拝啓、Bクラスの皆様。
体調の程はいかがでしょうか?
私は今右肩がとても痛いです。
今まで俺は数々の知識を得てきた。もう学ぶことは無いと思っていたが、俺でも知らなかった豆知識を教えます。
廊下で先輩に会ったら肩を握りつぶされるので気をつけてくださいね。それも不気味なほどに無表情で。
いや〜。俺もまだまだっすね。世界は広いってことかな?矮小なわたくしめに知識を授けていただきありがとうございました。では失礼し痛たたたたたたっ。
「どうした?まさか俺の事を忘れているのか?」
忘れてるわけないでしょ。瞬間記憶能力使うまでもないわっ。ため息をついて肩に置かれた手に自分の手を重ねた。
「……痛いんで離して貰ってもいいですか、堀北生徒会長」
「とてもそうは見えないがな」
名前を呼ばれたことに満足したのか、そんなことを言いながら手を離す。いやいや、ポーカーフェイスって知ってます?痛いもんは痛いんだよ?
「生徒会長のことは覚えていますよ。大会で当たった人の中で一番手強かったので印象的でしたから」
「全てお前の勝ちだったがな」
皮肉がすごいなこの人。根に持つタイプか?堅物×負けず嫌い×シスコンってなんか凄いな。絶対言わないけど。
お互い向き合うと堀北会長は指でメガネを押し上げる。すげぇ、クイってしたぞ。しかもクイってしたらメガネがめっちゃ光ってるんですけど。目だけ見えん。計算されてるのか?
「最初の質問に戻る。こんなところで何をしている?」
「堀北会長こそ。先程まで演説していたのでは?」
「ここは生徒会室前だ。俺がいるのは当然だと思うが?」
分かってますよ。だからここは駆け足気味で調べてたのに気配を消してストーキングしてきたお兄様に捕まったんでしょうが!
それはともかく。さて、どうしたものか。嘘ならいくらでも考えられるし、挙動も不審がられることは無い自信がある。ただ、変に勘繰られるのは厄介だ。ましてやお兄様は生徒会長。この学校の生徒会長というのは絶大な力を意味している。変に探られるのはかえって危険だ。
「監視カメラが多かったので、どれだけあるのか把握してたんです」
「ほお?何故だ?」
めっちゃ食いついてきた。しかもなんか笑ってるんですけど。その笑顔妹さんに見せてあげてっ!それか書記ちゃん先輩に見せてっ!俺が見たらただ不気味で怖いだけなんで。
ここで中途半端な理由を答えれば確実に向こうは疑問を抱く。幸い、ここには俺と会長以外に気配は無い。
重要なのは、当然のように言うこと。そして多くは語らないことだ。簡潔に伝えれば相手はそれで納得する。生徒会長とのパイプは作って損は無い。
「先のことを考えれば監視カメラの位置は重要になりますから」
「──ふっ」
お、今の笑顔は気持ち悪くない。妹さんと書記ちゃん先輩に見せたら蒸気出しながら昇天するぞ。
今の一言で、堀北会長に俺がどこまで知っているのかを勝手に解釈してくれたはずだ。この人は他人の情報を勝手に他者に伝える人ではないだろう。生理先輩は別として、俺の事は他言しないはずだ。
よっぽど俺の解答が期待に添えていたのか、割と長い時間笑っていた。その後、いつものキリッ!とした顔に戻るとまた眼鏡をクイっとする。
「少し話がある。生徒会室へ来い」
命令形って……断れるわけないじゃないですかい。特に断る理由もないし、廊下は目立つ。二つ返事で会長に着いていく。
生徒会室は割と広く、自暴自棄になった生徒が暴れられるくらいには広かった。その奥に置かれた一際目立つ会長席にわざわざ座り、碇ゲンドウスタイルになったお兄様は会長フェイスを作りこちらを見てきた。
「生徒会室は防音仕様となっている。ここでの会話は誰にも漏れない」
凄い前置きだな。いかにも誰かに聞かれては困る話をしますって言う前ぶりだ。ちょっと帰りたくなったがそれを隠して会長の前に用意されたソファに腰掛ける。わ〜、ふっかふかだぁ〜。
「入試で面白いことをした生徒が二人いると話題になってな。一人が知っている名前だったからまさかとは思ったが、本当にお前だとは驚いたぞ」
そう言いながら会長は何かが書かれた資料らしきもの。引き出しから取り出し、こちらへと見せてくる。おい、個人情報保護法、仕事しろよ。てか、入試って俺なんかしたっけ?確か筆記試験はとりあえず低い点取ろうと思って問題解いてたら段々とよう実の世界にいること実感してきてテンション上がったんだよな。
