リアルが忙しかったんです。
同じ言い訳をするな? はい、ごめんなさい(素直)
こんな感じで不定期なんでよろしくおねがいします(ねこです)
てなわけで今回はまぁまぁ長めです。
どうぞ
あいつは馬鹿だ。
急になんだと思うだろうがあいつは狂っている。
常人は怪我をしたらその傷を完治させるために安静にしているものだろう。
だがあいつは腹に深い刺し傷があったとしても誰かのために。救いを求めているやつを助けに行く。
自分の事よりも相手のことを一番にして動くあいつを人は皆、聖人だとかヒーローとか言うだろうが私からしたら自分の状態を知らないバカだと考える。
「おい!! わかっているのか!!」私はベットで包まっているあいつ、ロイに叱る。だが、あいつは唸り声を返事代わりに使いベットの毛布を頭まで被る。
その毛布をこいつから剥ぎ取ってやりたいが、まだこいつは怪我人、激しい運動はしないようにと強く言われている。
それなのに、このバカは夜勝手に抜け出してエウルアの所へ行き、全治2週間が3週間まで延長するほど怪我が酷くなった。
その怪我を治療するたびにバーバラが辛そうな顔になるのが私にとっても辛いことだ。
そんなことも知らずにバカみたいな行動をするこいつをぶん殴りたくなる。
あの事件を解決した後、騎士団内は大忙しだった。
主に魔物を狩る遊撃隊のトップ二人がいなくなったのだ。
一人は怪我で寝込み、もう一人はひどいメンタルショックで休まざるを得なくなったからだ。
この穴を埋めるのは簡単なことではなく、騎士団は24時間ずっと稼働していなければならない状態に陥ったのだ。
そして、あの地獄から1週間が経ち一人は戻ってきた。
10人でなんとか仕上げていた仕事を彼女は当たり前かのようにこなしていき、団長も「私達は彼らに依存しすぎていたのかもしれない」と語った。
一ヶ月が経って、騎士団は元に戻った。
彼、ロイが戻ったからだ。
ロイとエウルアの二人が戻ったことによって溜まっていた仕事量は激減し、私も寝れる時間が確保できた。
しかし、私と団長は考えた。この現状をどうにかするにはどうしたら良いかと。
また、あのような事が起きてしまった場合、騎士団は仕事の処理をしきれずパンクしてしまう。
どうやって、この依存体制を変えるかと考えていた時に彼が帰ってきた。
あのモンド一の酒造家、ディルック先輩だ。
彼がモンドに戻ってきたと聞いた瞬間に団長は彼の家に行き、頭を下げてまた騎士団に入ってきてほしいとお願いした。
だが、ディルック先輩は勧誘を断り、「騎士団は無能の集まりなのか?」と批判して団長にメンタルダメージを与えて泣かせたらしい。
先輩が帰ってきたのは嬉しいが彼が騎士団に戻ってこないとはどうしたものかと再び頭をひねっていると「ロイ隊長が休暇を取ったらしい」という話が聞こえた。
あの仕事一筋、仕事が恋人、仕事をこなすために生まれてきた存在とも言われた男が休みを取るとは。
私はその真相を確かめるべく、団長に直接聞いてみたらどうやらホントらしい、「ロイくん、なにか変なものでも食べたのかなぁ…」と団長は独り言のように言うが声量が大きくて一瞬、私に話しかけているのかと思った。
しかしあいつが休むを取るなんておかしい、そう思い私は機会があったら聞いてみようと思いながら目の前にある書類を処理していった。
次の日、今日も同じように騎士団本部に行くと「ジンさん!」とアンバーから声をかけられた。
