PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White 作:鈴夢
白銀の"少女"
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2118年 2月 新疆ウイグル自治区
中国北西部にある自治区、砂漠や山が広がり今の時期は雪と氷に覆われていた。
テュルク系のウイグル族を含む、多くの少数民族が住まいとしていた。
そしてかつては中国と中東を結ぶ古代のシルクロード交易路の一部もあり、オアシス都市であるホータンやカシュガルなど長く繁栄していた自治区でもあった。
しかし、長く続く紛争
人権問題、ジェノサイド…
臓器販売、あっせん、人身売買、薬物問題、貧困、
さまざまな問題に襲われている都市のひとつとして成り代わる。
アジア圏で、一番危険な地域だと世界で言われ続けていたのであった。
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激しい吹雪が吹き荒れる中、
一人の人物が体を休めようと寂れた町を歩いていた。
そして、営業しているであろう酒場を見つけると
扉を開け、中へと踏み入れる。
「温かい馬乳酒を貰えますか?」
寒さを凌ぐために足を踏み入れた人物
動物の皮で作られた防寒具、
フードを深々と被り、同じ素材のマスクで顔を覆っていたため
目元しか確認はできない。
男か女かも分からず店主は不審に思いながらも、言われた通り馬乳酒を準備し始めた。
店内には既に酔っ払っている男たちで溢れかえる、
しかし騒いでいるわけでなく、仲間たちと静かに飲み交わしている様子
。
入ってきた見慣れない人物に、皆釘ずけになっていた。
ぽつんとカウンターに1人で座る人物、
徐々に体が温まってきたのか、防寒具を脱いでは隣の椅子に置く。
「「……おい、あれアルビノか?」」
「「でも瞳は紅くない、でも異常に白い」」
テーブル席で飲んでいた男たちが、
その人物の姿を見るとコソコソと容姿について話し始める。
そう言われ慣れていた人物は、何食わぬ顔で出された馬乳酒を口に含む。
「……ふぁ〜……温かい……」
日本語でハッキリとそう呟く。
体の芯まで冷えきっていた体が、一気にポカポカと暖かくなっていく感覚に柔らかい笑みを零していた。
「…綺麗な銀髪にその肌の白さ
お前さん、日本人のアルビノかい?」
やけに髭を蓄えた強面の店主がグラスを拭きながら
その人物に声をかける。
「私は確かに日本人だけどアルビノじゃないですよ」
馬乳酒の入ったカップを机に戻し
店主に笑みを向ける。
「…早くこの店から出た方がいい
ここには人身売買や臓器販売のあっせん……」
「大丈夫大丈夫、
…それよりお願いがあって、一晩だけでいいから泊めてもらいたくて…… 」
刹那、その人物の背後に数名の男が現れる。
一人のスキンヘッド姿の男が、カウンターに座る人物の肩にゆっくりと手を乗せトントンと叩く。
話しをしていた店主も、何かを恐れるように
目の前から離れると、不審に思った白髪のその人物は
ゆっくりと振り返る。
「よぉ……お兄ちゃん?
いい話があるんだが……こっちで一緒に飲まないかい?」
背後の男たちはやたら大柄で体格もよく
さすがに、周りにいた客たちも
あの白髪の坊ちゃんはひとたまりもないだろう、なんて呟かれていた。
「えっと……
……ちょっと疲れてるし、1人で飲みたくて……」
肩に乗せられた手を自分の手で振り払い、ごめんなさいと謝りを入れ
再び目線をカウンターの店主へと向ける。
「おじさん!馬乳酒おかわり……」
バンッ!!!!
刹那、テーブルを激しく叩く音、
両隣、背後を男たちに囲まれ、店主もその光景に怯えていた。
「……俺たちのせっかくの誘いを断るってか、アァ??
