この素晴らしい世界に戦闘員、祝福を派遣します!! 作:暁ふゆめ
歩き続けて……歩き続けて……ようやく、都市だか街だか国だかの前に到着した。
俺は何かある度に男子中学生の如く寄り道とタンマを繰り返したアリスを恨みを籠めた目で睨んだ。
「お前のせいで散々、時間がかかって、よ~やく到着したが……こっからどうする? まさか正面突破ってわけには行かないだろうしな」
アリスは「策は考えてある」とだけ言って、都市だか街だか国だかの正門に向かって歩いて行った。俺は後ろを追いかける。
アリスは振り向かずに言った。
「良いか、六号。言語の解析が済むまで喋るな」
「……なるほど、了解した。言葉が違ったらアウトだもんな。戦争中とかだったらマジヤバい」
「喋りだけならそんなに時間はかからないだろうが、終わるまではノンバーバルランゲージだけでやり過ごせ」
「文脈で分かるけど一応訊いておくわ。何だ、それ?」
「身振り手振りのことだ。まぁ、難しく考えずに自分の言うことに全部頷いておけば良い。イエスマンになれ」
「……いえす」
「ノーと言えない人間はこの先の社会で苦労するぞ」
「……のー!」
「イエスマンになれ、と言ったばっかりだろう。お前の頭は髪の毛を養殖しているだけなのか? ……ユーコピー?」
「…………あいこぴー」
俺、機械相手にレスバ敗北。この恨み、忘れるまで覚えてやるから覚悟しとけよ……!
都市だか街だか国だかの入り口前。門番的なサムボディはいなかった。特に意味はないが足を鳴らして都市だか街だか国だかに入った。
俺は思わず周りを見回す。そこには、正しく『ファンタジー世界』としか形容できないような世界が広がっていた。
剣を腰に佩いた鎧に身を包んだ男。紋章の様な金文字でかたどられたローブをバッサバッサと店先ではためかせ、説教されている魔法使いらしき少年。やたらと平らな胸を誤魔化さないような服装で、堂々と巨乳の横を歩く貧乳少女。一心不乱に女性に土下座する中年男性……ちょっと想像よりも現実味が漂っている気もするが、間違いなく非現実で異世界の光景だった。
さっきアリスに忠告されたにも関わらず話しかけてしまう。
「何か、すげぇな。非現実だ。でも、虚構なんかじゃなくて確かに生きている、非日常だ。これが異世界か……!」
「結局、昨今のティーンエイジャーに限らず若い奴は現実主義の現実的な現実に現実感と現実味を感じられない現実主義者だからな。荒唐無稽ってのが大好きで、虚構にしかリアルを求められないんだろうな」
「恐ろしく早い水差し……今の俺でなきゃ激怒しちゃうからな」
道のど真ん中を歩いているが、周りは俺達のことを気にもしていない様子だった。見た目で即、異物バレはしていない様子。現地の人の格好はナーロッパ感全開の想像通りという感じだから、俺の戦闘服も浮いていないのだろう。
ざわめきに耳を澄ませるが、外国語を聞いているかのように何にも分からない。人間の見た目は同じだから声帯の作りも同じなのだろうか。発音系統自体はこっちと似通っている気がする。
アリスは突然、止まったかと思うと薄暗い路地裏に俺を連れ込んだ。
「えっちなことでもするつもりか?」とジェスチャーで伝えたが、鼻で笑われただけだった。
「言語の解析が終わったぞ」
「はっや」
「当然だ。文字はまだだが、『聞く』『話す』なら今すぐにでもできる」
「エグいな」
「そりゃあ、インテル入ってるからな。Core i5の第二世代だ」
「ゴミじゃねぇか!」
「冗談だ」
「下段もないのに上段とか言ってんじゃねぇよ」
「じゃあこの話は中断だな」
突然、アリスは俺の耳辺りをジャンプして触った。少しだけチクッとした。
おい。何だ今のは。デジャヴだぞ。
「パッチだ」
「ゲームみたいに言うの止めてもらえますかね、アリスさん」
「右の耳たぶを触ってみろ。仕様言語の切り替えができる」
「はっはっは……マジかよ……」
俺は右の耳たぶ辺りを触った。カサブタを触ったかの様な感触。その瞬間、脳味噌にダイレクトに電気が走った。ドアノブを握ったら静電気がパチッとした時ぐらいの痛みを受けた。
『いたっ……おお!? 何だこの言葉ぁあ!?』