「ロイさんってなんで休んだんですか?」とアンバーが私の目の前に来て言ってくる。
「さぁ、わからない。団長に聞いてもわからないの一点張りだったし」とアンバーに言うと「それじゃあジンさん、ロイさん本人に聞いてみてくれませんか?私はやることがあるので出来ないんです」と返してきた。
まぁ、昼頃に仕事は一段落する予定だからその時に聞いてみようかと思っていたら「でも、ロイさんいつもの仮眠室にいないらしいので家に帰ったんじゃないんですかね?」とアンバーが首をひねって言う。
ロイはいつも仮眠室で寝泊まりしているため彼の家がどこにあるか知らないし、自分の事も語ろうとはしないため家族がいるのかどうかもわからない。
私は彼に家族やどんな生活を送っているのか気になったため彼の家に直接行こうと思った。
そして、仕事が一段落ついたので彼の家に行く。
住所は団長から聞いたから間違いないとして、一軒家に住んでいるとは一人暮らしではないんだろうかと思いながらマスタングと書かれた名札を確認してコンコンとノックした。
しばらくして、目の前の扉が開き「どなたかしら?」と女性の声が聞こえたのと同時に開いた隙間から顔をひょっこりと出すキレイな人がいた。
「はじめまして、私は騎士団副団長のジンという者です。こちらにロイ・マスタングがいるとお聞きになり、所用でまいった所存です」と片手を胸の前に置いて、少し礼をする騎士団の見本となるような完璧なお辞儀を見せた。
すると女性は扉を全開まで開けて「あらあら、そんな偉い人がわざわざ来てくださるなんて、ありがとうございます。ロイ〜!!お客さんだよ!!」と女性にしては凛々しい声でロイの部屋らしき扉に向かって喋る。
「ごめんなさいね、あの子中々起きない子なのよ。あ、自己紹介が遅れたわね。私はヒイナ・マスタング、ただの主婦よ」と黒髪が腰元まで伸びているヒイナさんは少し申し訳無さそうに言う。
「ここで立ち話もなんだし、どうぞ中に入って」ヒイナさんは私を中へと勧誘してきたからそれを無下にさせないために中に入ることにした。
「はい、どうぞ」流されるまま中に入り、席に座ると用意していたかのように紅茶を出された。
温かく紅茶特有のいい匂いがする、その茶を手に取って飲むと甘く、それでいて葉っぱの苦味も丁度よくマッチしており美味だった。
「それでそれで、
「どう、とは?」私はヒイナさんの言っている事がわからず聞き返すと「あなたとロイ、ふたりとも付き合っているっていう話を風の噂で聞いたんだけど本当なのかな〜ってね」と笑顔で私に言ってきた。
え? 付き合っている? 私と? ロイが?
そんな事を言われたら私の顔は急に熱くなってきた、「いや!!決してそのような仲では…、いやでもそれに近い仲ではあるとは思いますが…、しかしそこまでではないような…」私の口はゴモってしまって自分でも何を言っているのかわからなくなってしまっている。
私が焦って弁論していてもヒイナさんはニコニコと穏やかに微笑んでいてその雰囲気はリサと似ているような気がした。
「あの子はね、あんまり感情を表に出さないんだけどちゃんと優しい子なの。あんな性格だから友達は少ないけどジンちゃんみたいな子がいてくれて嬉しいわ。ロイはちょっと不器用だからそこの部分の気持ちを汲み取って上げてちょうだい。」ヒイナさんはティーカップを両手で包み込むような感じで少し回して茶の波を見ながら私に言ってきた。
