続きはいつか書く(適当)
エウルア視点です
昔、モンドには貴族という風神の代わりに統治をする選ばれた者がおりました。
その時代の貴族達は民から讃えられるほどに信頼を得ていました。
しかしその昆孫である貴族達は貴族のあるべき姿を無くし、民衆に酷い暴行や罵声、徴収を行い人々に地獄を見せておりました。
特に酷かったのがローレンス家。
気に入らない者がいたら即処刑や人を人として見ておらず物といった認識を持っていた最悪の貴族でした。
しかし、その貴族達を追い払おうとして立ち上がったのは貴族の奴隷であったヴァネッサであった。
人々はヴァネッサに感動し、我も私もといった風にドンドンヴァネッサに味方がつき、人々は貴族達を追い払う事に成功しました。
最初はローレンス家は処刑せよという声が多く上がっていたが、ヴァネッサは慈悲の心を持って人々を説得し追放という処分になった。
こうして貴族に長年支配されていた暗黒の時代がここで幕が下りたのでした。
この邪智暴虐といった事をしてきたローレンス家、この物語は今では絵本になって子供に読み聞かせをする親もいる。
良いことだとは思うが私は少しモヤッとする。
だってこの追放されるローレンス家は私と同じ血が入っているから。
私は小さい頃から他人に白い目で見られることが多かった。
外を歩くと陰口を言われ、物を買おうとすると正規の値段の2倍ほどで売られる事が多かった。
同い年の子供と遊ぼうとしても避けられるか、貴族は出ていけと言われ石を投げつけられた。
親に相談しようとしても四六時中酒を飲んでばかりいて生まれてこのかた、親らしきことはなんもされてこなかった。
私は恨んだ、私は何もやっていないのに、ただ遊びたいだけなのに、ただ笑顔で自由に生きていたかっただけなのに、どうしてローレンスという名を背負っただけでこんなにも辛くなるんだろう。
私は泣いた、けど泣いても誰も手を差し伸べてはくれない、大人も子供も親にも。
私はそのまま、モンド城の外に出た。
このまま魔物に襲われ死にたかった、こんなみんながクズみたいな世界なんていたくなかった。
私が外で泣きじゃくっていたら、近くの草むらからガサガサと葉と葉が擦れ合う音が聞こえた。
私は見えない恐怖に駆られてその場から逃げ出した。
死にたかった、確かに死にたかったのに急に恐怖なんて物が湧き出てくる。
逃げている最中に石に足がつまずいて転んだ。
膝から鈍い痛みが伝わってきて擦ったと思った、すると近くから足音が聞こえてきた。
誰だろうと思い顔を上げるとそこにはヒルチャールがいた。
私は怖くなって身体がガタガタと震えて失神してしまった。
身体が揺れて、私は目を覚ました。
目を開けるとそこには黒髪の知らない少年がいた。
辺りを見回すとそこは全く知らない場所でその少年の背後にはヒルチャールが寝転がっていた。
私はこいつになにか乱暴なことをされるんじゃないかと思って後退りした。
しかし、彼は少し残念そうな顔をし、何やら変なものを置いてその場を立ち去った。
何もしないの? といった疑問が出てきて、私は彼に待ってと声をかけたが彼は私の声が聞こえなかったのかそのまま歩いて行ってしまった。
私はその場に置いてけぼりにされ、少し寂しかった。
彼の置いていった瓶状のものを見てみるとそれは塗り薬だった。
ズキッと右膝からあの時の痛みがまた蘇り、見てみるとやっぱり擦り傷ができていた。
私はその塗り薬を膝に塗って、怪我を治した。
薬が傷に染みて痛かったがそれよりも私は少し嬉しかった。
今まで人からなにかを貰えるという事はなかったしこの薬を貰えるということが優しさだと思った。
私は生まれて初めて人からの優しさを感じたと思った。
あれから何年か経った、私は家の中で家事をすることが多くなっていった。
両親は酒の飲みすぎで他界し、叔父のところで暮らすことになった。
両親が死んだと知らされても私は特に悲しくはならなかった、親から与えられるはずの愛情というものを貰ったことがないし、なにかをされたこともなかった。
そして外に出るのはたまに買い物をすることぐらいだ。
腐っても元貴族、モラは山程ある、働かなくても大丈夫なほどだ。
だけども私の中にはある悩みがある。
あの人のことだ。
あの日から彼を見たことがなく、あれは私の頭が作り出した空想なんじゃないかと思うほど彼の姿を見ない。
一体彼は何者でどこでなにをしているのだろうか、そしてあの時の感謝をしたいという気持ちが更に高まっていった。
ある日、とある話が私の耳に入った。