『切り替わったな。どうだ? 自分の言葉が分かるか?』
『分かるぅ! 超分かる!』
『じゃあ、さっさと街道に戻るぞ。情報収集と寝泊まりする場所の確保だ』
俺達は人混みの中へと戻った。
情報収集を終えて、その辺に腰を下ろす。その辺と言ったが、眼下には夕焼けを反射するオレンジ色の川が流れているから橋の上だ。二人仲良く体育座りをしている。にしても、アリスには体育座りが似合う。流石はロリアンドロイドだ。
俺がそう思った瞬間、アリスが首をこちらへ向ける。
「今、失礼なことを考えただろう」
「いや別に」
勘の良い奴め。
アリスは前方を見つめ直した。
「確認するぞ。この世界には『魔王』とかいう何ともベタな存在がいる。そいつらがこれまたベタに『魔物』とか何だがを良い感じにして、都市とか街とか国とかを襲ったりしている。ここまでは良いな?」
あぁ。伊達にテレビゲーム世代じゃない。にしても、アンドロイドのくせにフワッとした説明しやがって。こいつ絶対高性能多機能ナンチャラじゃない。
「で、自分達がいる都市だか街だか国だか……まぁ、街だったわけだが。自分達がいる街『アクセル』は魔王軍の職場から離れた所にあるため、結構平和な感じでわーわーやれている」
わーわーて。擬音派かよ。感覚で会話してんじゃねーよ。おっと、ブーメランだったか。
「安全な街だそうだ」
「マジで安全かどうかはまだ分からんけどな。この世界の奴らとは根本的に感覚がズレているだろうし」
「それもそうだが……見てみろ。子供が笑顔でその辺を走り回ってるんだぞ。平和の証拠だ。安全だというのはマジだろうな。マージ・マジ・マジーロだ」
「そっか。マージ・ジルマ・マジ・ジンガか」
悪の組織の幹部なのに『TAKE ME HIGHER』を登場BGMにするリリスが開発した影響か、アリスはやけに無駄に無意味に無意義に無価値にネタをぶっ込んで来る。
こいつ絶対悪の組織のアンドロイドじゃないだろ。悪の組織要素が自爆しかないじゃん。いや、自爆だけだったらビリリダマじゃん。俺、ビリリダマのことをずっとビビリダマって思ってたんだぜ。多分、同じ経験ある奴いるよな。こっちの世界にはいないだろうけど。
「なかなかにしっかりとしたシステムで社会が回っているみたいだな」
「まぁ、街中歩いてても殺して奪うみたいな感じにはならなかったし。治安は良さげだと思うけど」
「なかなかにしっかりとしたシステム……ようするに、資本主義的なシステムということだな。金が中心。つまり、金を稼がないといけない」
異世界まで来てその日その日の食い扶持稼ぎか。高校時代を思い出すな。
「都合良く、自分達にピッタリの職があった」
そう。これがやはり異世界だろう。ここまでテンプレ染みているんだ。なかったら俺は発狂していたかもしれない。
「『冒険者』……これなら腕っぷしさえあれば、多分いけるだろう」
「フワッフワだな。しっかりしろよ、アンドロイド」
「データ不足だ。仕方ない。何にせよとりあえず、『冒険者登録』をしないことには始まらないな」
『冒険者登録』……この世界にはいわゆる『職業』という概念がある。RPGでの『剣士』とか『僧侶』とかみたいなアレだ。『冒険者ギルド』なる所(これまたベタな施設)に行って、登録を済ませれば一躍、魔王軍と戦う『勇者』候補に早変わりってわけだ。都合の良いことにこのアクセルは初心者が集う街らしい。俺達は新米冒険者として色々情報収集をしよう、ということになった。新米なら多少ミスったり、奇行に走ったりしても、許されるかもしれない。それに、魔王軍ってのも気になるしな。
悪の組織は二つといらない。だから、この世界をもし征服するとしたら、件の魔王軍とやらともバトルになる。将来的にキサラギの傘下になるかもしれないんだ。アリスの奴は「キサラギが傘下になるかもな」と真顔で言ってのけていたが。
「なぁ、アリス。冒険者になったら、"魔法"も使えるんだろ?」
「らしいな」
そう。これが重要だ。
この世界には"魔法"がある。俺達も情報収集の最中に幾つか観た。
