風魔龍との激闘を終え、無事モンドに平和をもたらした旅人 空。
その際に風神バルバトスと色々あったものの、モンドの復興に尽くしていた。
これはそんな日々のある日の出来事……
アカツキワイナリー付近
「これが終われば今日の依頼も終了だな!」
元気に傍を飛ぶパイモンに「そうだね」と相槌を打つ
この所、簡単とはいえ毎日大量の依頼をこなす日々。
少し憂鬱とした気分になるもこれが終われば今日はもう何も無い。
そう考えれば足取りも途端に軽やかになっていく。
アカツキワイナリーに荷物を届ける為に清泉町から続く道を歩く。
そういえばココ最近宝盗団がまた悪さをしているという話も聞いた…、近いうちにまた依頼が届くだろうな…。
なんて考えながら歩いていると近くの茂みから何かが見えた。
「んー?なんだ…アレ?」と近づいていくパイモン、その後ろを追うと
「お、おい!旅人!人が倒れてるぞ!」
パイモンが慌てて俺を呼びに来た
人が倒れるだって!?急いで駆け寄る
「大丈夫ですか!」声を掛けて倒れてる人に近づくと全身が見えた
まず目に入ってきたのは光を反射する長い灰色の髪
一番目に付くのは目の下の大きな隈
その人に近づき体を見渡せば外傷があるようには見えない。
倒れている人に勝手に触れるのはいかがなものかと思うも緊急事態だといけないため、額を触れる……体温も異常は無い…というか
「旅人…そいつ大丈夫か…?」
パイモンが心配そうに覗き込んでくる
「この人、寝てるだけだ」
僅かに上下する胸、穏やかな表情、特に異常は無い。
「なんだよ!人騒がせなやつだな!」
とパイモンの怒りの声が広がった。
「まぁまぁ、落ち着きなよパイモン」
どうどうとパイモンを宥める。あまり騒ぎ過ぎると魔物達が寄ってきてしまう
とりあえずこの人を安全な所まで連れていこうとしたら
「テキ!」「テキダ!オソエ!!」「ソンナコトヨリハラヘッタ」
1歩遅かった。まさかこんなに早く集まって来るなんて。その数なんと10体以上
「うわぁ!なんでこんなに集まって来たんだ!」
それはパイモンが叫んだからだよ…とは言わない。
「俺が相手する、パイモンはその人と下がってて」
俺は剣を取り、1人ヒルチャールに斬り掛かる。
「コイツ、ツヨイ!」
「フッ!セイッ!」
ヒルチャールの攻撃を避け、袈裟斬りで一撃で倒す。
「風よ!」そのまま前方に向かって『旋風の剣』で敵を吹き飛ばす
「コレデモクラエ!」
ヒルチャール射手が矢を放って来るが身を翻しそれを避ける。
ヒルチャール暴徒達が火のついた棍棒を振り回してくる。それに対し俺は
「風たちよ…」と元素エネルギーが溜まった事により風元素が剣を包み込む。
「竜巻よ!全て吹き飛ばせ!『激盪する風の息』」
向かってきたヒルチャール暴徒達を一息に吹き飛ばした。
「やっちまえ!旅人ー!」
とパイモンが応援してくれる。だけどパイモンの後ろからヒルチャール暴徒・炎斧が襲いかかる
「オマエ、ウマソウ」
「え?うわぁ!助けてくれ!」
ヒルチャール暴徒・炎斧が図体を優に超える斧でパイモンを攻撃しようとする。
その攻撃に対し、自分の身を守るように体を縮めるパイモン
「くっ!間に合え!」
ヒルチャール達の相手をしていたこともありパイモンとは結構距離が空いてしまっていた。
急いで翔けるも、間に合わない!
あと少しでパイモンに当たってしまう!
「あ〜もう、うっさいなぁ…」
その当たる寸前で何かに斧を吹き飛ばされた
「あのさ〜、人が気持ちよく寝てるんだからもうちょっと静かにしてよね〜」
斧を吹っ飛ばしたそれは回転しながら声の主の元へ戻っていく。
「なのでお昼寝の邪魔をした君には吹っ飛んでもらいます…」
斧を無くしたヒルチャール暴徒・炎斧がオロオロしている。
そのヒルチャールに向かって行くのは先程まで寝ていたはずの人
その人がヒルチャールに向かっていくに連れて強い風が纏わり付く
「せぇ〜……、の」
たった一言、その言葉と共にこれまたいつから持っていたのか分からない剣でヒルチャール暴徒・炎斧に切先を押し付けると
ゴッバアアアア!!
とあまりにも大きい爆音と風魔龍との戦闘で感じた風以上の風圧が襲いかかった。
「ウオオオォォォ!?……ン?トンデル!スゲェー!」
ヒルチャール暴徒・炎斧がまるで風に乗ったハンカチのように吹き飛んで行った。
飛んでいく際の叫び声が何処か楽しそうに聞こえたのは気のせいだろうか?
それを見た他のヒルチャール達はしっぽを巻いて逃げていった。
「ふぅ…やってやりました。」
満足そうに胸を張る人。風で吹き飛ばされなかったパイモンがまた怒り出す
「おい!お前!危ないじゃないか!もう少しでオイラも吹っ飛ぶところだったんだぞ!」
「んー?あー、ごめんごめん」
特に悪びれる様子もなく気の抜けた返しをする
「ところで君は誰?どうしてあんなとこで寝てた?」
あまりの自由さに目眩がするもこれもモンド人ならではかと思えば仕方ないかとも思った
「あたし?あたしはアッシュ。冒険者協会モンド所属の冒険家だよー。よろしくー」
とこれまた気の抜ける自己紹介が彼女との初対面だった
「因みに寝てたのは眠たかったから寝てた」
「こんな外で寝るなー!」
パイモンの咆哮が空へと消えていった