騎士団のイかれ狂人の話だ。
話によると、今年騎士団に入ったある男は怪我をしていても、疲労が溜まっていても仕事に取り組んでいる男が今名前を上げているらしい。
死物狂いで仕事に取り組み休みを取らないことからそのような名前ができているらしい。
わざわざそのような名前を付ける必要があるかと思いながら私はいつものように値段が通常と違う物を買い、帰宅しようとした。
だが、どこからか生臭い臭いがした。
つい鼻を摘んでしまいそうなほど強烈な臭いだ。
その臭いを辿って見てみるとそこには、血だらけの男が歩いていた。
顔や髪、服にはベットリと洗っても落ちないんじゃないかと思うほどの血の量がついていて、何事もないかのようにそのまま歩いて騎士団本部に向かって行った。
私はびっくりした、別に血がついていたことじゃない、いやそれにも一応びっくりしたがそれではない、その男はなんとあの時、私を助けてくれたであろう少年だと思った。
黒髪で黒い目、モンドではそのような人は少なく一目見ればすぐに分かる人なのになぜ今まで私は見たことがなかったんだろうと思った。
その後、私は情報収集した。
彼はロイ・マスタングという名前で今騎士団の中で一番注目を集めている人らしい。
私は彼に礼を言おうか悩んだが、もうあれから結構時間が経っているし彼ももしかしたら忘れてしまっているんじゃないだろうかと思いやめておいた。
しかし、私は彼の事をずっと考えるようになった。
何を食べているのだろう、どんな事をしているのかなど今のままでは解決できそうにない疑問が浮かび上がってきた。
もっと彼のことを知ってみたい、そんな無粋な思いで私は騎士団に入ろうと思った。
中には私をバカにしていた人達を見返してやろうという思いもあった。
あれから2年ほどが経って、私は騎士団の入団試験を受けた。
結果は不合格、理由は恐らく私だからだ。
筆記も大体合っているし、他の試験は全部1番を取った。
それでも私はこの忌々しい血のせいで落ちた。
最初は不敵な笑いをしていた試験官共をぶん殴ってやろうと思ったが、ここで殴ったら次の試験は受けれなくなるから我慢した。
まぁ次も不合格にしたら今度こそぶん殴ってやるけどね。
また一年が経った、私は今19歳でこの入団試験は16歳から受けることができるため私は結構目立っていた。
「また来てやがる…」 試験官らしきクズが私を見て嫌味な態度でコソッと言っている。
それが聞こえていないと思っているのかと心の中で思い、私はもう少し人目がつかない試験場の端っこに行こうとした。
「ねぇ、これ落としたよ」 後ろから声が聞こえ、つい振り返るとそこには髪を赤いリボンで結びウサギの耳のような形にしている少女がいた。
その子は誰に言っているんだろうと思い周りを見渡すとそれらしき人はいなかったし、その少女の琥珀を帯びた美しい目が私の目と合っている。
「あなたのことだよ、はいこれ」 少女は私が周りを見ている様子を見て、少し笑いながら言い、私の髪留めを少女は手渡してきた。
私はこんな事されるなんて初めてで動揺をしていたら、
「あっ! あともうちょっとで試験が始まるみたいだよ! 行こう!!」 少女は元気良くそう言い私の手を掴んで引っ張った。
私はその少女に促されるまま試験官が説明しているところの近くに移動された。
そのまま少女は手を繋いだまま試験官の説明を聞いている。
別に私は去年聞いているから説明なんていらないんだけど、その場から離れることができなかった。
この手から離れるということが何故かできなかった。
筆記試験は難なく突破した、でもあのクズ共がいるから満点を取っても落としてくると思う。
次は宝探しの試験、この広い森の中にあるフラッグを取って帰ってくる試験らしい。
この試験は2人か3人のチームで組むもので、組めない者は即刻不合格らしい。
あのゴミの気持ち悪い笑い顔が脳裏に出てくる。
私は嫌われているし私と組もうとしてくれる人はいないからこのまま落ちるのをあのゴミは計画したのだろう。
このままここを去る前にゴミを殴ってやろうと思い試験官のいる方へと歩くと
「ねぇ、私と一緒に組んでくれない?」 急に前からあの時の少女が横から出てきて私に言ってきた。
なんで私? と言うと
「私も組む人がいないから」 少女はニカッと笑顔で言ってきた。
こんな子が組む相手がいないなんておかしい、なんか裏があるんじゃないかと思ったけどこのまま落ちるよりかはまだマシと思い了承した。
試験が始まり1時間程度、まだフラッグが見つけられていない。