「片方の生徒の情報は省くが、水野。お前の平均点は33点」
「我ながら低くて恥ずかしいですね。てか、情報漏洩」
「平均点だけ見れば、だがな」
俺の言葉を聞き流して会長は黙々と告げていく。
「国語11点、社会22点、理科33点、英語44点、数学55点。意図的に揃えたな?」
おー、ちゃんと上手くいってたのか。だって、テンション上がっちまったんだもん。しょうがないじゃん。問題が簡単すぎて詰まらなかったからパイセンみたいに点数予想して遊ぼうと思って点揃えた後に適当に絵書いてたら修正する前に時間来たんだから。あの四コマ漫画は力作だったな。四コマ漫画と言いながら隠れた5コマ目があるのがポイントだ。
いや、待てよ。このタイミング、このシチュエーション。あのセリフを言えるのではないか。くっ、パイセンの言葉を俺が使う時が来るとは!!どうせならパイセンの雰囲気を真似て言おう。無気力な感じで眠たそうに……よし。
「偶然って怖いっすね」
よっしゃあああああああ!!言ってやったぜ!!あと言えるのはピアノと書道……いや俺が武道やってるのバレてるから言えないけども。言いたかったセリフランキング13位を言うことができた!!
いや、しかしこれはどうなのだろうか。このセリフは綾小路清隆というキャラが使うからこそ意味を持つ言葉なのであって、彼に劣る俺が使って果たして価値があるのだろうか?
……今度から使うの控えよう。
ただ、今回は意外と刺さったのか、会長には効果覿面だった。
「あくまでシラを切るつもりか……まあいい」
本題ではないからか、俺の入試の点数の話はすぐに流れた。マジでこの学校やべぇ。他人の情報すら買えるとか治外法権待ったナシだぞ。
碇ゲンドウスタイルをかましていた堀北会長は会長席から立ち上がり俺の正面にあるソファまで来て座り込んだ。最初からそこに座ればよかったのでは?
「本題だ。水野悠、生徒会に来い」
そう言った会長は右手をこちらに差し伸べる。俺はその手をじっと見つめた。正直、かなり悩む。スカウトが来るのは今日の邂逅の時点である程度予想はできていたが、まさかこのタイミングとは。
この学校の生徒会に入れば、メリットがかなりでかい。デメリットは少し自由時間が削れるくらいだろう。そんなことメリットに比べれば些細なものだ。生徒会の権力は計り知れない。この先、生徒会に所属していることが試験を有利に進めることに繋がることもあるだろう。しかも、生徒会に所属していればある程度教師に融通が効く。何より堀北会長とのパイプは欲しい。
スカウトの理由は、十中八九生理先輩の抑止力とかだろう。あの気持ち悪い笑顔にさすがのお兄様も警戒したのかもしれない。あの人、噛ませ臭が橋本の次に凄いんだよな。でもああいうタイプはある話を超えた時に人気が出てくる系だ。ただし、それまではめちゃくちゃ嫌われる。
でも、そんなことを口にすれば堀北会長にも警戒されてしまう。俺はどちらかと言えばお兄様側だ。生理先輩につくことはないだろう。ただ、今結論を出すのは早いか。
差し出された右手の前に待ってくれと言うように手を立てる。
「少し考えさせてください。堀北会長が退任するまでには答えを出します」
「──そうか」
即決とは行かないまでも、予想はしていたのかお兄様の表情に変化はない。ただ、保留となったことにはある程度の安心はしてそうだな。本題も終わったので俺は立ち上がり扉へと向かう。その途中で「一つ聞かせろ」声を投げられたことにより俺の足は止まる。
「水野、お前はこの学校のシステムにどこまで気づいている」
俺は少し時間を置き、後ろを振り向き微笑みながら答えた。
「だいたいは解りましたよ」
嘘です、全部知ってます。
心の中で謝罪しつつ、今度こそ扉を開けようとしたところで重要なことを言い忘れていたと思いもう一度会長の方を向く。
「すいません、俺のことは」
「分かっている。お前の入試での点数も、システムに気付いていることも、誰にも漏らさないと誓おう」
そう言いながら携帯を操作しながら近づいてきた会長は俺に携帯を出せと要求してきたのでロックを解除した状態で渡した。二つの端末を操作してピロンと電子音が鳴ると携帯を返してくる。画面には100万ポイントが譲渡されたという表示が書かれていた。
「先行投資だ。受け取っておけ」
おっ金もちぃ!!一生ついて行くっす!!