あいつも愛されているんだなぁとじかに感じていると、ドアの開音が聞こえそちらに目をやるとそこにはロイがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ///////
なんであいつは裸でいるんだ!!/////// バキバキに割れた腹筋と大根並に大きい腕と太もも、そしてあいつの黒い下穿きにある大きな膨らみ…あああああああああ///////
「ロ、ロイ!!あんたレディの前でなんて格好でいるんだい!!」 ヒイナさんが叫びたい私の代わりにロイに言って部屋へ押し返した。
「あのバカは…、ったく、ごめんなさいジンちゃん。あの子はあんな所も抜けててね」ヒイナさんは申し訳無さそうに言い席に座り直す。
「あ…、あぅ…だ、だいじょうぶれふ…」 私の呂律は回らなくなってボケーと空想の中に入ってしまっていた。
あのロイの胸筋が、
っ/////////
思い出しただけでわたしの顔はまた真っ赤に燃え盛る。
「いいわねぇ…、私もこんな時期があったわねぇ」ヒイナさんは昔を思い出すように頭を頷かせて言った。
ガチャっとまたドアの開く音が聞こえるが私は顔を伏せたままでいた。
今顔を上げても私が恥をかいてしまうだけだし。
「やっと着たかい、ほら、ジンちゃんが話があるって」ヒイナさんが言うとドンドンとこちらに近づいてきて椅子を引きずり、ドカッと雑に座る音が聞こえる。
なななな、なにか、何か言わないとな、こんな気まずい雰囲気の中を変えなければ。
私がここに来た理由を言えば大丈夫か、うん。
ええと、確かここに来たのはなんで休みを取ったのかって聞くことだったな。
流石に目を合わせて言わなきゃ失礼か…、そう思い顔を上げるとそこには髪に寝癖がついていて、目がショボショボと眠そうな姿のロイとその隣に私をじっと見つめているヒイナさんが座っていた。
「あ、ああ…、ロイ、おはよう…」私はとりあえず挨拶をしておいた。
「んんん…」眠そうに唸り声をあげて返事をした。
これを見てカワイイと思うのは私だけだろうか、どんな奴でも噛んでくる猛獣が眠たそうにしているのを見るとギャップを感じて愛でたくなる。私だけか?
「そうだ!!私、これから大事な用事があるんだったわ!!ちょっとだけ出かけてくるから二人とも留守番よろしくね!!」するとヒイナさんは急に立ち上がったと思いきや出かけてくると言い玄関から出ていってしまった。
「えええ!!?あの待ってくださ…、い、行っちゃった…」さっきのことが起きたのに二人っきりにさせるなんてあの人はわざとやっているのだろうか。
この気まずい雰囲気からさっさと逃げたい…、そう思ってロイに休んだ理由を聞いて早く帰ろうとする。
「ええとだな…、ロイ…、どうして急に休みを取ったんだ?」急にこんな事を聞くなんておかしいとおもわれるだろうが、どう思われようがこの重たい空気からさっさと逃げたい。
「休みたいから」ロイはそれだけを言って、ヒイナさんのカップにまだ入っている紅茶を一気飲みする。
「そ、そうか…」私はボソッと言い、
なんかイラッとした。
ロイが休みたいだなんて適当な理由に苛ついた訳ではない、あいつはやりたくないことは有る事無い事言って断ろうとするからそれは別に慣れた。ただロイがヒイナさんが口をつけたコップを飲んだことに苛立った。
なぜだ、二人は親子、別にそこに疚しい気持ちなんてないだろう。ただ当たり前に間接キスをしただけだ。
どうして苛つく?なぜ、なぜ?