整備もろくにされていない森での探索は流石に疲れてくる。
私はこの少女、アンバーに大丈夫かと聞くと
「うん、まだまだ行けるよ!!」 と疲れを見せないように元気よく言ってきた。
私は何故かアンバーの左側の垂れている髪を撫でてしまった。
ふわっとしていて同じ女の私からしてもいい匂いが漂ってきた。
「な、なに?」 アンバーはちょっとびっくりしたのような顔になって言ってきた。
なんでしたのかは私もわからないから適当に髪の毛食ってたよと言って少し早足で歩いた。
また先の方に進んでいくと白いものがチラリと目の端に写った。
そちらの方を見ていると白いフラッグがフラフラと揺れている。
「やった! やっと見つけたよ〜」 アンバーは小走りしフラッグのそばに行ってそれを取ろうとした。
すると近くの茂みから大きい猪が現れて、アンバーに向かって突撃しに行った。
アンバーは気づいてなさそうだったから私はアンバーの元へとダッシュしアンバーを抱きしめる形で飛び込んだ。
猪の突進はアンバーに当たらずにそのまま真っ直ぐどこかへと行ってしまった。
「あ…、ありがとうエウルア…」 アンバーからの声は私の胸の方から聞こえてきて、目を向けると少し頬が赤く染めているアンバーがいた。
上目使いで少しプルプル震えているのが小動物みたいで可愛かった。
つい私はアンバーをギュッと抱きしめてしまった。
こんな可愛い子、他の人も抱きしめたいと思うだろう、私は悪くない。
アンバーは「キュ…」と声にならない音を上げて、私にされるがままでいた。
3秒位抱きしめていたらアンバーから
「え…、エウルア…、そろそろ行こ」 という声がしたので私は名残惜しくもアンバーを腕の中から開放して起き上がった。
アンバーは私に背を向けて、チャームポイントを直している。
私も落ちたフラッグを拾って試験会場へと戻るために地図を開いた。
アンバーの感触や匂いや顔が私の脳裏にチラつく。
私の口角が何故か上へ上へと上がっていく、こんな気持ち悪い顔なんか見せられないと思い、おもいっきり自分の頬を叩いた。
アンバーからは大丈夫かと心配されたが大丈夫と返しておいた。
そこからは特に何事もなく試験は終わった。
ただ帰りはアンバーの顔を直視できなかった。
第二試験が終わったら次は第三試験らしいが正直覚えていない。
いつの間にか第三試験が終わっていたのだ。
今年は同時に杭を壊すという試験だったがどうやって壊したのかはうろ覚えだ。
ボケーと考え込んでいたら、頭の中にはアンバーの笑顔が出てきてそれから格好、姿が出てきて、そして裸のアンバーが出てきて…。
うあああああああああああ不純不純不純不純不純んんん〜!!!!
なんでアンバーが出てくるの? よりによってなんで私の頭はそんな格好にさせるの?。
私は待合広場で頭をグシャグシャとかき回した。
よそから見ればなにをしているのかと思うだろう。
「え、エウルア? どうしたの? 大丈夫?」 アンバーが私に声をかけてきた。
私は慌ててアンバーになんでもないということを伝えると
「そう? なにか悩みがあったら迷わずに言ってね」 アンバーは笑顔でそう言ってきた。
その笑顔と言葉に救われた気がした。
今までこう関わってくれる人はいなかったし、救いの手を差し伸べてくれる人もいなかったから。
私が騎士団に入ろうとしたのはあの人の事をもっと知りたいからだけど、今ではアンバーと一緒にいたい、アンバーの友人になりたいという思いが強まっていく。
そうしてアンバーの事を考えていたら、私達受験者の前に金髪の女性騎士が出てきた。
すると紙を持って「これから合格者の発表をする!!」 と全員に聞こえるように大きな声で言った。
アンバーは私の隣にいて呼吸の頻度が多くなっている。
私はアンバーにきっと受かるよと伝えたらアンバーはその場で深呼吸して「うん」 と一言だけ言い真剣な眼差しで発表中の試験官を見つめた。
多分私は落ちるからこの先アンバーと一緒にはいられないだろう。
アンバー、貴方だけは幸せになって。
そう思い、顔を俯いたら
「エウルア・ローレンス!!」
おかしな言葉が聞こえた。
合格? 私の聞き間違いなのではと思ったが
「すごい!! おめでとうエウルア!!」 とアンバーが目をキラキラさせて言った。
自分で言うのもなんだがおかしいと思う、私はローレンスの血を受け継いでいるからどうせ今回も落ちるだろうとおもっていたから。
頭の中でなぜ?という言葉がグルグル回っていると横からなにかに抱きしめられた。