太陽の光がカーテンの隙間から入り、自然と瞼が開いていく。上体を起こして眠気を飛ばし、ゆっくりとベッドから起きる。時刻を見れば朝の5時30分を少しすぎたあたり。いつも通りの目覚めだ。
洗面所で冷水で顔を洗い脳を覚醒させる。すぐに寝間着を脱いで運動着へと着替える。そして周りの人に迷惑がかからないように静かに部屋から出ていく。
毎朝行うルーティンの一つ、ランニング。この高校の敷地は他とは段違いで広いのでランニングコースに飽きない。今は様々なコースを試してベストルートを模索中だ。しかし、これには注意しなければならないことが1つ。
角を曲がろうとしたところで急停止し、物陰に隠れる。すると前から金髪の生徒が走ってきていた。上裸で。
走りながら自身の筋肉を眺めては「今日も私の肉体は美しい」などと独り言を言いながらランニングしているヤバいやつ、高円寺だ。
彼は要注意人物の内の一人だ。まず、会話が成立しない。唯我独尊を気取っている彼だが、実力は本物だ。この学校に来て初めて彼を見た時に気づいた。彼は本物だと。口だけではなく、それに見合う実力を持っている。あれは先天的な天才だ。
彼の実力の全ては分からないが、彼の観察眼は凄まじい。恐らく、俺の事を見られたらまず絡んでくる。朝から疲労するのはきつい。身体能力の部分はバレても問題ないとはいえ、そのほかの部分を勘づかれる訳には行かない。俺はまだ目立つ訳にはいかないんでね。
高円寺が去っていくのを見送り、再び走り出す。一時間弱ほど走り軽く汗が出てきたところで自室へと戻りシャワーで汗を流す。キモティィ!!
髪を乾かし制服に着替えてから朝食を作る。パンをかじりながら現在の所持ポイントを見る。4002500ポイントか。昨日見た時は3937500ポイントだったから増加分は65000ポイント。つまりクラスポイントは650と。ふむ、原作通りだな。まあ俺が介入してないから当たり前か。
朝食を食べ終えてからは少し時間があるが、この時間は特にすることを決めていない。精神統一する時もあれば、VIPで即死コンボを連発している時もある。今日は小説でも読むかと小説を取り出したところで携帯にメールが届いた。どなた?
送り主は帆波からで、『何ポイント振り込まれた?』という内容。俺に聞くの?知将は隆二だと思ってるからあっちにいくと思ってた。複数人に聞いてるのかと思い、『65000だよ。下がったな』と連絡を入れる。5秒と経たずに返信が来た。早っ!
『私もだよ。やっぱり授業態度が関係してるのかな?』か。そういえばこの前その内容の相談受けたな。否定も肯定もしなかったけど。隆二達とも相談してたのだろうが、その結論に至っているのは流石だ。
とりあえず、『先生に話を聞くまではなんとも言えないな』っと。その後返信は来なかったので取り出した小説を読む。10分ほど読んでいると、携帯が震えた。またメールか?
