PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White   作:鈴夢

26 / 62
残酷な恩恵

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

物流倉庫

 

霜月と六合塚が見つけた地下へと繋がる扉

壁のタッチパネルには"LOCK"の文字が。

 

常守は、宜野座の隣でバツが悪そうに俯く一宮に目を向ける。

 

「一宮さん、この扉の向こうには何があるのでしょうか?

渡されていたマップには存在しない扉なのですが」

 

「……し、知らない」

 

目を合わせず、ひたすらに知らないと言い張る一宮

常守は男に近寄ると眉を顰める。

 

「一宮さん、正直に答えてください

…これは強制捜査、もし嘘をついたり非協力的なのであれば

私たちはあなたを即逮捕しなければなりません」

 

「だから……私は…」

 

「これ以上、自分自身の色相を濁らせるつもりですか?

あなたは、そこまでして何を守っているのですか?

…あなたは何かを隠し、そして何かを庇っている……」

 

ハッとした表情を常守に向ける一宮。

ただの"責任者"が1人で何かを隠しているとは思えない。

恐らく上層部の誰かに圧を掛けられているのは間違いない。

 

 

「……地下に、何があるんですか

一宮さん」

 

一宮の色相がどんどん濁っていく

その様子を見るのも常守は内心辛く感じていた。

 

「一宮さん、お願い…答えてください

……それ以上濁ってしまえば

あなたを執行しなければならなくなります」

 

ゆっくりドミネーターを一宮に向ける常守。

こんな脅迫めいた事は行いたくないが仕方がない。

 

『犯罪係数 93 執行対象ではありません

トリガーをロックします』

 

一気に70以上もはね上がる犯罪係数、

100を越えるのも時間の問題だった。

 

 

「国民に安全な薬を届ける

あなたが言っていた言葉です

……本当に心の底から思っていることならば

…協力してください」

 

グッと唇を噛み締める一宮

そしてようやく口を開く。

 

 

「……国民に良い薬を、充実した人生を

快適な生活を提供する為にも

より良い薬の開発が必要なんだ

……メンタルケアのサプリメントも我が社の物が1番だと

国民から賞賛を受けている」

 

一宮はゆっくり歩き出し

扉へと近づいていく。

 

「だがそれを作るためには犠牲も必要だった

……マウスの実験にも限度がある

そして動物愛護の観点からむやみに動物も使えない

…じゃあどうやって更に高度な薬をを開発すればいいと思う?」

 

一宮は指紋や眼球認証を行うために

タッチパネルに触れる。

 

そして次々と放たれる言葉に、

3人は徐々に悲痛な表情に歪ませていく。

 

 

「……まさか……」

 

常守が言葉を詰まらせる。

 

ロックが解除され開く扉の先は

地下へと繋がる階段。

 

そして同時に六合塚と雛河が息を切らしながら現れると

3人に合流する。

一宮は、5人に振り返れば薄く笑みを零す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本物の生きた人間の人体実験だ」

 

 

 

 

常守はグッとドミネーターを握りしめる力を強め

一宮を睨みつける。

 

 

 

 

「……なんて事を……」

 

 

一宮の色相が更に濁れば、犯罪係数はオーバー100を越えていた。

 

 

 

 

「何を言っているんだね?

君たちが……この国の人々が健康に暮らせているのは薬品のお陰だ

風邪や伝染病、そしてメンタルケア……

その実験があったからこそ受けられている恩恵だよ?」

 

「……ッ……」

 

一宮は階段を降りていく。

 

 

「もうここまでバレてしまえば仕方がない

……全容を見せてあげよう」

 

わなわなと震える常守の肩を、そっと触れる宜野座。

 

 

 

「……常守、大丈夫か」

 

恐らくこの先はとてつもない光景が広がっているだろう

宜野座は常守の身を案じていた。

 

 

「問題ありません

…とにかく、真実を見なければ

そして霜月監視官の行方を早く見つけないと……」

 

常守は一宮の後をついていく。

やけに長い階段の先は、さらに警備が張られた扉。

 

そしてその先に足を踏み入れた5人は

予想以上に残酷な光景を目の当たりにした。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。