』の王道を地で行く存在。一体こいつを『カエル』以外の言葉を使って表現できる者が、俺が元いた現代日本にどれだけいるだろうか。
「あっ、アリス! カエルだ! カエルがっ!」
「はぁ? 何をそんなに慌てて……」
俺の叫び声で振り返ったアリスは『カエル』を見て絶句した。
俺だってそうするだろう。だって、この『カエル』は――――
「3mはあるんじゃないのか? このカエル」
超デカかった。
俺達は完全に餌サイズだった。全力でアリスのいる所まで走って逃げる。人が通った道の様に、そこだけ草が禿げていた。
「おい! 早く逃げるぞ!」
「……ちょっと冷静になれ。こいつ、自分達を襲うつもりはなみたいだぞ」
「……そ、そうか?」
一旦、深呼吸して『カエル』を観察する。
緑色の巨体はこちらをジーっと見つめているが、舌を伸ばしたりだとか、ピョンピョン跳び跳ねたりだとか、そういう餌を狙う行動をしていなかった。
無害なのか? 流石に人間は少しデカいのか? それとも、さっき食ったばっかりとか?
様々な疑問が沸き上がる。未知の世界と純粋にデカくて気持ち悪い『カエル』に対する恐怖も沸き上がってきた。
と、俺の心も知らず、アリスは「せっかくだし調査しよう」と言いながら『カエル』の方へと逆戻り。
「おい、待てよ。危ないぞ」
「大丈夫だ。安心しろ。いざとなったら自爆する」
「それは安心から最もかけ離れた行為だからな」
「ま、それにデカいカエル……デカエルも襲って来ないしな」
「デカエルってお前……神様かよ。つーか、今はこっちの隙を伺っているだけかもしれんぞ」
俺の忠告をアリスは鼻で笑った。
そして、懲りずにやらかした。
「フッ……両生類ごときにそんな頭脳があるわけがないだろう」
アリスは食べられた。
「あ"ぁ"ーっ! お前、ぜっっったい高性能じゃねぇだろぉおがぁああああ!!」
俺はデカエルに突撃して、ブクブク太った腹を殴り付ける。デカエルはポヨンポヨンしていて、俺の攻撃なんて気にも止めていない様子だ。アリスは頭から行かれて、下半身がデカエルの口から無様に飛び出ている。
腹の中からくぐもった声が……いや、音声が聞こえた。
《All right.Explosion Standby》
「ふざけんなぁああー!!」
デカエルを討伐して、アリスを口の中から引っ張り出す。
クソっ……こういうのはウルトラマンレオの役回りだろうが……
「機能はオールグリーンだな。丁度、この平原みたいに」
「つまんねぇギャグぶっこんでねーで、反省しろ」
「自分は反省しないぞ。アンドロイドだからな」
「何だと!?」
「フッ……事実だ。ドヤァ」
「何でそこでドヤれるんだよ……というかドヤァって口で言うな」
アリスは無事らしい。どこから取り出したのかメンテナンス器具らしきものが転がっていかないように押さえながら、自分の様子をチェックしている。
しかし、流石は異世界。この世界ではカエルは……ちょっと待てよ? カエル以外もデカい可能性があるのか?
「その可能性は低いと思うぞ」
俺の疑問にアリスが即レスポンス。
何でだよ。ここは異世界だから、そういうこともあり得るんじゃないのか。
「地面の植物を見てみろ」
「草とか見てどうすんだよ……」
俺は言われた通りに草を見る。地球産との違いは分からない。
普通、草とか見ても雑草だな、としか思わないしな。
「地球に生えてるやつと何が違うんだよ」
「何かが違うんだろうな。だが、問題はそこじゃない。サイズだ。地球のとほぼ同じだろ」
「……まぁ、確かに」
「それに」と続けながらアリスは少しだけ歩いた。丁度、俺がデカエルで悲鳴をあげた時にいた位置ぐらいだ。
「あそこを見てみろ。明らかに生物が……それも知能高めの生物が通った"道"がある。アレの大きさからして、地球の生物とこちらの知的生命体の大きさは大体同じって所だ」
「まるほど……じゃあ、カエルは何でデカかったんだよ」
「自分がそんなこと知るか」
「今までの推論、無に帰してない?」
生物の大きさは恐らく地球と同じぐらいとな。本当か? 疑っていても始まらないし、疑ってもどうにもならんのだけれど。しかし、大きさが同じぐらいならやりようはいくらでもある。というかさっきのデカエルみたいなのがデフォルトだったら死ぬ。精神的な意味でも肉体的な意味でも。
「おい、六号。準備完了だ。待たせたな」
「延滞料払えよ」
アリスは颯爽と、俺の背後に回った。何をやってんだろうか、と思い振り向くと足を振り上げているのが見えた。反射的にバックステッポを繰り出し、アリスの蹴りを避ける。
チッと舌打ちの音が聞こえた。
「阿呆なこと言ってないで行くぞ」
「言っておくが、さっきの攻防に関してはアホなことやってたの全面的にお前だからな?」
アリスは知的生命体らしきものが通った道に沿って歩き出す。俺もその横を股関をそれとなくガードしながら歩く。
「なぁ、六号」
「何だ。アリス」
「さっきは助かった。ありがとう」
「……何だよ、急に」
「何と言われても。助けられたらお礼を言うのが人間だろう? 自分はそのルールに乗っ取っただけだが」
あぁ……なるほど。助けられたらお礼を言う。確かに人間達の間では常識だ。でも、できない時も多い。素直にお礼が言えない時も、言いたくても言えない時もある。
ストライクど真ん中過ぎて打ち損じたかのような感情になる。
「こっちこそありがとうな、アリス」
「何だ、急に。何を企んでいる」
「別に企んじゃいねぇよ。ただ、俺はアリスに助けられたから……助けられたらお礼を言うのが人間のルールだからな」
アリスは俺の台詞にそっぽを向いてノーコメントを貫く。
あっ、さてはこいつ笑ってやがるな? 俺がちょっと真面目な台詞言ったからって。確かに自分でもちょ~っとキャラじゃないなーって感じはしてたけど。そんなそっぽを向いて笑う程じゃないだろ。
でも、アリスと一緒にやってくのも悪くはないのかな。
俺がそう思った瞬間、アリスは建築した。
「まぁ、これから先にあのデカエル以外で自分達の壁になるようなものは出ないだろう。幸い、現地生命体も文明レベルは地球で言う所の中世。重火器もマトモに存在しないだろうしな」
俺は本当に反省しないアリスの頭を叩こうとした。
瞬間、紅い光が目を差した。
俺は耳が張り裂けそうな爆音と、揺れる視界の中で叫んだ。
「やっぱお前はポンコツロボットだぁああああ!!」
この素晴らしい世界のキャラクター紹介
デカエル(正式名称:ジャイアントトード)
オオヒキガエルの英名より。
3mを超える巨体を持つカエル。色は緑色だけでなく、赤や黄色も存在する(毒はない)
ジャイアントトード狩りのプロは信号機の配色に並べてから討伐するとかしないとか。
打撃攻撃に対してめっぽう強い。クレベースぐらいある。いや本当に。
タイトル変えた方が良いですか?
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良い(正規ルート)
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このままで良い(悪の秘密結社ルート)
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良くないわよ、バカ!(恋愛ルート)
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井伊直弼(桜田門外ルート)