『一緒に登校しない?』か。前後の文の繋がりが壊滅的だな。もし今までの文がこれの前置きなのだとしたら少しテストが不安になってきた。なんて返そうか悩むと10秒程で追加のメールが届いた。だから早いて。
『ちがくのただポイントのことで相談したいなって思っただけで大破ないの!』という早口言葉並で誤字りまくりの文が来た。多分『ちがくの』は『違うの』だな。『大破ないの』って何?事故った?多分『他意は無い』だろうな。早く打ちすぎだ。おちちゅけ。
教室に行ってから話すことになるだろうし、それが早まるだけか。断る理由も無いし行くか。『いいよ』。簡潔すぎて涙が出るぜ。天井がどんどんと揺れた。上の階の人荒れてんな〜。飛び跳ねてるのか?
また返信は無い。他の子とのポイントの話題で忙しいんだな。よし、小説読もっと。やっぱ読むとしたらファンタジー系だよな。推理小説も悪くはないんだけど、途中で犯人が分かっちゃうから犯人の猿芝居が見てられないんだよね。それも面白いけど。
5分程してから返信が届いた。『ありがとう!!7:40分にロビー前で!!』。『了解(*`・ω・)ゞ』っと。パイセンって絵文字とか使うのかな?使ってるとこ想像してたら笑けて来た。
あと20分ほどを小説を読んで過し、カバンを持って部屋を出る。10分前くらいに着いとけば良いだろ。エレベーターを待つと、ちょうど上から降りてきているようですぐに俺の部屋の階に止まった。すると中には帆波が入っていた。
「おはよう悠くんっ。早いね!」
「おはよう。帆波も一緒だろ?」
エレベーターへ乗り込み、二人で1階まで行く。密室だからか、帆波が近く、香水のようないい匂いが鼻をくすぐる。嗅いでるんじゃないよ?自然と鼻に入ってきたんだよ?本当だよ?普通に好みの匂いです。
でもここで「いい匂いだね!」なんて言うのはドラマのイケメン主人公か変態のどちらかだ。流石に帆波に変態認定されたらクラスで生きていけないので触れない。何やらモジモジとしている帆波が目に入ったような気がするが気にしない。
割と早めに登校しているが周りにはちらほらと生徒が居た。他学年の人も何人か居たが、当たり前だが知らない人ばかり。何人かはこちらを見てくるが理由は分からん。多分帆波が横にいるからだろう。可愛いし。
その視線に気づかない帆波と気づいてないふりをしている俺は今日振り込まれたポイントについて話す。途中でDクラスらしき人を見かけると「金が無い?なんでだよ〜」と自販機の前で嘆いていた。知っていたが、全てのポイント吐き出すとか凄いな。尊敬の域に達している迄ある。
「やっぱり、他のクラスの子もポイントが下がってるみたいだね」
「そうみたいだな」
気づけば既に教室の前まで来ており、扉を開けて教室へと入る。意外にも半分ほどの人数が居て、みんなそれぞれのグループで今日の支給額について話していた。お、隆二発見。
「おはよう隆二」
「ん?ああ、おはよう水野」
「悠、おはよー!」
隆二のそばには颯もいて、俺と帆波を見てから何やらニヤニヤしながら肩を組んできた。
「おいおい、一之瀬と一緒に登校ですか〜?」
「今日のポイントのことで相談があるからってことだけだぞ?」
「ほんとかよ〜」
ういうい、と肘で横腹をつついてくる。微妙にこしょばいな。周りからもそういう視線を向けられていた。一人からはバチバチに敵意を感じるが。
「変な事言うなよ。俺じゃなくて帆波に迷惑だから」
俺にも迷惑なんだけどね?約一名から背中を守らないとダメだからね?
