PSYCHO-PASS Sinners of the System[case.4 再会の白] ーReunited with White 作:鈴夢
先程と違う入口から地下へ侵入した為、再びうろうろと部屋を潰していく2人。
霜月は地下の酷い状況に顔を歪めるも
必死に舞白について行く。
「…酷い臭い……頭がおかしくなりそう
……色相が……」
一体、自分の色相がどれほど濁っているのか
不安で仕方がなかった。
ポケットからいつものサプリメントを取り出すと
ラムネ菓子のように口の中で砕き始める。
「大丈夫?」
「…なんとかね……
よく平気でいられるわね、この臭い、
それにあんな死体見たあと……」
いくつも存在していた通称スプラッター部屋。
霜月の身を案じ部屋に入るのを止めたが、
なんとか霜月も証拠を探そうと、無理をしてその光景を見てきた。
「最初に私がたまたま見つけた部屋に
証拠が沢山あったの
…なかなか見つからない……凄く入り組んでるし……」
「虱潰しで行くしかないみたいね」
気味が悪いほど静まり返った地下。
それに違和感を感じた霜月は前を歩く舞白の腕を掴み呼び止める。
「ねぇ……何かおかしいと思わない?」
突然掴まれた事に驚くと
後ろを振り向く。
「何が?」
「…あまりにも傭兵がいなさすぎる」
「私たちが1階、2階にいると思って
そっちに重きを置いてるんじゃないの?」
「…………」
神妙な面持ちの霜月を不思議そうに見据える。
「あいつらがもしこの地下に何かを隠してるとして
日本人の公安の人間が向かう先を予想するなら
きっとこの地下のはずでしょう?
……私の事を日本の警察だとか、スパイだとか
それっぽいことを言ってた気がする」
デバイスの翻訳で拾った単語。
霜月の事を間違いなく日本のスパイだと、
だとしたらこの施設が隠していることを暴こうとしている、どう考えてもそう思われてもおかしくない。
「だったら、さっさと何か見つけて
ここから脱出しよう、霜月さん」
「……うん……」
霜月は嫌な予感しか感じていなかった。
しかし、ここで引き下がる訳にもいかないと再び歩みを進める。
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「……見つけた」
とある部屋の扉を開けると
ビニールカーテンが目の前に吊るされ、他の部屋とは圧倒的に違う雰囲気だった。
中に誰もいないことを確認し、2人はそっと室内に侵入する。
「トランスペアレント製薬の箱…
これよ、私と一緒に運ばれてきた物は」
「普通のダンボールとかじゃないのね、ステンレス?
にしては硬くて頑丈そう……」
霜月はそっと蓋に手を伸ばしロックが解除されているのを確認する。
目的の場所に運び込まれた時のみロック解除されるという特別な仕様。
「開けるわよ……」
蓋が開けられると中には雑に詰められた薬品
そしてその色に、霜月は目を見開く。
「真っ赤な薬……これだわ
……この薬が大量に密入国者の傍らに置かれていた」
包装されていない薬品。
やはりあの薬はトランスペアレント社のものだった。
この箱に入れられていたのは間違いない。
「こっちの箱にも大量に入ってる!
……普通の白い錠剤…」
舞白はペロッとその錠剤を舐めると
微かに刺激を感じ眉を顰める。
「なにやってんの!何の薬か分からないのに……」
「多分これ、違法薬物よ
覚せい剤みたいな成分が入ってると思う
…一緒に入れられている注射器に液体……」
いくつも積み上げられている箱の中身は
全てが違法薬物だった。
そして、部屋の傍らに置かれた机には複数の書類。
舞白はその書類に目を通し、霜月に1枚の紙を手渡した。
「トランスペアレント社がこの組織に宛てた手紙、
必要臓器、人間の数、
そしてそれと引替えに大量の違法薬物、大金、燃料」
「これだけの情報があれば十分だわ
デバイスで写真も残せたし、これを突き出せば……」
その瞬間、室内の電気が落とされ真っ暗闇に。
同時に、室内に何者かが侵入する気配を感じれば舞白はすぐ様
霜月の腕を引き、部屋の奥へと隠れる。
やはり、霜月の読み通り罠だった
恐らく、ここにたどり着くと予想していたのだろう。
背中のスナイパーライフルを手に取り厳戒態勢に入る。
「なんなのよ!あとは輸送機に乗り込むだけなのに…」
霜月も銃を握りしめると
舞白の背の後ろで悔しそうに顔を歪める。
「霜月さんの読み通りだったわね」
「ほら、言わんこっちゃない…」
足音や物音を聞く限り、
かなりの人数が室内に侵入しているのが分かる。
そして全員が銃を手にしていた。
「私が奴らを引きつける、霜月さんはなりふり構わず外に逃げて
…だいたいこの地下の造りは分かったでしょ?
この部屋を出て左方向に地上へ繋がる通気口があるはず
そこにすぐに逃げて」
「この状況を1人で乗り切るつもり!?」
「…自分の目的を見失わないで
その証拠を手にして、日本戻るのが目的でしょ?
私の目的はここの壊滅、たった今その引き金が引かれた
ただそれだけの事」
舞白は防弾ベストの胸ポケットから閃光手榴弾を取り出す
そして留め具を口で引き抜き、霜月へ振り向く。
「走って!!」
閃光手榴弾を投げると激しい光が室内を照らす。
傭兵達はその光に怯むと、霜月は一気に走り出す。
「絶対に振り向かないで!止まったらダメだからね!」
「……ッ……煩いわね、分かってるわよ!」
舞白が上手く引き付けている間に、なんとか傭兵を掻き分けながら走り抜ける霜月。
「ほらほら!
あんなに弱い人間たちの前では威張ってるくせに……ッ
武器がなければ所詮何も出来ないのよ、あんた達は!」
次々と傭兵達をねじ伏せていく。
暗闇にまだ目が慣れず、どれだけの傭兵が居るのか確認しきれないが
手当り次第邪魔をする傭兵に掴みかかる。
「ッ!ハァッ!」
傭兵の1人の頭を回し蹴りで思いっきり部屋の壁へと吹っ飛ばす。
しかし、その瞬間
気配を感じなかった背後から強い衝撃が
舞白の体を襲う。