なんでこんな所に日本人がいるのか知らねぇが、
お仲間に入れてやろうとしてやってんだぞ?」
はぁー…………
と盛大なため息を吐くと、
リーダー格らしき背後の男の腕を掴み、ゆっくりと立ち上がる。
「!?……痛……ッ……
……なんだ!?この坊主………ちっこい体からこんな力……」
メキメキと音を鳴らす男の腕、
白髪のその"坊主"は不機嫌そうな顔で男を睨みつける。
「……私は"兄ちゃん"でも"坊主"でもない……
…私は女なんですけどー!?この阿呆ーー!!!」
そのまま腕を両手で掴み、テーブルが立ち並ぶ広い空間へそのまま投げ飛ばす。
ざっくりと、ボブあたりまで切られた白銀の美しい髪の毛。
よく見ると華奢な体つきに、長いまつ毛、
知性を感じさせるような涙ボクロ、矯正された美しい顔。
女と分かれば、店内の男たちは怯えるものもいれば、
殺ってしまえとナイフを取り出すものも現れた。
「ちょ、ちょっとお客さん!
店内で暴れられたら困るよ!」
店主は、カウンター内で怯えるように白髪の女に訴える。
その女はニコッと笑みを向ける。
「大丈夫、物は何一つ壊さないから」
余裕そうな振る舞いとその言葉に、苛立ったスキンヘッドの男は懐から小銃を取り出す。
「オマエら、コイツの臓器、全部引き摺り出してやるぞ」
容赦なく発砲されると、慣れたように交わす女
壁に銃痕が残れば、
店主に手を合わせて謝る仕草を見せる。
「なめやがって……さっさと殺せ!!」
スキンヘッドの男が叫ぶと複数の男達が次から次へと襲いかかる
「……8人…、大丈夫
全員全裸で外に放っちゃおう」
襲いかかる男達を、いとも簡単にねじ伏せていく
無駄にガタイは良いがやたら弱い、
いや、その女が強すぎる。
打って変わって、怯えるように身を隠す男達はその光景に驚きを隠せない。
誰一人とその女に触れることすら、
そして店主の願っていた通り、物を破壊されることも無くねじ伏せていく。
リーダー格のスキンヘッドの男は仲間全員が、
気を失い、床へと転がる中
圧倒的力の差に、若干怯えた表情を向けていた。
「……まだやる?」
パンパンと両手を払いながら
銃を握り続ける男に目線を向ける
「……クソっ……クソックソッ……クソがァァァァァァァ!!」
諦めが悪いのか、再び銃口を向け
トリガーを引こうとする男。
間に合わないと察した女は、持っていた小銭の入った小袋を相手の手元に思いっきり投げつけると、そのまま体ごと突進する。
呆気なく床に倒れる男
そして形勢逆転、女は男の握っていた銃を男の額に向け、
ニコニコと笑みを向ける。
「…全員全裸で外に出されるのと、
黙って仲間たちを連れてここから去るの、どっちが良い?」
カチャッと、安全装置を解除すれば、
更にグッと銃口を突き付ける。
悪魔的笑みに恐怖を覚えた男は、後者を選択し
すぐさま仲間たちを叩き起こすと店から出て行った。
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「おじさん!ごめんなさい、そこの銃痕……
……その分増しでお金は払うから……」
唖然とする店内に残った客たち、そして店主。
お金をテーブルに置くと、何事も無かったかのように
ニコニコと笑みを向ける。
「あと!さっきの話の続き
ここに泊めて欲しくて、さすがにこの吹雪の中、もう歩く気力も全く残ってないし……お願いできませんか?」
「あ……あぁ、勿論……大丈夫だ
……えっと、兄ちゃんじゃなくて……」
「名前はマシロ、日本語だとね
舞う白って漢字で書いて舞白っていうの
歳は22、この国に来てもう暫くたってるただの放浪者
怪しいものじゃないでしょ?ね?」
先程の行動からは考えられない茶目っ気のある姿に、
店主もホッと胸を撫で下ろす。
悪い人じゃないと分かれば、店主も笑顔を向けると
握手を交わす。
「俺はこの店のオーナー、テソンって言うんだ
怪しい者だと疑って悪かったよ、舞白」
打って変わって可愛らしい姿を目にした客たちも、再び楽しそうに酒を飲み始める。
出された馬乳酒を再び口に含めばそのままカウンターに突っ伏し瞼を閉じた。
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