私もしてみたい。
私も当たり前のように間接キスをしてみたい、あいつの裸をいつものように見てみたい、あいつを私のモノにしたい。
まだ他がしてあげて無いことをしてあげたい。
そう思った私は自然と口が動いていた。
「なぁロイ、明日暇か?」
デートに誘ってみよう。こいつのことだ、ろくにデートとかそういう恋人的な事をしてないだろう。
していたら殺すがな。
「暇かもしれない」ロイは紅茶を飲んでスッキリしたのか、目がしっかりと見開いており背もたれによりかかりながら言う。
かもってなんだ、かもって、休みなんだから暇に決まっているだろう。
「じゃあ、明日私とで、デー…、お出かけしてくれないか?」つい恥ずかしくて言い換えてしまった。流石に面と向かってデートの誘いは難しい…。だが、やることはデートだ、絶対にそこは変えない。
「い…」なにかを言いかけたのか、言葉が止まった。するとロイは右に首をやるとサアッっと顔色が暗くなり、こっちに首を戻すと。
「いいよ」と言ってくれた。
やった!!!、私は喜びを隠しきれず手を思いっきり力んでいた。
「あ…、ありがとう!!で、では明日の3時に広場の神像の前で待ち合わせよう!!それでは失礼した!!」私は咄嗟にいつどこで待ち合わせをするかを言った。この判断力は自分を褒めたいほどだ。
そして、私はさっさと今ある仕事を終わらせることと休暇を取るためにロイの家から飛び出た。
明日はどんな服で行こうか、どの店を予約しようか、どこでなにをしようか。
考えれば考えるほどロイの顔が浮かんでくる。
「ふふっ」私の口からは幸せを音にしたかのような声が出た。
そして仕事は全て終わらせ、なんなら次の日の仕事も全部終わらせた。
休暇もちゃんともらった。団長が驚いて顎を外していたがそんな事はどうでもいい。
「どの服で行こうか…」私は自分の部屋の壁に掛けた服を眺めながら呟いた。
仕事服は論外、あいつは普通に仕事服で来そうだが。
真面目に清楚系で行こうか?いやあえてギャップを感じさせるように露出度が高めの服で行こうか。
「お、姉ちゃん…?」するとドアから声が聞こえ、振り向くとそこには愛しのバーバラがいた。
「ご飯できたけど…、大丈夫?そんな目をギラつかせて」どうやら悩んでいる最中の私はそうとう真剣だったようだ。
「ああ、今行くよ」私は部屋の明かりを消して、バーバラの方へ向かい部屋を出た。
バーバラに意見を聞こうか?いやこれは私の戦いだ。助けをできるだけ借りずにやってみたい。
食事中も私はロイが好きそうな物を考えていたがその結論は決まることはなかった。
今は夜中の4時だがまだ私のやることがある。
鹿狩りも予約したし、服も決めた、デートルートも考えた。
しかしこれだけは一向に決まらない。
下着だ。
いやそういう意味ではなくてな、やはり人間中身なのであって外面だけを美しく見繕っても中身が汚かったらダメなのだ。決して、夜のオアソビの準備ではない、決して。
もしもロイが望んできたらの一応の保険をつけておくだけだ。何度も言うが疚しい気持ちではない。
激しめの紫の奴が良いだろうか、それとも奇麗なモノにしようか。
紐は…、やめておこう…。
ひたすら悩み、私が床についたのは朝の10時だった。
そして私はロイとの待ち合わせ場所に来た。
待ち合わせ時間よりも一時間早いがすぐに時間は過ぎるだろう。
私は待っている間、今の服に変なところはないか、髪は崩れていないかを何度も確認した。
「ジン、来たぞ」するとロイの声がしたため私はバッと顔を上げてロイの姿を見た。
そこにはオレンジの服に青いシャツを着ていて、青いジーンズを履いているロイがいた。
髪も珍しくちゃんとセットしているし、あのロイとは考えられない。
おおよそ、ヒイナさんにやってもらったんだろう、ロイのことだからこんな事に気を使える人間とは思ってはいない。
「あ、や、やぁロイ、おはよう、その、どうだ? 私の格好は…変じゃないか?」私も珍しく本気を出した服だ、流石に少し恥ずかしい。
「似合っている」ロイは私のつま先から頭のてっぺんまで品定めして言ってくれた。
ロイが見ていると考えるとゾクゾクとなんかの気持ちよさが背筋を走る。
