PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White   作:鈴夢

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4章
涙に隠れた真実


 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「公安局刑事課 監視官の常守朱です」

 

険しい顔つきの常守。

その背後には宜野座、須郷、六合塚、雛河の姿

ドローンにより規制線が敷かれ、

現場は物々しい雰囲気を醸し出していた。

 

霜月が機体と共に消えてから約12時間後。

ようやく強行捜査の許可が局長から降り、

トランスペアレント製薬会社の入口にて

令状をとある人物に突き出す。

 

 

「そのような話は聞いておりませんが?」

 

わなわなと怒りと焦りの感情が入り交じった表情を浮かべるのは、一宮祥太郎。

常守は再び男に令状を突きつける。

 

 

「"捜査協力には令状を"

そう仰いましたよね、一宮さん

…この製薬会社の管理を任されているあなたに捜査協力を願います」

 

「……ッ……く……」

 

「刑事課の監視官の1人が

あなた方の薬品と共に姿を消したんです

…それも軍用の貨物機で……

さすがに強行捜査は拒否できませんよ」

 

まだ陽も昇っていない早朝。

一宮は連絡を受けてかなり慌てて出社をしたのだろう。

同時に、なにかバレたらまずいものでもあるのか

やたら汗を額から流していた。

 

そして彼の胸元の、名札の色相が濁っていく。

 

この男は明らかに何かを隠していた。

 

 

「六合塚さんと雛河君は薬品の管理室、及び

製造工場内の薬品のチェックからお願いします」

 

「「了解です」」

 

2人はドローンを連れ、早速中へと向かう。

 

「宜野座さんと須郷さんは私と共に

…物流倉庫へ」

 

「了解です、監視官」

 

「例の秘密の部屋だな」

 

宜野座は怯える一宮の腕を引き、無理やり歩かせる

4人は物流倉庫へと向かう。

 

 

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トランスペアレント本社 薬品製造制御室

 

早朝ということもあり、まだ人の姿はなく

薬品を製造する機械だけが稼働していた。

 

 

「……やっぱり、ここには何も怪しいものはないわね」

 

「混ぜられてる薬品も怪しいものはありません

至って普通の成分配合値……」

 

六合塚と雛河があらゆるデータを見るも

一切何も見つからなかった。

 

そして2人が別の部屋に行こうと部屋を出た瞬間

思いがけない人物が、

廊下で2人を待ち伏せしていた。

 

 

 

「あなた……舟橋明美さん……」

 

広報の最高責任者の姿がなぜかそこにあった。

なにか思い詰めたような表情で胸に手を当て

2人を見据える。

 

「……何で……あなたが、こんな時間に

この場所に……?」

 

雛河が様子がおかしい彼女を心配しつつ問いかける。

 

 

「あの日……

……私、クビになったんです……」

 

「どういうこと……」

 

どこか窶れた彼女はあの日起こったことを語り始めた

 

 

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常守達が捜査協力にと訪れた日

 

一宮が物流倉庫で席を離した際に

4人を自由に行動させたことを酷く咎められていた。

 

 

「何故だ!あの物流倉庫で

公安局の連中を自由に行動させるなど!」

 

酷く激昂する一宮に

舟橋は恐怖を感じるほどだった。

 

「別に物流倉庫は衛生面でも何も問題ないですし

捜査協力となればこちらも誠意のある対応をするのが当たり前かと……」

 

舟橋は時間に制限をかけたものの

厚意で4人に捜査を許した。

捜査協力ならばそれくらい当たり前だと

当然のことをしたと言い放つ。

 

「……これだから、見た目だけで"最高責任者"などと名を与えられた女は……」

 

「それは関係ないじゃないですか!」

 

「そういえば、あんたには

ユーストレス欠乏症を患った父親がいるんだよな?」

 

「……いきなりなんですか?それも関係ないですよね?」

 

一宮は不気味に笑みを浮かべれば

舟橋を壁に追いやり顔の真横の壁を殴る。

 

「舟橋明美、お前の父親はかつて薬品開発部の研究員

…そして、とある薬物実験を境に犯罪係数上昇

過剰なストレスケアの結果、今は会社が管理を置いている大学病院に世話になってる、そうだろう?」

 

「……だったら何なんですか……」

 

ニタッと笑みを零せば

整った顔をした一宮の表情が、より一層気味悪く歪む。

 

「俺は気に入らない奴は全員棄てる

…さて、お前の父親の命とお前の人生、

どちらを棄てる?」

 

「待ってください、そんなのおかしい……」

 

「俺が病院の関係者に一言言えば

お前の父親の命なんて簡単にどうにでもなる

……俺の前から消えるか、選べ」

 

舟橋の怖がる表情を弄ぶように

厭らしく頬を撫でる一宮。

彼女はもちろん、父親の命を選んだ。

 

 

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「……私はあれから色相も濁って

サプリメントも何も効かないまま、

あと少しすれば矯正施設に入れられるのも時間の問題です」

 

そして何とか会社に、一宮に仕返しをしてやろうと思い

たまたま今日この時間に会社に侵入したと言う。

偶然、警察車両が現れ、

それに乗じて行動しようと決めたらしい。

 

「……辛いことを話させて悪かったわ」

 

六合塚は優しく声をかけ背中を撫でる

 

 

「あの物流倉庫、地下に施設があることは気づいてるんですよね?」

 

舟橋は2人に視線を向ける。

2人はこくりと頷き、舟橋の返答を待つ。

 

「……私が広報の責任者に任命された時

一宮に言われたんです

物流倉庫の一角には関係者しか入れない

秘密の地下施設があると」

 

任命の祝いにと飲みに行った帰りに

気が昂った一宮はこう話していた。

 

「違法薬物の製造、実験、確かにそう言ったんです

…最初は嘘だと思いました

そして話した本人も私に暴露したことは覚えていない様子で……」

 

舟橋はデバイスを操作すると六合塚と雛河にとあるデータを送信する

 

それには

違法薬物の情報と他にも様々なデータが入っていた。

 

「……見つけたデータです

あくまでも実物がないので私にはどうもできません

でも皆さんならこの会社の隠している事実を暴いてくださると信じてます」

 

雛河がデータを見ていくと

あの赤い薬の写真が目に入る。

 

やはり、あの赤い薬はこの会社で製造されていた。

 

 

「六合塚さん……これっ……」

 

「やっぱり、あの薬はこの会社で……」

 

2人はデバイスを閉じると舟橋に頭を下げる。

 

「情報、ありがとうございます

……あとは私たちが何とかしますから

あなたはここから逃げた方がいい

後々データを盗んだ罪で咎められる前にね」

 

舟橋は窶れた笑顔を向け首を振る。

 

「いいんです

…そもそもあの日に、私が皆さんに話せばよかった

だからこんな大事に……」

 

「……自分を責めないで

あなたは権力に屈さずこうやって行動に移した

それは称えるべきことよ」

 

舟橋はその場で涙を流す。

まだ若い女性が大企業の権力に圧され

人生をも壊されかけていた。

 

六合塚と雛河は彼女を会社から逃がせば

データを引き抜いた痕跡もすべて消去した。

 

「……これで彼女が咎められる事は無いはずよ」

 

「いいんですか……こんなことして」

 

「いいのよ、

…それに彼女は私たちに大きな情報を渡してくれた

そのお礼よ、雛河」

 

そして六合塚は常守達に連絡を入れ

合流すると伝え、物流倉庫へと向かうのであった。

 

 

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