岩タイプで砂嵐と全体A急所2上昇スキル持ちのお兄さんは好きですか 作:プルータス
戦闘開始と同時にアノプスに『すなあらし』を発動させる。隣のククイ博士のルガルガンが『にらみつける』で相手チーム全体の防御力を下げ、ライチさんが『プラスパワー』を使用して自分のルガルガンの攻撃力をグンと高める。
次の手でトレーナースキル『ガラルの誇り』を発動させる。味方全体の攻撃力と急所率を1段階上昇させ、天気が砂嵐状態ならそれぞれもう1段階上昇させるスキルだ。
もう一度にらみつけた所で相手チームのピジョンが『エアスラッシュ』をアノプスに打ってくる。だが『砂嵐無効&特防上昇』によりアノプスの特防を上げてある状況ではかすり傷だ。
ライチさんのルガルガンの『ストーンエッジ』が中央のファイアローに突き刺さり大ダメージを与える。本来ならもう一度『ガラルの誇り』を積むタイミングだが、今回はバフが十分と見て『いわなだれ』で全体攻撃と怯みを狙う。
「いやー今回もアンタのおかげで助かったよ」
ライチさんが豪快に褒めてくれる。彼女はアローラ地方の島クイーン(ジムリーダーのようなものだ)と四天王を兼任している凄い女性だ。
「カクタスくんのアノプスは大丈夫かい? 特防が上がっていても本来の特防はそんなに高くないから過信は禁物だぜ!」
ククイ博士がアノプスの心配をしてくれる。彼はポケモンの技を研究している博士であると同時にアローラ地方にポケモンリーグを新設するという偉業を成し遂げた凄い男性である。
「このあとポケセン行くので大丈夫ですよ」
ふたりに笑顔で返す。俺はガラル地方のジムトレーナーのカクタス。ふたりに対して格落ち感が凄い男である。
正直プレッシャーで倒れていないだけでも褒めてもらいたい。
孵ったばかりのアノプスと招待状を手にパシオにやってきた俺(ナックルシティの一般ジムトレーナー)を待っていたのは各地の地方ジムリーダーと四天王とチャンピオンたちであった。そして前途有望な少年少女たち(全員ジムバッジ8個レベル)との交流を経た今、劣等感で押しつぶされそうである。
「て訳でキリヤといると和むんだよな。あの人ら意識してなくてもプレッシャー半端ない」
「もしかしてケンカ売られてますか?」
カフェでパシオで仲良くなった友人とカフェオレを飲む。なんと穏やかな休日か。なおキリヤが青筋たててるのは見ないふりをする。
「だってなぁ。比較対象が伝説のトレーナーのレッドやそのライバルでカントーチャンピオンのグリーンだぜ」
「それを言われると反論に困りますが」
悪の組織ロケット団に単身乗り込んで壊滅させた男である。なおパシオでロケット団が復活した際もレッド単騎で組織を半壊させ、それに対してグリーンが「お前が半壊できるなら俺が残りの半分をやればそれで終わりだったろ」となんの気負いもなく言っている。強がりとかじゃなくて事実を言ってるだけなのがスケール違いすぎて怖い。
キリヤはキリヤで口では自身が劣っていることを認めているが内心諦めてないのは目を見ればわかる。ウチのジムリーダーのキバナさんも同じようなところがあるのでわかりやすい。
「他にも伝説級のポケモンがホイホイ連れて歩かれていると『伝説とは……』ってなるよな」
「ああ、それはわかります」
足元で俺のアノプスとキリヤのイワンコがたわむれている。こういうのでいいんだよこういうので。
ちなみにポケモンセンターに訪れた俺を腰の入ったタックルで「とったどー!」と叫びながら勧誘したユイちゃんもホウエン地方の準伝説とアローラ地方の伝説のポケモンを連れている。伝説のバーゲンセールかよ。
そんな中技構成が『うちおとす』『いわなだれ』『すなあらし』『ガラルの誇り』で急所無効と砂パとして砂嵐状態ならステータスが上がるだけのアノプスである。サブウェイマスターの隣に並べないでほしい。
「援護ばっかでせっかくパシオで使えるバディーズ技を使わないしな」
「ロールがサポートで『すなあらし』使用時に確率で使用回数回復なんてついてればそりゃバディーズ技は他に譲られる物ですよ。
クダリさんみたいにバディーズ技で砂嵐状態にするようにしたら話は別でしたよ」
「だって入国時にモルペコが勧めてくるから……」
「あれ、キリヤ。お茶してるの?」
ヒョイと現れたのはキリヤの幼馴染でブースター使いのリッカだ。スポーティな格好で同級生の男子を勘違いさせそうな言動をしている。まあ俺くらいのジムトレーナーならキリヤに好意を抱いているのはバレバレなのだが。バレバレなのだが!!
「じゃあなキリヤ。またゆっくり話そうや」
お前みたいなリア充、俺と同類なわけないだろバーカ!
ふたり分の代金にリッカが頼むであろう代金を見越して多めに置いてクールに去る。逃げ去ったんじゃない。ユイちゃんに次の戦場に呼ばれてるだけなんだ。
なお、再会した時に俺の分だけキッチリ引いたお釣りを渡されてそれを相手に譲り合うポケモンバトルをおこなうのだが、それはまた別の話。
そういうとこだぞキリヤ。