似合っていると言われた私は嬉しくなって、今すぐ体で嬉しさを表現したくなったがグッと我慢してその言葉を何度も咀嚼した。
「お前も随分似合ってるぞ、お前にそんなファションセンスは無いから大方お義母様が選んでくださったんだろう」とハッキリと言うと真実なのか、ロイの口から「ウッ…」と苦しそうな声が聞こえた。図星なんだな。
私のモノになってしまえば、毎日似合う服を選んでやるというのにな。
「さぁ、早速行こう」時間は有限なのだから早く行こう、そういった意味でロイに言い、ルート通りに移動していった。
まず最初は服屋だ、こいつはプライベートの服を全然持っていないからな、私が選んでやろう。
「ほら、どうだロイ、これもお前に似合うんじゃないか?」黒をベースとした服、明るさを中心とした服などを何度も着させて、その度にカッコイイという言葉が口から出そうになる。
ロイはだんだんと辛そうな顔になっていったが気の所為だろう。
「なぁ、ロイ、これお義母様のプレゼントにしたらどうだ? きっと喜ばれるぞ!」その次はマージョリーさんの栄光の風でちょっとした買い物をした。
まぁ、メインはロイとロイのお義母様のプレゼントを買いに来ただけなんだがな。
お義母様の好感を上げるためにロイの意見を聞きたいが「知らん」と言うし…、まぁそういう所も好…き、気に入っているんだがな。
「これの方がいい印象を与えられるんじゃ…、いや、こっちも捨てがたいな…」とボソボソ独り言を言っているとロイが私の肩を軽く叩いてきた。
「ん? なんだロイ?」 なんのようかと思っていると。
「ん」ロイが手を差し出してきて、その手の中には青くて綺麗なミサンガがあった。
買ってくれ、という意味だろうか? と考えているとロイの後ろにいるマージョリーさんが元気づけるような顔で親指をサムズアップしてきた。
あのサインは頑張れというサインか?、それとももう買ったという意味かな。て待てよ、ということはこのミサンガは私への…、ぷ、プレゼントなのか?ロイからの?
「え? い、良いのか?」私は差し出されたミサンガとロイの顔を何度も往復させて言うと頷くだけで何も言わない。
「あ、ありがとう…」私はロイのミサンガを手に取り、腕に通す。
そのミサンガをじっと見ているとなぜだか心が温かくなっていく気がする。
「ありがとう、大切にする」私はそのミサンガを絶対に無くしたり壊したりしないと心に決めた。
それにしてもロイが私にこんなものをくれるなんて、あいつもどこかいい意味で変わったのかなと思いながら引き続き二人のプレゼントを選び続けた。
そしてようやっと買って外に出ると、もうあたりは暗くなりかけてきていた。
夕日もあと数分すれば沈むだろう、それくらい時間をかけていたのか。
「ロイ、次は鹿狩りに行くぞ、良い所を予約したんだ」 私はそう言って鹿狩りの方へ向かっていると隣にロイがズイッと入り込んできて、私の手を握った。
!!!!!??????/////// へ??/// いや、なんで/// これって偶然じゃないよな、絶対わざとだよな!!どうして急に!?!?///
ロイの手がしっかりと私の手を握っていて、ゴツゴツとしている職人のような手、その手がロイの手だと考えると心臓がドンドンと鼓動が激しくなっていく、顔も熱くなっていく、息がドンドンと荒くなっていく。
「なぁ…、あれって…」「いいねぇ…、美しいねぇ…」「お、お姉ちゃん…」「孫の顔を見れるのもうすぐかしらね♪」至るところから声が聞こえるが恥ずかしさよりも手を繋いでいたいという思いの方が強くて、その手を握ったまま、振り払うこともできずに鹿狩りへと向かっていった。
鹿狩りにつくと「いらっしゃいませ!!ジンさんのご予約の席は用意していますのでどうぞ上まで!!」とサラが私の顔を見た時に笑顔で二階のバルコニーへと案内した。
ここでは流石に手を離そうかと残念に思いながら大きい手を離す。
それでも、手に残った感触がなくなることはない、いや忘れないように脳裏に深く刻み込むことにしよう。
サラの指示通りに上に登っていくとそこにはバルコニーがあり、テーブルが一つしか無い完全に貸し切りの状態だ。