手から水を放ったり、炎を空中に生み出したり、そよ風を起こしてスカートを捲ったり……魔法が俺にも使えるなんて、考えただけでも興奮する。スカートを捲るとかそういう意味での興奮ではないのであしからず。
そう思うといてもたってもいられなくなり、俺は勢い良く立ち上がった。
「とっとと行こうぜ! ギルドへ!」
「そのこと何だか……」
アリスは苦笑いをしながら、立ち上がった俺の腕を掴んだ。
もう一度座りなおす。
「冒険者登録の登録料が払えないから、最初はバイトしないといけないぞ」
……は、はははは。俺はどうやら耳が悪いらしい。アリスの言葉が聞こえなかった。
「この世界の物価がどれぐらいかは計算中だが、冒険者登録には『1000エリス』がかかるらしい。バイトの時給もざっと見た程度だが、最低でも一日はバイト漬けだ」
「……嘘だよな……異世界に来てまでバイトとか俺、嫌なんですけど……冗談だよな……?」
「マジだ。ジルマ・マジ・マジーロ」
「……ガーンって擬音、こういう時に使うんだな。すっげぇ納得したわ……今まで『ガーン』とかアホみたいな擬音だなって思ってたけど、むっちゃガーンだな……ガーン」
「もう、ギンガマーンって感じか?」
「そんな感じだ。誰かこの落ち込んだ心をレスキューしてくれ……」
アリスは膝に顔を埋めた俺の頭をポンポンした。
「そう落ち込むな。それに冒険者って言っても『プレシャス探すぜ』みたいに夢のある仕事じゃな――――」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!! 聞こえなーい!! 心が落ち込んでるから聞こえなーい!!」
俺は立ち上がった。アリスは「やれやれ」と肩を竦めた。いちいち機械味の薄い奴だ。
「じゃあ六号、とっととバイト行くぞ。日雇いで自分達でもできそうなやつを幾つかピックアップしてある。まぁ、自分的には一択だが」
「へぇ。どんなのがあるんだ?」
アリスはキサラギウォッチを操作した。すると、キサラギウォッチから空中にバイト候補が投影された。無駄なハイテク。
『八百屋の店番』……朝~夕方まで。良い感じに楽そうでまぁまぁの時給。
『子守』……子供に何かあったら殺されるという契約書への同意が必須。時給が高い。
『迷子の子猫の創作』……作家がネタに困っているらしい。延々とつまらない小説を読み、心にもない感想を吐き出すだけの仕事。3時間で終わる。
目を通し終わると俺はアリスの顔を正面から見据えた。
「……ちなみにどれを取ろうって思ってたんだ?」
「『子守』だが」
俺は全力でアリスを説得し始めた。
クソッ……何でこいつはこうも自信過剰なんだよ……!
俺の必死の説得にハテナマークを浮かべて、首を傾げるアリス。ロリっぽい見た目なこともあって、意外と可愛い。だが! 所詮はガキだ!
どうせならポンコツなら同じポンコツでも、お淑やかでおっぱいのデカい美女アンドロイドが良かった!
俺はアンドロイドのガワをロリっ娘にデザインしたリリスを恨んだ。
この素晴らしい世界のキャラクター紹介
貧乳少女(正式名称: エ クリス)
乳トン先生が唱えた真理《万乳引力》と昨今のトレンドに反して胸が平らな 神様 盗賊。
遠目で見たら少年。マスクで顔を隠すと少年。だが、女だ。
ドラゴンボールを集めないと手に入らないような究極の神器《ジョ・シーズ・パンティヌス》を何故か着用している。巷の噂では手持ちの全財産を使って購入したらしい。お金を全部使ってまでパンツを購入するとは、とんだ変態である。
タイトル変えた方が良いですか?
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良い(正規ルート)
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このままで良い(悪の秘密結社ルート)
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良くないわよ、バカ!(恋愛ルート)
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井伊直弼(桜田門外ルート)