PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White   作:鈴夢

17 / 62
負の連鎖

 

 

・・・・・・・・・

 

 

「…………」

 

 

意識を取り戻し

ゆっくりと瞼を持ち上げる。

 

微かに光を感じ、顔を左横に動かすと

窓から陽が射していた。

 

そして右横に目を移せば

助けた少年が地べたに座り首をコクコクとさせ、

眠気と戦っているようだった。

 

 

 

「…確か撃たれて……あの人が助けてくれた……」

 

体をゆっくり起こすと見覚えの無い景色。

先程の小屋と同じようにかなりボロボロだが

全く違う建物だと気づく。

 

首の傷も浅く、ガーゼが当てられていたが

すでに出血も止まっており、痛みも少ない。

 

かけられていた毛布を剥がし、少年へとかけると

それに気づいた彼は目を覚ました。

 

そして嬉しそうに目を見開き声を上げる。

 

「……っ!白髪の姉ちゃん!起きた!!」

 

大声で舞白が起きたことを知らせるように叫ぶと

部屋の外から足音が近づいてくる。

コンコンっとノック音が響き、扉がゆっくりと開く。

 

 

「あら、早い目覚めね」

 

「……花城……さん」

 

花城は舞白へと近づき、しゃがめば首の傷を確認する。

問題ないと分かれば、巻き付けていた包帯を解いていく。

 

 

「あの……すみませんでした、ご迷惑を……」

 

頭を深々と下げる花城へと向き直る。

すると花城はフフっと笑みを零すとこう話す。

 

「本当に無茶するのね、"兄妹"揃って」

 

「……え?どういう…」

 

花城はただ笑みを浮かべるのみ。

再び立ち上がると少年に1階に降りるように伝える。

 

「一先ず、あの人たちを引き渡さなければならないの

あなたが無茶して助けた人達ね

ほら、さっさと起きて手伝いなさい」

 

問いかけに答えることはなく

部屋から立ち去る。

 

舞白は追いかけるように1階へと降りていく。

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

舞白が撃たれてから数時間が経過しており

既に時間は朝の9時を回っていた。

 

身を隠す場所を変え、保護した対象者達の健康観察を行い、

花城とまた、目的の為に既に様々な情報を得ていた。

 

 

そして以前舞白が乗り捨てた車両に

花城は保護対象者達を乗せると小屋の前に立つ舞白に声をかける。

 

 

 

「私はチベットの境界までこの人たちを送らないといけないから

あなたはそこに居なさい」

 

「……」

 

「何よ、また戻ってくるから

気になるんでしょ?私の話」

 

花城は笑みを浮かべれば運転席の窓を閉め車を発進。

どちらにしても彼らの情報を聞いたであろう花城から離れる訳にも行かず

舞白は言われた通りに小屋で待機をすることに。

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

外務省のとある別部隊に

保護した人々を引き渡す。

 

中には薬物により酷く精神を壊した者。

ストレスにより言葉を発すことができない者、など

様々な問題を抱えていた。

 

そして全員に共通していたこと、

体のどこかに、必ず痛々しいあの焼印を押されていたのだった。

 

 

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 

 

 

 

「うん、やっぱり……

目とか……雰囲気?

どう見ても狡噛よ」

 

戻ってきた花城はひたすらに舞白の容姿見れば

兄とそっくりだと言い放つ。

 

「まあ、兄妹なので…

性格は私の方が結構呑気だとか言われたことはありますけど」

 

 

すっかり暗くなり、2人は小屋で目立たないように暖を取りつつ

様々な会話を交わしていた。

 

舞白が攒を追う理由

今までの経緯、

花城のチベットヒマラヤ同盟王国での出来事

兄が指名手配犯に仕立てあげられた理由

元公安局に居たことや

このウイグル地区に来た理由……

 

 

花城曰く、攒はウイグル人による組織だと。

大昔から迫害され続けたウイグル人達は

武器や薬品、そして大金を手にし、

負の連鎖を今の時代まで繋げ続けていた。

 

 

「過去に迫害を受けてきたウイグル人の残党たち、

おそらくアイツらも子供の時から迫害されて来たのよ

…自らその連鎖を絶つことは無く、むしろ金や権力を手に入れれば

その支配欲をむき出しにして、また新たな世代へと迫害を続ける」

 

確かにあの男たちは目元しか確認はできなかったものの

ウイグル人特有の骨格をしていた。

そして言語は中国語、

過去に洗脳されていた子供たちが今はあの様に、

今度は自分たちが迫害を続けている。

 

「……で、その出どころを調べているのが

外務省…って事なんですね」

 

「ええ、そうよ

薬物に武器、そして金

どう考えたってここの国で賄えれるような物じゃない」

 

舞白は不意にタッカが話していたことを思い出す。

 

「ある町で元々攒で傭兵をしていた人物に遭遇したんですけど

…薬品が入っていた箱に日本語が書かれていたって」

 

「その情報、信頼出来る?」

 

「その人物が嘘をついているようには思えません

日本語は分からないけど、確かに日本語が箱に印字されていたと」

 

花城は顎に手を添え、考え込んでいた。

 

 

「実は極秘なんだけど

今回私が来た理由のひとつに、日本の企業が絡んでるんじゃないかっていう噂があってね」

 

「武器提供や薬品提供を日本がやってるってこと……?」

 

花城は頷くと

舞白に視線を移すと何かを決めたような表情を浮かばせ

次の単語を呟く。

 

「……ピースブレイカー」

 

「……?」

 

「って、どこかで耳にしたことは?」

 

全く聞き覚えのない単語に舞白は首を振る。

花城は残念そうに肩を落とすと、ため息を吐く。

 

そして話を変えようと再び花城が口を開く。

 

「……そういえば、あなたはいつ攒に乗り込むつもり?」

 

「今夜、向かいます

夜の方が色々都合は良いので

…花城さんはこの後は?」

 

「私は攒に乗り込む前に少し調べたいことがあってね

できればあなたと行動をしたかったけど

きっと断るでしょう?」

 

「私は単独行動が良いので…

でももし中で会えたらその時は」

 

「協力、してくれるのね?」

 

舞白はへへへっと笑みを零すとこくりと頷く。

 

 

 

 

「…兄が、あなたのような人に出会えて

日本に戻ると決めたと聞いてホッとしました

偶然にも、花城さんに会えて良かった

実際あなたがいなければ私は死んでいたかもしれませんから」

 

舞白はリュックに荷物を詰めていくと

上着を手に取り羽織り始める。

 

 

「どうか兄に伝えておいてください

私はめちゃくちゃ元気だよ、って」

 

「……あなたが直接伝えればいいのよ」

 

舞白はマスクを被っていると花城の声が上手く聞こえなかったのか聞き返す。

しかし花城は"なんでもないわ"と呟くのみ。

 

 

 

「では、お世話になりました

花城さん

…どうかご無事で」

 

深々と頭を下げれば舞白は外へと消えていく。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。