料理もすでに置いてあるのに温かい状態でいた。
「ほら、ロイどうだ、星拾いの崖ほどじゃないがいい眺めだろう」予約したのはまぁまぁ骨が折れたから少し自慢しながら奥の方の席に移動して座った。
「うん」ロイは雑に頷きながら座り、テーブルに置かれた料理に早速手をつけた。
「全く、もうちょっとそういう所は…、まぁ良いか」もう少しムードを気にしてほしいがこんなやつだったなと再確認する。
私も料理が冷める前に食べてしまおうと考え料理に口をつける。
「うん、うまいな」
「ありがとうございました〜」サラの感謝を背にしながら鹿狩りを去る。
このあとは普通に解散なんだが、もう少し一緒にいたいな。そんな考えを張り巡らしていると「暑いな…」とロイが小さな声で言う、それを私が聞き逃すはずもなく「そうか、それじゃあ涼める場所に行こう」と言い今度は私がロイの手を握って連れて行った。
私がロイの手を包んでいると握られている時には気づかなかった拳骨の硬さが私の手に伝わった。
ずっとこのままでいたいな、そう思いながらもゆっくりとシードル湖へと歩を進めた。
そしてモンド城から出て月が映っているシードル湖を眺めながら、風に当たり続けていた。
「なぁロイ、昔、お前と会った時のことを覚えているか?」涼しい風に頭が冷静になったのか、ふと昔の記憶が蘇りロイに聞いてみる。まぁ、こいつのことだから覚えていないんだろうがな。
「私はお前の事、目の敵にしていたんだ」私はあの時の本心を初めてロイに語った。 あの試験の時の戦いの事や昔からロイの事を知っていたということだったり。
「私はクズだな、騎士なんかじゃない、ただの嫉妬深い愚かな人間だ」昔を思い出すと自分に腹が立つ、今すぐ自分をグチャグチャに踏み潰してやりたいくらいだ。
そんな事を言うとロイは私の頭に手を置いて優しく撫でてきた。
「それのおかげで今のジンがいるんだ、気にすんな」とロイは私に諭してきた。
確かにそうかもしれない、あの時ロイに会えなかったら、あの時ロイにバカみたいなライバル心を抱かなかったら今の関係にまで来ていなかったのかもしれない。
「……そうか、うん! すまなかったな、折角のデートを台無しにしてしまって!!」私はロイに謝るとあの過去も今ではいい思い出へと変わり始めた。
ロイには感謝することがいっぱいだな、いつか絶対返してやろうと思っていると。
「デート?」とロイが首を傾げて言ってきた。
「…あ、……わ、忘れてくれ…///」つ、つい言ってしまった。せ、折角隠していたのに…。
そしてデートが終わり解散することにした。
帰りは途中まで一緒に行くことにして帰り道に他愛のない話をしていると先に私の家についた。
「ああ、それじゃあ、また明日な」と言うとロイも自分から背を向けて手をヒラヒラと軽く振って、帰路についた。
ああ、楽しかった。こんなに楽しい事は生まれて初めてやったかもしれない、そう思えるほどに充実した日だった。
自分の家のドアノブに手をかけると、私の背筋はゾワッとなにかが這ったような気がしてバッと振り返ると別にそこにはなにもなくただ月の明かりで照らされた道と家が立ち並んでいただけだった。
冷えてきたかな、そう思い私はさっさとドアを開けて家へと帰った。
ドサッと私はベットへと背中から倒れるとふうっとため息をついた。
楽しかったけど疲れたな、そう思いながらふと右手首を自分の顔の目の前へと持ってくると、青いミサンガがそこにあった。
じっと見つめていると私は胸へと右手を持っていき左手でミサンガがある右手首を抑えた。
ミサンガに触れるとロイの顔が思い浮かんでくる。
もうこの気持ちを隠すことはできない、無理矢理隠そうとしても溢れ出てしまう。
隠さなくて良いんだ、押さえつけなくて良いんだ。
自分を開放してあげよう。
好きだ。
その目も手も声も考えも喋り方も。
全部が好きだ。
お前だから好きになったんだ。
他の人がやっても私はここまで惹かれなかっただろう。
ロイ、好きだぞ。
何度も好きと心の中で言って私は眠りについた。
ヤンデレなのか純愛なのかハッキリしろ(激怒)
もう少しだけ日常回出したいなぁ〜、RTAではダメだけどもね(自覚済み)
キムチ牛丼