一旦疑問を止めて、そちらの方を見てみるとアンバーの顔が私の目の前にあった。
「やったよ!! 良かった〜!!」
どうやら受かったらしい、少し目に涙を溜めながら私の鼻先とアンバーの鼻先がくっつきそうなほど顔を近づかせる。
私は顔が熱くなって、慌ててアンバーを離れさせた。
「あ…!、ご、ごめん…」 アンバーが申し訳無さそうに言ってきたため私はこちらも悪かったと言って謝った。
「以上が合格者だ、みな良く今まで頑張った。 落ちた者達よ、残念だがこれも現実だ、しかし努力は必ず実を結ぶ!! 最後まで諦めずに夢を叶えるために力を磨き再びこの地に挑んでくれ!! そして合格者達よ、ここに受かるまで沢山の努力をし、頑張っただろう、だがこれはゴールではない、新たなスタート地点に立ったのだ!! これからも君たちが持っている力を十二分に発揮するためにこのモンドの平和を守る騎士団で研鑽せよ!!」
女試験官は覇気のある言葉で私達の闘志を燃やした。
アンバーも「凄いなぁ…」 と遠い物の見るような目をしている。
私は思い出したようにアンバーに合格おめでとうと言うと「お互い様でしょ」 と微笑むように返してくれた。
素敵な笑顔、本当に不意にこの言葉が浮かび上がった。
そういえば、なんで私が受かったんだろうとそう思いアンバーに一言を入れてからあの試験官のところに向かった。
あの!! と後ろから声をかけるとその試験官はこちらに振り向いた。
美しい金色の長い髪を持っており、薄青色の目が私を見つめてきた。
「どうしたのかな?」 と少し微笑んで私に言ってくる。
なぜローレンスの血を引いている私を入れたんですか と聞くと
「なぜって、君はただ騎士団に入りたかったのだろう? 別にそこに血とか名前とか関係ない。 ただ君は他の受験者よりも優秀だった、ただそれだけだよ」 と当たり前のように言ってきた。
私は驚いた、今日は私を私として見てくれる人が2人もいるなんて思いもしなかったから。
この人もアンバーも外だけじゃなくて中身を見てくれる、そんな二人からしたら普通だと思っていそうな事をしてくれるのを私は嬉しかった。
私はそのままお礼を言うのもなんか恥ずかしいので この私も騎士団に入れるなんて、覚悟しておくことね!! と不敬にもそう言ってしまった。
まずい!! と思ったがその人は目を大きく開けてびっくりした様子でいて、その後に
「ふふふっ、そうか、わかった覚悟しておこう。 それではこの先も頑張ってくれエウルア」 と笑って、背を向けて行ってしまった。
私は少しその場に佇んで少し記憶を振り返った。
今日はアンバーに会って初めて友人という関係を感じれたし、受かるはずのなかった試験に合格するなんてと思い、試験官がちゃんと私を見てくれたという事実。
今日はとても濃い一日だなと思い私もその場を去った。
「あ、いたいた、エウルアー」 アンバーがこちらに手を振っているので私はアンバーのいる方へと近寄る。
「なにかあったの?」 とアンバーに聞かれたがただの相談よと言った。
「へ〜、結構真面目なんだね」 とアンバーは言ってくる。
今まで不真面目だと思っていたのかと思い私は、この恨み覚えておくわ と顔を少しそむけて言った。
するとアンバーは口をポカーンと開けて驚いている。
「そ、そんな感じの人だったんだね」 と驚きながら言ってくる。
これが本当の私よ と私は吹っ切れたように言った。
「アハハハ、そうなんだね、意外だったよ。 ねぇエウルア、合格祝いに鹿狩りで食べに行かない?」 とアンバーに提案された。
いつもの私だったらお店で食べるなんて積極的なことはしなかっただろう、だけど今はアンバーがいるから私は変われた。
あの試験官の人やロイっていう人のおかげでもあるかもしれない。
そうね、このモンドに復讐をするための腹ごしらえにしましょう と言い、アンバーと一緒に鹿狩りへと歩いていった。
この世界はもう夜で星が美しく写っている。
繁華街の光の強さは星の明るさを凌駕するほどの強さを放っている。
風が肌に染み渡り、自分の中には熱い血が巡りまわっている。
こんな事を感じる、思うことも今までなかった。
私は今までの自分を捨てて吹っ切れた。
あの頃のエウルア・ローレンスはもうここにはいない。
そして新たにエウルア・ローレンスという私が生まれたのだ。
私はエウルア・ローレンス。
このモンドで最高の復讐を成す者だ。
百合百合てぇてぇ
主人公君空気っすね…、まぁええやろ(寛大)
キャラ視点がこの先多めになると思う。
キャラ視点が面白いからね、しょうがないね。
かに味噌ビーム