まあ向こうもそれは分かっているだろうから軽めに言っておく。他意がないのは本当だし。大破しているかもしれないが。すると颯の目付きが変わった。どこか引いているようにも見える。
「え、何?その『まじかこいつ』みたいな目線」
「まじかこいつ」
言っちゃったよ。よく分からないが引かれてしまった。助けて、リュウジえもん〜。お前も引いてんのかい。
その後に隆二から今日あったことについて意見を求められたり白波ちゃんから睨まれたりと色々あり、星之宮先生が張り紙のようなものを持って教室へと入ってくる。ちょうどチャイムが鳴り全員が席へと着く。
「みんな、これからホームルームを始めるけど、まずはこれを見て欲しいの。質問はあると思うけどこの後にしてね」
そう言って持ってきた紙を黒板に貼り付ける。
Aクラス……940
Bクラス……650
Cクラス……490
Dクラス……0
清々しいほどに綺麗な並びだな。俺の予想だがAクラスの減っている60ポイント分は名前の無いモブよりもモブでお馴染みの戸塚くんが原因と睨んでいる。だってモブだし。気付かないうちに退学してそう。
それから星之宮先生はSシステムの詳細を話していった。この学校にはポイントはクラスポイント(cp)とプライベートポイント(pp)の二種類があり、生徒の実力によってクラスポイントが変動する。この1ヶ月は生活態度、授業態度により減点方式で見られ、それがこの結果になった。そしてクラス分けは優秀な生徒はAクラスに、逆に不出来な生徒はDクラスへと配属されることからこのような綺麗な並びになった。
そしてこのクラスポイントはクラスと密接な関係があり、クラスポイントが上のクラスのポイントを上回れば上のクラスに上がることが出来、この学校の売り文句である希望する進学・就職先に100パーセント合格という恩恵はAクラスだけのものであることが伝えられた。これには流石にクラスがザワつく。
大半の生徒はこれから始まるクラス間の戦いに怯えたりと様々な反応を取っていたが、オラわくわくしてきたっぞ!
「クラスポイントは部活動の大会などで優秀な成績を収めた場合にプライベートポイントと一緒にその子の所属するクラスのポイントが増加するの。次の中間テストに限れば、成績次第で最低100のクラスポイントが支給されることになってます。これは入学して初めての試験を乗り越えた報酬みたいなものだから」
そして先生はもうひとつのポスターを黒板に張り付ける。内容は先日行った抜き打ち小テスト。帆波と隆二が87とクラストップになっていた。ラスト3問は難しかったけど、部分点は貰えていたようだ。俺はそれより下の81点で10番目だった。素晴らしい、計画通りだ!!今回のテストは簡単すぎた。ケアレスミスはあっても80前後は取れる内容だったからこれこそがThe普通!パイセン、これが普通ですよ。
「今回の小テストを仮に定期テストと見た時に、このクラスの平均点は78点だったからそれを2で割った39点が赤点のボーダーライン。今回赤点の生徒はいなかったけど、もし定期テストで一科目でも赤点を取った生徒はその時点で退学になるから注意してね」
最後に爆弾発言を落としていくスタイル。しかも軽い。さすがはこの学校の教師だな。嫌いじゃないぜ!
恩恵の話し以上に騒がしくなる。勉強に自信が無い生徒などはそれが顕著だった。
「中間テストまでは後三週間。みんな頑張ってテストに臨んでね。このクラスの全員が五教科満点をとることは不可能じゃないと思うよ。じゃあ、ホームルームはこれで終わりです。クラス全員で今後の方針とか話し合ってね」
そう言って星之宮先生は教室を後にした。相変わらず回りくどい言い方だな〜。教壇に向かう帆波を見ながら俺は考える。過去問を入手するべきか否か。正直目立つ行動は取りたくないが……帆波達と話す時に意味深発言するか。
一之瀬帆波
メインヒロイン系女子その1。オリ主に救われちゃった子。スペックは原作と殆ど変わっていないが、万引き事件を乗り越えている。隣の席がオリ主なので心臓ばっくばく。なお、それがどういった感情なのかは自覚していない。オリ主から貰ったネックレスは宝物。「がんばれ」と書いていたメッセージカードはカードケースに入れていつも持ち歩いている。
本人は気づいていないが、オリ主と他の人とで明らかに表情が違う。
男の子の中でオリ主だけ下の名前呼び。
オリ主へ向ける感情の正体に気づくのは大分先。